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TOPIC DETAIL · OVERSEAS EXPANSION

外食の海外展開|主要チェーンの海外進出と先行投資【2026年版】

国内市場が成熟するなか、外食の主要チェーンは成長を海外に求めています。丸亀製麺のトリドールHD、スシローのFOOD & LIFE COMPANIES、すき家のゼンショーHD、くら寿司、サイゼリヤなどが、アジアや北米へ店舗網を広げています。各社で海外への出方は大きく異なり、海外事業が高い収益を生む企業もあれば、先行投資で一時的に利益が圧迫される企業もあります。なぜ今海外なのか、各社の戦略はどう違うのか、海外展開の収益の実際を整理します。

なぜ今、外食は海外に出るのか

国内市場の長期的な縮小を見越した先行確保

最大の理由は、国内市場の長期的な縮小です。日本は人口減少と少子高齢化が進み、外食の国内需要は中長期で先細りが見込まれます。2025年は万博やインバウンドで国内市場が一時的に堅調な面もありますが、各社はその先の構造的な縮小を見越して、いまのうちに海外で足場を築こうとしています。体力のある大手ほど、海外出店を急いでいます。

アジアの成長と、北米の高い客単価

行き先は大きくアジアと北米に分かれます。アジアは日本から近く、日本食への親しみが強いうえ、人口増と経済成長で外食需要が拡大しています。サイゼリヤやスシローがアジアを主戦場とするのはこのためです。一方、北米は客単価が高く、丸亀製麺やくら寿司のように、品質やエンタメ性を武器に高単価で勝負する展開が見られます。

インバウンドとのつながり

訪日外国人の増加も、海外展開を後押しします。日本を訪れて店の味を知った外国人が、帰国後に現地店舗の顧客になりうるためです。国内で訪日客に受け入れられた業態は、海外でも通用する可能性が高いと考えられます。訪日需要の拡大と海外展開は、日本食への関心の高まりという同じ土台でつながっています。

主要チェーンの海外戦略の違い

同じ「海外展開」でも、各社で進め方は大きく異なる
トリドールHD(丸亀製麺)— 直営の先行投資でアジア・北米・欧州へ

トリドールHDは、丸亀製麺を「Marugame Udon」として直営で世界に広げる先行投資型の代表格です。アジア・北米に加え、英国を拠点に欧州へも本格進出し、現地の外食企業の買収(英国のピザ・ギリシャ料理チェーン)も組み合わせています。一方で、中国本土の丸亀製麺は運営の難しさから一度全店を閉店し、別ブランドで再参入する戦略に切り替えた経緯があり、海外展開の難しさも示しています。出店を急ぐ先行投資の局面にあり、短期的には利益が圧迫されやすい状況です。

ゼンショーHD(すき家)— 直営とM&Aの二層構造

ゼンショーHDの海外は、二つの層で構成されます。第1に、すき家(牛丼)を直営でアジアや中南米(中国・東南アジア・ブラジル・メキシコなど)へ広げる層。第2に、北米や英国の持ち帰り寿司事業をM&Aで取り込む層です。スーパー内などで寿司を販売するテイクアウト事業を相次いで買収し、海外の店舗数は国内を上回る規模に達しています。「すき家=直営、寿司テイクアウト=M&A」という二層構造が特徴です。

FOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)— アジアを成長ドライバーに

FOOD & LIFE COMPANIESは、スシローをアジア中心に展開しています。韓国を皮切りに、台湾・香港・中国本土・タイ・シンガポールなどへ広げ、海外事業が会社全体の成長を牽引する構図になっています。とくに台湾や中国での人気が高く、海外売上の構成比を今後さらに高める方針を掲げています。回転寿司のオペレーションをアジアの食文化にうまく適合させた例です。

