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国内上場6社のデータセンター事業|さくら・IIJ・ブロードバンドタワー・NTT・KDDI・ソフトバンクの業績と投資【2026年版】

データセンターを手がける国内上場の代表は、データセンターやAI基盤に集中投資するさくらインターネット・IIJと、総合通信の一事業として国内最大級の規模を持つNTT・KDDI・ソフトバンク、そしてIT基盤事業の中にデータセンターを抱えるブロードバンドタワーの6社です。各社の立ち位置と投資の厚みを踏まえると、日本の上場データセンター運営の輪郭が見えてきます。開示の濃淡があるため、6社は横並びにせず各社の区分に沿って読み解きます。

さくら設備投資2025
277億円
2025年3月期実績、GPU投資累計273億円・GPU基盤総投資計画1,130億円は基準が異なり合算しない
出典: さくらインターネット2025年3月期 決算説明資料
NTT受電容量
約2,000MW
データセンター総受電容量、国内最大級、2030年度3,000MW計画(全社連結のうちの参考値)
出典: NTT 2025年度 決算短信
IIJ白井DCC
約1,800ラック
白井データセンターキャンパス、PUE1.32、3期棟 約300億円見込
出典: IIJ 2025年3月期4Q連結業績説明会資料
KDDI DC売上
1,300億円
2025年3月期、管理会計上の数値(グループ会社を含む)
出典: KDDI 2025年3月期 決算詳細資料Data Book

国内上場6社のデータセンター事業

連結売上の規模、データセンター事業の規模感、開示の濃淡を社ごとに整理

6社はデータセンターとの距離が大きく異なります。さくらインターネットとIIJはデータセンターやクラウドが事業の中核で開示も厚く、NTT・KDDI・ソフトバンクは総合通信の一事業として国内最大級の規模を持つ一方、公表値は全社連結が中心です。ブロードバンドタワーはIT基盤事業の中でデータセンターをサービス区分として開示しています。一覧の数値はそれぞれ開示の区分が違うため、横並びの大小ではなく各社の文脈で読みます。

さくらインターネット(3778)
連結売上の規模
連結約314億円(2025年度)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
設備投資277億円・GPU投資累計273億円・GPU基盤計画1,130億円
開示の濃淡
データセンター・クラウドが中核で投資を細かく開示
IIJ(3774)
連結売上の規模
連結約3,168億円(2025年度)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
白井DCC約1,800ラック・PUE1.32・3期棟約300億円見込
開示の濃淡
ネットワーク事業も含むが白井データセンターの開示は厚い
ブロードバンドタワー(3776)
連結売上の規模
連結約153億円(2025年度)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
データセンター売上(サービス区分)約48億円
開示の濃淡
IT基盤事業の中のサービス区分、連結はデータセンター単体ではない
NTT(9432)
連結売上の規模
連結約13.7兆円(2025年度・全社)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
データセンター総受電容量約2,000MW(国内最大級・参考値)
開示の濃淡
通信大手の一部門、データセンター単体は受電容量等で限定開示
KDDI(9433)
連結売上の規模
連結約5.9兆円(2025年度・全社)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
データセンター売上約1,300億円(管理会計)
開示の濃淡
通信大手の一部門、管理会計でデータセンター売上を開示
ソフトバンク(9434)
連結売上の規模
連結約3.5兆円(2025年度・全社)
データセンター事業の規模感(注目KPI)
堺AIデータセンター約150MW・AI計算基盤投資約1,500億円
開示の濃淡
通信大手の一部門、AIデータセンター投資を開示

さくらインターネット — データセンター・クラウドが中核、投資局面

さくらインターネットは、データセンターとクラウドが事業の中核で、投資の動きを細かく開示しています。連結売上は2019年度の195億円から2022年度200億円、2025年度は314億円へ伸び、2025年度のROEは15%でした。生成AI向けGPUクラウドの需要を背景に投資局面に入っています。

