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メガネ・コンタクトの製造と供給|輸入依存と国内産地の二極【2026年版】

メガネ・コンタクトレンズの供給構造は、2分野で対照的です。コンタクトレンズは、視力補正用の供給額(国内生産と輸入の合計)のうち輸入が約79.7%を占める輸入依存型です(厚生労働省 薬事工業生産動態統計)。一方、メガネのフレーム(眼鏡枠)は、全国出荷額の93.5%を福井県(鯖江)産が占める国内産地集中型です。供給側の数値は、店頭の小売や出荷額とは集計の方法が異なる別の捉え方です。コンタクトの輸入依存、メガネの産地集中、産地の担い手の減少まで順に整理します。

眼鏡枠の福井県シェア(2022年)
93.5%
眼鏡枠の全国出荷額に占める福井(鯖江)産の割合、国内産地への集中を示す
出典: 2023年経済構造実態調査(出荷額ベース)
完成眼鏡の福井シェア(2022年)
47.2%
サングラス等を含む完成品の眼鏡では福井シェアはより低く、産地が分散
出典: 2023年経済構造実態調査(出荷額ベース)
コンタクトの輸入額(2024年)
2,642億円
視力補正用コンタクトレンズの輸入額、供給の約79.7%を占める
出典: 厚生労働省 薬事工業生産動態統計年報
眼鏡枠の産出事業所数(2021年)
195事業所
従業者4人以上、2003年の387から減少、担い手の確保が課題
出典: 福井財務局 眼鏡産業調査

視力補正用コンタクトレンズの供給(2024年)

国内生産と輸入の合計が供給額。輸入が約8割を占める輸入依存型(厚生労働省 薬事工業生産動態統計)
輸入
供給額(億円)
2,642億円
供給の特徴
海外メーカーが中心、供給の約8割を占める
国内生産
供給額(億円)
673億円
供給の特徴
角膜矯正用など国内メーカーの生産比率が高い領域もある
読み解き

視力補正用コンタクトレンズの供給(国内生産と輸入の合計)は約3,315億円で、このうち輸入が約2,642億円(約79.7%)、国内生産が約673億円です。コンタクトレンズは輸入が供給の多くを占める構造で、為替や海外メーカーの動向の影響を受けやすい分野です。

ただし領域によって国産比率は異なります。角膜矯正用(オルソケラトロジー)は国内生産が約49億円と輸入をはるかに上回り、ほぼ国内で生産される、国内メーカーの強い領域です。また、毎日使い捨てる単回使用(1day)は視力補正用コンタクトのなかで最も供給額が大きく(約2,282億円)、使い捨て化が供給面にも表れています。なお、この供給額は店頭の小売金額(NielsenIQ)やメーカーからの出荷額(日本コンタクトレンズ協会)とは集計の段階が異なる別の数字です。

メガネ供給の福井県シェア(2022年、出荷額ベース)

眼鏡枠(フレーム)は福井(鯖江)に強く集中する一方、完成品の眼鏡では産地が分散
眼鏡枠(フレーム)
全国出荷額
397億円
福井県シェア
93.5%
産地の特徴
福井(鯖江)に強く集中
完成品の眼鏡(サングラス等)
全国出荷額
97億円
福井県シェア
47.2%
産地の特徴
産地はより分散
読み解き

メガネのフレーム(眼鏡枠)は、全国出荷額約397億円のうち93.5%を福井県(鯖江)産が占める、国内産地集中型です。設計から研磨・組み立てまでの分業による高い加工技術が、鯖江産地の強みです。

一方、サングラスなどを含む完成品の眼鏡では、福井県シェアは47.2%にとどまり、産地はより分散しています。「国産フレーム9割超」として知られるのは眼鏡枠(フレーム)の出荷額でみた数値で、サングラスを含む完成品の眼鏡とは範囲が異なります。なお眼鏡レンズは、フレームとは別に集計される医療機器で、ここでの産地の数字には含みません(レンズの生産・輸入は薬事工業生産動態統計で把握されます)。

福井県の眼鏡枠 産出事業所数の推移 (2003-2021年、事業所)

従業者4人以上の事業所。2003年の387から2021年の195へ減少し、産地の担い手の確保が課題
単位: 事業所
0100200300400387032371319521
出典: 福井財務局「福井県の眼鏡産業における現状や課題等に関する調査結果」(産出事業所数、3時点)
200320132021
産出事業所数事業所387237195
読み解き

福井(鯖江)産地で眼鏡枠などを産出する事業所の数は、2003年の387から2013年の237、2021年の195へと、長期的に減少しています(従業者4人以上)。毎年実施される統計ではなく、数年おきの調査による3時点の比較ですが、約20年で半分程度の水準まで減ったことになります。

産地は分業による高い加工技術を強みとしてきましたが、事業所数の減少は、職人の高齢化や事業承継、生産能力の維持といった課題を映しています。福井財務局の調査(41社)では、今後の生産について増加を見込む事業者が半数を超える一方、人材の不足を課題に挙げる事業者が多く、需要の回復と担い手の確保をどう両立するかが産地の論点です。

主要論点

コンタクトレンズの輸入依存を、どう持続するか?

