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農業機械メーカー比較・ランキング|クボタ・ヤンマーHD・井関農機の業績と戦略【2026年版】

日本の農業機械業界はクボタ・ヤンマーHD・井関農機の3社が大半を占める寡占構造で、収益規模・事業構造・海外展開の度合いが大きく異なります。なお2026年3月2日に国内4位の三菱マヒンドラ農機が解散発表し、4社体制から3社体制への業界再編が進行中。クボタFY2025連結売上は3兆189億円で農機・建機・水関連の3セグメントを持つグローバル企業、井関農機は連結1,858億円の農機専業で国内JA流通との結びつきが強く、ヤンマーHDは未上場ながらグループ全体ではクボタに次ぐ規模と推定される複合事業体です。本ページでは3社の業績比較、戦略の違い、海外勢との競争構造を定性面も含めて整理します。

主要3社の業績比較(FY2025)

クボタ・井関は2025年12月期決算、ヤンマーHDは未上場のため業績非開示
連結売上高
クボタ (6326)
3兆189億円
井関農機 (6310)
1,858億円
ヤンマーHD
未開示(推定1兆円規模)
前年比
クボタ (6326)
+0.1%
井関農機 (6310)
+10.3%
ヤンマーHD
営業利益
クボタ (6326)
2,655億円
井関農機 (6310)
42億円
ヤンマーHD
未開示
営業利益率
クボタ (6326)
8.8%
井関農機 (6310)
2.3%
ヤンマーHD
海外売上比率
クボタ (6326)
70% 超
井関農機 (6310)
欧州・北米・アジア展開
ヤンマーHD
アジア重点
上場区分
クボタ (6326)
東証プライム
井関農機 (6310)
東証プライム
ヤンマーHD
未上場(持株会社)
中期経営計画
クボタ (6326)
mp137(2030)次世代農機・スマート農業
井関農機 (6310)
プロジェクトZ(収益性改善)
ヤンマーHD
非開示
M&A・買収
クボタ (6326)
インド エスコーツ買収(2021/11発表・2022/4連結子会社化、TOB約1,200億円・関連投資総額約1,400億円規模)
井関農機 (6310)
インドTAFE社と技術提携(2018)
ヤンマーHD
インドITL社に出資(2005-)
読み解き

クボタは連結売上3兆189億円・営業利益2,655億円と圧倒的な規模で、海外売上比率70% 超のグローバル展開が特徴です。FY2025は売上微増・営業利益 -15.9% の減益でしたが、為替・コスト影響が主因で本業のトレンドが変わったわけではありません。中期経営計画2030で次世代農機・スマート農業を中核戦略に据えています。

井関農機は連結1,858億円とクボタの約1/16規模で、農機専業色が強く国内JA流通との結びつきが伝統的に強い構造です。FY2025は売上 +10.3%、営業利益 +120%(42億円)と前期赤字(-30億円)から黒字回復しました。中計「プロジェクトZ」での収益性改善が一定の効果を示した形です。

ヤンマーHDは未上場で詳細業績は非開示ですが、グループ全体ではクボタに次ぐ規模と推定されます。エンジン・農機・建機・小型船舶の複合事業を展開し、未上場の利点を活かした長期投資が想定されます。アジア(特にインド・ベトナム)での存在感が大きいと推定されます。

主要3社の企業プロフィールと戦略

クボタ(6326)— 国内首位・世界トップクラスの総合機械メーカー

企業情報・特徴

クボタ(東証プライム6326)は1890年(明治23年)創業の総合機械メーカーで、本社は大阪市浪速区。事業セグメントは農機・建機・水関連の3本柱で、農機単独でも世界トップクラスの規模を有します。1953年に日本初の耕耘機を量産化、1960年代に農機専業から多角化を進め、現在は小型建機(ミニショベル)でも世界首位という独自のポジション。グループ従業員は約53,000名(2024年末)。

業績推移

FY2025(2025年12月期)連結売上3兆189億円(前年比 +0.1%)、営業利益2,655億円(同 -15.9%)、純利益2,168億円。海外売上比率は70% 超で、北米・アジアを中心とした事業展開が特徴です。FY2025の利益減少は為替・コスト影響が主因で、本業のトレンドは継続しています。

戦略・注力分野

北米では1969年に小型トラクターで参入後、住宅・芝刈り・果樹栽培向けの小型機提案でシェア40% 超を獲得した歴史があり、現在も北米が海外売上の中核を占めます。アジアでは2008年にインドに参入し、2021年11月発表の公開買付(TOB)と第三者割当増資を経て2022年4月にインド大手エスコーツ社を連結子会社化(出資比率約44.8%、TOB取得額約1,200億円・関連投資総額約1,400億円規模)、2030年に両社合計でシェア25%(販売台数ベース)を目標。中期経営計画2030(mp137)では次世代農機・スマート農業を中核戦略に据え、KSAS(営農管理SaaS)展開、自動運転Lv2機の量産、カナダ・アグジャンクション社買収(自動運転技術)など、機械販売から「機械 + データサービス」への転換を進めています。

