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保育業界の主要企業|上場各社の業績と施設数、買収の動きを比較【2026年版】

保育施設を運営する上場企業は、JPホールディングス・グローバルキッズCOMPANY・さくらさくプラス・Smile Holdings・ポピンズの保育施設の運営が主な5社と、人材・介護・障害福祉と兼営するライク・テノ.ホールディングス・AIAIグループの3社です。連結売上は145.2億円から673.2億円まで開きがありますが、ライクやテノの連結には保育以外が含まれます。公定価格(国と自治体が定める施設への支払い単価)で1人当たりの収入が決まる事業では成長の手段が施設数の拡大と買収に向かい、2025年7月から2026年9月にかけてアソシエ・アカデミー、きららグループ、WITHホールディングス、こどもファースト・ジャパン、ハビーの買収が完了し、ピジョンハーツの取得が決まりました。本ページでは8社の連結業績、保育セグメント、運営施設数と買収の動きを、集計の範囲の違いを付して比べます。

上場8社の連結業績と運営施設数

有価証券報告書の連結値と保育セグメント売上(百万円を億円に四捨五入)。決算期は3月期(JPホールディングス・Smile・AIAI)、5月期(ライク)、7月期(さくらさくプラス)、9月期(グローバルキッズ)、12月期(ポピンズ・テノ)で、最も離れたさくらさくプラスの2025年7月期とライクの2026年5月期は10か月ずれる。さくらさくプラスの2026年7月期は有価証券報告書が2026年10月16日時点で未提出のため前期の値。運営施設数は各社の公表値で、保育所だけを数える会社と学童・介護・療育を含めて数える会社がある(内訳は各社の項)。営業利益と純利益の差には特別損益や税金が含まれる

保育施設の運営が主な5社の連結売上はJPホールディングスの433.3億円が最も大きく、ポピンズ344.1億円、グローバルキッズ270.0億円、さくらさくプラス183.9億円、Smile145.2億円と続きます。兼営3社は保育セグメントで見ると、ライクの子育て支援サービス358.1億円、テノの保育サービス136.2億円で、AIAIは2024年3月期から単一セグメントのため保育だけの売上は開示されていません。株主の資本に対する利益の割合を示すROEは8社の中でAIAIの20.5%が最も高く、総資産に占める返済不要の資本の割合である自己資本比率はJPホールディングスの60.0%からAIAIの12.1%まで開きがあります。AIAIの自己資本比率が前期の22.5%から低下したのは、きららグループの買収で借入と総資産が増えたためです。運営施設数は、JPホールディングスが学童クラブや児童館を含めて345施設、テノが保育事業だけで314施設、さくらさくプラスが保育所だけで89施設と数える範囲が異なるため、本ページでは施設数を社どうしで足したり順位を付けたりしません。表の施設数は財務の決算期と時点が異なる行があり、施設当たりの売上などは計算できません。

