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STAT DETAIL · COST STRUCTURE

外食のコスト構造|食材費・人件費の上昇圧力【2026年版】

外食のコストは、食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせたFLコストが中心で、これに家賃や水光熱費が加わります。最低賃金は連続して引き上げられ、輸入食材は円安で値上がりするなど、コストの上昇圧力が続いています。これらが収益をどう圧迫し、各社が価格転嫁や省人化でどう対応しているかを整理します。

最低賃金 全国加重平均
1,121
2025年度。2019年度の901円から連続して引き上げ
出典: 厚生労働省「地域別最低賃金 改定額の推移」
都道府県レンジ(2025年度)
1,023〜1,226
高知〜東京
出典: 厚生労働省「地域別最低賃金 改定額の推移」
輸入物価 前年比(円ベース、2026年4月)
+17.5%
円安を背景に輸入食材コストの上昇圧力
出典: 日本銀行「企業物価指数」2026年4月速報

最低賃金 全国加重平均の推移(2019-2025年度、円)

2019年度の901円から2025年度の1,121円へ連続して引き上げ
単位:
03757501,1251,500901199022093021961221,004231,055241,12125
出典: 厚生労働省「地域別最低賃金 改定額の推移」
年度2019202020212022202320242025
9019029309611,0041,0551,121
前年比
読み解き

最低賃金の全国加重平均は、2019年度の901円から2025年度の1,121円へと、毎年度連続して引き上げられています。とくに近年は引き上げ幅が大きく、人件費の負担が年々増しています。外食は最低賃金の近傍で働くパート・アルバイトに支えられる業態が多く、引き上げが人件費に直結しやすい構造です。

地域差も大きく、2025年度は東京の1,226円から高知の1,023円まで開きがあります。都市部の店舗ほど人件費の上昇圧力が強く、地域ごとに採算の条件が異なります。

このグラフに関連するトピック

主要論点

なぜ外食はコスト上昇の影響を受けやすいのか?

外食がコスト上昇の影響を受けやすいのは、FLコスト(食材費と人件費)が費用の中心を占める労働集約・食材集約型の事業だからです。両方が同時に上昇する局面では、コスト全体が押し上げられます。

人件費では、最低賃金の近傍で働くパート・アルバイトの比率が高く、最低賃金が901円(2019年度)から1,121円(2025年度)へ連続して引き上げられると、人件費に直接はね返ります。食材費では、輸入に頼る原材料が多く、円安や国際相場の影響を受けます。輸入物価は2026年4月時点で前年比+17.5%(円ベース)と大きく上昇しています。

さらに、店舗を構える事業のため家賃や水光熱費も固定的にかかります。製造業のように生産拠点を海外に移したり在庫で価格変動を吸収したりしにくく、コスト上昇がそのまま店舗の採算に響きやすいのが外食の特性です。

最低賃金の連続引き上げに各社はどう対応しているのか?

最低賃金の連続引き上げに対し、各社は価格改定・省人化・処遇改善を組み合わせて対応しています。最低賃金は2025年度に全国加重平均で1,121円となり、人件費の負担が増しています。

第1は価格改定(値上げ)で、メニュー価格を引き上げて客単価で人件費上昇を吸収する動きです。第2は省人化で、配膳ロボット・モバイルオーダー・セルフレジなどにより、限られた人員で店舗を回せるようにする投資です。第3は処遇改善と採用で、賃上げや働きやすさの改善で人材を確保し、特定技能制度(外食業などで外国人材を受け入れる在留資格)による外国人材の活用も広がっています。

どの対応も一長一短があり、値上げは客離れのリスク、省人化は初期投資、処遇改善は人件費のさらなる増加につながります。これらのバランスをどう取るかが、各社の収益性を左右します。省人化の詳細は人手不足とDXのトピックで扱います。

価格転嫁はどこまで進むのか?

コスト上昇分を価格に転嫁できるかどうかが、外食の利益率を左右します。会員社の全店データでは、近年の売上の伸びは客数よりも客単価(来店客1人あたりの平均支払額)の上昇(値上げ)が主因で、各社が価格改定を進めてきたことがうかがえます。

ただし、価格転嫁には限界があります。値上げが続けば、消費者の節約志向を背景に来店頻度が下がったり、より安い選択肢へ移ったりする客離れのリスクが高まります。とくに低価格帯を強みとする業態では、値上げの余地が限られます。

今後は、コスト上昇を価格にどこまで反映できるか、同時に省人化で原価構造そのものを下げられるかが焦点です。価格転嫁と効率化の両輪をうまく回せる企業が、コスト上昇局面でも利益率を維持しやすいと考えられます。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、最低賃金の引き上げと輸入食材価格の上昇が続くとみられ、FLコストの上昇圧力は当面続きます。各社は価格改定で客単価を上げつつ、省人化投資で人件費の伸びを抑える対応を強めると考えられます。価格転嫁が客数にどう影響するかが、短期の収益を左右します。

中期3-5年

中期では、最低賃金の引き上げ基調が続く前提のもと、省人化による原価構造の見直しが各社の差を生みます。配膳ロボットやセルフレジの導入余力がある大手と、対応が難しい小規模店との間で、コスト競争力の差が広がる可能性があります。輸入食材については、為替と国際相場の動向がコストの振れ幅を決めます。

長期

長期では、人口減少と人手不足を背景に、人件費の上昇は構造的に続く見通しです。値上げによる価格転嫁には限界があるため、省人化・国産食材の活用・業態転換など、コスト構造そのものを変える取り組みが、外食の持続性を左右します。

よくある質問

外食のコストは何が中心ですか?
食材費(Food)と人件費(Labor)を合わせたFLコストが中心で、これに家賃や水光熱費が加わります。労働集約・食材集約型の事業のため、食材費と人件費の上昇がコスト全体に影響しやすいのが特徴です。
外食の最低賃金はいくらですか?
最低賃金の全国加重平均は、2025年度に1,121円です(厚生労働省)。2019年度の901円から連続して引き上げられています。地域差があり、2025年度は東京の1,226円から高知の1,023円までの開きがあります。
最低賃金の引き上げは外食にどう影響しますか?
外食は最低賃金の近傍で働くパート・アルバイトの比率が高いため、引き上げが人件費に直接はね返ります。各社は価格改定(値上げ)、配膳ロボットなどの省人化、処遇改善・採用を組み合わせて対応しています。
輸入食材の価格はどうなっていますか?
円安を背景に輸入物価が上昇しています。日本銀行の企業物価指数では、輸入物価(円ベース)が2026年4月時点で前年比+17.5%と大きく上昇しており、輸入に頼る食材のコストを押し上げています。
各社の原価率・人件費率は比較できますか?
各社別の原価率・人件費率は、開示の範囲が限られ、業態や会計区分も異なるため、横断的に比較するのは難しいのが実情です。本ページでは、コスト上昇の圧力を、最低賃金と輸入物価という業界共通の指標で示しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    厚生労働省「地域別最低賃金 改定額の推移」
  2. 2.
    日本銀行「企業物価指数」2026年4月速報
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