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宝飾品業界の主要企業|上場各社の業績と非上場・輸入ブランド【2026年版】

宝飾品を主力とする上場企業はいずれも中小規模で、「4℃」のヨンドシーホールディングスが売上459億円で最も大きく、ツツミ・ナガホリが続きます。一方、高価格帯を支えるミキモトやカルティエなどのブランドは非上場または海外グループの傘下で、個別の財務は公表されていません。本ページでは、宝飾専業の上場各社の業績と、非上場・輸入ブランド、二次流通の位置づけを整理します。

宝飾専業の上場各社の業績と事業構成

宝飾品を主力とする上場5社の連結ベース。決算期は社により異なる(FY2025)

宝飾品を主力とする上場5社をFY2025の連結業績でみると、売上は「4℃」のヨンドシーHD(459億円)を最大に、ツツミ(248億円)、ナガホリ(229億円)、ベリテ(79億円)、クロスフォー(38億円)の順です。収益性をみると、小売のベリテがROE12.8%と各社で最も高く、規模の大きいヨンドシーHD(3.6%)やツツミ(2.9%)を上回ります。ただしツツミは、ROEこそ低いものの売上に対する純利益の比率は各社で高い水準にあり、ROEの低さは自己資本の厚さによるものです。製造卸のナガホリ(3.2%)や製造のクロスフォー(1.2%)は、相場高騰で原価が上がるなか収益性の確保が課題です。専門店として店頭で売る会社と、製造・卸を担う会社とで、収益の構造が分かれています。

ヨンドシーホールディングス
専門店SPA —「4℃」を全国展開
売上高
459億円
営業利益
19.6億円
純利益
13.8億円
ROE
3.6%
決算期
2月期
ツツミ
専門店+製造卸一貫 — 海外買付から小売まで
売上高
248億円
営業利益
24.1億円
純利益
19.9億円
ROE
2.9%
決算期
3月期
ナガホリ
製造卸 — 宝飾品の製造卸
売上高
229億円
営業利益
7.2億円
純利益
4.1億円
ROE
3.2%
決算期
3月期
ベリテ
専門店小売 —「ベリテ」
売上高
79億円
営業利益
8.8億円
純利益
5.7億円
ROE
12.8%
決算期
3月期
クロスフォー
製造 —「ダンシングストーン」の技術
売上高
38億円
営業利益
0.6億円
純利益
0.2億円
ROE
1.2%
決算期
7月期

専門店チェーン — ヨンドシーHD・ツツミ・ベリテ

宝飾品の専門店チェーンは、直営店で消費者に直接販売する小売を主軸とします。最大手のヨンドシーホールディングスは、「4℃(ヨンドシー)」ブランドのジュエリー専門店を製造小売(SPA)として全国展開し、FY2025の売上は459億円、営業利益は19.6億円です。ブライダルから日常使いの中価格帯までを扱い、アパレル・雑貨事業も併せ持ちます。

ツツミは「ジュエリーツツミ」を全国に直営展開し、海外での宝石の買い付けから製造・卸・小売までを一貫して手がけるのが特徴です。FY2025の売上は248億円、純利益19.9億円で、自社一貫体制によるコスト競争力を持ちます。ベリテは小売を主軸に売上79億円と規模は小さいものの、ROE12.8%と各社で最も高い収益性を示しており、店舗運営の効率の高さがうかがえます。

製造卸・製造 — ナガホリ・クロスフォー

製造卸・製造を主とする上場企業は、専門店や百貨店向けに宝飾品を供給します。ナガホリは宝飾品の製造卸で、FY2025の売上は229億円と売上規模では専門店大手に並びますが、卸が主体のため利益率は薄く、営業利益7.2億円・ROE3.2%です。

クロスフォーは、石が揺れる「ダンシングストーン」の技術やダイヤモンドの加工に強みを持つ製造企業で、売上38億円と小規模です。独自技術による差別化を図る一方、相場高騰下での原価上昇もあり、営業利益0.6億円・ROE1.2%と収益性の確保が課題です。なお製造卸では、製造卸大手の桑山がTOB(株式公開買付け)で完全子会社化され非上場になるなど、上場企業の数は限られます。