JPホールディングス
保育施設の運営が主、給食・研修を含む(2026年3月期)
連結売上
433.3億円
保育セグメント売上
—
営業利益
65.3億円
純利益
42.9億円
ROE
20.2%
自己資本比率
60.0%
運営施設数
345施設(2026年3月末)
グローバルキッズCOMPANY
保育施設の運営が主(2025年9月期)
連結売上
270.0億円
保育セグメント売上
—
営業利益
8.6億円
純利益
0.7億円
ROE
0.9%
自己資本比率
38.4%
運営施設数
209施設(2025年9月末)
さくらさくプラス
保育施設の運営が主。2026年7月期の有価証券報告書は未提出(2025年7月期)
連結売上
183.9億円
保育セグメント売上
—
営業利益
11.4億円
純利益
6.1億円
ROE
11.0%
自己資本比率
43.9%
運営施設数
89施設(2026年7月末)
Smile Holdings
保育施設の運営が主。WITHホールディングスの連結前(2026年3月期)
連結売上
145.2億円
保育セグメント売上
—
営業利益
3.7億円
純利益
2.2億円
ROE
3.5%
自己資本比率
36.8%
運営施設数
184施設(2026年6月末、WITHを含む)
ポピンズ
保育・学童が主、ベビーシッターを含む(2025年12月期)
連結売上
344.1億円
保育セグメント売上
252.8億円
営業利益
18.4億円
純利益
11.4億円
ROE
12.9%
自己資本比率
56.1%
運営施設数
325施設(2025年12月末)
ライク
人材・介護を含む連結(2026年5月期)
連結売上
673.2億円
保育セグメント売上
358.1億円
営業利益
29.8億円
純利益
23.3億円
ROE
12.7%
自己資本比率
46.1%
運営施設数
415施設(2026年5月期末)
テノ.ホールディングス
介護・料理教室を含む連結(2025年12月期)
連結売上
181.3億円
保育セグメント売上
136.2億円
営業利益
6.3億円
純利益
1.1億円
ROE
6.2%
自己資本比率
17.3%
運営施設数
314施設(保育事業、2025年12月末)
AIAIグループ
保育と療育。2024年3月期から単一セグメント(2026年3月期)
連結売上
146.3億円
保育セグメント売上
—
営業利益
11.1億円
純利益
6.2億円
ROE
20.5%
自己資本比率
12.1%
運営施設数
188施設(2026年3月末、きららを含む)

JPホールディングス — アスク保育園を核に、学童クラブと児童館を広げる

子会社の日本保育サービスが「アスク」の名称で認可保育所や学童クラブを運営する持株会社で、保育施設の運営が主な上場5社の中で連結売上が最も大きい会社です。2026年3月期の連結売上は433.3億円で前期の411.5億円から増加しました。営業利益は65.3億円(前期58.1億円)、純利益は42.9億円で、ROEは20.2%、自己資本比率は51.9%から60.0%へ上昇しました。連結には保育施設向けの給食や研修の事業も含みますが、有価証券報告書では子育て支援事業の単一セグメントとして開示しています。清掃・レンタルのダスキンが発行済株式の約3割(2026年3月末時点、有価証券報告書の大株主の状況)を持つ筆頭株主で、2023年から業務提携をしています。

運営施設は2026年3月末に345施設で、内訳は保育園203園、認定こども園6園、学童クラブ118施設、児童館16施設、交流館2施設です。1年前の2025年3月末(320施設)と比べると、保育園は205園から203園へ減り、学童クラブは96施設から118施設へ増えました。保育園の減少は閉園だけでなく、認可保育園を認定こども園やバイリンガル保育園へ移行した分を含みます。2026年4月1日の開設と移行を反映した2026年4月末の運営施設は357施設で、内訳は保育園196園(3月末の203園から減り、うち5園は認定こども園へ移行)、認定こども園11園、学童クラブ118施設、東京都認証学童クラブ12施設、児童館17施設、インターナショナルスクール1施設、交流館2施設です。在籍児童数や定員充足率の数値は公表していません。

利用児童が減る局面でも売上と利益を伸ばしているのは、保育園の新設ではなく、自治体から受託する学童クラブ・児童館の拡大と、既存園の認定こども園・バイリンガル園・スポーツ保育園への転換で1園当たりの収入を保つ組み合わせによるものです。2025年から2026年にかけて他社が買収で連結の範囲を広げたのに対し、JPホールディングスは大型の買収を行っておらず、自己資本比率が8社で1位の水準にあることが、借入に頼らずに学童や受託を積み上げる余力になっています。

グローバルキッズCOMPANY — 東京都の認可保育所を軸に、アソシエ・アカデミーを買収

東京都と神奈川県を中心に認可保育所を運営し、2025年9月期の連結売上は270.0億円(前期264.5億円)、営業利益8.6億円、純利益0.7億円です。ROEは0.9%と8社の中で8位で、自己資本比率は前期の52.5%から38.4%へ低下しました。子育て支援事業の単一セグメントで、保育所の運営に学童クラブや児童館の受託を加えた構成です。

