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人材派遣の市場規模と派遣社員数|売上高の推移と料金・賃金【2026年版】

労働者派遣事業の年間売上高は、2024年度(令和6年度)に9兆9,005億円に達し、2018年度の6兆619億円から一貫して拡大しています。派遣で働く人は、実際に派遣されている実人数で約220.0万人(無期雇用と有期雇用の合計)です。派遣料金は8時間換算で平均26,257円、派遣労働者の賃金は同16,735円で、その差が派遣会社のマージンとなります。売上高の推移・派遣で働く人・料金と賃金の仕組み、そして民間調査による推計(9兆3,220億円)との集計差まで整理します。

派遣の年間売上高(2024年度)
9.9兆円
99,005億円、前年度比+9.4%。厚生労働省 労働者派遣事業の事業報告(消費税込み)
出典: 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」
派遣で働く人(実人数、2024年度)
220.0万人
2,199,639人。無期雇用90.9万人+有期雇用129.1万人。登録者数は別に約752.8万人
出典: 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」
派遣料金(8時間換算)
26,257
派遣先が派遣会社に支払う1日あたりの料金(8時間換算の平均)
出典: 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」
派遣労働者の賃金(8時間換算)
16,735
派遣会社が派遣労働者に支払う1日あたりの賃金(8時間換算の平均)。料金との差がマージン
出典: 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」

労働者派遣事業の年間売上高の推移(2018-2024年度、億円)

厚生労働省の事業報告(消費税込み)。2018年度の6兆619億円から2024年度の9兆9,005億円まで一貫して拡大
単位: 億円
025,00050,00075,000100,00060,6191869,5031976,4772082,3632187,6462290,5002399,00524
出典: 厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果」(消費税込み)
年度2018201920202021202220232024
労働者派遣事業の年間売上高億円60,61969,50376,47782,36387,64690,50099,005
前年比+14.7%+10.0%+7.7%+6.4%+3.3%+9.4%
読み解き

労働者派遣事業の年間売上高は、2018年度の6兆619億円から2024年度の9兆9,005億円まで、一貫して拡大してきました。人手不足を背景に派遣の需要が続き、賃上げに伴う派遣料金の上昇も金額面での拡大を支えています。

ただし、2018-2019年度の高い伸び率は注意が必要です。2015年の改正派遣法により、それまで届出制だった特定派遣が廃止され、すべての派遣が許可制の報告に一本化されました。この報告対象の拡大が2018-2019年度の伸びに含まれており、純粋な事業成長だけを示すものではありません。2020年度以降は対象範囲がそろっており、比較しやすくなっています。

雇用区分別の派遣労働者数(2024年度、人)

報告日時点で実際に派遣されている実人数。無期雇用と有期雇用の合計が実人数
項目派遣労働者数(人)構成比シェア
無期雇用908,95641.3%
有期雇用1,290,68358.7%
実人数 合計2,199,639100.0%
読み解き

派遣で働く人は、実人数で約220.0万人です。内訳は、期間の定めなく派遣会社に雇用される無期雇用が908,956人(約41.3%)、期間を定めて雇用される有期雇用が1,290,683人(約58.7%)です。2015年の改正以降、雇用の安定を目的に無期雇用への転換が進められてきました。

なお、この実人数(約220.0万人)は、報告日時点で実際に派遣されている人の数です。派遣会社に登録しているだけで、その時点では派遣されていない人を含めた登録者数(約752.8万人)とは別の概念で、両者を混同しないことが大切です。

主要論点

派遣市場はなぜ拡大が続いているのか?

労働者派遣事業の年間売上高は、2018年度の6兆619億円から2024年度に9兆9,005億円まで拡大しました。背景にあるのは、生産年齢人口の減少による構造的な人手不足です。企業が必要なときに必要な人数を確保する手段として、派遣の需要が続いています。

金額面の拡大には、派遣で働く人の増加に加えて、派遣料金の上昇が効いています。人手不足のもとで派遣会社が人材を確保するには賃金を引き上げる必要があり、それが派遣料金に転嫁されて売上を押し上げています。2024年度の前年度比+9.4%は、こうした単価の上昇を映しています。

派遣で働く人は実人数で約220.0万人と高い水準にあり、製造・事務・ITなど幅広い業務で利用されています。人手不足が続くかぎり、派遣への需要は底堅く推移する見通しです。

派遣会社のマージンと、規制(同一労働同一賃金)はどう関係するのか?

