建設業界の市場規模・主要企業・動向
日本の建設業界は建設投資75.6兆円規模で、スーパーゼネコンを頂点に約48万社の許可業者が支え、新設から維持修繕への構造シフトが進んでいます。
建設業とは、土木(道路・橋梁などのインフラ)と建築(住宅・非住宅)を柱に、資材調達から施工までを担う基幹産業です。2025年度の建設投資は75.6兆円(政府33%・民間67%)で、鹿島・大成・大林・清水・竹中工務店のスーパーゼネコン5社(うち竹中工務店は非上場)を頂点に、約48万社の許可業者が連なる階層構造です。新設から維持修繕への構造シフト、2024年問題による労務費の上昇、i-Constructionによる省人化が共通の論点となっています。本ページでは、建設業界を、市場規模、維持修繕、主要4社業績、2024年問題、i-Constructionの5軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
建設業とは、土木(道路・橋梁・港湾などのインフラ)と建築(住宅・非住宅・工場・商業施設)の2軸で構成される基幹産業です。日本の建設投資は75.6兆円規模(2025年度、国交省)で、政府投資25.2兆円と民間投資50.4兆円から成ります。業界は鹿島・大成・大林・清水・竹中工務店のスーパーゼネコン5社(うち竹中工務店は非上場)を頂点に、準ゼネコン・中堅ゼネコン・地場と専門工事業者が連なる階層構造で、許可業者数は約48万社と裾野が広い分散構造です。
- 建設業は、土木(道路・橋梁・河川・港湾・上下水道などのインフラ)と建築(住宅・非住宅・工場・商業施設など)の2軸で構成され、許可種別では29業種に細分化されています。
- 日本の建設投資は75.6兆円規模(2025年度)で、政府投資25.2兆円・民間投資50.4兆円の構成です。民間の内訳は住宅16.4兆円・非住宅21.0兆円・建築補修13.1兆円となっています。
- 業界はスーパーゼネコン5社を頂点とする階層構造で、許可業者は48万3,700社(令和7年3月末)とピークの2000年から19.5%減りました。インフラ老朽化を背景に、新設から維持修繕(リニューアル)への構造シフトが進んでいます。
市場動向
建設投資は2010年代の50兆円台から75.6兆円(2025年度)へ長期で拡大しています。民間非住宅(オフィス・物流倉庫・データセンター・半導体工場)が8.7%増と最も高い伸びを示し、再開発や大型施設投資が需要を牽引する一方、民間住宅は人口減で長期的な減少傾向にあります。インフラ老朽化を背景に維持修繕(リニューアル)のシェアは2001年の21%から2023年の32%へ拡大し、新設一辺倒からバランス型市場への構造転換が進んでいます。
- 建設投資総額は75.6兆円(2025年度、前年度比3.2%増)で、2010年代の50兆円台から長期で拡大しています。公共と民間の双方が市場を押し上げています。
- 民間非住宅が8.7%増と最も伸びが高く、データセンター・物流倉庫・半導体工場・再開発が需要を牽引しています。一方、民間住宅は1.2%増の低成長で、新設住宅着工は人口減で減少傾向にあります。
- 新設68%・維持修繕32%の構成で、維持修繕のシェアは2001年から11ポイント拡大しました。政府投資は国土強靭化の5か年加速化対策(2021〜2025年度)を中核に25兆円台を維持しています。
競争環境
建設業界は、スーパーゼネコン5社(鹿島・大成・大林・清水・竹中工務店、うち竹中工務店は非上場)を頂点に、準ゼネコン・中堅ゼネコン・地場と専門工事業者が連なる階層構造です。上場するスーパーゼネコン4社の合計売上は約9.6兆円で建設投資75.6兆円の12〜13%にあたり、残り87%は許可業者約48万社の中小・地場業者が担っています。共通の論点は、国内新設の頭打ち、維持修繕へのシフト、2024年問題への対応の3つで、各社は海外受注の拡大・大型案件の獲得・DXによる省人化に注力しています。
- 上場するスーパーゼネコン4社は、鹿島建設がFY2025連結売上2兆9,118億円で首位、大林組2兆6,201億円、大成建設2兆1,542億円、清水建設1兆9,443億円と続きます。FY2026第3四半期は4社そろって増益基調で、物価スライド対応と大型案件の竣工、海外建築の採算改善が共通の追い風です。
- 専門工事業者は約48万社で、業種別ではとび・土工が38.0%、建築が29.7%、土木が27.3%と上位3業種で過半を占めます。スーパーゼネコンを頂点に、準ゼネコン・中堅ゼネコン・地場業者・専門工事業者が下請構造で連なる分散型の業界です。