運営施設は2025年9月末に209施設で、認可保育所168施設(東京都136、神奈川県30、千葉県2)、東京都認証保育所(東京都が独自の基準で認証する認可外の保育所)・認定こども園など8施設、学童クラブ・児童館25施設、その他8施設です。保育所の在籍園児は10,391人(2025年9月)で、2025年9月に東京都が始めた0〜2歳児の第一子保育料無償化が入所率の改善に寄与したと会社は説明しています。

2025年7月31日に、東京都目黒区を中心に保育所24施設と学童クラブ14施設などを運営するアソシエ・アカデミーの全株式を32.0億円(費用を含めて32.2億円)で取得しました。アソシエの売上は2025年3月期に55.5億円で、みなし取得日を2025年9月30日としたため2025年9月期は貸借対照表だけを連結し、損益への反映は2026年9月期からです。買収額のうち相手の純資産を上回る部分である「のれん」を20年で償却する一方、2025年には認可保育所2施設と小規模保育1施設を社会福祉法人へ譲渡しており、同じ会社の中で買収による拡大と施設の整理が並行しています。

さくらさくプラス — 東京都を中心に保育所89施設、2026年7月期は減収

「さくらさくみらい」の名称で認可保育所を運営し、2025年7月期の連結売上は183.9億円(前期172.1億円)、営業利益11.4億円、純利益6.1億円、ROE11.0%、自己資本比率43.9%です。子ども・子育て支援事業の単一セグメントで、保育所向けの不動産やコンサルティングも手がけます。2026年9月に公表した2026年7月期の決算短信では売上175.9億円、営業利益9.8億円、純利益6.5億円、自己資本比率39.7%と減収になりました。有価証券報告書は2026年10月16日時点で未提出(提出予定日2026年10月22日)のため、本ページの表は2025年7月期の値です。

運営施設は2026年7月末に保育所89施設(1年前は88施設)で、88施設が認可保育所、1施設が東京都認証保育所です。保育所の利用者は4,929人(1年前は4,899人)で、2026年4月に大阪市で1施設を開設し、2027年4月には東京都中央区で1施設の開設を予定しています。学童や介護を持たない保育所専業に近い構成で、2026年3月には学習塾の子会社を創業者に譲渡しました。

新設を年1施設程度に絞り、既存園の増床と利用者の確保で売上を保つ段階に入っています。認可保育所は利用定員と公定価格で収入の上限が決まるため、利用者が4,899人から4,929人へわずかに増えても、定員に対する空きがあれば収入は伸びにくい構造です。2026年7月期は学習塾の子会社を譲渡して連結の範囲が縮んだ影響も含めて減収となり、営業利益も減りました。

Smile Holdings — WITHホールディングスの子会社化で施設が83から184へ

旧Kids Smile Holdingsで、東京都・神奈川県・愛知県の認可保育所と、プレスクール一体型の保育所・幼児教室・学童・スイミングスクールを運営します。2026年3月期の連結売上は145.2億円(前期136.6億円)、営業利益は4.1億円から3.7億円へ減少しました。減益の主因はWITHホールディングスの買収にかかる一時的な費用で、純利益は2.2億円、ROEは3.5%、自己資本比率は前期の42.7%から36.8%へ低下しました。運営施設は2026年3月末に83施設(認可保育所70、その他13)、児童数は2026年3月期に5,498人(前期5,355人、会社が通期の値として公表)でした。

2026年5月8日に、東京・埼玉・神奈川で保育園・学童・介護施設を運営するWITHホールディングス(WITH・アンジェリカ・Nプランニング)を完全子会社にしました。普通株式の取得80.9億円と、相手が自己株式を買い取るための出資40.6億円を合わせた取得原価は121.4億円(百万円単位から四捨五入しているため内訳の和とは0.1億円ずれる)で、Smile自身の連結売上に近い規模の買収です。WITHホールディングスの売上は2025年10月期に131.6億円、営業利益6.6億円で、のれんは暫定で117.2億円、20年で償却します。損益への連結は2027年3月期の第2四半期からです。

