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銀行カードローン|残高の推移と消費者金融との違い【2026年版】

銀行カードローンは、銀行が個人向けに無担保で貸し出すローンです。残高は2026年3月末で3.70兆円、2018年のピーク(44,361億円)から2017年の自主規制を経て2023年の35,160億円まで減少した後、緩やかに回復しています。消費者金融(貸金業)の無担保ローンと並ぶ規模ですが、銀行法に基づくため総量規制の対象外という違いがあります。本ページでは、残高の推移・業態別の内訳と、消費者金融との制度の境界、隣接市場との競合を整理します。

銀行カードローン残高の推移(2017-2026年、兆円)

2018年の44,361億円をピークに、2017年の自主規制を経て2023年の35,160億円まで減少し、2026年3月末は3.70兆円へ回復。各年3月末(2017年のみ9月末)
単位: 兆円
0.001.252.503.755.004.42174.44184.31194.16203.73213.56223.52233.55243.61253.7026
出典: 全国銀行協会 銀行カードローン等残高(各年3月末、2017年のみ9月末)
2017201820192020202120222023202420252026
銀行カードローン残高兆円4.424.444.314.163.733.563.523.553.613.70
前年比+0.4%-2.9%-3.5%-10.2%-4.7%-1.1%+1.1%+1.7%+2.4%
読み解き

銀行カードローン残高は、2018年3月末の44,361億円をピークに、2023年3月末の35,160億円まで約20.7%減少しました。背景には、2017年の自主規制があります。2010年代前半に銀行カードローンが急拡大し、貸金業の総量規制の対象外であることを利用した過剰貸付との批判が高まったため、銀行業界が自主的に審査を厳格化しました。

その後、残高は2023年を底に持ち直し、2026年3月末は3.70兆円(37,003億円、前年から+878億円)まで回復しています。消費者金融専業の無担保ローン残高(3.04兆円)と並ぶ規模で推移しており、両者は同じ小口の無担保資金需要をめぐる競合と補完の関係にあります。

銀行カードローン残高の業態別内訳(2026年3月末、億円)

全国銀行107行の合計を、都市銀行等・地方銀行・第二地方銀行に分けた内訳
項目残高(億円)構成比シェア
都市銀行等19,78553.5%
地方銀行14,83340.1%
第二地方銀行2,3836.4%
銀行カードローン残高(業態別の合計)37,001100.0%
読み解き

銀行カードローンの残高は、都市銀行等が約53.5%(19,785億円)と過半を占めます。ここでいう都市銀行等には、都市銀行に加えて信託銀行・SBI新生銀行・あおぞら銀行が含まれます。次いで地方銀行が14,833億円、第二地方銀行が2,383億円です。

業態別の内訳の合計は37,001億円で、全国銀行の合計37,003億円とは四捨五入により数億円の差があります。全国の銀行が幅広くカードローンを手がけており、地方銀行も地域の個人向け与信の一角として一定の残高を持っています。

消費者金融との制度の違い

銀行法ベースゆえ総量規制の対象外

銀行カードローンと消費者金融の最大の違いは、よって立つ法律です。銀行カードローンは銀行法に基づいて提供されるため、貸金業法に基づく総量規制(借入を年収の3分の1までに制限する仕組み)の対象外です。一方、消費者金融(貸金業者)からの借入は総量規制の対象で、年収の3分の1までに制限されます。同じ無担保のカードローンでも、提供する主体が銀行か貸金業者かで、適用されるルールが異なります。

消費者金融の無担保ローンと並ぶ規模・別制度

規模で見ると、銀行カードローン残高(3.70兆円)は、消費者金融専業の無担保ローン残高(3.04兆円)と並ぶ大きさです。両者はともに個人向けの無担保ローン残高ですが、よって立つ制度が異なるため、別々に集計される別の市場です。銀行カードローンは、貸金業者の貸付には含まれません。借り手から見れば、銀行と消費者金融の双方が、同じ無担保の資金需要に対して別々の窓口を提供している構図です。

