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多重債務者数の動向|借入3件以上159.8万人と借り手を守る仕組み【2026年版】

多重債務とは、複数の貸金業者から借り入れ、返済が重なって苦しくなる状態です。3件以上の無担保借入を抱える人は2026年3月末で約159.8万人(貸金業全体、消費者金融に限らない)で、2024年3月末の144.7万人から増えています。国民生活センターへの相談も24,538件(2024年)へ増加しました。本ページでは、多重債務の現状を借入件数別の分布で示し、再び増えている背景と、債務整理・相談窓口・信用情報による借入の把握といった借り手を守る仕組みを整理します。

無担保借入の件数別 借入人数(2026年3月末、万人)

借入のある人を、抱える借入の件数(1件〜5件以上)で分けた人数。大半は1件で、3件以上が多重債務の目安
単位: 万人5 カテゴリ・合計 1,096
02004006008006861件2512件1043件39.94件16.25件以上
出典: JICC(日本信用情報機構)残高がある債務者の借入件数別の登録状況(2026年3月末)
カテゴリ1件2件3件4件5件以上
借入人数万人685.80250.60103.7039.9016.20
シェア62.6%22.9%9.5%3.6%1.5%
読み解き

無担保の借入がある人を借入の件数別に見ると、1件のみが約62.6%(685.8万人)と大半を占めます。件数が増えるほど人数は減り、5件以上は16.2万人です。多重債務の目安とされる3件以上は約159.8万人(借入のある人の約14.6%)で、これが返済の重なりに直面しやすい層です。

3件以上の借入を抱える人は、2024年3月末の144.7万人から2026年3月末の159.8万人へと、近年は増加の傾向にあります。なお、この人数はJICCに加盟する貸金業全体の無担保無保証借入が対象で、消費者金融だけに限られた数字ではありません。

無担保借入の件数別 残高(2026年3月末、億円)

借入のある人が抱える残高を、借入の件数別に分けた内訳。多くの件数を抱える層ほど残高も大きい
項目残高(億円)構成比シェア
1件45,05048.5%
2件24,95126.8%
3件13,07314.1%
4件6,0616.5%
5件以上3,8204.1%
無担保無保証借入の残高(件数別の合計)92,955100.0%
読み解き

借入のある人が抱える残高は、件数別に見ると多重債務の層に偏っています。3件以上を抱える人の残高は合計22,954億円で、残高全体の約24.7%を占めます。3件以上の人は借入のある人の約14.6%でしたから、人数の割合(14.6%)より残高の割合(24.7%)が大きく、多くの件数を抱える人ほど1人あたりの残高も重いことがわかります。

この残高の合計92,955億円(9.30兆円)は、JICCに加盟する貸金業全体の無担保無保証借入が対象です。消費者金融専業の無担保ローン残高(3.04兆円)とは集計の対象範囲が異なる別の数字で、足し合わせるものではありません。

多重債務はなぜ再び増えているのか

規制で抑えられた後、近年ふたたび増加

多重債務は、かつて消費者金融の急拡大とともに深刻な社会問題でした。2010年に導入された、借入を年収の3分の1までに制限する仕組み(総量規制)などの規制を経て、いったんは大きく抑えられました。しかし近年、ふたたび増加に転じています。3件以上の無担保借入を抱える人は、2024年3月末の144.7万人から2026年3月末の159.8万人へと増えました。

相談件数も増加している

国民生活センターに寄せられる多重債務の相談も増えています。相談件数は2022年の21,447件から、2024年には24,538件へと増加しました。なお、この相談件数は消費者金融に限らず、クレジットや各種ローンを含む多重債務全般に関する相談です。借入の手段が多様になるなかで、複数の借入が重なって返済に困る人が再び増えていることを示しています。

物価高と生活資金の借入

増加の背景には、物価高があります。食料品や光熱費などの値上がりで家計が圧迫され、生活資金を借入でまかなう動きが広がっています。借入が複数に膨らみ、返済のために別の借入を重ねると、多重債務に陥りやすくなります。景気や物価の動向が、多重債務の増減に影響する構図です。