買収後の運営施設は2026年6月末に184施設(認可保育所153、企業主導型・小規模認可・認証・療育など26、産後ケアホテル1、介護施設4)で、Smile側84施設(3月末の83施設から1施設増)とWITH側100施設の合計です。児童数は同じ時点でSmile側5,285人、WITH側5,571人で、Smile側の値は上の通期の値とは集計の時点が異なります。保育施設の運営が主な5社の中では連結売上が最も小さい会社が、借入を使った買収で施設数を2倍以上にした形で、のれんの償却と借入の返済を利益で吸収できるかが今後の焦点です。

ポピンズ — 保育・学童のエデュケアと、ベビーシッターのファミリーケアの2本柱

認可保育所・事業所内保育所・学童を運営するエデュケア事業と、ベビーシッターや家事支援のファミリーケア事業、保育人材の研修などのプロフェッショナル事業を持ち、2025年12月期の連結売上は344.1億円(前期316.9億円)、営業利益18.4億円、純利益11.4億円、ROE12.9%、自己資本比率56.1%です。セグメント別の売上はエデュケア252.8億円(連結の73.5%)、ファミリーケア80.6億円、プロフェッショナル6.9億円(ほかにその他の事業3.7億円とセグメント間の調整があり、事業別の値を足しても連結とは一致しません)で、セグメント利益はエデュケア15.0億円に対しファミリーケアが17.4億円と、売上の小さいベビーシッターの事業が利益では保育・学童を上回ります。

エデュケア事業の施設は2025年12月末に325施設で、認可保育所79、小規模認可保育所7、認定こども園2、東京都認証保育所29(東京都が独自の基準で認証する認可外の保育所)、事業所内保育所69(うち企業が設置し国の助成を受ける企業主導型37)、学童・児童館94、交流館やその他45です。1年前の338施設から減ったのは、企業から受託する事業所内保育所の閉園(75から69)と学童の受託終了が続いたためで、2026年8月7日時点では認可保育所81、学童・児童館97を含む326施設です。在籍児童数は公表せず、年1回以上サービスを利用した家庭数を4.3万世帯(2025年12月期、サービス間の重複を含む)と示しています。

他社と違うのは、企業や病院から受託する事業所内保育所の比率が高いことと、ベビーシッターが第二の柱であることです。事業所内保育所は委託元の都合で閉園が起きやすく、施設数の増減は認可保育所の運営会社より大きくなります。2026年5月には保育領域の人材派遣子会社を譲渡しました。2026年10月時点で東京証券取引所のスタンダード市場に上場しており、2023年9月にプライム市場から移っています。

ライク — 人材・介護と兼営、子育て支援事業が連結の半分

総合人材サービスと介護を併せ持つ持株会社で、保育は子育て支援サービス事業として、自治体の認可保育園・学童クラブ(公的保育)と、病院や企業から委託を受けて運営する病院内・事業所内の受託保育を運営します。2026年5月期の連結売上は673.2億円(前期623.4億円)ですが、このうち子育て支援サービスは358.1億円で連結の53.2%、残りの大半は総合人材サービス219.8億円と介護関連サービス93.8億円で、ほかにその他の事業1.4億円とセグメント間の調整があるため、事業別の値を足しても連結とは一致しません。連結の営業利益29.8億円に対し、子育て支援サービスの利益は21.8億円から19.2億円へ減少しました。ROEは12.7%、自己資本比率は46.1%です。

子育て支援サービスの施設は2026年5月期末に415施設で、認可保育園176、学童クラブ121、受託保育118(病院内99、事業所内19)です。預かる児童は12,202人(公的保育10,873人、受託保育1,329人)で、2020年5月期の372施設・10,648人から増えました。会社が公表する認可保育園の充足率は88.2%で、業界全体の定員充足率(87.7%、2026年4月1日)とは定義が同じとは限らないため並べて比べることはしません。

保育士の紹介・派遣を含む人材事業を同じグループに持つことが、保育士の確保が最大の制約になる業界での強みです。一方で子育て支援サービスの利益が減ったのは、保育士の処遇改善で人件費が増える局面で、公定価格の改定分だけでは利益を保ちにくいことを示します。買収ではなく自治体からの受託と認可保育園の新設で施設を増やしてきた点で、2025〜2026年に買収で連結の範囲を広げた他社とは成長の経路が異なります。