視力補正用コンタクトレンズは、供給額(国内生産と輸入の合計、約3,315億円)のうち輸入が約79.7%を占めます。海外メーカーが供給の多くを担う構造で、為替や海外の生産・物流の動向の影響を受けやすい分野です。

一方で、国内メーカーが強みを持つ領域もあります。角膜矯正用(オルソケラトロジー)は国内生産が約49億円と輸入を大きく上回り、近視の進行抑制という需要を背景に国内メーカーが独自の位置を占めています。メニコンやシードなどの国内メーカーは、こうした独自製品や定額制を通じて、輸入依存のなかでの差別化を進めています。

コンタクトレンズは医療機器に分類され、安定供給が求められます。輸入依存が高いほど、供給網の安定や国内での独自領域の確保が、持続上の論点となります。

鯖江の眼鏡産地は、担い手の減少にどう向き合うか?

メガネのフレーム(眼鏡枠)は、全国出荷額の93.5%を福井県(鯖江)産が占める国内産地集中型です。設計から研磨・組み立てまでの分業による高い加工技術が、産地の競争力の源泉です。

課題は担い手の減少です。眼鏡枠を産出する事業所の数は、2003年の387から2021年の195へと長期的に減少しました。職人の高齢化や事業承継、生産能力の維持が、産地全体の課題となっています。福井財務局の調査では、今後の生産に前向きな事業者が多い一方、人材の不足を課題に挙げる声が目立ちます。

産地が競争力を保つには、高付加価値化(自社ブランドや高級フレーム)と、技術の継承・人材の確保の両立が鍵となります。福井財務局の調査(41社)では、すべてを他社ブランドの受託製造(OEM)が占める事業者は12.2%にとどまり、自社ブランドを手がける事業者が多数を占めています。Japan Eyewear Holdingsのような高級ブランドの製造小売は、産地の技術を価値に変える担い手の一例です。

供給の「二極」は、業界に何を意味するのか?

メガネ・コンタクトレンズの供給は、コンタクトの輸入依存メガネ枠の国内産地集中という対照的な二極で構成されます。コンタクトは海外メーカーが供給の多くを担い、メガネ枠は福井(鯖江)の国内産地に集中します。

この二極は、それぞれ異なる持続上の課題を抱えています。コンタクトは輸入依存が高く、為替や海外動向の影響を受けやすいため、国内メーカーは独自製品や近視抑制などの領域で差別化を進めています。メガネは産地の高い技術が強みですが、事業所数の減少という担い手の課題に直面しています。

供給側の数値は、店頭の小売や出荷額とは集計の方法が異なる別の捉え方です。需要側(市場規模)とあわせて、供給の二極を踏まえることが、業界の構造を理解する前提となります。

中期見通し

近未来1-2年

コンタクトレンズは輸入依存が続く見通しで、為替や海外の供給動向が国内の価格や供給に影響します。国内メーカーは角膜矯正用などの独自領域で存在感を保ちます。メガネの産地(鯖江)は、需要の回復を見込む事業者が多い一方、人材の確保が当面の課題として残ります。

中期3-5年

中期では、コンタクトの輸入依存と国内独自領域の併存、メガネ産地の高付加価値化と担い手確保の両立が焦点です。産地の事業所数の減少が続くなか、自社ブランドや高級フレームへのシフト、技術継承の取り組みが、産地の競争力を左右します。

長期

長期では、人口減少と高齢化が国内の需要と供給の双方に影響します。コンタクトは輸入依存のなかで国内メーカーの独自領域がどこまで広がるか、メガネは産地の技術と担い手をどう維持するかが、供給構造の持続を決めます。供給側の数値を読む際は、需要側(小売・出荷額)と集計の方法が異なる別の捉え方である点を踏まえる必要があります。

よくある質問

コンタクトレンズは国産ですか、輸入ですか?
コンタクトレンズは輸入が中心です。厚生労働省の薬事工業生産動態統計によると、視力補正用コンタクトレンズの供給額(国内生産と輸入の合計、約3,315億円)のうち、輸入が約79.7%を占めます。ただし角膜矯正用(オルソケラトロジー)など、国内メーカーの生産比率が高い領域もあります。
メガネはどこで作られているのですか?
メガネのフレーム(眼鏡枠)は、福井県の鯖江市を中心とする産地に生産が集中しています。2023年経済構造実態調査(出荷額ベース)では、眼鏡枠の全国出荷額の93.5%を福井県産が占めています。分業による高い加工技術が強みです。
「国産フレーム9割」と「福井93.5%」は同じ数字ですか?
近い意味ですが、出典と範囲が異なります。本ページの93.5%は2023年経済構造実態調査の出荷額ベースで、眼鏡枠(フレーム)の全国出荷額に占める福井県産の割合です。一般に流布する「国産フレーム96%」は集計の基準や年が異なる通称で、サングラスを含む完成品の眼鏡では福井シェアは47.2%にとどまります。
鯖江の眼鏡産地は縮小しているのですか?
眼鏡枠を産出する事業所の数は、2003年の387から2021年の195へと長期的に減少しています(従業者4人以上)。職人の高齢化や事業承継、生産能力の維持が課題です。一方、福井財務局の調査では今後の生産に前向きな事業者も多く、高付加価値化と担い手確保の両立が産地の論点となっています。
供給側の数字は、市場規模(小売)とどう違いますか?
供給側の数字は、国内生産と輸入からみた「作る側・入ってくる側」の金額です。店頭で消費者に売られる小売金額(NielsenIQ・矢野経済研究所)や、メーカーからの出荷額(日本コンタクトレンズ協会)とは集計の段階が異なる別の捉え方で、同じ軸で足し合わせることはできません。供給の構造を見るための数値です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」令和6年(2024年)
  2. 2.
    経済産業省「2023年経済構造実態調査(製造業事業所調査)」
  3. 3.
    財務省 北陸財務局 福井財務事務所「福井県の眼鏡産業における現状や課題等に関する調査結果」(令和7年1月)
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