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保育業界の市場規模|利用児童と待機児童の推移、出生数との関係【2026年版】

こども家庭庁の集計では、保育所等(認可保育所・認定こども園・小規模保育などの地域型保育事業の合計)は2026年4月1日に4万46か所、利用定員301万6,417人で、利用児童は264万6,756人でした(2026年は令和8年熊本地震の影響で熊本県内の自治体のデータが未確定のため、熊本県分を含んだまま今後修正される可能性のある暫定値)。施設は2015年から毎年増える一方、利用児童は2021年の274万2,071人を境に減り、待機児童は2,435人と9年ぶりに増えました。出生数は2025年に67万1,270人まで減っています。保育には毎年の売上統計が無いため、本ページでは受け皿の12年の推移、待機児童の14年の推移、出生数の実績と将来推計、集計の範囲で異なる3つの金額を整理します。

保育所等の施設数(2026年4月1日)
4万46か所
2015年の2万8,783か所から毎年増加
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ
保育所等の利用児童数(2026年4月1日)
264万6,756人
2021年の274万2,071人をピークに5年続けて減少。2026年は暫定値
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ
待機児童数(2026年4月1日)
2,435人
2017年の2万6,081人から減少し、2026年は前年比181人の増加
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ
定員充足率(2026年4月1日)
87.7%
利用児童÷利用定員(こども家庭庁の公表率)。2015年の93.8%から低下
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ

保育所等の利用児童数の推移(2015-2026年、千人)

各年4月1日時点。2026年は令和8年熊本地震の影響で熊本県分が未確定のまま集計した暫定値(今後修正の可能性あり)
単位: 千人
07501,5002,2503,0002,374152,4592,5472,6142,6802,737202,7422,7302,7172,7052,678252,64726
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ(各年4月1日、2015-2026年。2021年までの各年版は厚生労働省の公表、2021・2022年分の値は令和5年版の3か年表から収録)
年201520162017201820192020202120222023202420252026
保育所等利用児童数(千人)2,3742,4592,5472,6142,6802,7372,7422,7302,7172,7052,6782,647
前年比—+3.6%+3.6%+2.7%+2.5%+2.2%+0.2%-0.4%-0.5%-0.5%-1.0%-1.2%
読み解き

保育所等の利用児童は、2015年の237万3,614人から毎年増えて2021年に274万2,071人となった後、2022年から5年続けて減り、2026年4月1日には264万6,756人(前年比▲1.2%、▲は減少)になりました。減少が続いても2026年の水準は2015年を27万3,142人上回っており、受け皿が広がった10年余りで保育を使う子どもは大きく増えています。

利用児童が減り始めた背景には、出生数の減少があります。これまでは就学前の子どものうち保育所等を利用する割合が上がることで出生数の減少を補ってきましたが、2022年以降は補いきれなくなりました。出生数と利用率の動きは本ページの後半で示します。

このグラフに関連するトピック

利用定員・利用児童・定員充足率・保育所等利用率(2015-2026年)

各年4月1日時点。定員充足率は利用児童÷利用定員、保育所等利用率は就学前の子ども全体のうち保育所等を利用している割合(いずれもこども家庭庁の公表率)。利用率は公表の無い年を「—」で示す
2015年
利用定員(人)
2,531,692
利用児童(人)
2,373,614
定員充足率(%)
93.8
保育所等利用率(%)
37.9
2016年
利用定員(人)
2,634,510
利用児童(人)
2,458,607
定員充足率(%)
93.3
保育所等利用率(%)
39.9
2017年
利用定員(人)
2,735,238
利用児童(人)
2,546,669
定員充足率(%)
93.1
保育所等利用率(%)
42.4
2018年
利用定員(人)
2,800,579
利用児童(人)
2,614,405
定員充足率(%)
93.4
保育所等利用率(%)
44.1
2019年
利用定員(人)
2,888,159
利用児童(人)
2,679,651
定員充足率(%)
92.8
保育所等利用率(%)
45.8
2020年
利用定員(人)
2,967,328
利用児童(人)
2,737,359
定員充足率(%)
92.2
保育所等利用率(%)
47.7
2021年
利用定員(人)
3,016,918
利用児童(人)
2,742,071
定員充足率(%)
90.9
保育所等利用率(%)
—
2022年
利用定員(人)
3,044,399
利用児童(人)
2,729,899
定員充足率(%)
89.7
保育所等利用率(%)
—
2023年
利用定員のピーク
利用定員(人)
3,050,928
利用児童(人)
2,717,335
定員充足率(%)
89.1
保育所等利用率(%)
52.4
2024年
利用定員(人)
3,044,678
利用児童(人)
2,705,058
定員充足率(%)
88.8
保育所等利用率(%)
54.1
2025年
利用定員(人)
3,029,282
利用児童(人)
2,678,417
定員充足率(%)
88.4
保育所等利用率(%)
55.7
2026年
暫定値
利用定員(人)
3,016,417
利用児童(人)
2,646,756
定員充足率(%)
87.7
保育所等利用率(%)
—
読み解き