2017年の自主規制が残高を動かした

銀行カードローンは、総量規制の対象外であることから、2010年代前半に急速に拡大しました。しかし、返済能力を超えた過剰な貸付が広がっているとの批判が高まり、2017年に銀行業界が自主的に審査を厳格化しました。これを境に残高は減少に転じ、2023年の底(35,160億円)まで縮小しました。制度上は総量規制の対象外でも、自主規制によって実質的に貸付の伸びに歯止めがかかった形です。近年は審査を保ちつつ、残高は緩やかに持ち直しています。

隣接市場との競合 — クレジットと後払い

クレジットカードのキャッシングと隣接

消費者の小口資金需要をめぐっては、銀行カードローンと消費者金融のほかに、クレジットカードのキャッシング(カードを使った現金の借入)が隣接します。クレジットカード市場は、ショッピング(後払いでの買い物)の信用供与額(1年間に使われた利用額)が年間で134.6兆円、残高(ある時点で残っている額)が23.1兆円(いずれも2025年)と大きな市場です。これは買い物の利用が中心で、現金を借りる無担保ローンの残高とは別の指標です。ただし、これは割賦販売法に基づく市場で、無担保ローンとは別の制度です。無担保ローンと直接競合するのは、このうち現金を借りるキャッシングの部分です。

後払い(BNPL)の台頭と複数チャネルの並存

さらに近年は、商品の購入時に代金を後払いにできる後払い(BNPL)が広がっています。少額・短期の与信を、審査の手軽さを武器に取り込んでおり、若年層を中心に利用が増えています。こうして、銀行カードローン・消費者金融・クレジットのキャッシング・後払いという、制度の異なる複数のチャネルが、同じ小口の資金需要をめぐって並存しています。それぞれが金利・利便性・審査のスピードで特徴を競い合う構図です。

主要論点

なぜ銀行カードローンは総量規制の対象外なのか?

銀行カードローンが総量規制の対象外なのは、よって立つ法律が違うためです。総量規制は貸金業法に基づく制度で、対象は貸金業者(消費者金融・信販など)です。銀行は銀行法に基づいて営業しているため、貸金業法の総量規制の直接の対象にはなりません。

この違いから、消費者金融に総量規制が導入された2010年以降、年収の3分の1という枠に縛られない銀行カードローンが、借入の受け皿として拡大しました。2010年代前半の急拡大は、この制度の差が一因です。

ただし、制度上の対象外がそのまま野放しを意味したわけではありません。過剰貸付への批判を受けて、2017年に銀行業界が自主的に審査を厳格化しました。法律による総量規制ではなく、自主規制という形で貸付に歯止めをかけたのが、銀行カードローンの特徴です。

2017年の自主規制で何が変わったのか?

2010年代前半、銀行カードローンは総量規制の対象外であることを背景に急拡大しました。これに対し、返済能力を超えた貸付が多重債務を生んでいるとの批判が高まり、2017年に銀行業界が自主的に審査の厳格化に踏み切りました。

具体的には、年収に対する貸付額の上限の目安を設けたり、消費者金融などの保証会社(銀行に代わって審査・保証を担う会社)を通じた審査を慎重にしたりする動きが広がりました。この結果、銀行カードローン残高はピークの44,361億円(2018年3月末)から、2023年3月末の35,160億円まで約20.7%減少しました。

自主規制は、法律による強制ではないものの、実質的に貸付の伸びを抑える効果を持ちました。近年は審査の水準を保ちながら残高が緩やかに持ち直しており、急拡大期とは異なる、抑制的な運用が定着しています。

消費者金融・後払いとどう競合・棲み分けるのか?