借り手を守る仕組み

信用情報で複数社の借入を合算して把握

借りすぎを未然に防ぐ柱が、信用情報による借入状況の把握です。貸金業者は、新たに貸し付ける前に、その人が他社からどれだけ借りているかを信用情報(各社の借入情報を集めて共有する仕組み)で確認します。これにより、複数の貸金業者からの借入を合算して、年収の3分の1までに収まっているかを判定できます。1社だけでは見えない借入全体を業界横断で把握することが、多重債務を防ぐ前提になっています。

債務整理 — 任意整理・個人再生・自己破産

すでに返済が難しくなった人を救う仕組みが、債務整理です。大きく3つの方法があります。第一が任意整理で、貸し手と交渉して将来の利息の免除や返済額の見直しを図る方法です。第二が個人再生で、裁判所の手続きを通じて借金を大幅に減らし、原則3〜5年で返済する方法です。第三が自己破産で、裁判所が返済できない状態と認めれば、原則として借金の支払い義務が免除されます。状況に応じて、これらの方法で生活の立て直しを図ります。

相談窓口とおまとめローン

多重債務に陥ったとき、まず頼れるのが公的な相談窓口です。国民生活センターや消費生活センター、法的な支援を行う法テラス、貸金業の相談を受ける窓口などが、無料で相談に応じています。また、複数の借入を1本にまとめて返済の負担を軽くするおまとめローンは、借り手に有利になる一定の条件のもとで、年収の3分の1までの制限の例外として認められています。借り手を守る複数の仕組みが、入口の予防から出口の救済まで設けられています。

主要論点

なぜ多重債務はふたたび増えているのか?

多重債務は、かつて消費者金融の急拡大とともに深刻化し、2010年の規制(借入を年収の3分の1までに制限する仕組みなど)を経て大きく抑えられました。しかし近年、ふたたび増加に転じています。3件以上の無担保借入を抱える人は、2024年3月末の144.7万人から2026年3月末の159.8万人へと増えました。

最大の背景は物価高です。食料品や光熱費の値上がりで家計が圧迫され、生活資金を借入でまかなう動きが広がっています。借入が複数に膨らみ、返済のために借入を重ねると、多重債務に陥りやすくなります。

借入の手段が多様になっていることも一因です。消費者金融や銀行カードローンに加え、クレジットカードのキャッシングや後払い(BNPL、商品を先に受け取り代金を後で支払う仕組み)など、少額の与信(お金を貸すこと)を手軽に受けられる手段が増え、借入の全体像が本人にも見えにくくなっています。複数の手段にまたがる借入をどう把握し、過剰な債務を防ぐかが論点です。

多重債務に陥ったとき、どんな救済の道があるのか?

多重債務に陥っても、生活を立て直す道は用意されています。まず頼れるのが、国民生活センターや法テラス、貸金業の相談窓口などの公的な相談窓口で、無料で相談に応じています。ひとりで抱え込まず早めに相談することが、立て直しの第一歩です。

返済が難しい場合は、債務整理という法的な手段があります。貸し手と交渉して利息や返済額を見直す任意整理、裁判所を通じて借金を大幅に減らす個人再生、支払い義務の免除を受ける自己破産の3つが代表的です。状況に応じて使い分けます。

債務整理を行うと、一定期間は新たな借入が難しくなるなどの影響もあります。それでも、返済不能のまま放置するより、適切な手続きで生活を立て直すほうが本人にとって有利です。救済の仕組みを知っているかどうかが、その後を大きく左右します。

借り手の保護と、必要な資金へのアクセスをどう両立するか?

