最終更新
STAT DETAIL · ENERGY EFFICIENCY & COOLING

データセンターの省エネと冷却技術|液冷の拡大とAI高密度化への対応【2026年版】

生成AI向けサーバーの高密度化で発熱が増し、データセンターの冷却は空冷から液冷へ移りつつあります。液冷関連製品の市場は2024年に前年比57.1%増が見込まれ、高発熱ラックでは2027年に液冷が53.3%を占めると予測されています。省エネ法のPUE基準とあわせ、冷却技術と効率がどこまで進むかを整理します。

液冷市場 前年比2024
+57.1%
液冷関連製品市場の前年比増(富士キメラ総研の原文記載)
出典: 富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧2025年版」
高発熱ラック液冷2027
53.3%
高発熱ラックのうちDLC41.0%+リアドア12.3%(JEITA原文の数値、予測)
出典: JEITA「2024年版ITトレンド」
省エネ法平均PUE2030
1.4以下PUE
省エネ法ベンチマーク 対象事業者の平均PUEの水準(加重平均、目標年度2030年度)
出典: エネルギー庁 データセンター業ガイドライン
新設DC基準PUE2029
1.3以下PUE
2029年度以降の新設データセンターの効率基準(設計時は1.28以下が望ましい取組)
出典: エネルギー庁 データセンター業ガイドライン

高発熱ラックの冷却方式の構成 (2027年予測、%)

高発熱ラックのうちの比率の予測。液冷計は出典原文に明示された合計値
DLC(直接液冷)
サーバーに冷却液を直接当てる方式
2027年予測
41.0%
リアドア
ラック背面の扉で冷やす方式
2027年予測
12.3%
液冷計(DLC+リアドア)
出典原文に明示された液冷の合計値
2027年予測
53.3%
読み解き

JEITAは、高発熱ラックのうち液冷が2027年に53.3%を占めると予測しています。内訳はサーバーに冷却液を直接当てるDLCが41.0%、ラック背面の扉で冷やすリアドアが12.3%で、液冷計の53.3%はJEITAの原文に「半数以上を占めると予測」として明示された値です。DLCとリアドアを当方で足し合わせた数値ではありません。 液冷が高発熱ラックの半数以上に広がる背景には、生成AI向けサーバーの発熱量の大きさがあります。高発熱のラックでは空冷だけでは冷却が追いつかず、液冷が現実的な選択肢になります。この予測はあくまで高発熱ラックの中での比率で、データセンター全体のすべてのラックが液冷化するという意味ではありません。

省エネ法が示すデータセンターのPUE水準

エネルギー庁ガイドラインの基準。冷却を含む効率改善が目指す到達点
対象事業者の平均(2030年度目標)
ベンチマーク制度、加重平均
PUE
1.4以下
2029年度以降の新設データセンター
稼働2年経過の翌年度以降の効率基準
PUE
1.3以下
同・設計時(望ましい取組)
新設データセンターの設計段階
PUE
1.28以下
読み解き

省エネ法はデータセンターの効率の到達目標をPUEで示しています。対象事業者の平均PUEを2030年度に1.4以下(加重平均)、2029年度以降の新設データセンターは稼働2年経過の翌年度以降に1.3以下、設計時には1.28以下を望ましい取組としています。 これらの数値は、冷却を含む効率改善が技術的に目指す到達点にあたります。空冷中心の従来型データセンターのPUEは一般に高めで、外気冷却や液冷の導入、機器配置の最適化などで数値を下げていきます。本ページは効率の到達目標としてこの水準を扱い、これが事業者の競争条件をどう変えるかという規制の観点は脱炭素のページで扱います。

主要論点

なぜAIサーバーの高密度化が液冷を不可避にするのか?

生成AI向けサーバーは消費電力と発熱量が大きく、高発熱のラックでは空冷だけでは冷やしきれません

GPUを多数搭載するAIサーバーは1ラックあたりの発熱が従来より大きく、空気で冷やす方式では冷却能力が頭打ちになります。そこで、サーバーに冷却液を直接当てるDLCや、ラック背面の扉で冷やすリアドアといった液冷が選択肢になります。JEITAは高発熱ラックのうち液冷が2027年に53.3%を占めると予測し、富士キメラ総研は液冷関連製品の市場が2024年に前年比57.1%増と見込みます。AIの計算需要が冷却方式の転換を後押ししている構図です。なお、AIの計算需要とGPU高密度化そのものは生成AIの計算基盤データの加算参照として押さえています。

省エネ法のPUE基準は技術選択をどう促すのか?

