最終更新
PLAYER DETAIL · MAJOR PLAYERS

工作機械・FA主要メーカーの業績比較|上場各社の規模と収益性【2026年版】

日本の工作機械・FA(工場自動化)業界の上場メーカーを、連結業績で比較します。FA・ロボットを手がけるファナックが営業利益1,588億円・自己資本比率89.0%で突出し、工作機械専業の売上首位はDMG森精機(5,150億円)です。各社は専業・多角化や事業領域で性格が異なり、本ページの数値はいずれも会社全体の連結値で、市場規模(工作機械受注額)とは別の指標です。

工作機械・FA専業メーカーの連結業績比較 (FY2025)

連結全社ベース。決算期は各社で異なる (DMG森精機=12月期・安川電機=2月期・他はおおむね3月期)。多角化のジェイテクト・不二越は基準が異なるため別枠 (後述)

連結業績では、ファナックが営業利益1,588億円(営業利益率約19.9%)・自己資本比率89.0%と8社で最も高く、CNC(数値制御装置)と産業用ロボットを量産供給する事業モデルの収益力が際立ちます。安川電機もROE13.7%と高水準です。一方、工作機械専業のDMG森精機は売上5,150億円と最大ですが、営業利益は190億円・自己資本比率39.2%で、受注生産が中心の工作機械は設備投資の循環で利益率が振れやすい構造です。ツガミはROE18.2%・営業利益率約21.7%と高収益ですが、中国向けの比重が高い点に留意が必要です。

ファナック
CNC・産業用ロボット・ロボマシン(FA専業)
売上高
7,971億円
営業利益
1,588億円
純利益
1,476億円
ROE
8.6%
自己資本比率
89.0%
安川電機
サーボ・インバータ・産業用ロボット(メカトロニクス)
売上高
5,377億円
営業利益
502億円
純利益
570億円
ROE
13.7%
自己資本比率
58.0%
DMG森精機
工作機械専業(旋盤・マシニングセンタ・複合加工機)
売上高
5,150億円
営業利益
190億円
純利益
240億円
ROE
7.3%
自己資本比率
39.2%
アマダ
板金加工機(パンチ・レーザ・ベンディング)国内首位級
売上高
3,967億円
営業利益
491億円
純利益
324億円
ROE
6.2%
自己資本比率
79.9%
牧野フライス製作所
マシニングセンタ・放電加工(金型・精密加工)
売上高
2,342億円
営業利益
185億円
純利益
144億円
ROE
6.4%
自己資本比率
61.7%
オークマ
工作機械専業(NC装置を自社開発)
売上高
2,068億円
営業利益
147億円
純利益
96億円
ROE
4.2%
自己資本比率
76.3%
芝浦機械
射出成形機・工作機械・ダイカストマシン(産業機械)
売上高
1,682億円
営業利益
141億円
純利益
126億円
ROE
11.0%
自己資本比率
58.7%
ツガミ
精密小型旋盤(自動旋盤、海外売上比率9割超)
売上高
1,074億円
営業利益
233億円
純利益
109億円
ROE
18.2%
自己資本比率
49.4%

ファナック — FAの中核、CNCと産業用ロボット

工場の自動化を支えるCNC(数値制御装置)で世界首位級の供給者であり、産業用ロボット、ロボマシン(小型加工機)を併せ持つFAの中核企業です。工作機械そのものよりも、工作機械を動かす頭脳であるCNCと、組立・搬送を担うロボットを量産供給する立場で、世界中の機械メーカー・製造業に部品やシステムを供給しています。

この量産・グローバル供給の事業モデルは、受注生産が中心の工作機械専業に比べて収益性が高く、連結売上7,971億円に対し営業利益1,588億円(営業利益率約19.9%)、自己資本比率は89.0%と8社で最も高く、ほぼ無借金に近い財務体質です。設備投資の循環で受注は振れますが、潤沢な手元資金がその振幅を吸収します。FY2025の売上は前年比+0.2%とほぼ横ばいでした。

安川電機 — サーボ・ロボットの世界大手

サーボモータ・インバータ(機械を精密に動かすモーションコントロール)と産業用ロボット(モートマン)を中核に、世界規模で事業を展開するメカトロニクスの大手です。ファナックと並んでFA・ロボットの双璧とされ、サーボ・インバータでは世界有数のシェアを持ちます。