派遣会社の収益は、派遣先から受け取る派遣料金と、派遣労働者へ支払う賃金の差であるマージンから生まれます。2024年度は8時間換算で派遣料金が平均26,257円、賃金が平均16,735円で、その差は約9,522円です。マージンからは、社会保険料の事業主負担、募集・教育・労務管理にかかる費用、そして派遣会社の利益がまかなわれます。差額がそのまま利益になるわけではありません。

この収益構造には、規制が深く関わっています。2020年に施行された同一労働同一賃金により、派遣労働者の待遇を派遣先の正社員と均衡・均等にすることが求められ、賃金水準の引き上げが進みました。あわせて、派遣会社にはマージン率の公開が義務づけられ、料金と賃金の関係の透明性が高まっています。

人手不足による賃上げ圧力と、規制による待遇改善が重なり、派遣労働者の賃金は上昇傾向にあります。派遣会社は、料金への転嫁と業務効率の改善で、待遇改善に対応しながらマージンを確保する構図となっています。

なぜ「派遣市場」の数字に9.9兆円と9.3兆円の2つがあるのか?

人材派遣の市場規模には、見方によって2つの数字があります。ひとつは厚生労働省の事業報告による9兆9,005億円(2024年度)、もうひとつは民間調査(矢野経済研究所)による9兆3,220億円です。約5,785億円の差があります。

この差は、集計方法と対象範囲の違いから生まれます。厚生労働省の数字は、すべての派遣元事業主が提出する事業報告を集計した、消費税を含む金額です。一方、民間調査の数字は、調査機関が事業者の売上高を推計したもので、消費税の扱いや対象のとり方が異なります。どちらかが正しくどちらかが誤りというものではなく、性格の異なる2つの指標です。

数字を引用するときは、どちらの集計によるものかを確認する必要があります。本サイトでは、市場全体の構成(人材派遣・人材紹介・再就職支援の合算)を見るときは民間調査の推計を、派遣事業そのものの公的な実績を見るときは厚生労働省の事業報告を用い、両者を足し合わせないように整理しています。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、人手不足を背景に派遣の需要が底堅く推移するとみられます。賃上げに伴う派遣料金の上昇が、金額面での売上を支える構図が続きます。同一労働同一賃金やマージン率公開といった規制のもとで、派遣労働者の待遇改善と派遣会社の収益確保の両立が課題となります。

中期3-5年

中期では、無期雇用への転換や、技術者派遣など専門性の高い領域の比重が高まる見通しです。単純な人数の確保から、スキルや専門性を備えた人材の提供へと、派遣の付加価値が問われる局面になります。賃金水準の上昇が、売上高を金額面で押し上げます。

長期

長期では、人口減少が労働需給の基調を決めます。派遣で働く人の大幅な増加は見込みにくく、料金単価の上昇と、業務効率化やデジタル化による生産性の向上が、市場の成長を左右します。派遣の数字を読む際は、実人数と登録者数の区別、および厚生労働省の事業報告と民間推計の集計差を踏まえることが前提となります。

よくある質問

人材派遣市場の規模はどのくらいですか?
厚生労働省の労働者派遣事業報告によると、2024年度の労働者派遣事業の年間売上高は9兆9,005億円(前年度比+9.4%、消費税込み)です。2018年度の6兆619億円から一貫して拡大しています。民間調査(矢野経済研究所)による人材派遣業市場9兆3,220億円とは、集計方法・対象範囲が異なります。
派遣で働く人は何人いますか?
報告日時点で実際に派遣されている実人数で約220.0万人(無期雇用90.9万人+有期雇用129.1万人)です。これとは別に、派遣会社に登録しているだけの人を含めた登録者数は約752.8万人にのぼります。実人数と登録者数は数え方が異なります。
派遣料金と派遣社員の賃金、マージンの仕組みは?
2024年度は8時間換算で、派遣先が支払う派遣料金が平均26,257円、派遣会社が派遣労働者に支払う賃金が平均16,735円でした。その差(約9,522円)がマージンで、社会保険料の事業主負担、募集・教育・管理の費用、派遣会社の利益がまかなわれます。派遣会社にはマージン率の公開が義務づけられています。
派遣市場の規模が「9.9兆円」と「9.3兆円」で違うのはなぜですか?
厚生労働省の事業報告(9兆9,005億円)は、すべての派遣元事業主が提出する事業報告を集計した消費税込みの金額です。一方、民間調査(矢野経済研究所、9兆3,220億円)は事業者の売上高を推計したもので、消費税の扱いや対象範囲が異なります。どちらかが誤りではなく、集計方法の異なる2つの指標で、足し合わせては扱いません。
労働者派遣に関する主な規制は?
人材派遣は労働者派遣法にもとづいて規律され、事業を行うには厚生労働大臣の許可が必要です。2015年の改正で特定派遣(届出制)が廃止され、すべての派遣が許可制に一本化されました。2020年には同一労働同一賃金が施行され、派遣労働者の待遇を派遣先の正社員と均衡・均等にすることが求められています。あわせて、派遣会社にはマージン率の公開が義務づけられています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    厚生労働省「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」
  2. 2.
    矢野経済研究所「人材ビジネス市場に関する調査(2025年)」(2025/10/24)
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