消費者の小口の資金需要をめぐっては、制度の異なる複数のチャネルが並存しています。銀行カードローン(3.70兆円)と消費者金融専業の無担保ローン(3.04兆円)は、ともに無担保のカードローンとして近い規模で競合します。違いは、総量規制の対象かどうか、金利水準、審査のスピードなどです。

これに、クレジットカードのキャッシングや、新興の後払い(BNPL)が加わります。後払いは、商品の購入時に少額・短期の与信を手軽に提供する点で、従来のカードローンとは異なる需要を取り込んでいます。

棲み分けの軸は、金利・利便性・審査のスピード・利用シーンです。銀行カードローンは比較的低い金利、消費者金融は審査の速さとスマートフォン完結の利便性、後払いは買い物に組み込まれた手軽さを強みとします。制度の異なるサービスが、それぞれの強みで同じ需要を分け合う構図が続いています。

中期見通し

近未来1-2年

銀行カードローンは、自主規制を保ちながらの緩やかな回復が続くとみられます。2023年を底に残高は持ち直していますが、急拡大期のような伸びは見込みにくく、抑制的な運用が定着しています。消費者金融とのあいだでは、金利と審査スピードを軸にした顧客の取り合いが続きます。

中期3-5年

中期では、後払い(BNPL)など新しい与信との競合が強まる見通しです。少額・短期の資金需要が後払いに流れる一方、まとまった金額の借入はカードローンが担うという棲み分けが進む可能性があります。銀行と消費者金融の双方が、デジタルでの利便性向上で対抗します。

長期

長期では、制度の異なる与信チャネルの境界が論点として残ります。総量規制の対象内外の差や、後払いなど新興サービスの規制のあり方が、各チャネルの競争条件を左右します。借り手の保護と利便性のバランスのなかで、銀行カードローンの位置づけが問われ続けます。

よくある質問

銀行カードローンと消費者金融は何が違いますか?
よって立つ法律が異なります。銀行カードローンは銀行法に基づくため、貸金業法の総量規制(借入を年収の3分の1までに制限する仕組み)の直接の対象ではありません。一方、消費者金融(貸金業者)からの借入は総量規制の対象です。残高は銀行カードローンが3.70兆円、消費者金融専業の無担保ローンが3.04兆円と並ぶ規模ですが、別の制度に基づく別々の市場です。
銀行カードローンの残高はなぜ減って、また回復したのですか?
2010年代前半に総量規制の対象外であることを背景に急拡大しましたが、過剰貸付への批判を受けて2017年に銀行業界が自主的に審査を厳格化しました。これを境に残高はピークの44,361億円(2018年3月末)から2023年3月末の35,160億円まで約20.7%減少しました。その後は審査を保ちながら緩やかに持ち直し、2026年3月末は3.70兆円です。
銀行カードローンは総量規制の対象ですか?
対象ではありません。総量規制は貸金業法に基づく制度で、対象は貸金業者(消費者金融・信販など)です。銀行は銀行法に基づくため、貸金業法の総量規制の直接の対象になりません。ただし、過剰貸付への批判を受けて、2017年以降は銀行業界が自主的に審査を厳格化しており、制度上の対象外でも貸付の伸びには歯止めがかかっています。
どの銀行が銀行カードローンを多く手がけていますか?
2026年3月末では、都市銀行等(都市銀行に加え信託銀行・SBI新生銀行・あおぞら銀行を含む)が残高の約53.5%(19,785億円)と過半を占めます。次いで地方銀行が14,833億円、第二地方銀行が2,383億円です。全国の銀行(107行)が幅広く手がけており、地方銀行も地域の個人向け与信の一角を担っています。
後払い(BNPL)と銀行カードローンはどう違いますか?
後払い(BNPL)は、商品の購入時に代金を後払いにできるサービスで、少額・短期の与信を手軽に提供します。銀行カードローンは、用途を問わずまとまった金額を借りられる無担保ローンです。後払いは買い物に組み込まれた手軽さ、銀行カードローンは比較的低い金利とまとまった借入が特徴で、利用シーンが異なります。同じ小口の資金需要をめぐって、制度の異なる複数のサービスが並存しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    全国銀行協会 銀行カードローン等・アパートローン残高(確報)
  2. 2.
    日本クレジット協会 クレジット関連統計(市場規模統計)
  3. 3.
    金融庁 貸金業関係統計資料
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