利用定員は2023年4月1日の305万928人をピークに2026年まで減り、定員充足率は2015年の93.8%から2026年の87.7%へ下がって、2015年以降で最も低くなりました。一方、就学前の子どものうち保育所等を利用する割合(保育所等利用率)は37.9%から55.7%(2025年)へ上がり続けています。こども家庭庁は、年度途中の入所に備えて4月時点で空きを設けている保育所もあるため、数値だけで各保育所の状況は判断できないと注記しています。定員割れが広がる地域差と経営への影響は、定員割れと処遇改善のページで扱います。

保育所等の施設数の推移(2015-2024年、か所、種類別)

各年4月1日時点、こども家庭庁の区分。保育所と幼保連携型認定こども園は合算で公表。2025・2026年は種類別の施設数が公表されていないため、総数(2025年3万9,975か所、2026年4万46か所)のみ本文に記載
単位: か所
保育所・幼保連携型認定こども園幼稚園型認定こども園等地域型保育事業
010,00020,00030,00040,00028,7831530,8591632,7931734,7631836,3451937,6522038,6662139,2442239,5892339,80524
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ(各年4月1日、2015-2024年。2021年までの各年版は厚生労働省の公表、2021・2022年分の値は令和5年版の3か年表から収録)
年2015201620172018201920202021202220232024
保育所・幼保連携型認定こども園(か所)25,46426,23727,02927,91628,71329,46129,98530,37430,60030,687
幼稚園型認定こども園等(か所)5827438711,0331,1751,2801,3391,3961,4771,602
地域型保育事業(か所)2,7373,8794,8935,8146,4576,9117,3427,4747,5127,516
合計(か所)28,78330,85932,79334,76336,34537,65238,66639,24439,58939,805
前年比—+7.2%+6.3%+6.0%+4.6%+3.6%+2.7%+1.5%+0.9%+0.5%
読み解き

保育所等の施設は2015年の2万8,783か所から2024年の3万9,805か所、2026年の4万46か所へ毎年増えました。2024年までの種類別の内訳をみると、小規模保育などの地域型保育事業が2,737か所から7,516か所へ、幼稚園型認定こども園等(認定こども園は教育と保育を一体で行う施設で、幼保連携型・幼稚園型などの類型があります)が582か所から1,602か所へ増え、保育所と幼保連携型認定こども園の合計も2万5,464か所から3万687か所へ増えています。受け皿の拡大は、保育所の増設だけでなく、認定こども園と小規模保育が担ってきました。

幼稚園は本ページの対象外ですが、文部科学省の学校基本調査(各年5月1日)では幼稚園が2015年の1万1,674園から2025年の8,225園へ減り、同じ調査の幼保連携型認定こども園は1,943園から7,673園へ増えました。認定こども園の4つの類型と、幼稚園や認可保育所からの移行の仕組みは業界構造のページで整理します。

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施設の種類別の利用定員と利用児童(2025・2026年4月1日)

こども家庭庁の集計。2026年は暫定値。種類別の定員充足率は公表されていない
保育所
利用定員(人、2025年)
2,072,235
利用児童(人、2025年)
1,815,308
利用定員(人、2026年)
2,025,892
利用児童(人、2026年)
1,762,124
幼保連携型認定こども園
利用定員(人、2025年)
751,004
利用児童(人、2025年)
684,957
利用定員(人、2026年)
774,897
利用児童(人、2026年)
700,488
幼稚園型認定こども園等
利用定員(人、2025年)
87,244
利用児童(人、2025年)
81,596
利用定員(人、2026年)
97,065
利用児童(人、2026年)
87,938
地域型保育事業
小規模保育・家庭的保育など
利用定員(人、2025年)
118,799
利用児童(人、2025年)
96,556
利用定員(人、2026年)
118,563
利用児童(人、2026年)
96,206
合計(保育所等)
公表値
利用定員(人、2025年)
3,029,282
利用児童(人、2025年)
2,678,417
利用定員(人、2026年)
3,016,417
利用児童(人、2026年)
2,646,756
読み解き

