総合型の大手
リクルートホールディングス(リクルートエージェント)・パーソルホールディングス(doda)・マイナビ・エン・ジャパンなどは、業種や職種を問わず幅広く人材紹介を手がける総合型の大手です。求人メディアや人材派遣と一体で展開する企業も多く、登録者と求人の規模の大きさを強みとしています。
人材紹介(有料職業紹介)は、人材派遣と違い、採用が決まったときだけ企業から紹介手数料を受け取る成功報酬型のサービスです。そのため市場規模は、売上高ではなく紹介手数料の収入で測ります。厚生労働省の職業紹介事業報告によると、有料職業紹介の手数料収入は2024年度(令和6年度)に9,835億円(前年度比+17.6%)で、2020年度の5,240億円から大きく拡大しました。採用が決まった常用就職(4か月以上または期間の定めのない雇用)の件数は約92.0万件で、1件あたりの手数料は平均約103万円です。手数料収入と就職件数の推移、成功報酬という仕組み、そして民間調査がホワイトカラー職種(事務・営業・技術職など)にしぼって推計する人材紹介(4,490億円)との集計範囲の違いまで整理します。
有料職業紹介の手数料収入は、2020年度の5,240億円から2024年度の9,835億円まで、5年でおよそ1.9倍に拡大しました。人材紹介は成功報酬型のサービスで、採用が決まったときに企業から受け取る紹介手数料が収益になります。人手不足のもとで中途採用の需要が強まり、専門職・管理職を中心に紹介の利用が広がったことが、手数料収入の拡大を支えています。
加えて、賃上げによる採用者の想定年収の上昇も手数料を押し上げています。紹介手数料は採用者の年収に料率(概ね30〜35%)をかけた成功報酬であるため、年収水準が上がるほど1件あたりの手数料が増える構造です。
紹介で実際に就職が決まった常用就職の件数は、2020年度の638,211件から2024年度の920,235件(約92.0万件)まで増えてきました。常用就職とは、4か月以上または期間の定めなく雇用される就職を指します。2024年度はそのうち有料職業紹介が888,993件と大半を占め、学校や特別な法人などによる無料職業紹介は31,242件です。
就職件数の伸び(前年度比+4.8%)は、手数料収入の伸び(+17.6%)よりも緩やかです。件数の増加を上回って手数料収入が伸びているのは、賃上げで採用者の想定年収が上がり、1件あたりの手数料が増えているためです。
人材紹介(有料職業紹介)は、厚生労働大臣の許可を受けた事業者が手がけます。業種・職種を問わず幅広く扱う総合大手から、管理職・専門職に特化した事業者、医療・介護などの業界特化型まで、性格の異なる事業者が活動しています。
リクルートホールディングス(リクルートエージェント)・パーソルホールディングス(doda)・マイナビ・エン・ジャパンなどは、業種や職種を問わず幅広く人材紹介を手がける総合型の大手です。求人メディアや人材派遣と一体で展開する企業も多く、登録者と求人の規模の大きさを強みとしています。
ジェイエイシーリクルートメントは管理職・専門職に特化した人材紹介、ビジョナルは「ビズリーチ」を通じて企業が候補者へ直接アプローチするダイレクトリクルーティングを手がけます。いずれも年収の高い即戦力層に強みを持ち、採用単価(手数料)も相対的に高くなりやすい領域です。
エス・エム・エスのように、医療・介護・ヘルスケアといった特定の分野に専門特化した事業者も存在します。人材紹介は許可制のもとで多数の事業者が活動しており、特定の数社に集中しない分散した構造であることが特徴です。
人材紹介は、企業の採用が決まったときに初めて報酬が発生する成功報酬型のサービスです。採用された人の年収そのもの(取扱額)ではなく、企業が紹介会社に支払う紹介手数料の収入で市場規模をとらえます。これが、売上高で測る人材派遣との大きな違いです。
紹介手数料は、採用者の想定年収に料率をかけて決まり、料率は概ね30〜35%が相場とされます。2024年度の常用就職1件あたりの手数料は平均約103万円で、専門職・管理職など年収の高い人材ほど、1件あたりの手数料も大きくなります。
成功報酬型のため、企業は採用が決まるまで費用を負担せず、採用ミスのリスクを抑えられます。人手不足で採用競争が激しくなるほど、企業は紹介サービスへの依存を強める傾向にあります。
人材紹介の規模には、見方によって2つの数字があります。ひとつは民間調査(矢野経済研究所)が推計する4,490億円、もうひとつが厚生労働省 職業紹介事業報告による手数料収入9,835億円です。
この差は、集計範囲の違いから生まれます。民間調査の4,490億円は、事務・営業・技術職などのホワイトカラー職種にしぼった市場の推計です。一方、厚生労働省の9,835億円は、医療・介護・建設・製造なども含む全職種の有料職業紹介について、すべての事業者が提出する事業報告を集計した手数料収入です。対象とする職種の範囲が広いぶん、厚生労働省の数字が大きくなります。
どちらかが正しくどちらかが誤りというものではなく、対象範囲の異なる2つの指標です。本サイトでは、市場全体の構成を民間調査で見るときはホワイトカラー職種の4,490億円を、紹介事業そのものの公的な実績を見るときは全職種の9,835億円を用い、両者を足し合わせないように整理しています。
職業紹介事業報告では、2024年度の新規求職申込件数(有料)が約5,525万件(前年度比+43.1%)、求人数(有料)が約1,681万人(同+41.8%)と、いずれも前年度から急増しています。ただし、この40%を超える伸びを、そのまま市場の成長と読むことはできません。
厚生労働省は、求職者や求人者が複数の紹介会社を同時に利用するため、新規求職申込件数や求人数には重複計上が含まれると明記しています。1人の求職者が多くの会社に登録すれば、実際の人数より延べの件数が大きく膨らみます。オンラインの紹介サービスの広がりが、この延べ件数の増加に拍車をかけており、これらは事業の活動量を映す指標で、実際の人数や成約とは性格が異なります。
事業の実績を読むうえで信頼できるのは、実際に就職が決まった常用就職件数(前年度比+4.8%)と、企業が支払った手数料収入(+17.6%)です。活動量を示す求人・求職の延べ件数が40%超の伸びでも、実績の伸びは5%前後にとどまります。延べ件数の急増だけを取り出して市場の伸びと解釈しないことが大切です。
2026-2027年は、人手不足を背景に中途採用の需要が底堅く推移し、人材紹介の手数料収入も拡大基調が続くとみられます。賃上げによる想定年収の上昇が、1件あたりの手数料を押し上げる構図が続きます。専門職・管理職やデジタル人材など、採用が難しい領域ほど紹介の利用が広がります。
中期では、医療・介護・建設など人手不足が深刻な分野で、有料職業紹介の役割が一段と高まる見通しです。一方で、これらの分野では紹介手数料の負担の重さが課題となり、手数料水準や紹介のあり方をめぐる議論も続きます。オンライン化やダイレクトリクルーティングの広がりが、紹介の競争環境を変えていきます。
長期では、人口減少が労働需給の基調を決めます。就職件数そのものの大幅な増加は見込みにくく、想定年収の上昇による1件あたり手数料の伸びと、専門性の高い人材の紹介が市場の成長を左右します。数字を読む際は、活動量の指標(求人・求職の延べ件数)と実績の指標(就職件数・手数料収入)を区別することが前提となります。