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産業用ロボットの市場規模|受注額の推移と輸出主導の構造【2026年版】

日本の産業用ロボットの市場規模を、受注額の推移と国内・輸出の構造で見ます。2025年の受注額は1兆456億円(前年比 +25.7%)で、総出荷額9,938億円のうち約8割を輸出が占めます。AI・半導体関連の投資で電子部品実装機が伸び、搬送・溶接・組立など幅広い用途に需要が広がっています。受注の長期推移、国内・輸出の構造、用途別・需要業種別の内訳まで順に確認していきます。

受注額(2025年)
1兆456億円25.7% YoY
出典: 日本ロボット工業会
生産額(2025年)
9,453億円21.0% YoY
出典: 日本ロボット工業会
総出荷額(2025年)
9,938億円20.4% YoY
出典: 日本ロボット工業会
輸出額(2025年)
7,897億円32.4% YoY
総出荷の約8割
出典: 日本ロボット工業会

産業用ロボットの受注額の推移(2010-2025年、億円)

単位: 億円
03,7507,50011,25015,0005,752105,8865,0805,0986,0377,027157,3939,4479,6248,1178,5882010,78611,1188,4348,32110,45625
出典: 日本ロボット工業会 マニピュレータ、ロボット統計(会員+非会員、暦年)
2010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
受注額億円5,7525,8865,0805,0986,0377,0277,3939,4479,6248,1178,58810,78611,1188,4348,32110,456
前年比
読み解き

産業用ロボットの受注額は、設備投資の循環で振幅しながらも長期では拡大してきました。2010年の5,752億円から2018年の9,624億円まで伸び、2021-2022年には初めて1兆円を超えています。2022年の1兆1,118億円がこれまでのピークです。

2023-2024年は世界的な投資の一服で8,000億円台へ調整し、2025年に1兆456億円(前年比 +25.7%)へ回復しました。2025年は過去最高ではありませんが、15年間でおよそ1.8倍に拡大しており、自動化需要の構造的な伸びが循環の谷を下支えしています。

このグラフに関連するトピック

産業用ロボット出荷額の国内・輸出別の推移(2020-2025年、億円)

単位: 億円
国内出荷輸出
03,7507,50011,25015,0007,813209,6242110,509229,226238,252249,93825
出典: 日本ロボット工業会 マニピュレータ、ロボット統計(国内・輸出別、暦年)
202020212022202320242025
国内出荷億円2,0852,2312,3352,2252,2892,041
輸出億円5,7287,3938,1747,0015,9637,897
合計(億円7,8139,62410,5099,2268,2529,938
前年比+23.2%+9.2%-12.2%-10.6%+20.4%
読み解き

ロボット出荷は輸出主導の構造で、2025年の輸出は7,897億円(前年比 +32.4%)と大きく伸び、総出荷の約8割を占めました。輸出比率は2020年の約7割から2025年に約8割(79.5%)へ高まっています。

一方で国内出荷は2,041億円(同 ▲10.8%)と減少しました。日本のロボットメーカーは世界の工場向けに供給する立場で、中国を中心とするアジアや北米・欧州の設備投資の動向が、出荷全体を大きく左右します。

用途別の総出荷台数(2025年)

搬送・溶接・組立が中心。合計は総出荷台数(211,139台)と一致
項目総出荷台数(台)構成比シェア
マテリアルハンドリング40,32119.1%
溶接38,51818.2%
クリーンルーム搬送28,65813.6%
組立25,93612.3%
機械加工22,27910.6%
電子部品実装17,1928.1%
その他用途13,1456.2%
用途不明12,9096.1%
樹脂成形5,9752.8%
入出荷3,8121.8%
塗装2,3941.1%
用途計211,139100.0%
読み解き

台数で最も多いのはマテリアルハンドリング(搬送、40,321台)で、溶接(38,518台、うちアーク溶接19,135台・スポット溶接18,315台)、クリーンルーム搬送(28,658台、うち半導体向け26,628台)、組立(25,936台)、機械加工(22,279台)が続きます。半導体・電子部品の生産現場で使われるクリーン搬送が台数を押し上げています。

電子部品実装(17,192台)は台数こそ中位ですが、1台あたりの単価が高く、金額では大きな比重を占めます(後述)。用途が特定できない「用途不明」も12,909台あり、ロボットが幅広い現場へ浸透していることを示しています。

需要業種別の国内出荷台数(2025年)

電気機械と自動車が二大需要。合計は国内出荷台数(37,816台)と一致
項目国内出荷台数(台)構成比シェア
電気機械13,60236.0%
自動車9,51125.2%
機械4,67612.4%
業種不明3,0598.1%
その他製造業2,4516.5%
金属製品1,7824.7%
食料品、飲料・たばこ・飼料9202.4%
プラスチック製品8202.2%
化学工業(医薬品・化粧品など)3691.0%
非製造業2820.7%
その他輸送機械1940.5%
精密機械1500.4%
国内出荷計37,816100.0%
読み解き

国内向けでは電気機械(13,602台)が最大で、うち電子部品・デバイス・電子回路向けが9,267台と半導体・電子部品の生産設備が中心です。次いで自動車(9,511台、うち自動車部品7,050台)が大きく、この二業種で国内出荷の約6割を占めます。