非上場ブランド・輸入ブランド — 財務は非開示

高価格帯の宝飾を支えるブランドの多くは、非上場または海外グループの傘下で、個別の財務は公表されていません。国内では、真珠の老舗であるミキモトが非上場で高級宝飾を展開し、TASAKI(旧・田崎真珠)は2017年のMBO(経営陣による買収)で上場廃止して非上場となりました。

海外ブランドでは、カルティエやヴァンクリーフ&アーペルがスイスのリシュモン傘下、ティファニーやブルガリがフランスのLVMH傘下として、百貨店や路面店で高級宝飾を展開しています。これらは訪日需要や富裕層に支えられた高価格帯の主力ですが、日本の宝飾事業単独の売上は公表されないため、上場各社のような財務比較の対象にはなりません。

ブランド宝飾を扱う二次流通(リユース)の主要企業

宝飾を含むリユース全般の会社。売上は宝飾専業と単純に比較できない(FY2025、連結)
コメ兵ホールディングス
リユース大手 — 中古ブランド宝飾・時計の買取販売
売上高
1,590億円
営業利益
61.8億円
純利益
47.8億円
ROE
15.6%
決算期
3月期
バリュエンスホールディングス
買取・リユース —「なんぼや」等
売上高
848億円
営業利益
14.5億円
純利益
6.8億円
ROE
9.8%
決算期
8月期
読み解き

中古のブランド宝飾の受け皿として、買取・リユースの二次流通が販路として広がっています。代表的な上場企業は、リユース大手のコメ兵ホールディングス(売上1,590億円)と、「なんぼや」などの買取を手がけるバリュエンスホールディングス(売上848億円)です。

ただし、両社の売上はブランド品全般のリユースによるもので、宝飾は事業の一部にすぎません。時計・バッグ・貴金属など幅広い中古品を扱うため、宝飾専業各社の売上と同じ列で単純に比較することはできません。それでも、相場高騰で中古の貴金属・宝飾の資産価値が高まるなか、二次流通は宝飾の販路として存在感を増しています。

主要論点

宝飾専業各社の収益性の差は何を示すか?

宝飾専業の上場各社は、売上の規模と収益性が必ずしも一致しません。売上最大のヨンドシーHDはROE3.6%、ツツミは2.9%である一方、売上79億円と小規模なベリテはROE12.8%と各社で最も高い水準です。

ただし、ROE(自己資本利益率=株主資本に対する利益の比率)の高低は、そのまま収益力の差を表すわけではありません。ツツミは売上に対する純利益の比率では各社で高い水準にありますが、自己資本が厚いためROEは低く出ます。ROEは資本の使い方の効率を映す指標で、自己資本をためこんだ会社ほど低く出やすいため、収益力をみるときは純利益率などと合わせて読む必要があります。

もう一段の差は、事業構成によるものです。製造・卸を抱える会社は、相場高騰で素材の原価が上がると利益が圧迫されやすく、ナガホリ(ROE3.2%)やクロスフォー(1.2%)は収益性の確保が課題です。一方、小売に絞って店舗運営の効率を高めた会社は、規模が小さくても高いROEを出せます。

したがって、宝飾品の上場企業を比べるときは、売上の規模だけでなく、専門店・製造卸・製造といった事業の性格と、純利益率やROEといった複数の指標を合わせて見ることが重要です。相場高騰が原価を押し上げるなか、値上げを販売価格にどう反映し、効率をどう保つかが各社の収益を左右します。

高級宝飾の主力が非上場・輸入ブランドなのはなぜか?

日本の宝飾品市場では、上場企業は中小規模にとどまり、高価格帯の主力は非上場の国内ブランドや海外ブランドです。ミキモトやTASAKIといった国内ブランド、カルティエやティファニーといった海外ブランドが高級宝飾を支えていますが、これらは上場していないか海外グループの傘下にあります。

背景には、宝飾品がブランド価値と職人技に依存する事業で、規模の拡大よりブランドの世界観や希少性を保つことが競争力に直結する点があります。上場による資金調達で量を追うより、非上場でブランドをコントロールするほうが、高級宝飾とは相性のよい面があります。TASAKIが2017年にMBOで非上場化したのも、こうした戦略の一例です。

また、カルティエやティファニーのような海外ブランドは、リシュモンやLVMHといった世界的なラグジュアリーグループの一員として展開しており、日本単独の財務は公表されません。このため、国内の上場各社の財務だけを見ても日本の高級宝飾市場の全体像はつかめず、非上場・海外ブランドの存在を含めて捉える必要があります。

二次流通(リユース)が宝飾の販路として広がる背景は?

