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宝飾品の輸入とインバウンド|仏伊ブランドの輸入急増と訪日需要【2026年版】

宝飾品の輸入額は、2021年の約2,144億円から2025年には約5,900億円へと、約2.7倍に増えました。輸入の中心は、カルティエやブルガリといった高級ブランドの発祥地であり生産も多いフランス・イタリアです。背景には、訪日富裕層のインバウンド需要と、海外ブランドの国内展開があります。本ページでは、宝飾品の輸入の動向と、訪日客・海外ブランドが国内の宝飾市場で果たす役割を整理します。

宝飾品の輸入額の推移(2021-2025年、億円)

宝飾品の輸入は2021年の約2,144億円から2025年に約5,900億円へ、約2.7倍に増加
単位: 億円
01,5003,0004,5006,0002,144213,263224,086235,161245,90025
出典: 財務省 普通貿易統計(宝飾品の輸入の通関額)
20212022202320242025
輸入額億円2,1443,2634,0865,1615,900
前年比+52.2%+25.2%+26.3%+14.3%
読み解き

宝飾品(貴金属製の身辺用細貨類)の輸入額は、2021年の約2,144億円から2025年には約5,900億円へと、4年で約2.7倍に増加しました。コロナ後の訪日需要の回復や円安、海外ブランドの国内展開を背景に、海外から仕入れられる宝飾品が大きく伸びています。

この輸入額は、海外から日本に入ってくる宝飾品の通関額です。国内には海外ブランドの高級宝飾が多く流通しており、その仕入れが輸入として計上されます。一方、宝飾品の輸出は2025年で約1,314億円と、輸入の4分の1以下にとどまり、日本は宝飾品の輸入が大きく上回る構造です。

このグラフに関連するトピック

宝飾品の輸入額の国別内訳(2025年、億円)

宝飾品の輸入の通関額。フランス・イタリアの2か国で輸入の半分以上を占める
項目輸入額(億円)構成比シェア
フランス1,86731.6%
イタリア1,36723.2%
アメリカ1,15619.6%
スイス5158.7%
その他99516.9%
輸入総額5,900億円5,900100.0%
読み解き

2025年の宝飾品の輸入を国別にみると、フランス(約1,867億円)とイタリア(約1,367億円)で輸入総額の半分以上を占めます。両国は、カルティエ、ヴァンクリーフ&アーペル、ブルガリといった高級宝飾ブランドの発祥地・生産地で、ヨーロッパの高級宝飾が日本に多く入ってきていることを示します。

アメリカ(約1,156億円)やスイス(約515億円)が続きます。ここでの国別は、ブランドの製造・出荷の拠点を反映したもので、ブランドを所有する企業グループの国籍とは別の軸です。海外の高級宝飾が国内の高価格帯を支える構造が、国別の内訳からも読み取れます。

なぜ宝飾品の輸入が急増しているのか

訪日インバウンドの高級宝飾需要

輸入急増の大きな要因が、訪日外国人(インバウンド)の需要です。コロナ後に訪日客が回復し、とくに富裕層による高級宝飾の購入が伸びています。訪日客の買物のなかで宝飾品・貴金属は主要な費目の一つで、免税での販売も増えています。海外ブランドは、この需要に応えるために商品を輸入し、国内の店舗で販売しています。

円安と海外ブランドの国内展開

円安も、輸入と国内販売を後押ししています。円安は、海外からみた日本での買物の割安感を高め、訪日客の購買を促します。あわせて、カルティエやティファニーなどの海外ブランドは、日本市場を重視して路面店や百貨店での展開を強めており、その商品の仕入れが輸入額の増加につながっています。

仏伊ブランド本拠からの輸入

輸入の中心がフランス・イタリアであることは、ヨーロッパの高級宝飾ブランドが国内市場で大きな存在感を持つことを表します。これらの国で作られた高級宝飾が日本に入り、相場高騰のなかでも高価格帯の需要を支えています。国産の宝飾品とは別に、輸入ブランドが国内の宝飾市場の一角を担う構造です。

訪日客と海外ブランドが宝飾市場で果たす役割

訪日富裕層の買物としての宝飾

観光庁の訪日外国人消費動向調査によると、訪日客の消費のうち買物代は大きな割合を占め、そのなかに宝石・貴金属の費目があります。とくに富裕層にとって、日本での高級宝飾の購入は旅行の目的の一つになっています。ただし、宝飾品にしぼった訪日消費の連続したデータは乏しく、インバウンドの宝飾需要を金額で正確に追うことは難しいのが実情です。

海外ブランドの位置づけ

国内の高価格帯を支える海外ブランドの多くは、フランス・イタリアなどで生まれたブランドで、現在はヨーロッパのラグジュアリーグループの傘下にあります。カルティエやヴァンクリーフ&アーペルはスイスのリシュモン、ティファニーやブルガリはフランスのLVMHのグループとして、百貨店や路面店で高級宝飾を展開しています。ここで注意したいのは、輸入の国別でみた製造・出荷の国(フランス・イタリアなど)と、ブランドを所有するグループの国(スイス・フランス)は別であるという点です。これらのブランドは日本の宝飾事業単独の財務を公表しないため、上場各社のような業績比較の対象にはなりません。

輸入と国内市場の関係

注意したいのは、輸入額と市場規模は別のものだという点です。本ページの輸入額(2025年 約5,900億円)は海外からの仕入れの通関額で、矢野経済研究所が示す小売市場規模(2025年 約1兆1,741億円)とは集計の範囲が異なり、直接比較や合算はできません。輸入は国内で流通する宝飾品の一部であり、国産の製造分や中古の流通とあわせて国内市場が形づくられています。なお、宝飾品の輸出は2025年で約1,314億円と輸入を大きく下回り、日本は輸入が中心の構造です。

主要論点

宝飾品の輸入が急増しているのは、何が要因か?