- 競争軸は利益率の改善と成長領域の確保に移っています。各社は海外受注比率の引き上げ(大林組は2.6%から7.8%へ)、データセンターや再開発などの大型案件の獲得、i-Constructionと連動したDXによる省人化に注力しています。
市場規模推移
2016-2025 · 民間投資 + 政府投資2025年度の建設投資は75兆5,700億円(前年度比3.2%増)の見通しで、政府投資25.2兆円(33%)と民間投資50.4兆円(67%)で構成されます。民間投資の内訳は住宅16.4兆円・非住宅21.0兆円・建築補修13.1兆円で、建築・土木で分けると建築49.2兆円(65%)・土木26.4兆円(35%)の比率です。
長期で見ると、建設投資は2010年代前半の40兆円台(2010年41.9兆円)を底に、2015年から2019年は50〜60兆円台、2020年以降は60〜70兆円台へと段階的に拡大しました。2024年は73.2兆円、2025年は75.6兆円に達しており、公共と民間の双方が市場を押し上げています。
需要を牽引しているのが民間非住宅(オフィス・商業・物流倉庫・データセンター・半導体工場)で、前年度比8.7%増と最も高い伸びを示しています。再開発や大型施設への投資が活発で、データセンターや物流倉庫、半導体工場の新設が需要の中心です。
一方、民間住宅は1.2%増の低成長にとどまります。新設住宅着工戸数は人口減少を背景に長期的な減少傾向にあり、注文住宅から賃貸・分譲へのシフトも進んでいます。政府投資は国土強靭化の5か年加速化対策(2021〜2025年度)を中核に25兆円台を維持しており、防災・減災やインフラ老朽化対策が下支えしています。
建設市場では、新設から維持修繕(リニューアル)への構造シフトが進んでいます。維持修繕のシェアは2001年の21%から2023年の32%へ11ポイント拡大し、維持修繕工事は2023年で28.8兆円規模(土木7.3兆円・建築17.5兆円ほか)に達しています。
発注者別では、維持修繕の比率は民間30.9%・公共35.4%で、公共のほうが維持修繕の比重が高い構造です。背景には、高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化と、人口減少による新設需要の頭打ちがあります。新設一辺倒から、維持修繕とのバランス型市場への転換が中長期の方向です。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要日本の建設業は、鹿島・大成・大林・清水・竹中工務店のスーパーゼネコン5社(うち竹中工務店は非上場)を頂点に、準ゼネコン・中堅ゼネコン・地場業者・専門工事業者が連なる階層構造です。上場するスーパーゼネコン4社の合計売上は約9.6兆円で、これは建設投資75.6兆円の12〜13%にとどまります。
残る87%は、約48万社の中小・地場業者が下請構造で担っています。上流では鉄鋼・セメント・木材・電装品などの資材メーカーが供給を支え、下流では専門工事業者が施工を担います。発注者は、国や地方自治体の公共と、ディベロッパーや事業会社などの民間の二系統に分かれます。
中核となるのがスーパーゼネコンで、鹿島建設を筆頭に大林組・大成建設・清水建設が売上2兆円前後の規模を持ちます。その下に、マンション建築に強い長谷工コーポレーションや、インフラ運営を手がける前田建設工業(インフロニアHD)、土木に比重を置く熊谷組などの準ゼネコン・中堅ゼネコンが続きます。
専門工事業者は29業種に細分化され、業種別の許可業者数ではとび・土工が38.0%、建築が29.7%、土木が27.3%と上位を占めます。電気・設備系では、きんでん・関電工・九電工といった電力会社系の工事会社が地域ごとに事業を展開しています。
建設業界の構造を動かしているのが、規制と技術の2つです。2024年問題では、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用され、労務費の上昇と担い手確保が課題となっています。これに対し、国交省が令和6年4月に策定したi-Construction 2.0が、建設現場の自動化による省人化を後押ししています。
需要面では、インフラの老朽化を背景に新設から維持修繕(リニューアル)へのシフトが進み、維持修繕のシェアは2001年の21%から2023年の32%へ高まりました。政府投資は国土強靭化の5か年加速化対策を中核に25兆円台を維持しており、これらが業界共通のテーマとなっています。
業界の3大論点
なぜ建設投資は維持修繕(リニューアル)にシフトしているのか?
