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STAT DETAIL · POLICY & ECONOMIC SECURITY

半導体業界の政策・経済安全保障|特定重要物資16物資・予算2兆5,643億円と対外依存【2026年版】

半導体は経済安全保障推進法で特定重要物資に指定され、サプライチェーン強靱化の予算と認定計画で国内基盤の強化が進みます。一方、半導体等電子部品の輸出は台湾や中国などアジア向けに集中し、地政学リスクを抱えます。政策の枠組みと対外依存、各国政策の日本への影響を順に整理します。

特定重要物資
16物資
経済安全保障推進法、半導体を含む。2026年4月9日時点、内閣府
出典: 内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化 制度概要 (2026年4月9日時点)
サプライチェーン強靱化予算総額
25,643億円
約2.56兆円、2026年4月9日時点、内閣府
出典: 内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化 制度概要 (2026年4月9日時点)
半導体分野の認定計画
26
全分野145件のうち。生産基盤・原料供給基盤の強化
出典: 内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化 制度概要 (2026年4月9日時点)
台湾向け輸出2025
14,861億円
半導体等電子部品、相手国別で最大。アジア向けに集中
出典: 財務省 貿易統計 (半導体等電子部品、2025年、相手国別)

半導体等電子部品の相手国別輸出 (2025年、億円)

上位6相手国・地域。台湾・中国・香港などアジア向けに集中
単位: 億円6 カテゴリ・合計 53,276
03,7507,50011,25015,00014,861台湾13,345中国11,237香港5,916韓国4,520ベトナム3,397マレーシア
出典: 財務省 貿易統計 (半導体等電子部品、2025年、相手国別)
カテゴリ台湾中国香港韓国ベトナムマレーシア
値(億円14,86113,34511,2375,9164,5203,397
シェア27.9%25.0%21.1%11.1%8.5%6.4%
読み解き

半導体等電子部品の輸出は2025年に台湾向けが約14,861億円で最大、中国向けが約13,345億円、香港向けが約11,237億円と、上位はアジアに集中しています。韓国・ベトナム・マレーシアが続き、いずれもアジアの製造拠点向けです。 この集中は、半導体の組立や最終製品の製造がアジアに偏っている供給網の構造を反映しています。輸出が特定地域に偏ることは、地政学リスクや通商政策の変化に対する脆弱性につながります。なお、この輸出統計は財務省の貿易統計で、経済安全保障の予算や認定計画とは出所の異なる別の系列です。半導体市場規模を示すWSTSの製品分類とも集計の定義が異なるため、これらの数字は連結しません。

このグラフに関連するトピック

主要論点

経済安全保障は日本の半導体をどう強靱化するのか?

半導体は経済安全保障推進法で特定重要物資に指定され、全分野145件の認定計画のうち26件が半導体分野、予算の総額は2兆5,643億円です。いずれも2026年4月9日時点の内閣府の公表値で、国内の生産基盤と原料供給基盤の強化を国が支援します。

支援の対象は、従来型半導体の生産基盤、半導体製造装置や部素材、黄リン・ヘリウム・希ガス・蛍石といった半導体原料の供給基盤など多岐にわたります。先端ロジックの国産化だけでなく、製造装置・材料・原料という供給網の上流を含めて強靱化する設計です。

ただし認定や予算は枠組みであり、実際に供給網が強靱になるかは個々の計画の実行しだいです。特定重要物資の指定と予算措置が国内回帰を後押しする一方、対外依存の構造そのものが短期で解消するわけではありません。政策の枠組みと、依存の実態は分けて見る必要があります。

半導体の対外依存と地政学リスクはどこにあるのか?

半導体等電子部品の輸出は2025年に台湾向け約14,861億円、中国向け約13,345億円と、台湾・中国・香港などアジア向けに集中しています。これは供給網の重心がアジアにあることを示します。

輸出先がアジアに偏ることは、その地域の通商政策や地政学情勢の変化が、日本の半導体サプライチェーンに直接波及しうることを意味します。特定地域への集中は効率の裏返しでもあり、平時には合理的でも、有事には脆弱性となります。

経済安全保障の枠組みは、この依存構造を踏まえて国内基盤と原料供給を強化する狙いがあります。ただし輸出統計と経済安保の予算・認定は別の系列で、合算して評価するものではありません。依存の実態は輸出構成で、政策の対応は予算・認定で、それぞれ別に把握する必要があります。

米国CHIPS法や各国政策は日本にどう影響するのか?