データセンター関連では、2025年3月期の設備投資が277億円(実績)、GPU投資の累計が273億円(〜2025年3月期の累計)、石狩データセンターを中心としたGPU基盤の総投資計画が1,130億円(計画)です。これら3つは実績・累計・計画と基準が異なるため、合算したり相互に比較したりはできません。あわせて石狩データセンターにNVIDIA B200を1,072基設置する予定、2026年3月期のデータセンター投資計画は107億円が示されています。

IIJ — ネットワークとクラウド、白井データセンターを軸に拡大

IIJは、ネットワークとクラウドが主力で、その中で白井データセンターキャンパスを成長の軸に据えています。連結売上は2019年度の1,924億円から2022年度2,263億円、2025年度は3,168億円へ堅調に拡大し、2025年度のROEは15%でした。連結にはネットワーク事業も含むため、データセンター単体の規模とは一致しません。

白井データセンターキャンパスは約1,800ラック規模で、PUE(電力使用効率、1.0に近いほど効率が高い指標)は1.32と開示されています。さらに3期棟の投資額は約300億円の見込みで、建築面積や稼働時期とあわせて計画が示されています。データセンターの開示が比較的厚い上場勢です。

ブロードバンドタワー — IT基盤事業の中のサービス区分

ブロードバンドタワーは、IT基盤事業を主とする中小規模の上場勢で、データセンターはその中のサービス区分として開示されています。連結売上は2025年度で約153億円ですが、これはコンピュータプラットフォーム事業を中心とした全社の数値で、データセンター単体ではありません。

データセンター売上(サービス区分)は2025年12月期で約48億円、2024年12月期は約51億円です。データセンターは独立した報告セグメントではなく、データセンター単体の営業利益は開示されていません。決算説明会ではラック数や回線容量にも触れられますが、出典の精度に留意が必要な参考情報の位置づけです。

NTT — 通信大手の一部門、受電容量で国内最大級

NTTは、総合通信の一事業としてデータセンターを展開しています。連結売上は2025年度で約13.7兆円ですが全社ベースで、データセンターはその一部にあたります。データセンターは独立した報告セグメントとして開示されておらず、受電容量などで規模が示されます。

データセンターの総受電容量は約2,000MWで国内最大級、2030年度に3,000MWへ拡大する計画です(いずれも全社連結のうちの参考値)。なお2025年度の決算短信には、データセンター資産の売却益として約1,295億円が計上されています。これは資産売却に伴う一過性の利益であり、データセンター事業の継続的な収益力を示すものではありません。統合報告書では拠点数なども開示されますが、出典の桁精度に留意が必要な参考値です。

KDDI — 通信大手の一部門、管理会計でデータセンター売上を開示

KDDIは、総合通信の一事業としてデータセンターを展開しています。連結売上は2025年度で約5.9兆円ですが全社ベースで、データセンターはその一部です。データセンター売上は管理会計上の数値として開示されています。

データセンター売上(管理会計)は2024年3月期が約1,210億円、2025年3月期が約1,300億円です。これはIoT関連サービスやデジタルBPOと同じく管理会計上の区分で、グループ会社を含む数値です。データセンター拠点数や延床面積などは投資家向けの一次資料には開示されていません。

ソフトバンク — 通信大手の一部門、AIデータセンター投資

ソフトバンクは、総合通信の一事業としてデータセンターを展開し、近年は生成AI向けの計算基盤投資を開示しています。連結売上は2025年度で約3.5兆円ですが全社ベースで、データセンターはその一部です。

堺のAIデータセンターは受電容量が約150MWで、2026年中の稼働を目指す計画です。AI計算基盤への投資は約1,500億円が示されています。2025年3月期の連結設備投資は9,128億円で、AI計算基盤やAIデータセンター関連を含み増加しました。これは全社連結の設備投資で、データセンター固有の金額ではありません。