2026年4月1日の利用定員301万6,417人の内訳は、保育所202万5,892人、幼保連携型認定こども園77万4,897人、幼稚園型認定こども園等9万7,065人、地域型保育事業11万8,563人です。2025年と比べると、保育所の定員と利用児童は減り、幼保連携型認定こども園と幼稚園型認定こども園等は定員も利用児童も増えました。種類別の定員充足率は公表されていないため、本ページでは全国の公表率のみを示しています。

待機児童数の推移(2013-2026年、人)

各年4月1日時点。2026年は熊本県分が未確定のまま集計した暫定値(今後修正の可能性あり)
単位: 人
07,50015,00022,50030,00022,7411321,37123,1671523,55326,08119,89516,77212,439205,6342,9442,6802,5672,254252,43526
出典: こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ(各年4月1日、2013-2026年。令和8年版に収録の推移表の値)
年20132014201520162017201820192020202120222023202420252026
待機児童数(人)22,74121,37123,16723,55326,08119,89516,77212,4395,6342,9442,6802,5672,2542,435
前年比—-6.0%+8.4%+1.7%+10.7%-23.7%-15.7%-25.8%-54.7%-47.7%-9.0%-4.2%-12.2%+8.0%
読み解き

待機児童は2013年の2万2,741人から、2014年の減少をはさんで2017年の2万6,081人まで増えた後、2018年から2025年まで毎年減り、2025年には2,254人になりました。2026年4月1日は2,435人(前年比181人の増加)と、2017年以来9年ぶりに増えています。待機児童のいる市区町村は189で、前年から22減りました。

2026年の待機児童の内訳は、3歳未満が2,337人(96.0%)で、うち1・2歳が2,117人(待機児童全体の86.9%)です。首都圏・近畿圏の7都府県と指定都市・中核市を合わせた都市部に1,838人(75.5%)がおり、東京都は1,113人です。こども家庭庁が待機児童の多い自治体に聞き取りをしたところ、解消できなかった主な要因として申込者数の想定以上の増加や利用定員の不足、保育人材の確保の難しさが挙げられ、都内の自治体からは2025年9月に始まった保育料の第一子無償化による保育需要の増加が影響したと考えられるとの回答がありました。減った自治体へのアンケートでは、受け皿の拡大のほか、申込者数が見込みを下回ったことが多く挙げられています。

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保育の申込者の内訳(2026年4月1日)

こども家庭庁の集計(2026年は暫定値)。待機児童は、申込者から保育所等や特例保育などの利用者と4つの区分を除いた数
保育所等を利用
人数(人)
2,646,756
内容
認可保育所・認定こども園・小規模保育などを利用している児童。待機児童に含めない
特例保育などを利用
人数(人)
19,042
内容
幼稚園の預かり保育や企業主導型保育事業などを利用している児童。待機児童に含めない
特定の園だけを希望
人数(人)
37,672
内容
他に利用できる園があっても特定の園だけを希望している。待機児童に含めない4つの区分の1つ
育児休業中
人数(人)
14,664
内容
保護者が育児休業中。同じく待機児童に含めない区分
自治体の独自事業を利用
人数(人)
4,841
内容
自治体が独自に補助する保育を利用している。同じく待機児童に含めない区分
求職活動を休止
人数(人)
4,271
内容
保護者が求職活動を休止している。同じく待機児童に含めない区分
待機児童
人数(人)
2,435
内容
申込者のうち上の6つに当てはまらない児童
申込者の合計
公表値
人数(人)
2,729,681
内容
保育の利用を申し込んでいる児童の合計
読み解き

待機児童とは、保育の申込者272万9,681人のうち、保育所等を利用している264万6,756人と特例保育など(幼稚園の預かり保育や企業主導型保育事業など)を利用している1万9,042人、そして特定の園だけを希望している3万7,672人・育児休業中の1万4,664人・自治体の独自事業を利用している4,841人・求職活動を休止している4,271人の計6万1,448人を除いた数です。申込者は2016年の255万9,465人から2020年の284万2,208人まで増えた後、2026年は272万9,681人に減っています。本ページでは、除いた4つの区分を待機児童に足し戻した独自の数字は作っていません。

出生数の推移(2015-2025年、千人)