サイゼリヤ — 中国を中心に、海外で高い採算

サイゼリヤは、中国本土(上海・北京・広州)を中心に、香港・台湾・シンガポールへ展開しています。特徴は、海外、とくに中国の採算が国内より大きく高いことです。低価格イタリアンを高効率なオペレーションで運営するモデルがアジアで強く支持され、グループ利益の多くを海外で稼ぐ構図になっています。国内の採算改善が課題とされる一方、海外が収益の柱として確立しています。

くら寿司 — 米国子会社を現地で上場

くら寿司は、米国と台湾を中心に海外展開しています。特徴的なのは、米国の子会社を現地(ナスダック)に上場させたことです。資金調達と現地での認知・経営を現地で完結させる珍しい手法で、タッチパネル注文や自動化、ビッくらポンのようなエンタメ性をそのまま米国に持ち込んでいます。回転寿司の「楽しさ」を海外で武器にする戦略です。

日本マクドナルドHD — 海外に出る側ではなく、海外ブランドを国内展開する側

注意したいのが日本マクドナルドHDです。ここまでの5社が日本生まれのブランドを海外へ持ち出すのに対し、日本マクドナルドHDはその反対で、アメリカ生まれのブランドを日本国内で展開する会社です。同社は米国のマクドナルド本部と国内限定の契約を結び、日本でマクドナルドを運営する立場にあります。したがってこの一覧では、海外へ出ていく主体としてではなく、進出の向きが逆である例として位置づけられます。海外展開を論じる際は、この構造の違いを踏まえる必要があります。

海外展開は儲かるのか — 先行投資の力学

局面によって収益性は大きく変わる

海外展開の収益性は、展開の局面によって大きく変わります。出店を急拡大する先行投資の局面では、店舗の立ち上げ費用や人材育成、ブランド浸透のコストが先にかかり、利益が一時的に圧迫されます。たとえば海外出店を積極化しているトリドールHDの直近のROEは2.2%と低水準です。ROE(自己資本利益率)は、株主が出した資本でどれだけ効率よく利益を上げたかを示す指標で、高いほど稼ぐ力が強いことを意味します。出店拡大の初期は費用が先に出て利益は後からついてくるため、ROEは一時的に下がりやすく、トリドールの数字は先行投資の局面を映していると考えられます。

一方で、海外事業が軌道に乗れば、国内より高い採算を生むこともあります。海外を成長ドライバーとするFOOD & LIFE COMPANIES(スシロー)のROEは26.9%、直営とM&Aで海外を広げるゼンショーHDは17.3%と高水準で、サイゼリヤのように海外(中国)の採算が国内を上回る例もあります。「海外展開=収益が下がる」という単純な図式ではなく、先行投資の段階か、回収の段階かで評価が分かれます。

横断比較には限界がある

ただし、各社の海外事業を同じ基準で比べるのは簡単ではありません。海外店舗数や海外売上比率は、各社の開示の粒度が異なり、横断的な比較は限定的です。本ページのROEは全社連結ベースで、海外単体の収益性をそのまま示すものではありません。各社の海外戦略は、数字の比較よりも、直営かM&Aか、どの地域を主戦場とするか、という進め方の違いで捉えるのが実態に近いといえます。

主要論点

なぜ国内大手はこぞって海外に出るのか?

国内市場が長期的に縮小するという見通しが、海外展開の最大の動機です。人口減少と少子高齢化で、国内の外食需要は中長期で先細りが避けられません。国内に出店し続けても成長の余地が限られるため、体力のある大手ほど、需要が伸びる海外に成長を求めます。

行き先としてアジアが選ばれやすいのは、日本から近く、日本食への親しみが強く、人口増と経済成長で外食需要が拡大しているためです。北米は客単価が高く、品質やエンタメ性で高単価を取りにいく市場として狙われます。訪日客が増え、海外で日本食の認知が広がっていることも追い風です。

つまり海外展開は、当面の利益というより、国内の構造的縮小を見越した中長期の成長確保という性格が強い投資だといえます。

海外展開は本当に儲かるのか?