連結売上5,377億円・ROE13.7%・自己資本比率58.0%で、FY2025は半導体・EV関連などの設備投資が調整局面となり前年比-6.6%の減収でしたが、2桁のROEを維持しています。サーボとロボットを組み合わせてラインを自動化できる強みが、省人化需要の追い風を受ける構造です。

DMG森精機 — 工作機械の世界トップメーカー

旋盤・マシニングセンタ・複合加工機を一貫して手がける工作機械専業の最大手で、ドイツのDMG(ギルデマイスター)と経営統合し、世界最大級の規模を持ちます。1台で複数の加工をこなす複合加工機や、加工と自動化を組み合わせた工程集約に強みがあります。決算期は12月です。

連結売上5,150億円は工作機械専業で最大ですが、FY2025は営業利益190億円・ROE7.3%・自己資本比率39.2%で、グローバル展開と統合の負担もあり自己資本比率は8社で低めです。受注平均単価の上昇など高付加価値化(MX=マシニング・トランスフォーメーション戦略)を進めていますが、受注生産が中心の工作機械は設備投資の循環で利益が大きく振れる構造で、規模の大きさが必ずしも高い収益性に直結しない点が専業メーカーの特徴です。

アマダ — 板金加工機の国内首位級

金属の板を切る・曲げる・打ち抜く板金加工に特化したメーカーで、パンチプレス・レーザ加工機・ベンディングマシン(曲げ)などの機械と、それらをつなぐ加工システム・ソフトウェアを手がけます。旋盤やマシニングセンタを手がける他の工作機械メーカーとは加工領域が異なり、板金分野では世界トップクラスのシェアを持ちます。

連結売上3,967億円・営業利益491億円(営業利益率約12.4%)・自己資本比率79.9%で、財務の健全性が高い一方、中期経営計画の営業利益率目標(16%)には届いておらず、新商品への切り替えと収益性の改善が当面の焦点です。機械単体に加え、工具・周辺・ソフトを組み合わせて顧客の生産工程全体を支える事業構成です。

牧野フライス製作所 — 金型・精密加工に強み

マシニングセンタ放電加工機を中核に、金型製作や航空宇宙・精密加工の分野に強みを持つ工作機械メーカーです。微細・高精度の加工を要する用途で評価が高く、難削材の加工や複雑形状の金型づくりに用いられます。

FY2025は連結売上2,342億円(前年比+3.9%)・営業利益185億円・ROE6.4%で、航空宇宙やEV関連向けの受注が業績を支えています。受注残高が前年から積み上がっており、高精度というニッチを深掘りする立ち位置です。

オークマ — 制御を自社開発する総合工作機械

旋盤・マシニングセンタを中心とする総合工作機械メーカーで、機械を動かすNC装置(制御)を自社開発する数少ない一社です。機械と制御を一体で設計できるため、加工の精度や自動化で独自の強みを発揮します。

FY2025は需要の低迷で連結売上2,068億円(前年比-9.3%)・営業利益147億円・ROE4.2%と減収となりましたが、自己資本比率は76.3%と高く、循環の谷でも財務基盤は安定しています。ものづくりのDXソリューションや海外比率の引き上げを中長期の柱に据えています。

芝浦機械 — 射出成形機・大型工作機械

射出成形機・ダイカストマシン・大型工作機械・押出成形機など、幅広い産業機械を手がけるメーカーで、旧・東芝機械です。プラスチックや金属を成形する機械から金属を削る工作機械まで、いずれも「ものをつくる生産設備」を製品とし、製品の多様性が業績の振れを分散します。

連結売上1,682億円・営業利益141億円・ROE11.0%・自己資本比率58.7%で、FY2025は前年比+4.7%の増収でした。2030年に売上3,000億円規模を目指す長期ビジョンを掲げ、成長分野への投資を進めています。

ツガミ — 精密小型旋盤、海外比率9割超

自動旋盤・小型精密旋盤を主力とするメーカーで、自動車部品やIT・電子部品の精密加工に用いられる機械を手がけます。とくに中国市場での展開が大きく、海外売上比率は9割を超えます。

FY2025は連結売上1,074億円(前年比+28.0%)・営業利益233億円(営業利益率約21.7%)・ROE18.2%と、8社のなかで最も高い収益性を示しました。一方で中国向けの比重が高く、中国の自動車・電子部品向け設備投資の動向に業績が大きく左右される点には注意が必要です。