テノ.ホールディングス — 福岡地盤の受託保育と学童、ピジョンハーツの取得を決定

福岡を地盤に、認可保育所と企業内・病院内の受託保育所、学童保育を運営し、介護と料理教室を併せ持ちます。2025年12月期の連結売上は181.3億円(前期160.2億円)で、保育サービスが136.2億円と連結の約75%、介護19.6億円、料理教室などの生涯関連支援23.4億円で、ほかにその他の事業2.0億円とセグメント間の調整があるため、事業別の値を足しても連結とは一致しません。保育サービスの利益は8.3億円から12.4億円へ増加し、連結の営業利益は6.3億円、純利益は前期の▲4.7億円から1.1億円へ転じました。ROEは6.2%、自己資本比率は17.3%と8社の中で7位です。

運営施設は2025年12月末に保育事業で314施設(認可保育所47、小規模認可19、受託保育所129、学童保育所79、わいわい広場33など)、介護27施設、料理教室55校を合わせて396施設で、2026年6月末には保育事業が335施設(学童保育所98)へ増えました。受託保育所が認可保育所の2倍以上ある構成で、東京都足立区で2025年4月に初めて都内の学童を受託するなど、福岡以外へ広げています。在籍児童数は公表していません。

2026年8月27日に、ピジョンの完全子会社で東京の認可・認証保育施設と企業内保育を運営するピジョンハーツの全株式を16.1億円(株式16.0億円と費用の概算)で取得すると決めました。株式の譲渡は2027年1月の予定で、ピジョンハーツの売上は2025年12月期に33.1億円、営業利益0.9億円です。これに先立ち2026年7月1日には鹿児島のこどもファースト・ジャパンを2.4億円(費用を含む概算)で子会社にしています。自己資本比率が低い中での買収のため、譲渡後の借入と利益の均衡が論点です。

AIAIグループ — きららグループとハビーの買収で、保育と療育を広げる

東京・千葉・神奈川・大阪で認可保育園「AIAI NURSERY」と、発達に特性のある子どもを支援する児童発達支援の多機能型施設を運営します。2026年3月期の連結売上は146.3億円(前期130.7億円)、営業利益は7.3億円から11.1億円へ増加し、純利益は6.2億円です。ROEは20.5%と8社の中で1位である一方、自己資本比率は前期の22.5%から12.1%へ低下しました。総資産が124.7億円から269.1億円へ増えたためで、きららグループの買収を借入でまかなった結果です。2024年3月期から保育と療育を合わせたチャイルドケア事業の単一セグメントで開示しており、保育だけの売上は分かりません。

2026年2月27日に、「雲母保育園」を首都圏中心に75施設運営するきららグループホールディングスの全株式と新株予約権を取得しました。取得価額は株式95.5億円と新株予約権7.1億円、諸費用を合わせて104.1億円で、きららの売上は2025年2月期に95.1億円でした。2026年3月期は期末の貸借対照表だけを連結し、損益への反映は2027年3月期からです。続いて2026年9月1日には、児童発達支援・放課後等デイサービスを71施設展開するハビーを33.4億円(諸費用を含む)で子会社にしました。2026年7月の開示時点ではグループの運営施設が192施設(直営115、きらら77)で、ハビーの71施設を加えて263施設になる予定と公表しています。

きららを含む2026年3月末の運営施設は188施設で、認可保育所154(東京都50、神奈川県20、千葉県63、大阪府9、その他12)、認証保育所10、多機能型事業所21などです。直営のAIAI NURSERYでは2026年3月の園児が5,231人、定員5,439人で、会社が公表する充足率は96.2%です。会社は2027年3月期にきららの通期連結で売上260.0億円を見込むと説明しており、2025年3月期の130.7億円から2年で連結売上がほぼ倍(2026年3月期比では約1.8倍)になる計算ですが、増収の大半は保育の需要ではなく連結の範囲が広がった結果です。

主要論点

買収で広がる連結の範囲は、保育の成長と同じではないのか?

