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宝飾品業界の市場規模|市場の長期縮小と近年の価格主導の回復【2026年版】

国内の宝飾品(ジュエリー)小売市場は2025年に1兆1,741億円となりました。1991年の3兆150億円をピークに長期的に縮小し、2020年に8,195億円まで落ち込んだのち、金・プラチナ相場の高騰による製品単価の上昇で回復しています。本ページでは、35年間の長期推移と、複数の統計でみた市場規模の捉え方を整理します。

国内小売市場(2025年)
11,741億円
金・プラチナ相場の高騰による単価上昇で回復、前年比+3.8%
出典: 矢野経済研究所 宝飾品市場調査
過去ピーク(1991年)
30,150億円
バブル期の過去最高、以降は長期的に縮小
出典: 矢野経済研究所 宝飾品市場調査
コロナ底(2020年)
8,195億円
新型コロナで落ち込んだ系列の最安、以降は持ち直し
出典: 矢野経済研究所 宝飾品市場調査
予測(2026年)
12,223億円
矢野経済研究所による2026年の予測値、前年比+4.1%
出典: 矢野経済研究所 宝飾品市場調査

国内宝飾品小売市場規模の推移(1991-2025年、億円)

1991年の3兆150億円をピークに長期縮小し、2020年の底から相場高騰で回復、2025年は1兆1,741億円
単位: 億円
010,00020,00030,00040,00030,1509120,7529513,7080012,677059,104109,691158,1952011,74125
出典: 矢野経済研究所 宝飾品市場調査(小売金額ベース)
19911992199319941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
市場規模億円30,15026,50023,60021,79920,75219,96417,98715,95414,56813,70813,55812,96112,53412,42112,67712,72811,98910,5389,2839,1048,9459,1109,6179,7269,6919,4139,4689,5679,8518,1959,62410,22710,46211,30611,741
前年比-12.1%-10.9%-7.6%-4.8%-3.8%-9.9%-11.3%-8.7%-5.9%-1.1%-4.4%-3.3%-0.9%+2.1%+0.4%-5.8%-12.1%-11.9%-1.9%-1.7%+1.8%+5.6%+1.1%-0.4%-2.9%+0.6%+1.0%+3.0%-16.8%+17.4%+6.3%+2.3%+8.1%+3.8%
読み解き

国内の宝飾品小売市場は、1991年に3兆150億円のピークを記録した後、長期的な縮小が続きました。バブル崩壊後に需要が落ち込み、2009年に約9,283億円、2011年に約8,945億円と、ピークの3割前後の水準まで縮小しました。2010年代は9,000億円前後で推移し、2020年には新型コロナの影響で8,195億円まで落ち込んで系列の最安となりました。

2021年以降は持ち直し、2024年に1兆1,306億円、2025年に1兆1,741億円へ回復しました。コロナ底からは約43%の戻りです。ただしこの回復は販売数量の拡大ではなく、金・プラチナ相場の高騰による製品単価の上昇が中心です。素材価格の上昇を受けて各社が販売価格を改定し、金額ベースが押し上げられています。

なお、この市場規模は宝飾時計や一部のシルバー製品を含む小売金額ベースの推計です。1991年の高い水準には当時の需要の大きさが反映されており、近年の金額の回復には相場上昇による単価の押し上げが含まれている点に注意が必要です。

複数の統計でみた宝飾品の市場規模

矢野経済研究所 小売市場推計
1兆1,741億円(2025年)
対象範囲
小売金額ベースの推計。宝飾時計や一部のシルバー製品も含む
経済構造実態調査 製造品出荷額
約1,776億円(2022年)
対象範囲
国内で貴金属・宝石製品を製造する事業所の出荷額
貿易統計 輸入額
約5,900億円(2025年)
対象範囲
宝飾品(貴金属製身辺用細貨類)の輸入の通関額
家計調査 アクセサリー支出
1世帯あたり4,417円(2024年)
対象範囲
二人以上世帯の年間支出。貴金属でない装身具も含む需要側の指標
読み解き

宝飾品の業界規模として広く参照されるのは、矢野経済研究所の小売市場推計(2025年1兆1,741億円)です。ただし規模を示す統計はこのほかにもあり、それぞれ捉えている範囲が異なります。矢野の推計は宝飾時計を含む小売の販売額、経済産業省の製造出荷額(2022年 約1,776億円)は国内で製造された分、財務省の貿易統計(2025年 約5,900億円)は宝飾品の輸入の通関額です。

これらは対象範囲も単位も異なり、直接比較したり合算したりすることはできません。製造出荷額は国内生産の一部で、輸入額は海外からの仕入れの通関額、小売市場は最終的な販売額をとらえています。家計調査のアクセサリー支出は、貴金属でない装身具も含む世帯あたりの需要を示す指標で、市場規模そのものではありません。市場の大きさを語るときは、どの統計のどの範囲を見ているかを区別する必要があります。

主要論点

市場の回復は数量の回復か、単価の上昇か?