多角化メーカーの工作機械・ロボット事業 — 不二越・ジェイテクト

不二越は、産業用ロボットを核に、切削工具・工作機械・軸受(ベアリング)・油圧機器・特殊鋼をあわせ持つ総合機械メーカーです。連結売上2,359億円のうち、ロボット・工作機械・工具・油圧機器を含む機械工具事業は734億円(連結の約3割)で、残りは軸受の部品事業(1,473億円)と特殊鋼のその他事業(152億円)が占めます。連結ROEは3.2%ですが、FY2025は構造改革により営業利益が前年比+47.3%と改善しました。

ジェイテクトはトヨタ系の自動車部品大手で、ステアリングで世界トップ級のシェアを持ちます。連結売上は1.88兆円(国際会計基準)と8社のどこより大きいものの、その約7割は自動車事業(ステアリング・駆動)で、工作機械・FAは事業の一部です。工作機械事業は1,990億円(工作機械・制御機器・工業用熱処理炉)で、これは専業のオークマ(2,068億円)や牧野フライス(2,342億円)と同水準の規模です。しかも工作機械事業の利益(事業利益174億円)は自動車事業より利益率が高く、研削盤やマシニングセンタに強みを持ちます。

この2社は連結売上に自動車部品や軸受を多く含むため、専業8社と同じ土俵で連結売上を並べると工作機械・FA事業の規模を大きく見せすぎてしまい、上の一覧表には含めていません。工作機械・ロボット事業に絞れば、不二越734億円・ジェイテクト1,990億円と、いずれも専業の中堅と並ぶ規模を持つプレイヤーです。

主要論点

工作機械専業とFA・ロボット、収益構造はどう違うのか?

同じFY2025でも、事業モデルの違いが収益性にはっきり表れます。CNCと産業用ロボットを量産・グローバル供給するファナックは、連結売上7,971億円に対し営業利益率が約19.9%、自己資本比率89.0%と高水準です。安川電機もサーボ・ロボットを組み合わせた供給でROE13.7%を維持しています。

一方、旋盤やマシニングセンタを受注生産する工作機械専業は、1台ごとの大型設備を景気局面に応じて受注するため、利益率が循環で大きく振れます。DMG森精機は売上5,150億円と最大規模ながら営業利益率は約3.7%にとどまり、規模が必ずしも高収益に直結しません。CNC・ロボットという「部品・システムを量産する側」と、工作機械という「完成設備を受注生産する側」で、収益の安定度が構造的に異なります。

どちらが優れているという話ではなく、設備投資循環に対する強さ(財務体質)と、好況時の伸び(受注の振幅)のどちらを重く見るかで、各社の評価軸が変わります。

各社の収益性・財務体質の差は何を示すか?

収益性はROE・自己資本比率・営業利益率を併せて読む必要があります。ツガミはROE18.2%・営業利益率約21.7%と8社で最も高い収益性ですが、これは海外売上比率9割超・中国依存の高さと表裏で、中国の設備投資が振れれば収益も大きく動きます。

自己資本比率を見ると、ファナック89.0%・アマダ79.9%・オークマ76.3%と7-8割超の財務健全性を持つ社が多く、これが設備投資の谷で踏みとどまる体力になります。対してDMG森精機は39.2%と低めですが、これはグローバルな企業統合と事業規模の拡大に伴うもので、財務戦略の違いを反映しています。

ROEは収益力と財務レバレッジの両方を映すため、単年の高低だけでなく、設備投資の循環を一巡した複数年の推移で見ることが重要です。好況のピークだけを切り取ると収益性を過大評価しやすい業界です。

各社の売上を合計すると市場規模になるのか?

なりません。市場規模として示される工作機械受注額(1兆6,043億円)は日本工作機械工業会の受注ベース統計で、各社が決算で計上する売上高(財務)とは集計の基準も対象も異なります。受注時点と売上計上時点はずれ、各社は海外子会社の売上や工作機械以外の製品も連結に含みます。各社の売上を足し合わせても、業界の市場規模とは一致しません。

とくに多角化メーカーは注意が必要です。ジェイテクトの連結売上1.88兆円の約7割は自動車部品で、工作機械事業は1,990億円にすぎません。不二越も連結2,359億円のうち機械工具事業は734億円で、残りは軸受や特殊鋼です。連結売上をそのまま工作機械・FAの市場規模や各社のシェアと読むと、実態を大きく見誤ります。