宝飾品の輸入額は、2021年の約2,144億円から2025年には約5,900億円へと約2.7倍に増えました。最大の要因は、訪日外国人(インバウンド)の需要の回復です。コロナ後に訪日客が戻り、富裕層を中心とした高級宝飾の購入が伸びています。

あわせて、円安が訪日客の購買を後押しし、海外ブランドの国内展開も進んでいます。輸入の中心がフランス・イタリアであることからも、カルティエやブルガリといったヨーロッパの高級ブランドの商品が、日本に多く入ってきていることがうかがえます。

つまり、輸入の急増は、訪日需要・円安・海外ブランドの展開が重なった結果です。ただし、輸入額は仕入れの通関額であり、これがそのまま国内の販売額を示すわけではない点には注意が必要です。

インバウンドは国内の宝飾市場にどう影響するか?

訪日インバウンドは、国内の宝飾市場の需要の一角を担っています。訪日客の買物のなかで宝石・貴金属は主要な費目の一つで、免税販売も伸びています。とくに高級宝飾は、訪日富裕層にとって日本での買物の対象になりやすく、海外ブランドの国内売上を押し上げています。

一方で、インバウンド需要は、為替や訪日客数、各国の景気に左右されやすい面があります。円安が反転したり、訪日客の伸びが鈍ったりすれば、高級宝飾の購買が弱まる可能性もあります。インバウンドは成長の機会であると同時に、外部環境に左右される変動要因でもあります。

また、宝飾品にしぼった訪日消費の連続データは乏しく、インバウンドの宝飾需要を金額で正確に追うのは難しいのが実情です。輸入額の伸びや海外ブランドの動向から、その大きさを間接的に捉える必要があります。

海外ブランドと国内のプレイヤーはどう棲み分けているか?

日本の宝飾市場では、海外ブランドと国内のプレイヤーが価格帯で棲み分けています。カルティエやティファニー、ブルガリといった海外ブランドは、リシュモンやLVMHといったラグジュアリーグループの一員として、高価格帯の宝飾を担っています。

一方、国内では、ミキモトやTASAKIといった非上場のブランドが高級宝飾を、「4℃」のヨンドシーホールディングスやツツミといった上場各社が中価格帯から日常使いの宝飾を手がけています。輸入ブランドが高価格帯のインバウンド・富裕層需要を、国内プレイヤーが幅広い価格帯を担う構図です。

相場高騰やインバウンドのなかで、海外ブランドの存在感が高まる一方、国内プレイヤーはブランド力や専門性、二次流通などで対応しています。輸入ブランドと国内プレイヤーの併存が、国内の宝飾市場の特徴です。

中期見通し

近未来1-2年

宝飾品の輸入と国内販売は、為替と訪日客の動向に左右されます。円安と訪日需要の回復が続けば、高級宝飾の輸入と販売は底堅く推移しますが、円高への反転や訪日客の伸びの鈍化があれば、勢いは弱まります。2025年は爆買いの一服も指摘されており、インバウンドの質の変化にも注意が必要です。

中期3-5年

海外ブランドは、日本市場を重視した店舗展開とブランド戦略を続ける見通しです。訪日富裕層の高級宝飾需要を取り込みつつ、国内の富裕層にも訴求する動きが想定されます。国内プレイヤーは、輸入ブランドとの価格帯の棲み分けや、専門性・ブランド力での差別化が課題となります。

長期5-10年

インバウンドの宝飾需要は、訪日客の構成や各国の経済、為替に左右される長期の変動要因です。海外ブランドと国内プレイヤーの併存の構図のなかで、輸入ブランドがどこまで国内市場で存在感を高めるか、国内プレイヤーがどう対応するかが、長期の論点になります。

よくある質問

宝飾品の輸入はどのくらい増えていますか?
財務省の貿易統計によると、宝飾品の輸入額は2021年の約2,144億円から2025年には約5,900億円へと、約2.7倍に増加しました。コロナ後の訪日需要の回復や円安、海外ブランドの国内展開が背景です。なお、これは輸入の通関額で、小売の市場規模とは集計の範囲が異なります。
宝飾品はどの国から多く輸入されていますか?
2025年は、フランス(約1,867億円)とイタリア(約1,367億円)の2か国で輸入総額の半分以上を占めます。アメリカ(約1,156億円)やスイス(約515億円)が続きます。フランス・イタリアは、カルティエやブルガリといった高級宝飾ブランドの本拠地・生産地です。
インバウンドは宝飾品の需要にどう影響していますか?
訪日外国人、とくに富裕層による高級宝飾の購入が増えています。観光庁の調査でも、訪日客の買物代のなかに宝石・貴金属の費目があり、免税販売も伸びています。ただし、宝飾品にしぼった訪日消費の連続データは乏しく、インバウンドの宝飾需要を金額で正確に追うことは難しいのが実情です。
カルティエやティファニーは日本でどう展開していますか?
カルティエやヴァンクリーフ&アーペルはスイスのリシュモン、ティファニーやブルガリはフランスのLVMHといったヨーロッパのラグジュアリーグループの傘下で、百貨店や路面店で高級宝飾を展開しています。これらは日本の宝飾事業単独の財務を公表しないため、国内の上場各社のような業績比較の対象にはなりません。
輸入のデータの出典は何ですか?
宝飾品の輸入額・輸出額・国別内訳は、財務省の普通貿易統計(宝飾品の通関額)が出典です。訪日客の買物に関する記述は、観光庁の訪日外国人消費動向調査を参考にしています。輸入額は仕入れの通関額で、小売の市場規模とは集計の範囲が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    財務省 普通貿易統計
  2. 2.
    観光庁 訪日外国人消費動向調査
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