日本における日本人の出生数(確定数)。2025年は2026年9月公表の確定数
単位: 千人
03757501,1251,5001,0061597716946179181886519841208122177122727236862467125
出典: 厚生労働省 人口動態統計(令和7年 確定数)
年20152016201720182019202020212022202320242025
出生数(千人)1,006977946918865841812771727686671
前年比—-2.8%-3.2%-2.9%-5.8%-2.8%-3.5%-5.0%-5.6%-5.7%-2.2%
読み解き

出生数(日本における日本人、確定数)は2015年の100万5,721人から2016年以降10年続けて減り、2025年は67万1,270人(前年比▲2.2%)と、統計のある1899年以降で最も少なくなりました。合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数に相当する指標)は1.14です。

出生数が10年で33万4,451人減ったのに対し、保育所等の利用児童は2021年まで増え、2026年も2015年を上回っています。こども家庭庁は、保育の需要は出生数だけでなく女性の就業率や保育所等の利用率で決まると説明しており、利用率の上昇が出生数の減少を補ってきたことが人数の動きに表れています。ただし2022年以降は利用児童も減り始めており、出生数の減少が受け皿の需要に及ぶ局面に入っています。

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出生数の将来推計(2025-2070年、千人)

国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生と死亡の見通しをそれぞれ中程度に置いた「出生中位・死亡中位」の仮定、2020年国勢調査を基準)。総人口を対象とした推計で、上の実績(日本人)とは対象も違う。5年ごとの値を原典の単位(千人)で表示
単位: 千人
020040060080077425774307553571840672456165056655538605216550070
出典: 国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(令和5年推計)表1-8
年2025203020352040204520502055206020652070
推計出生数(千人)774774755718672616566538521500
読み解き

国立社会保障・人口問題研究所の推計(出生中位・死亡中位)では、出生数は2030年に77.4万人、2040年に71.8万人、2050年に61.6万人、2070年に50.0万人となる見通しです。推計では2030年ごろまで77万人台で推移した後、2030年代以降は減少が続きます。

推計は2020年の国勢調査を基準に出生と死亡の仮定を置いたもので、各年の実績とは一致しません。推計の2025年の値は77.4万人で、実績の67万1,270人はすでにこれを下回っています(推計は総人口、実績は日本人を対象とするため、差の一部は対象の違いによります)。このため実績と推計は別のグラフで示し、つなげて読まないようにしています。推計は前提次第で変わるため、今後の実績が推計を下回り続ける可能性も含めて幅を持って読む必要があります。

お金の規模を測る3つの数字

対象と年が異なるため、同じグラフに載せたり足したり比率を出したりはせず、範囲を付して並べる
経済センサス‐活動調査(保育所、民営)
5年ごとの全数調査
金額(億円)
24,748
基準年
2021年調査(売上は2020年の1年間)
集計の範囲
民営の保育所2万6,135事業所の売上。市町村からの委託費・給付と保護者の負担を含む。公立の保育所と幼保連携型認定こども園(売上は非公表)は含まない。事業所を単位に数えるため施設数とは一致しない
保育関係予算(国費)
国の予算額
金額(億円)
25,731
基準年
2026年度(当初予算)
集計の範囲
国の予算額のみ。うち市町村が施設に支給する給付の国負担分1兆8,758億円、企業が設置し国が助成する企業主導型保育事業2,411億円。地方の負担と保護者の負担を含まず、市場規模ではない
矢野経済研究所 保育・幼児教育市場(推計)
民間調査会社の推計
金額(億円)
46,833
基準年
2021年度
集計の範囲
保育園・学童保育・ベビーシッター・プリスクール・私立幼稚園・幼児英才教育・幼児体育・外国語教室・通信教育の9分野の合計。保育園だけの金額は公表されていない
読み解き

保育の市場規模として引用される数字は、集計の範囲によって大きく3つあります。2021年の経済センサスでは民営の保育所2万6,135事業所の売上が2兆4,748億円(2020年の実績、市町村からの委託費・給付と保護者の負担を含む)、国の保育関係予算は2026年度に2兆5,731億円(国費のみ、うち市町村が施設に支給する給付の国負担分1兆8,758億円)、矢野経済研究所の推計では保育園・学童保育・ベビーシッター・私立幼稚園・習い事など9分野の合計が4兆6,833億円(2021年度)です。対象が違うため数字の差は市場の変化ではなく、どこまでを数えるかの違いです。