儲かるかどうかは、展開の局面によって変わります。出店を急拡大する先行投資の局面では、立ち上げ費用やブランド浸透のコストが先行し、利益が一時的に圧迫されます。海外を積極化するトリドールHDのROEが2.2%と低いのは、この先行投資局面を映しています。

一方、事業が軌道に乗れば、国内を上回る採算を生むこともあります。海外が成長を牽引するFOOD & LIFE COMPANIES(ROE26.9%)やゼンショーHD(同17.3%)は高い収益性を保ち、サイゼリヤのように海外(中国)の採算が国内より高い例もあります。

さらに、海外には撤退のリスクもあります。丸亀製麺が中国本土から一度全店撤退したように、現地の競争や運営の難しさで計画どおりに進まないこともあります。海外展開は、先行投資をどれだけ回収できるか、撤退の判断を含めてどう運営するかで成否が分かれます。

業態によって海外での戦い方はどう違うのか?

業態の特性によって、海外での戦い方は大きく異なります。回転寿司(スシロー・くら寿司)は、日本食人気の高いアジアと相性がよく、タッチパネルや自動化といった日本流のオペレーションやエンタメ性をそのまま持ち込みやすい業態です。くら寿司が米国子会社を現地上場させたように、回転寿司は海外でも「日本の体験」を売りにできます。

うどん(丸亀製麺)は、店内製麺の実演という分かりやすい価値を直営で広げる先行投資型です。牛丼(すき家)は直営で広げつつ、北米では持ち帰り寿司というまったく別の業態をM&Aで取り込む二層戦略をとります。低価格イタリアン(サイゼリヤ)は、高効率なオペレーションを武器に中国で高採算を実現しています。

このように、自社の強みが海外のどの市場・どの食文化に合うかを見極め、直営かM&Aか、どの地域から攻めるかを選ぶことが、海外展開の巧拙を左右します。

よくある質問

どの外食チェーンが海外展開に積極的ですか?
丸亀製麺のトリドールHD、スシローのFOOD & LIFE COMPANIES、すき家のゼンショーHD、くら寿司、サイゼリヤなどが海外展開に積極的です。トリドールは直営の先行投資でアジア・北米・欧州へ、スシローとサイゼリヤはアジア中心、くら寿司は米国と台湾、ゼンショーは直営とM&Aの組み合わせで展開しています。
なぜ日本の外食は海外に進出するのですか?
国内市場が人口減少で長期的に縮小すると見込まれ、出店余地が限られていくためです。人口が増え経済が成長するアジアや、客単価の高い北米に成長を求めています。訪日客の増加で海外に日本食の認知が広がっていることも追い風になっています。
海外展開は儲かるのですか?
局面によって変わります。出店を急拡大する先行投資の局面では利益が一時的に圧迫されやすく、海外を積極化するトリドールHDのROEは2.2%と低水準です。一方、事業が軌道に乗れば国内より高い採算を生むこともあり、FOOD & LIFE COMPANIES(ROE26.9%)やサイゼリヤの中国事業のように高収益の例もあります。
海外から撤退した例はありますか?
あります。丸亀製麺は中国本土に一度進出した後、運営の難しさから全店を閉店し、別のブランドで再参入する戦略に切り替えました。海外展開は計画どおりに進むとは限らず、現地の競争や運営の難しさによる撤退・業態転換のリスクを伴います。
各社の海外店舗数や海外売上を比較できますか?
横断的な比較は限定的です。海外店舗数や海外売上比率は、各社で開示の粒度が異なり、同じ基準で並べるのが難しいのが実情です。本ページでは、店舗数の比較よりも、直営かM&Aか、どの地域を主戦場とするか、という各社の戦略の違いに焦点を当てています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 有価証券報告書(外食上場各社、連結通期FY2025)
  2. 2.
    各社IR開示・適時開示(海外展開の地域・形態)
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