借入を年収の3分の1までに制限する仕組みは、返済能力を超えた貸付による多重債務を防ぐ保護の仕組みです。複数の貸金業者からの借入を信用情報で合算して判定することで、借りすぎに歯止めをかけています。多重債務がいったん大きく抑えられたのは、この枠組みの効果でした。

一方で、保護を重視するほど、必要な資金を借りにくくなる人も出てきます。収入の少ない人や急な出費が必要な人が正規の貸し手から借りられないと、違法なヤミ金融など、より危険な借入に向かうリスクが指摘されてきました。

論点は、借り手を過剰な債務から守ることと、必要な人が安全に資金へアクセスできることの両立です。信用情報や審査の精度を高めて、返済できる範囲の貸付を見極める取り組みが、両立のカギになります。

中期見通し

近未来1-2年

物価高が続くあいだは、生活資金の借入を背景に多重債務の相談は高止まりする可能性があります。3件以上の借入を抱える人の増加が続くかどうかが、当面の焦点です。貸し手の側では、信用情報を使った返済能力の確認を、これまで以上に丁寧に行う動きが続くとみられます。

中期3-5年

中期では、後払い(BNPL)など新しい与信での借入の把握が課題になります。少額・短期の借入が複数の手段にまたがると、本人も借入の全体像をつかみにくくなります。これらをどう信用情報に取り込み、過剰な債務を防ぐかが、多重債務対策の新たな論点として浮上します。

長期

長期では、借り手の保護と金融包摂のバランスが問われ続けます。金融包摂とは、必要な人が金融サービスを利用できることを指します。過剰な債務を防ぐ一方で、必要な人が安全に資金へアクセスできる環境をどう整えるかが課題です。AIを使った返済能力の評価など、与信の精度を高める技術が、多重債務の予防にどう生かされるかが、長期の方向性を左右します。

よくある質問

多重債務とは何ですか?
多重債務とは、複数の貸金業者などから借り入れた結果、返済が重なって生活が苦しくなる状態を指します。一般には、3件以上の無担保借入を抱える状態が一つの目安とされます。3件以上の借入を抱える人は、2026年3月末で約159.8万人(JICCに加盟する貸金業全体、消費者金融に限らない)で、借入のある人の約14.6%にあたります。
多重債務は増えていますか?
近年は増加の傾向にあります。3件以上の無担保借入を抱える人は、2024年3月末の144.7万人から2026年3月末の159.8万人へ増えました。国民生活センターに寄せられる多重債務の相談も、2022年の21,447件から2024年の24,538件へ増加しています(相談は消費者金融に限らない多重債務全般)。物価高で生活資金の借入が増えていることが背景にあります。
多重債務になってしまったら、どうすればいいですか?
まずは公的な相談窓口に相談することが第一歩です。国民生活センターや消費生活センター、法的な支援を行う法テラス、貸金業の相談窓口などが、無料で相談に応じています。返済が難しい場合は、任意整理・個人再生・自己破産といった債務整理という法的な手段で、生活を立て直す道があります。ひとりで抱え込まず、早めに相談することが大切です。
債務整理にはどんな種類がありますか?
大きく3つあります。任意整理は、貸し手と交渉して将来の利息の免除や返済額の見直しを図る方法です。個人再生は、裁判所の手続きを通じて借金を大幅に減らし、原則3〜5年で返済する方法です。自己破産は、裁判所が返済できない状態と認めれば、原則として借金の支払い義務が免除される方法です。状況に応じて、これらを使い分けて生活の立て直しを図ります。
信用情報は多重債務とどう関係しますか?
信用情報は、多重債務を防ぐ重要な仕組みです。貸金業者は、新たに貸し付ける前に、その人が他社からどれだけ借りているかを信用情報で確認します。これにより、複数の貸金業者からの借入を合算して、借入を年収の3分の1までに制限する仕組みが機能します。1社だけでは見えない借入の全体を業界横断で把握できることが、借りすぎを防ぐ前提になっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    JICC(日本信用情報機構)各種統計情報推移
  2. 2.
    国民生活センター 多重債務に関する相談
  3. 3.
    金融庁 貸金業関係統計資料
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