保育所の費用は、こども家庭庁の資料(2026年4月)では概ね保護者が支払う保育料と公費が2対8で、3〜5歳児の保育料は2019年10月から無償です。公費に支えられる事業であるため、国の予算額は市場の大きさではなく公費の規模を示します。毎年の推移を追える売上統計が無いことが保育の特徴で、本ページと業界トップページでは利用児童数と施設数で受け皿の動きを追っています。

保育所等の運営に要する費用(2008-2017年度、億円)

厚生労働省が2017年に公表した参考資料。各年度の予算(公費)ベースで、現在の保育関係予算とは範囲が異なるためつなげて読まない
2008年度
運営費(億円)
6,553
2009年度
運営費(億円)
6,662
2010年度
運営費(億円)
7,067
2011年度
運営費(億円)
7,488
2012年度
運営費(億円)
7,924
2013年度
運営費(億円)
8,853
2014年度
運営費(億円)
9,705
2015年度
運営費(億円)
11,679
2016年度
運営費(億円)
12,776
2017年度
運営費(億円)
15,020
読み解き

受け皿が広がった時期に公費がどう増えたかを示す参考として、旧資料の系列を置いています。厚生労働省が2017年に公表した参考資料によると、保育所等の運営に要する費用(各年度の予算、公費ベース)は2008年度の6,553億円から2017年度の1兆5,020億円へ増え、同省は待機児童解消加速化プラン(2013年度に始まった国の待機児童対策)の策定前である2012年度(7,924億円)と比べて約2倍になったと説明しています。利用率(特に1・2歳児)の上昇と、保育士等の処遇改善をはじめとする質の向上が増加の理由とされています。この系列は旧資料の集計で、現在の保育関係予算とは範囲が異なるためつなげて読みません。

主要論点

利用児童はこのまま減り続けるのか、利用率の上昇はどこまで補うのか?

保育所等の利用児童は2021年の274万2,071人から2026年の264万6,756人へ5年続けて減りました。需要の土台である出生数は2015年の100万5,721人から2025年の67万1,270人へ減っており、就学前の子どものうち保育所等を利用する割合が37.9%から55.7%へ上がったことが、利用児童の減少を出生数の減少より緩やかにしてきました。市区町村の計画では保育の申込者は2027年に272万5,338人、2029年に267万572人まで減る見込みで、こども家庭庁は計画上の申込者が2025年から2029年にかけて約9.5万人減ると説明しています。

利用率が上がる余地は、保育料が無償化されている3〜5歳児より、0〜2歳児に残っています。待機児童の96.0%が3歳未満であることも、低年齢の需要がなお強いことを示しています。ただし出生数はすでに推計の2025年の値(77.4万人、総人口を対象)を下回る67万1,270人(日本人)まで減っており、推計でも2040年に71.8万人、2050年に61.6万人へ減る見通しです。このため、利用率の上昇だけでは利用児童の減少を補えないとみられます。

利用児童が減る局面では、施設数が増え続けてきた分だけ空きが広がります。定員充足率はすでに2015年以降で最も低い87.7%にあり、受け皿を増やす段階から、既存の受け皿をどう使うかを考える段階へ移っています。

待機児童と定員割れは同時に続くのか?

2026年の待機児童2,435人のうち75.5%は首都圏・近畿圏と指定都市・中核市の都市部にあり、96.0%は3歳未満です。東京都の待機児童は1,113人でした。一方で定員充足率は全国87.7%、都市部90.9%、過疎地域(過疎法の全部過疎市町村)72.7%で、都市部でも1割近くの空きがあります。

こども家庭庁の聞き取りでは、2026年に待機児童を解消できなかった主な要因として、申込者数の想定以上の増加や計画していた利用定員の不足、保育人材の確保の難しさが挙げられました。都内の自治体からは、2025年9月に始まった保育料の第一子無償化による保育需要の増加が影響したと考えられるとの回答がありました。待機児童が減った自治体では、受け皿の拡大のほか、申込者数が見込みを下回ったことが多く挙げられています。

都市部・低年齢の局所的な不足と、全国的な空きが併存する局面が当面続くとみられます。待機児童が2,000人台まで減った今、受け皿の量を増やす段階から、地域と年齢で受け皿の配分を見直す段階へ移っています。

保育の市場規模をどう測るべきか、何を見れば業界の伸び縮みが分かるのか?