国内の宝飾品小売市場は2020年の8,195億円から2025年に1兆1,741億円へ回復し、コロナ底から約43%戻りました。ただし、この回復の中身は販売数量の拡大ではなく、金・プラチナ相場の高騰による製品単価の上昇が中心です。

金やプラチナは宝飾品の主要な素材で、相場が上がると製品の原価が上がり、各社が販売価格を引き上げます。市場規模は小売金額ベースで集計されるため、同じ数量でも単価が上がれば金額は増えます。実際、ブライダルリングのように販売本数が横ばいでも、プラチナ高騰で金額ベースが伸びている領域があります。

単価主導の回復には注意も必要です。金額ベースの拡大が数量の伸びを伴わないため、相場が反落すれば市場規模が縮む可能性があります。また、価格の上昇で手が届きにくくなった層に向けた低価格帯と、資産性を重視した高価格帯への二極化も進んでいます。相場高騰がもたらした金額の回復を、数量やブランド価値の向上にどうつなげるかが課題です。

1991年ピークからの長期縮小はなぜ起きたのか?

宝飾品の小売市場は、1991年の3兆150億円をピークに長期的に縮小してきました。2009年には約9,283億円、2011年には約8,945億円と、ピークの3割前後まで落ち込み、2010年代は9,000億円前後で推移しました。

背景には、バブル期の高い需要が崩壊後に大きく後退したことがあります。高額な宝飾品の購買が減り、景気の低迷やデフレのなかで単価も伸び悩みました。あわせて、若年層を中心とした消費の変化や、ブライダル需要を支える婚姻件数の長期的な減少も、市場の縮小に影響しました。

近年は相場高騰による単価上昇で金額ベースが回復していますが、これは長期縮小からの「価格主導の戻り」であり、ピーク時の水準には届いていません。2025年の1兆1,741億円は1991年ピークの約39%にとどまります。市場の長期的な方向は、相場の動向と、ブライダルや資産性といった需要の変化に左右されます。

宝飾品の市場規模はどの統計でみるべきか?

宝飾品の市場規模を示す統計は複数あり、それぞれ捉えている範囲が違います。最も広く使われるのは矢野経済研究所の小売市場推計で、2025年は1兆1,741億円です。これは宝飾時計を含む小売金額ベースの推計で、国内の最終的な販売額に近い数字です。

一方、経済産業省の製造出荷額(2022年 約1,776億円)は国内で製造された分、財務省の貿易統計(2025年 約5,900億円)は輸入の通関額をとらえています。国内には海外から仕入れたブランド宝飾も多いため、製造出荷額は小売市場よりかなり小さく、輸入額は近年大きく伸びています。

これらは対象範囲が異なるため、直接比較したり合算したりすることはできません。市場の大きさを語るときは、政府にジュエリー専用の市場規模統計がないことを踏まえ、どの統計のどの範囲を見ているかを区別することが重要です。一般に業界規模として参照されるのは、矢野経済研究所の小売市場推計です。

中期見通し

近未来1-2年

市場規模は金・プラチナ相場の動向に左右されやすい局面が続きます。相場高騰が続けば製品単価の上昇で金額ベースの市場は底堅く推移しますが、相場が反落すれば金額の伸びは鈍ります。矢野経済研究所は2026年に1兆2,223億円を見込んでいます。

中期3-5年

数量の回復が課題として残ります。単価の上昇には購買者の負担という上限があり、価格だけで市場を伸ばし続けることは難しい面があります。ブライダルや資産性ジュエリー、インバウンド需要、そして二次流通といった領域で、どこまで需要の裾野を広げられるかが、市場規模を左右します。

長期5-10年

少子化による婚姻件数の減少や人口の減少が、宝飾品の需要に構造的な逆風となります。1991年ピークの水準に戻るのは難しい一方、相場や資産性を背景とした高価格帯、海外ブランドやインバウンド、二次流通の広がりが、市場をどう支えるかが長期の論点です。

よくある質問

日本の宝飾品(ジュエリー)市場の規模はどのくらいですか?
矢野経済研究所の調査によると、国内の宝飾品小売市場は2025年に1兆1,741億円(前年比+3.8%)でした。2026年は1兆2,223億円が見込まれています。これは宝飾時計を含む小売金額ベースの推計です。
宝飾品市場はピーク時からどれくらい縮小しましたか?
国内の宝飾品小売市場は、1991年の3兆150億円をピークに長期的に縮小しました。2010年代には9,000億円前後まで落ち込み、2020年には新型コロナの影響で8,195億円まで縮小しました。近年は相場高騰で回復していますが、2025年の1兆1,741億円はピークの約39%の水準です。
宝飾品市場が近年回復しているのはなぜですか?
近年の回復は、主に金・プラチナ相場の高騰による製品単価の上昇によるものです。素材価格の上昇を受けて各社が販売価格を改定し、金額ベースの市場規模が押し上げられています。販売数量が大きく伸びているわけではなく、単価の上昇が回復の中心です。
宝飾品の市場規模はどの統計をみればよいですか?
一般に業界規模として参照されるのは、矢野経済研究所の小売市場推計(2025年1兆1,741億円)です。このほかに経済産業省の製造出荷額(2022年 約1,776億円)や財務省の貿易統計の輸入額(2025年 約5,900億円)がありますが、対象範囲が異なるため直接比較や合算はできません。政府にジュエリー専用の市場規模統計はありません。
宝飾品の市場規模データの出典は何ですか?
国内の宝飾品小売市場規模は、矢野経済研究所「宝飾品(ジュエリー)市場に関する調査」が出典で、小売金額ベースで集計されています。製造の出荷額は経済産業省の経済構造実態調査、輸入額は財務省の貿易統計、世帯の支出は総務省の家計調査が出典です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    矢野経済研究所「宝飾品(ジュエリー)市場に関する調査」
  2. 2.
    経済産業省2022年経済構造実態調査(製造業事業所調査)
  3. 3.
    財務省 普通貿易統計
  4. 4.
    総務省 家計調査
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