データセンター比重の高い上場勢の連結売上高(億円)

さくらインターネットとIIJの連結売上の絶対額。他4社は連結とデータセンターの距離が大きく非掲載
さくらインターネット(3778)
データセンター・GPUクラウドが中核(石狩DC)
2019年度
195
2022年度
200
2025年度
314
IIJ(3774)
ネットワーク・クラウド、白井DCを軸に拡大
2019年度
1,924
2022年度
2,263
2025年度
3,168
読み解き

さくらインターネットとIIJは、データセンターやクラウドが事業の中核のため、連結売上がデータセンター比重の高い上場勢の規模感をよく表します。さくらインターネットは2019年度の195億円から2025年度314億円へ、IIJは1,924億円から3,168億円へ拡大しました。いずれも連結売上であり、データセンター単体の売上ではない点には留意が必要です。 ブロードバンドタワーは連結がIT基盤事業中心で、データセンターはサービス区分の約48億円にとどまるため、連結売上を並べると実態を誤って読みやすく、本表には含めていません。NTT・KDDI・ソフトバンクは全社連結が兆円規模でデータセンターは一部のため、桁が大きく異なり同じ表では誤読を招くことから除いています。これら4社のデータセンター関連の実態は前節の各社の項を参照してください。

主要論点

日本の上場勢はAIデータセンターでどう動いているのか?

データセンター比重の高い上場勢は、生成AI向けの計算基盤に投資を集中させる局面に入っています。さくらインターネットとIIJの開示から、その動きが具体的に読み取れます。

さくらインターネットは石狩データセンターを軸にGPU基盤への投資を進め、2025年3月期の設備投資は277億円(実績)、GPU投資の累計は273億円、GPU基盤の総投資計画は1,130億円(計画)と、規模の異なる複数の数値で投資の段階を示しています。IIJは白井データセンターキャンパスを約1,800ラック規模・PUE1.32で運用し、3期棟へ約300億円を投じる計画です。連結売上もさくらインターネットが2025年度314億円、IIJが3,168億円へ伸び、投資局面が業績に表れています。

通信大手3社にとってデータセンターはどんな位置づけか?

NTT・KDDI・ソフトバンクにとってデータセンターは、総合通信の中の一事業でありながら、規模では国内最大級です。連結売上は全社ベースで兆円規模のため、データセンター単体の規模を連結値から読み取ることはできません。

3社はネットワークと一体でデータセンターを展開する点が共通します。NTTはデータセンターの受電容量で国内最大級の規模を持ち拡大計画を掲げ、KDDIは管理会計でデータセンター売上を区分開示し、ソフトバンクは堺のAIデータセンターを整備して生成AI向けの計算基盤に投資しています。データセンターは通信インフラの延長として位置づけられ、AIの計算需要が3社の投資を後押ししています。ここでは規模の異なる数値を混ぜず、各社の開示の区分に沿って事実を押さえます。

6社の数値はどう読めばよいのか?

6社は開示の区分が社ごとに違うため、横並びの大小では比較できません。各社の区分に沿って読むのが正しい見方です

さくらインターネットとIIJは連結が事業規模に近い一方、NTT・KDDI・ソフトバンクは全社連結でデータセンターは一部、ブロードバンドタワーはサービス区分での開示です。同じ「売上」でも指す範囲が異なります。さらにさくらインターネットの設備投資277億円(実績)、GPU投資累計273億円、GPU基盤計画1,130億円のように、同じ会社の中でも実績・累計・計画と基準が違う数値は、合算したり相互に比較したりできません。NTTのデータセンター資産売却益も一過性の利益で、継続的な収益力とは別に見る必要があります。本ページの6社はEDINETで連結財務をたどれる国内上場のデータセンター関連事業者で、非上場の専業や外資ハイパースケーラーは事業者構造とハイパースケーラー投資のページで扱います。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、データセンター比重の高い上場勢の投資が拠点稼働へ移る局面です。さくらインターネットは石狩データセンターのGPU基盤投資を継続し、IIJは白井データセンターキャンパス3期棟の建設を進めます。ソフトバンクは堺のAIデータセンターの2026年中稼働を目指し、生成AI向けの計算基盤が立ち上がります。