米国のCHIPS法、欧州のChips Act、米国の輸出管理は、日本の半導体サプライチェーンと企業の事業判断に影響します。本ページは米中それぞれの政策の単独の深掘りはせず、日本への影響という観点で整理します。

各国が自国内の半導体製造を補助で誘致し、先端技術の輸出を管理する動きは、日本企業にとって調達先や生産委託先の選択、輸出管理対応の負担という形で表れます。どの国の拠点で作るか、どの顧客に売れるかが、各国政策の影響を受けます。

日本の経済安全保障の枠組みは、こうした各国政策が動く環境の中で、国内基盤を強化し供給網の選択肢を広げる狙いがあります。補助と特定重要物資の指定が国内回帰を後押しする一方、対外依存と地政学が下方リスクとして残ります。各国政策の影響は、日本の供給網と企業対応にどう及ぶかという軸で見る必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

2025-2026年は 経済安全保障の予算と認定計画が国内の生産基盤・原料供給の強化を後押しする局面 です。半導体は特定重要物資として支援対象で、認定計画の実行が進みます。一方、輸出のアジア集中という依存構造は短期では変わらず、地政学リスクは残ります。

中期3-5年

認定計画に基づく国内投資が実を結ぶか、各国の補助競争と輸出管理の中で日本の供給網の選択肢が広がるかが中期の焦点です。国内回帰の後押しと、対外依存の解消の速度の差が、経済安全保障の実効性を左右します。

長期

半導体の供給網が経済安全保障の観点で再編されるなかで、日本が国内基盤と原料供給をどこまで自律化できるかが長期の課題です。政策の枠組みは整いつつありますが、対外依存と地政学リスクは構造的で、解消には時間を要します。

よくある質問

半導体の経済安全保障補助とは何ですか?
経済安全保障推進法のサプライチェーン強靱化で半導体が特定重要物資に指定され、半導体分野の認定計画は全分野145件のうち26件、予算の総額は2兆5,643億円です。いずれも2026年4月9日時点の内閣府の公表値で、国内の生産基盤と原料供給基盤の強化を支援します。
特定重要物資とは何ですか?
経済安全保障推進法に基づき、供給途絶が国民生活や経済に大きな影響を与える物資として指定されるもので、全体で16物資が指定されています。半導体はその一つで、半導体製造装置や部素材、半導体原料も支援対象に含まれます。
半導体はどこに輸出されていますか?
半導体等電子部品の輸出は2025年に台湾向けが約14,861億円で最大、中国向け約13,345億円、香港向け約11,237億円と、台湾・中国・香港などアジア向けに集中しています。半導体の組立や最終製品の製造がアジアに偏る供給網の構造を反映しています。
半導体の地政学リスクとは何ですか?
輸出先がアジアに集中しているため、その地域の通商政策や地政学情勢の変化が日本の半導体サプライチェーンに直接波及しうる点がリスクです。特定地域への集中は効率の裏返しで、有事には脆弱性となります。経済安全保障の枠組みはこの依存を踏まえた国内基盤強化を狙います。
米国CHIPS法は日本にどう影響しますか?
米国のCHIPS法や欧州のChips Act、米国の輸出管理は、日本企業にとって調達先や生産委託先の選択、輸出管理対応の負担という形で影響します。本ページは米中の政策単独ではなく、日本の供給網と企業対応への影響という観点で整理しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化 制度概要2026年4月9日時点、特定重要物資16・半導体分野の認定26件 (全分野145件中)・予算2兆5,643億円
  2. 2.
    財務省 貿易統計半導体等電子部品 (概況品70323、HSベース) の相手国別輸出2025年。経済安保の予算・認定およびWSTS製品分類とは別系列
データ出典
内閣府 経済安全保障推進法 サプライチェーン強靱化 制度概要財務省 貿易統計
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