市場規模は受注統計、各社の規模は連結財務、特定事業の規模はセグメント情報——指標ごとに何を測っているかを区別して読むことが、業界理解の出発点になります。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、設備投資の循環外需(中国・北米)の動向に左右される局面が続きます。半導体・EV・航空宇宙関連の設備投資が需要を支える一方、最大の仕向地である中国の不透明感がリスク要因です。受注生産が中心の工作機械専業ほど、循環の影響を受けやすい構造です。

中期3-5年

人手不足を背景とした自動化・省人化の需要が構造的な追い風となります。ファナック・安川電機のロボット、DMG森精機の工程集約・自動化、各社のものづくりDXソリューションなど、機械単体から「自動化されたライン」を提供する方向に各社の重心が移る見通しです。

長期5-10年

高精度・高付加価値での差別化と、低価格帯で量を伸ばす中国勢への対応が長期の論点です。多角化メーカーは自動車のEV化で部品構成が変わり、工作機械・ロボット事業の位置づけも変化します。日本勢が世界の生産設備供給で上位を保てるかが問われます。

方法論・補足

  • 【数値の範囲】売上高・営業利益・純利益・ROE・自己資本比率は、各社の連結通期実績(EDINET有価証券報告書ベース)です。工作機械やロボットなど特定事業だけの数値ではなく、会社全体の連結値です。
  • 【決算期の違い】決算期は各社で異なります(DMG森精機=12月期、安川電機=2月期、不二越=11月期、その他はおおむね3月期)。同じ「FY2025」でも対象期間がずれる点に留意してください。
  • 【会計基準】ジェイテクトのみ国際会計基準(IFRS、売上収益)で、その他は日本基準(売上高)です。基準の違いで売上の計上範囲が一部異なります。
  • 【市場規模との違い】市場規模(工作機械受注額)は日本工作機械工業会の受注ベース統計で、各社の売上(財務)とは集計の基準も対象も異なります。各社の売上を合算しても市場規模にはなりません。
  • 【セグメントの数値】ジェイテクト・不二越の工作機械・機械工具事業の数値は、各社決算短信のセグメント情報注記に基づきます。ROEや営業利益率などの比率は、各社の公表値の転記、または本文中での公表値からの算出です。

よくある質問

工作機械・FAの主要メーカーにはどんな会社がありますか?
工作機械専業ではDMG森精機・オークマ・牧野フライス製作所・ツガミ、板金加工機ではアマダ、射出成形機なども手がける芝浦機械が代表的です。FA(工場自動化)・産業用ロボットではファナック・安川電機が世界規模で事業を展開します。このほか、自動車部品や軸受と併せて工作機械・ロボットを手がける多角化メーカーとして不二越・ジェイテクトがあります。
一番大きい・収益性が高いメーカーはどこですか?
連結売上で工作機械・FA専業の最大はファナック(7,971億円)で、工作機械専業ではDMG森精機(5,150億円)が最大です。利益額・財務の健全性ではファナックが営業利益1,588億円・自己資本比率89.0%と突出しています。ROE(収益性)はツガミの18.2%が最も高いものの、中国向けの比重が高い点には留意が必要です。
各社の売上を合計すると業界の市場規模になりますか?
なりません。市場規模(工作機械受注額1兆6,043億円)は日本工作機械工業会の受注ベース統計で、各社が決算で計上する売上(財務)とは基準も対象も異なります。各社は海外売上や工作機械以外の製品も連結に含むため、各社の売上を足し合わせても市場規模とは一致しません。
ジェイテクトや不二越は工作機械メーカーですか?
両社とも自動車部品や軸受などを主体とする多角化メーカーで、工作機械・ロボットは事業の一部です。ジェイテクトは連結1.88兆円のうち約7割が自動車事業で、工作機械事業は1,990億円です。不二越は連結2,359億円のうち、ロボット・工作機械などの機械工具事業が734億円です。連結売上をそのまま工作機械事業の規模と読むと実態を見誤ります。
各社の決算期や会計基準はそろっていますか?
そろっていません。決算期はDMG森精機が12月期、安川電機が2月期、不二越が11月期、その他はおおむね3月期です。会計基準もジェイテクトのみ国際会計基準(IFRS)で、その他は日本基準です。同じ「FY2025」でも対象期間や売上の計上範囲が一部異なるため、比較の際はこの点を踏まえる必要があります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET (金融庁) 各社 有価証券報告書
  2. 2.
    各社 決算短信 (セグメント情報)
  3. 3.
    日本工作機械工業会 受注統計
📄 資料DL💬 無料相談