中期3-5年

2028-2030年は、NTTがデータセンターの受電容量を2030年度に3,000MWへ拡大する計画を掲げるなど、通信大手の大規模投資が進む見通しです。さくらインターネットやIIJの投資局面が業績にどう表れるかが、上場勢のデータセンター事業の成長を測る目安となります。

長期

2030年以降は、生成AIの計算需要を背景に、上場勢のデータセンター投資が事業の柱として定着していく段階に入ります。各社の開示の区分は引き続き異なるため、連結・管理会計・サービス区分の違いを踏まえて業績を追うことが必要です。

よくある質問

どの上場企業のデータセンター事業が大きいですか?
規模では総合通信のNTT・KDDI・ソフトバンクが国内最大級で、NTTはデータセンターの総受電容量が約2,000MWと国内最大級です。ただし3社の連結売上は全社ベースでデータセンターは一部です。データセンターが事業の中核という意味ではさくらインターネット(連結約314億円)とIIJ(連結約3,168億円)が代表で、開示も厚い上場勢です。
さくらインターネットのAI関連投資は何を意味しますか?
生成AI向けのGPUクラウド需要に対応するための投資局面入りを示します。2025年3月期の設備投資は277億円(実績)、GPU投資の累計は273億円、石狩データセンターを軸としたGPU基盤の総投資計画は1,130億円(計画)です。これらは実績・累計・計画と基準が異なるため合算はできませんが、いずれも生成AI向け基盤への集中投資を表しています。
6社のデータセンターの開示はなぜ揃っていないのですか?
各社で事業構造と開示の区分が違うためです。さくらインターネットとIIJはデータセンターやクラウドが中核で関連投資を細かく開示します。NTT・KDDI・ソフトバンクは総合通信の一事業のため連結は全社ベースで、データセンターは受電容量や管理会計上の区分などで部分的に開示されます。ブロードバンドタワーはIT基盤事業の中のサービス区分として開示します。横並びの比較ではなく各社の区分に沿って読む必要があります。
NTTのデータセンター資産売却益は、データセンターが儲かっている証拠ですか?
いいえ。2025年度の決算短信に計上されたデータセンター資産の売却益(約1,295億円)は、資産を売却したことに伴う一過性の利益です。データセンター事業を継続して運営することで得られる収益力を示すものではありません。継続的な事業の状況とは切り離して見る必要があります。
国内上場事業者の業績の数値の出典は何ですか?
連結財務はEDINET(金融庁)の有価証券報告書(さくらインターネット3778・IIJ3774・ブロードバンドタワー3776・NTT9432・KDDI9433・ソフトバンク9434、FY2019-2025)が出典です。データセンター固有のKPIは各社の決算短信・決算説明資料・有価証券報告書を実体取得し、印字された数値を確認して用いています。出典の精度に留意が必要なものは本文中でその旨を示しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(金融庁)有価証券報告書さくらインターネット3778・IIJ3774・ブロードバンドタワー3776・NTT9432・KDDI9433・ソフトバンク9434連結(FY2019-2025)
  2. 2.
    各社IR一次資料(決算短信・決算説明資料・有価証券報告書・Data Book)さくら2025年3月期決算説明資料 / IIJ2025年3月期4Q説明会 / BBタワー2025年12月期決算短信 / NTT2025年度決算短信 / KDDI2025年3月期Data Book / ソフトバンク2025年3月期決算短信(実体取得・印字値確認)
データ出典
EDINET(金融庁)有価証券報告書各社IR一次資料(決算短信・決算説明資料・有価証券報告書・Data Book)
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