なぜ多重債務はふたたび増えているのか?
多重債務は、かつて消費者金融の急拡大とともに深刻化し、2010年の規制(借入を年収の3分の1までに制限する仕組みなど)を経て大きく抑えられました。しかし近年、ふたたび増加に転じています。3件以上の無担保借入を抱える人は、2024年3月末の144.7万人から2026年3月末の159.8万人へと増えました。
最大の背景は物価高です。食料品や光熱費の値上がりで家計が圧迫され、生活資金を借入でまかなう動きが広がっています。借入が複数に膨らみ、返済のために借入を重ねると、多重債務に陥りやすくなります。
借入の手段が多様になっていることも一因です。消費者金融や銀行カードローンに加え、クレジットカードのキャッシングや後払い(BNPL、商品を先に受け取り代金を後で支払う仕組み)など、少額の与信(お金を貸すこと)を手軽に受けられる手段が増え、借入の全体像が本人にも見えにくくなっています。複数の手段にまたがる借入をどう把握し、過剰な債務を防ぐかが論点です。