省エネ法はPUEで効率の到達目標を示し、データセンターに効率改善を促します

対象事業者の平均PUEを2030年度に1.4以下、2029年度以降の新設データセンターは1.3以下(設計時は1.28以下が望ましい取組)という水準が示されています。この水準に近づけるには、外気冷却の活用、液冷の導入、サーバー配置や空調の最適化といった手段が必要になります。基準値が示されることで、冷却技術の選択が「より低いPUEを実現できるか」という観点で評価されるようになります。基準そのものが競争条件をどう変えるかは脱炭素のページで扱い、ここでは効率改善の技術的な到達点として押さえます。

空冷から液冷への移行で何が論点になるのか?

液冷は冷却能力で優れる一方、導入には設備と運用の変更が必要で、方式の選択が論点になります

液冷にはサーバーに冷却液を直接当てるDLCと、ラック背面で冷やすリアドアがあり、JEITAの2027年予測ではDLCが41.0%、リアドアが12.3%です。DLCは冷却能力が高い一方で配管や漏えい対策などの設備対応が要り、リアドアは既存ラックに後付けしやすい代わりに冷却能力に上限があります。新設か既設か、ラックの発熱量はどの程度か、といった条件で適した方式が変わります。すべてのラックが一律に液冷化するわけではなく、空冷と液冷の使い分けが現実的な論点です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、生成AI向けの高発熱ラックが増え、液冷の導入が進む局面です。JEITAは高発熱ラックのうち液冷が2027年に53.3%を占めると予測しており、DLCとリアドアの導入事例が積み上がります。

中期3-5年

2028-2030年は、省エネ法のPUE水準(対象事業者の平均を2030年度に1.4以下、新設は1.3以下)に向けて、冷却を含む効率改善が進む見通しです。新設データセンターは設計段階から低いPUEを織り込む設計が一般化していきます。

長期

2030年以降は、AIの計算需要が続く限り高密度化と液冷の比率がさらに高まる方向です。空冷と液冷の使い分けを前提に、効率の到達目標を満たす設計と運用が定着していく見通しです。

よくある質問

液冷はどこまで普及しますか?
JEITAの予測では、高発熱ラックのうち液冷(DLC+リアドア)が2027年に53.3%を占めるとされています。富士キメラ総研によると液冷関連製品の市場は2024年に前年比57.1%増の見込みです。ただしこれは高発熱ラックの中での比率で、すべてのラックが液冷化するという意味ではありません。
PUEとは何ですか?
PUE(電力使用効率)は、データセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値です。1.0に近いほど冷却などのオーバーヘッドが小さく効率が高いことを示します。省エネ法は対象事業者の平均PUEを2030年度に1.4以下とする水準を示しています。
省エネ法のPUE基準の中身は何ですか?
エネルギー庁のデータセンター業ガイドラインで、対象事業者の平均PUEを2030年度に1.4以下(加重平均)、2029年度以降の新設データセンターは稼働2年経過の翌年度以降に1.3以下、設計時は1.28以下を望ましい取組としています。
AIサーバーの発熱はなぜ問題になるのですか?
生成AI向けのGPUサーバーは消費電力と発熱量が大きく、1ラックあたりの発熱が従来より増えます。空冷だけでは冷却が追いつかない高発熱ラックが増えるため、DLCやリアドアといった液冷が必要になります。AIの計算需要とGPU高密度化そのものは生成AIの計算基盤データの加算参照として押さえています。
冷却・省エネの数値の出典は何ですか?
液冷関連製品市場は富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧2025年版」、高発熱ラックのDLC・リアドア・液冷計はJEITA「2024年版ITトレンド」(生成AI計算基盤データの加算参照、一次はJEITA)、PUE基準はエネルギー庁のデータセンター業ガイドラインです。いずれも原文に印字された値を用いています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧2025年版」液冷関連製品市場の前年比(2024年、出典原文の記載値)
  2. 2.
    JEITA「2024年版ITトレンド」高発熱ラックのDLC41.0%・リアドア12.3%・液冷計53.3%(2027予測、出典原文の記載値)。生成AI計算基盤データの加算参照、一次はJEITA
  3. 3.
    エネルギー庁 データセンター業ガイドライン省エネ法ベンチマーク 事業者平均PUE 1.4以下(2030年度)/ 新設DC 1.3以下(2029年度以降)/ 設計時1.28以下
データ出典
富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧2025年版」JEITA「2024年版ITトレンド」エネルギー庁 データセンター業ガイドライン
📄 資料DL💬 無料相談