FATF 第 5 次審査 (2030 年前後想定) で日本はどう評価されるか?
FATF 第 4 次対日相互審査 (2021年8月公表) で日本は重点フォローアップ国に分類されました。主要指摘事項は3点で、①リスクベース・アプローチの実装が不十分な金融機関の存在、②法人実質的支配者の把握精度の課題、③制裁対象者リストの活用と取引拒否運用の精度、です。これを受けて金融庁は AML/CFTガイドラインの本格運用と検査強化を進めており、業界全体の管理態勢が継続的に向上しています。
第5次審査に向けた3つの注目点は、①新興金融サービス (暗号資産取引・BNPL・国際送金事業者等) を含む包括的なリスク評価、②AIモデル活用による誤検知削減の実効性、③金融犯罪対策プラットフォームの整備状況、です。日本のメガバンク3グループは国際的なAML体制を持つ一方、地域金融機関のリソース不足が業界共通の課題で、共同センター方式や JAバンクの統合的対応が中期論点となります。
業界戦略への示唆: 銀行業はAML/CFTを「規律遵守コスト」から「顧客信頼の基盤」へ位置づけ直す動きが進行中。3メガバンクグループは AML/CFT 体制を海外進出時の競争力源泉として活用、地域金融機関は地銀協・第二地銀協・全信協を通じた共同化で対応コストを抑制する戦略が中期の方向感です。