市場の回復は数量の回復か、単価の上昇か?
国内の宝飾品小売市場は2020年の8,195億円から2025年に1兆1,741億円へ回復し、コロナ底から約43%戻りました。ただし、この回復の中身は販売数量の拡大ではなく、金・プラチナ相場の高騰による製品単価の上昇が中心です。
金やプラチナは宝飾品の主要な素材で、相場が上がると製品の原価が上がり、各社が販売価格を引き上げます。市場規模は小売金額ベースで集計されるため、同じ数量でも単価が上がれば金額は増えます。実際、ブライダルリングのように販売本数が横ばいでも、プラチナ高騰で金額ベースが伸びている領域があります。
単価主導の回復には注意も必要です。金額ベースの拡大が数量の伸びを伴わないため、相場が反落すれば市場規模が縮む可能性があります。また、価格の上昇で手が届きにくくなった層に向けた低価格帯と、資産性を重視した高価格帯への二極化も進んでいます。相場高騰がもたらした金額の回復を、数量やブランド価値の向上にどうつなげるかが課題です。