近年、宝飾品の販路として二次流通(リユース)が存在感を増しています。コメ兵ホールディングスやバリュエンスホールディングスといったリユース企業が、中古のブランド宝飾や貴金属を買い取り、再販する経路を広げています。

背景の一つは、金・プラチナ相場の高騰です。相場が上がると手元の貴金属や宝飾品の資産価値が高まり、売却の動きが活発になります。買い取られた中古品は新品より手の届きやすい価格で再販されるため、相場高騰で新品が値上がりするなかでの受け皿にもなっています。

もう一つは、ブランド宝飾を資産として捉える見方の広がりです。中古でも価値が落ちにくいブランド宝飾は、買い替えや資産整理の対象になりやすく、二次流通の在庫を支えます。ただし、コメ兵やバリュエンスは時計・バッグなどを含むリユース全般の企業で、宝飾は事業の一部です。一次流通の専門店・ブランドと二次流通が並び立つ構造が、宝飾品の販路の特徴となっています。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、金・プラチナ相場の高騰下での価格戦略に左右されます。専門店は製品単価の上昇で売上を維持しやすい一方、製造卸は原価上昇のなかで利益率の確保が課題です。値上げをどこまで販売価格に反映できるかが、各社の収益を分けます。

中期3-5年

ブランド力と専門性による差別化が軸となります。ブライダルや資産性ジュエリー、インバウンド、二次流通といった領域での取り組みや、店舗とオンラインを組み合わせた販売が、規模の小さい上場各社の成長余地を左右します。

長期5-10年

少子化による婚姻件数の減少と人口の減少が、宝飾品の需要に構造的な逆風となります。上場各社の中小規模が続くなか、非上場の国内ブランド、海外ブランド、二次流通を含めた業界の構造がどう変化するか、M&Aや非上場化の動きも含めて長期の論点となります。

よくある質問

宝飾品業界の主要な上場企業はどこですか?
宝飾品を主力とする上場企業には、「4℃」のヨンドシーホールディングス(売上459億円)、専門店と製造卸を一貫して手がけるツツミ(248億円)、製造卸のナガホリ(229億円)、小売のベリテ(79億円)、製造のクロスフォー(38億円)があります(いずれもFY2025連結)。このほか、中古ブランド宝飾を扱う二次流通として、コメ兵ホールディングスやバリュエンスホールディングスが上場しています。
宝飾品で最も売上が大きい会社はどこですか?
宝飾品を主力とする上場企業では、「4℃」を展開するヨンドシーホールディングスが売上459億円(FY2025連結)で最大です。なお、リユース大手のコメ兵ホールディングスは売上1,590億円とこれを上回りますが、宝飾を含むリユース全般の会社で、宝飾専業ではありません。
ミキモトやカルティエの業績は分かりますか?
ミキモトやTASAKIは非上場、カルティエやティファニーは海外グループ(リシュモン・LVMH)の傘下のため、日本の宝飾事業単独の財務は公表されていません。これらの高級ブランドは国内の高価格帯を支える主力ですが、上場各社のような個別の業績比較の対象にはなりません。
宝飾専業と二次流通(リユース)の会社はどう違いますか?
宝飾専業(ヨンドシーHD・ツツミ・ナガホリ・ベリテ・クロスフォー)は、新品の宝飾品の製造・卸・小売を手がける会社です。一方、コメ兵ホールディングスやバリュエンスホールディングスは、中古のブランド宝飾・時計・バッグなどを買い取って再販するリユースの会社で、宝飾は事業の一部です。売上の規模も対象も異なるため、同じ列で単純に比較することはできません。
各社の業績データの出典は何ですか?
各社の連結財務(売上高・営業利益・純利益・ROE)は、EDINET(金融庁)で開示される有価証券報告書が出典で、FY2019-FY2025の値を用いています。決算期は社により2月期・3月期・7月期・8月期と異なります。非上場の国内ブランドや海外グループ傘下のブランドは、個別の財務が開示されていないため含みません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(金融庁)上場各社 有価証券報告書
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