機械(4,676台)・金属製品(1,782台)・食料品(920台)などが続き、近年は協働ロボットの普及で食品・物流・サービスなど新しい分野にも広がりつつあります。業種が特定できない「業種不明」が3,059台ある点には留意が必要です。

産業用ロボットの需要はどこにあるのか

なぜ輸出が約8割を占めるのか

日本は産業用ロボットの主要な生産国で、世界の製造現場へ供給する立場にあります。2025年の輸出は7,897億円で、地域別では中国向けが3,160億円とロボット輸出の約4割を占め、中国を除くアジアが2,380億円、米大陸(北米・中南米)が1,475億円、欧州が802億円と続きます。2025年は中国の設備投資の持ち直しが輸出を牽引しました。なお、ここでの「ロボット輸出」は産業用ロボットの輸出額で、工作機械の外需(中国向け3,901億円など)とは別の製品・別の統計であり、同じ「中国向け」でも数値は一致しません。

電子部品実装機とAI・半導体投資

日本ロボット工業会の統計でいう産業用ロボットには、垂直多関節・水平多関節などのマニピュレーティングロボット(MR)に加え、電子部品実装機が含まれます。2025年の受注額の内訳は、MRが5,523億円、電子部品実装機が3,832億円(前年比 +47%)、その他が1,102億円で、実装機が全体の約4割を占めます。電子部品実装機はスマートフォンやサーバーの基板に部品を高速で載せる装置で、AIサーバーや半導体関連の投資拡大を背景に2025年に大きく伸びました。

人手不足と国内の自動化需要

2025年の国内出荷は2,041億円(前年比 ▲10.8%)と減少しましたが、国内の自動化需要そのものは人手不足を背景に構造的なものです。国内で台数が多いのは電気機械(半導体・電子部品、13,602台)と自動車(9,511台)で、基板の実装・検査や、車体の溶接・組立といった工程を担っています。工作機械にロボットや搬送装置を組み合わせて無人運転を実現するなど、生産システム全体での自動化提案が、各メーカーの競争軸になっています。

方法論・補足

  • 【指標の定義】本ページの数値は、日本ロボット工業会(JARA)の「マニピュレータ、ロボット統計」(会員+非会員ベース)です。マニピュレーティングロボット(垂直多関節・水平多関節など)に電子部品実装機・その他を加えた産業用ロボットの受注額・生産額・出荷額(国内・輸出)を、暦年(1-12月)で集計しています。
  • 【会員ベース速報との関係】JARAは毎年1月に会員のみの速報、5月に会員+非会員の確報を公表します。本ページは確報(会員+非会員)を採用しています。1月時点の会員ベース速報(受注額9,258億円)は確報公表前の暫定値で、確報(受注額1兆456億円)とは集計対象の母集団が異なります。
  • 【台数と金額】用途別・需要業種別は台数で集計しています(用途別の金額は小計以外がJARA非公表のため)。受注額・出荷額・地域別輸出は金額です。台数と金額は指標が異なるため合算していません。
  • 【ロボット輸出と工作機械外需】本ページの「輸出」は産業用ロボットの輸出額です。工作機械の外需とは別の製品・別の統計で、同じ仕向地でも数値は一致しません。
  • 【四捨五入】金額は百万円の確報値を億円に換算(四捨五入)しています。

よくある質問

産業用ロボットの市場規模はどれくらいですか?
日本ロボット工業会の確報(会員+非会員)によると、2025年(暦年)の産業用ロボット受注額は1兆456億円で、前年比 +25.7% でした。生産額は9,453億円、総出荷額は9,938億円で、このうち約8割(輸出7,897億円)を輸出が占めます。
2025年の産業用ロボットは過去最高でしたか?
過去最高ではありません。受注額のこれまでのピークは2022年の1兆1,118億円で、2023-2024年に8,000億円台へ調整したのち、2025年に1兆456億円へ回復したものです。長期では拡大傾向にありますが、2025年は記録更新ではなく循環的な回復局面にあたります。
産業用ロボットの主な輸出先はどこですか?
2025年の輸出7,897億円のうち、中国向けが3,160億円とロボット輸出の約4割を占めて最大です。次いで中国を除くアジアが2,380億円、米大陸(北米・中南米)が1,475億円、欧州が802億円と続きます。中国の設備投資の動向が輸出を大きく左右します。
産業用ロボットはどんな用途に使われていますか?
2025年の総出荷台数(211,139台)で多いのは、搬送(マテリアルハンドリング、40,321台)、溶接(38,518台)、クリーンルーム搬送(28,658台、うち半導体向け26,628台)、組立(25,936台)、機械加工(22,279台)です。電子部品実装は台数では中位ですが、単価が高く金額では大きな比重を占めます。
速報の9,258億円と確報の1兆456億円はなぜ違うのですか?
日本ロボット工業会は1月に会員のみの速報、5月に会員+非会員の確報を公表します。9,258億円は会員ベースの速報値、1兆456億円は会員+非会員の確報値で、集計対象の母集団が異なります。製品の範囲(マニピュレーティングロボット+電子部品実装機など)は同じです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本ロボット工業会 マニピュレータ、ロボット統計(確報・会員+非会員、2025年)
  2. 2.
    日本ロボット工業会 マニピュレータ、ロボット統計 推移表(会員+非会員)
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