2025年7月から2026年9月にかけて、グローバルキッズによるアソシエ・アカデミー(32.2億円)、AIAIによるきららグループ(104.1億円)とハビー(33.4億円)、SmileによるWITHホールディングス(取得原価121.4億円)、テノによるこどもファースト・ジャパン(2.4億円)の買収が完了し、テノはピジョンハーツ(16.1億円の概算)の取得を決めました。金額は、WITHの取得原価(株式取得と出資の合計、諸費用を含まない)を除き、諸費用を含む開示の合計です。Smileの運営施設は83から184へ、AIAIはきららを含めて188施設(2026年3月末)、2026年7月の開示時点で192施設になり、ハビーの71施設を加えて263施設になる予定と公表していました。

一方で、保育所等の利用児童は2021年の2,742,071人をピークに減り、2026年4月1日の定員充足率は87.7%です。需要が増えない市場で、買収した会社の損益が連結される期から各社の売上は大きく増えますが、それは他社の施設を連結に取り込んだ結果であり、業界全体の保育の規模が増えるわけではありません。買収の対価は借入で調達されることが多く、きららの取得を借入でまかなったAIAIの自己資本比率は22.5%から12.1%へ下がりました。SmileもWITHの取得原価121.4億円に対して暫定で117.2億円ののれんを計上しており、償却が毎年の利益を押し下げます。

買収が意味を持つのは、認可保育所の新規開設が自治体の計画で絞られる中で、施設網と保育士を一度に確保できる点にあります。保育所の運営を続けにくくなった施設の引き受け手として株式会社が機能するなら、買収は受け皿の維持に役立ちます。逆に、取り込んだ施設の充足率が下がれば、のれんの減損という形で損失が表面化します。買収後の各社の施設数と児童数の推移が、連結の拡大が保育の成長を伴っているかを見る目安になります。

公定価格で収入の上限が決まる事業で、利益はどこで差がつくのか?

認可保育所の収入は、国と自治体が定める公定価格と利用定員でおおむね上限が決まります。同じ制度の下でも、ライクの子育て支援サービスの利益が21.8億円から19.2億円へ減る一方、テノの保育サービスは8.3億円から12.4億円へ増え、JPホールディングスは営業利益65.3億円で8社の中で1位です。営業利益率は各社の開示値が揃わないため本ページでは示しませんが、売上と営業利益の並びから、同じ業界で利益の出方に幅があることが分かります。

差が生まれる要因は、第一に充足率です。AIAIの直営園は会社公表で96.2%、ライクの認可保育園は88.2%です。業界全体の定員充足率87.7%(2026年4月1日)とは定義が異なるため並べて比べることはできませんが、各社が自社の充足率を公表して経営の指標に置いていること自体が、空きの管理が利益を左右することを示します。第二に人件費です。公定価格の人件費は2024年度に10.7%引き上げられましたが、改定分は収入と人件費の両方に効くため、保育士の確保と定着にかかる費用が利益を左右します。第三に、学童クラブや受託保育、ベビーシッター、給食、人材紹介など、公定価格の外側にある事業の比率です。ポピンズのファミリーケア事業は売上80.6億円で利益17.4億円と、エデュケア事業の利益15.0億円を上回ります。

公定価格の外側で利益を取りに行くほど、保育所の運営会社は保育以外の事業を持つ会社に近づき、連結売上を保育の規模として読めなくなります。本ページで連結と保育セグメントを分けているのはそのためで、各社の収益性を比べる際は、どの事業の利益かを確かめることが欠かせません。私立保育所全体の収支差率は定員割れと処遇改善のページで扱います。

定員割れが広がる時代に、上場企業の施設網はどこへ向かうのか?