保育の市場規模は、集計の範囲で2兆4,748億円(民営の保育所の売上、2021年経済センサス・2020年実績)、2兆5,731億円(国の保育関係予算、2026年度・国費のみ)、4兆6,833億円(民間推計、9分野の合計、2021年度)と大きく違います。どれが正しいかではなく、何を数えているかの違いです。保育所の費用は概ね保育料と公費が2対8で、毎年追える公的な売上統計はありません。

年次で追える指標は、こども家庭庁が毎年4月1日時点で集計する利用児童数・施設数・利用定員と、国の保育関係予算です。本ページと業界トップページの推移はこの人数と施設数で追っています。事業計画や投資判断で金額を引用するときは、どの範囲の数字かを必ず添える必要があります。

民営の保育所の売上が2兆4,748億円からどう動いたかは、次回の経済センサス(2026年調査、売上は2025年実績)の公表で分かります。それまでは、利用児童数の減少と施設数の増加を併せて読み、人数の動きを規模の代わりに追うことが現実的です。

中期見通し

近未来1-2年

2027年4月1日の集計で、2026年の暫定値が確定する見込みです。市区町村の計画では2027年の申込者は272万5,338人と、2026年の272万9,681人より減る見込みです。2025年9月に始まった保育料の第一子無償化の影響が、2027年の待機児童にどう表れるかが焦点になります。

中期3-5年

市区町村の計画では2029年の申込者は267万572人で、こども家庭庁は計画上の申込者が2025年から約9.5万人減ると説明しています。推計の出生数は2030年に77.4万人ですが、2025年時点で実績が推計を下回っており、申込者も推計より早く減る可能性があります。定員規模の見直しと、施設の統合や閉園の判断は定員割れと処遇改善のページで扱います。

長期5-10年

推計では出生数は2035年に75.5万人まで減り、その後も減少が続く見通しです。国は2026年度に、3〜5歳児だけを預かる小規模保育事業と過疎地の小規模施設向けの加算を設けており、受け皿の量を増やす段階から、地域と年齢に応じて受け皿を配分する段階へ移っています。

よくある質問

保育業界の市場規模はいくらですか?
保育には毎年の売上統計が無く、集計の範囲によって3つの数字があります。2021年の経済センサスでは民営の保育所2万6,135事業所の売上が2兆4,748億円(2020年の実績)、国の保育関係予算は2026年度に2兆5,731億円(国費のみ)、矢野経済研究所の推計では保育園や学童保育など9分野の合計が4兆6,833億円(2021年度)です。範囲が違うため足したり比べたりはせず、毎年の推移は保育所等の利用児童数(2026年4月1日に264万6,756人)で追います。
保育所等の利用児童数はいつから減っていますか?
2021年4月1日の274万2,071人がピークで、2022年から5年続けて減り、2026年は264万6,756人(暫定値)です。それでも2015年の237万3,614人より多く、施設は4万46か所と毎年増えています。
待機児童とは何を数えた数字ですか? 2026年に増えたのはなぜですか?
待機児童は、保育の申込者272万9,681人のうち、保育所等や特例保育などを利用している人と、特定の園だけを希望している人・育児休業中の人など4つの区分(計6万1,448人)を除いた数で、2026年4月1日に2,435人です。2017年の2万6,081人から減り続けた後、2026年は9年ぶりに増えました。こども家庭庁の聞き取りでは、申込者数の想定以上の増加や利用定員の不足、保育人材の確保の難しさが要因に挙げられ、都内の自治体からは保育料の第一子無償化による需要の増加が影響したと考えられるとの回答がありました。待機児童の75.5%は都市部に、96.0%は3歳未満にあります。
出生数が減っているのに、利用児童の減り方が緩やかなのはなぜですか?
就学前の子どものうち保育所等を利用する割合(保育所等利用率)が、2015年の37.9%から2025年の55.7%へ上がったためです。出生数は2015年の100万5,721人から2025年の67万1,270人へ減りましたが、利用率の上昇が減少を補い、利用児童は2021年まで増え、2026年も2015年を上回っています。ただし2022年以降は利用児童も減り始めています。
国の保育関係予算2兆5,731億円は市場規模ですか?
市場規模ではありません。国の予算額のみで、地方の負担や保護者の負担を含まないためです。保育所の費用は概ね保護者が支払う保育料と公費が2対8で、2026年度の予算のうち市町村が施設に支給する給付の国負担分は1兆8,758億円です。経済センサスの民営の保育所の売上(2兆4,748億円、2020年の実績)とは別の数字で、足したり比べたりはしません。

参考資料 / 一次ソース

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