維持修繕(リニューアル)のシェアは2001年の21%から2023年の32%へ11ポイント拡大しています。金額ベースでも2023年の維持修繕は28.8兆円規模(土木7.3兆円・建築17.5兆円ほか)に達し、新設工事との比率はおよそ1対2まで縮まりました。新設一辺倒だった市場の構造が変わりつつあります。
背景には3つの構造要因があります。第一に、高度経済成長期に集中して整備されたインフラの老朽化で、建設後50年以上が経過する施設の割合が加速度的に高まっています。第二に、人口減少と都市集約による新設需要の頭打ちです。第三に、市区町村の一部で技術系職員が不足し、メンテナンス人材が足りていません。i-Construction 2.0も「予防保全型のインフラメンテナンスへの本格転換」を中核課題に据えており、政策面でもリニューアル需要の取り込みが進んでいます。
発注者別では、2023年の維持修繕比率は民間30.9%・公共35.4%で、公共のほうが維持修繕の比重が高い構造です。スーパーゼネコンも新設競争から維持修繕や既存改修へ重心を移しています。今後も維持修繕のシェアは拡大する方向で、業界全体としては縮小ではなく、新設からリニューアルへ、加えて大型・高難度化へという質的変化として整理できます。
2024年問題(時間外労働の上限規制)で建設業はどう変わるか?
2024年4月から建設業に時間外労働の上限規制が適用され、月45時間・年360時間が原則の上限となりました。特別条項付きの36協定でも、年720時間以内・月100時間未満(休日労働を含む)・複数月平均80時間以内に制限されます。働き方改革関連法(2018年成立)で建設業に与えられていた5年間の適用猶予を経た、本格適用です。
業界への影響は2つの軸で整理できます。ひとつは労務費の上昇で、各社決算でも「物価スライドを含む追加請負金の獲得」が利益率の改善要因として挙げられ、大成建設はFY2026第3四半期で土木の利益率が3.4ポイント、建築が6.5ポイント改善しました。もうひとつは発注者への要請強化で、建設業法などの改正により、価格転嫁や適正工期の記載義務が令和6年12月に施行されました。
中長期の論点は、労務費の上昇を発注者がどこまで受け入れるか、担い手の確保とDXによる省人化(i-Construction 2.0)をどう両立するか、災害復旧の例外規定をどう運用するか、の3点です。短期的には増収増益の要因となっていますが、構造的には、人手不足のなかで生産性向上を迫る規制として整理できます。
スーパーゼネコンの競争力はどこにあるか?
スーパーゼネコンは鹿島・大成・大林・清水・竹中工務店の5社を指し、このうち竹中工務店は非上場です。上場4社の合計売上は約9.6兆円(FY2025通期)で、建設投資75.6兆円の12〜13%にあたり、残り87%は許可業者約48万社の中小・地場業者が担っています。規模では鹿島建設が連結2兆9,118億円で首位、大林組2兆6,201億円、大成建設2兆1,542億円、清水建設1兆9,443億円と続きます。
戦略には各社の色があります。鹿島建設は米国Core5(流通倉庫開発)やシンガポールを含む海外関係会社が成長軸で、FY2026第3四半期は営業利益が大きく伸びました。大成建設は東洋建設を新規連結し海洋土木を強化、利益率の改善が際立ちます。大林組はROE12.6%と中期計画目標を超過し、海外受注比率を2.6%から7.8%へ高めています。清水建設はFY2024の営業損失からFY2025に営業利益710億円へV字回復しました。
中長期の競争軸は、海外受注比率の引き上げ、データセンターや再開発、洋上風力などの大型案件の獲得力、そしてi-Construction 2.0と連動したDX投資による省人化の3点に集約されます。FY2026第3四半期に上場4社がそろって増益基調にあるのは、物価スライド対応・採算重視・大型案件の竣工が共通の収益源として働いた結果です。
よくある質問 (FAQ)
日本の建設業界の市場規模はどれくらいですか?
スーパーゼネコンとは何ですか?
建設業の許可業者数はどう推移していますか?
「2024年問題」とは何ですか?
i-Construction 2.0とは何ですか?
維持修繕(リニューアル)市場はなぜ拡大していますか?
国土強靭化の予算規模はどれくらいですか?
日本の建設業界の中長期見通しは?
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