保育所等の定員充足率が87.7%まで下がる中で、上場各社は認可保育所の新設を絞っています。さくらさくプラスの保育所は88から89施設へ1施設の増加にとどまり、JPホールディングスの保育園は205園から203園へ減りました。JPホールディングスの減少には、認可保育園を認定こども園やバイリンガル保育園へ移行した分が含まれ、同じ建物で1園当たりの収入を高める転換が進んでいます。

施設数が増えているのは保育所の外側です。JPホールディングスの学童クラブは96から118施設へ、テノの学童保育所は79から98施設へ増え、AIAIは児童発達支援のハビーを、ポピンズは児童発達支援施設と産後ケアを、Smileは産後ケアホテルと介護施設(WITH経由)を持つようになりました。小学生の放課後、発達支援、出産直後と、対象の年齢と領域を広げることで、0〜5歳の保育の需要減を補う構図です。

もう一つの方向は、社会福祉法人や非上場の運営会社の施設を引き受けることです。きらら、WITH、アソシエ、こどもファースト・ジャパンはいずれも非上場の運営会社で、上場企業への売却という形で施設網が集約され、ピジョンハーツも2027年1月にテノへ譲渡される予定です。一方で、グローバルキッズが認可保育所を社会福祉法人へ譲渡した例のように、株式会社から社会福祉法人へ戻る動きもあります。保育所等4万46か所(2026年4月1日)の大半は上場企業以外が運営しており、上場各社の施設網は、受け皿の全体を動かす規模ではなく、定員割れの時代に株式会社がどこで事業を続けるかを示す先行例として読むのが適切です。

中期見通し

近未来1-2年

2026年から2027年にかけて公表される各社の決算には、買収した施設の損益が順に反映されます。グローバルキッズは2026年9月期(2025年10月〜2026年9月、決算は2026年10月16日時点で未公表)からアソシエ・アカデミーの損益を連結しており、Smileは2027年3月期の第2四半期からWITHホールディングス、AIAIは2027年3月期からきららグループの損益を連結し、テノはピジョンハーツの株式譲渡を2027年1月に予定しています。さくらさくプラスの2026年7月期は有価証券報告書の提出で表の値が更新されます。増収の大半は連結の範囲の拡大によるもので、買収先の充足率とのれんの償却後の利益が、買収の成否を示す最初の指標になります。

中期3-5年

利用児童の減少が続く前提で、上場各社は認可保育所の新設を絞り、学童・療育・産後ケア・受託保育へ事業を広げる見通しです。公定価格の改定は収入と人件費の両方を動かすため、保育士の確保にかかる費用をどこまで吸収できるかが利益を分けます。社会福祉法人や非上場の運営会社から施設を引き受ける買収は続くとみられますが、借入で拡大した会社の自己資本比率が低い水準にあることから、買収の規模は各社の財務の余力に左右されます。

長期5-10年

出生数の減少で保育の需要が縮む段階に入ると、施設の統合や閉園の判断が上場企業にも及び、連結の施設数が減る会社が出てきます。保育所を核にしながら、小学生・発達支援・家庭向けサービスへ対象を広げた会社と、保育所専業に近い会社とで、売上の構成と利益の出方が分かれていくと考えられます。上場企業の顔ぶれも買収や非公開化で変わる可能性があり、本ページの8社という枠組み自体が将来の比較ではそのまま使えないことも考えられます。

よくある質問

保育園を運営する大手企業はどこですか?
保育施設の運営が主な上場企業は、JPホールディングス(2026年3月期の連結売上433.3億円、5社で最も大きい)、グローバルキッズCOMPANY(270.0億円)、ポピンズ(344.1億円、ベビーシッターを含む)、さくらさくプラス(183.9億円)、Smile Holdings(145.2億円)の5社です。人材や介護と兼営するライク(子育て支援サービス358.1億円)、テノ.ホールディングス(保育サービス136.2億円)、AIAIグループ(連結146.3億円)も保育施設を運営しています。保育所の運営主体の大半は社会福祉法人と市区町村で、上場企業の施設は業界の一部です。
上場企業の運営施設数はどのくらいですか?
各社の公表値で、JPホールディングスは2026年3月末に345施設(保育園203、学童クラブ118など)、グローバルキッズは2025年9月末に209施設、ポピンズは2025年12月末に325施設、ライクは2026年5月期末に415施設、テノは2025年12月末に保育事業で314施設、AIAIは2026年3月末にきららを含めて188施設、Smileは2026年6月末にWITHを含めて184施設、さくらさくプラスは2026年7月末に保育所89施設です。保育所だけを数える会社と学童・介護・療育を含める会社があり、時点も違うため、合計したり順位を付けたりはできません。
2026年に保育業界で起きた買収は何ですか?
Smile HoldingsがWITHホールディングス(東京・埼玉・神奈川で保育園など100施設)を2026年5月8日に完全子会社化し、取得原価は121.4億円です。AIAIグループは雲母保育園のきららグループホールディングスを2026年2月27日に104.1億円で、児童発達支援のハビーを2026年9月1日に33.4億円で子会社にしました。テノ.ホールディングスはピジョンの子会社ピジョンハーツの取得(費用を含めて16.1億円の概算)を2026年8月27日に決め、株式の譲渡は2027年1月の予定です。2025年にはグローバルキッズがアソシエ・アカデミーを32.2億円で子会社にしています。
ライクやポピンズの売上は保育だけの数字ですか?
違います。ライクの連結売上673.2億円(2026年5月期)には総合人材サービス219.8億円と介護93.8億円が含まれ、保育は子育て支援サービス事業の358.1億円です。ポピンズの連結344.1億円のうち保育・学童のエデュケア事業は252.8億円で、残りはベビーシッターのファミリーケア事業などです。テノの保育サービスは136.2億円(連結181.3億円)で、AIAIは保育と療育を一つの事業として開示しているため保育だけの売上は分かりません。JPホールディングス・グローバルキッズ・さくらさくプラス・Smileも単一セグメントで、給食や研修、不動産などを連結に含みます。
この比較の数値はどこから取ったものですか?
8社の連結売上・営業利益・純利益・ROE・自己資本比率は、各社が金融庁のEDINETに提出した有価証券報告書の値で、保育セグメントの売上も同じ有価証券報告書のセグメント情報から取っています。運営施設数・児童数・充足率は各社の決算説明資料と決算短信、買収の取得価額と日程は東京証券取引所の適時開示の公表値です。決算期は3月・5月・7月・9月・12月と社で異なり、さくらさくプラスは2026年7月期の有価証券報告書が2026年10月16日時点で未提出のため2025年7月期の値を載せ、2026年7月期の決算短信の値は本文で示しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET(各社の有価証券報告書)
  2. 2.
    JPホールディングス 決算説明会資料(2026年3月期、2026年5月18日 / 2025年3月期、2025年5月19日)・決算短信
  3. 3.
    グローバルキッズCOMPANYの決算短信・決算説明資料(2025年9月期、2025年11月13日)、アソシエ・アカデミー株式取得に関する開示(2025年6月20日・7月31日)
  4. 4.
    さくらさくプラス 決算短信・決算説明資料(2026年7月期、2026年9月11日 / 2025年7月期、2025年9月12日)
  5. 5.
    Smile Holdings WITHホールディングス完全子会社化に関する開示(2026年3月23日・5月8日)、決算短信・決算説明資料(2026年3月期、2026年5月18日 / 2027年3月期第1四半期、2026年8月14日)
  6. 6.
    ポピンズ 決算説明会資料・決算短信(2025年12月期、2026年2月13日 / 2026年12月期第2四半期、2026年8月7日)
  7. 7.
    ライク ファクトブック(子育て支援サービス事業)
  8. 8.
    テノ.ホールディングス 決算短信・決算説明会資料(2025年12月期、2026年2月 / 2026年12月期第2四半期、2026年8月12日)、ピジョンハーツ株式取得に関する開示(2026年8月27日)、こどもファースト・ジャパン株式取得に関する開示(2026年2月20日・7月1日)
  9. 9.
    AIAIグループ 決算短信・決算概要(2026年3月期、2026年5月8日 / 2024年3月期、2024年5月10日)、きららグループホールディングス株式等取得に関する開示(2026年1月23日・2月27日)、ハビー株式取得に関する開示(2026年7月24日・9月1日)
  10. 10.
    こども家庭庁 保育所等関連状況取りまとめ(令和8年4月1日)
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