井関農機(6310)— 農機専業のコンパクト戦略と黒字回復

企業情報・特徴

井関農機(東証プライム6310)は1926年(大正15年)創業、1936年(昭和11年)設立の農機専業メーカーで、本社は愛媛県松山市。3社のなかで農機専業色が最も強く、田植機・コンバインに強みを持ち、国内ではJA(農業協同組合)流通との結びつきが伝統的に強い構造。クボタ・ヤンマーHDと異なり、建機・エンジン等への多角化はせず、農機一本で深掘りする戦略を継続しています。

業績推移

FY2025(2025年12月期)連結売上1,858億円(前年比 +10.3%)、営業利益42億円(同 +120%)、純利益28億円と、前期赤字(純利益 -30億円)から黒字回復しました。営業利益率は前年の1.1% → 2.3% に改善、自己資本比率は32.8% → 35.2% へ改善傾向。中期経営計画「プロジェクトZ」(2024年策定)の構造改革と収益性改善が初期成果を示しています。

戦略・注力分野

FY2026は売上1,800億円(前年比 -3.1%)と売上減少を見込みつつも営業利益60億円(同 +42.0%)を目標とし、量より質の改善を継続。海外展開は2018年にインド第2位のTAFE社と技術提携を締結したほか、欧州・北米・中国・ASEANを4大市場と位置付けています。英国ISEKI UK & Ireland Limitedを新たに連結対象に加え、欧州拠点の整備を進めています。クボタ約1/16の規模差はありますが、農機専業の機動性で収益性向上を目指す「コンパクト戦略」が特徴です。

ヤンマーHD(未上場)— 複合事業とアジア重点戦略

企業情報・特徴

ヤンマーHDは1912年(大正元年)創業の総合機械メーカーで、本社は大阪市北区。2013年に持株会社制に移行、未上場で創業家中心の所有構造を維持しています。事業はエンジン(ディーゼル、汎用・産業用)、農機、建機、小型船舶(マリン)の複合構成で、ディーゼルエンジン分野では世界的シェア。グループ全体では資本金9,000万円、従業員数26,671名(2025年3月31日時点 連結)で、規模面ではクボタに匹敵します。代表ブランドの「YANMAR」は産業機器・マリンエンジン領域でグローバル認知度が高い。

業績推移

未上場のため詳細業績は非開示ですが、グループ売上はクボタに次ぐ国内2番手規模と推定されます。農機事業単独の業績は非開示ですが、業界俯瞰からは国内・アジア(特にインド・ベトナム)での存在感が大きいと整理可能です。

戦略・注力分野

2005年からインド第3位インターナショナル・トラクターズ社(ITL)に出資を継続、ベトナム市場でも一定のシェアを持つと推定されます。スマート農業では「YT5113Aロボトラクター」(自動運転Lv2、約780万円)を投入済みで、農業SaaS「スマートアシスト」も展開。未上場のため敵対的買収リスクが低く、長期的な技術投資・海外M&Aを進めやすい資本構造を持つ点が上場2社との大きな違いです。NTT東日本との5G遠隔監視実証など、ICT連携でも先行的な取り組みが見られます。

世界競争構造と日本勢の位置づけ

ジョンディア・CNHと日本勢の競争構造はどう棲み分けされているか?

コンペティティブ

世界市場ではジョンディア(ディア・アンド・カンパニー、米)が首位、CNH(伊・英、ケースIH/ニューホランド/ステアー/FPTインダストリアル等12主要ブランド展開)が世界2位という構造で、両社とも大型機・自動化技術で先行しています。ジョンディアはAutoTracベースの自動運転Lv2を欧米で先行展開し、CNHは欧州大型機市場で優位な地位を持ちます。

日本勢(クボタ・ヤンマー・井関)は中小型トラクターと水田用機械で差別化しており、欧州大型機市場での直接競合は限定的です。ただし北米では小型トラクター(クボタ)と中大型トラクター(ジョンディア)でセグメントが棲み分けされ、井関・ヤンマーは新興国(インド・ASEAN)でマヒンドラ(インド最大手)等と価格競争を展開しています。

中国系メーカーはアジア新興国で価格競争を仕掛けていますが、日本本土への影響は限定的です。日本市場の公的なシェア統計は存在しないものの、上場2社の決算と未上場ヤンマーの規模感から、3社で大半を占める寡占構造であることは整理可能です。

周辺プレイヤーと競合構造の整理

国内4位プレイヤーの市場退出(2026/3/2発表): 三菱マヒンドラ農機(三菱重工 + 印Mahindra & Mahindraの合弁、本社 島根県松江市、1914年創業)は2026年3月2日に解散発表し、2026年度上期(同年9月末目処)で農業用機械の研究・開発・生産・販売を終了。グループ約900名が退職見込みで、補修用部品供給と製品保証は約10年継続する方針です。背景は「近年の業界を取り巻く市場環境および需要構造の変化、生産体制に関する諸条件を総合勘案し、長期間に亘って事業としての収益性と将来の持続可能性を慎重に見極めた結果」(公式リリース)。112年の歴史を持つ国内4位の退出は業界寡占化を一段加速させる象徴的事象で、シェアの大半はクボタ・ヤンマーHD・井関農機の3社に流れる見通しです。

国内3社(クボタ・ヤンマーHD・井関農機)の周囲には、機種特化型の専業メーカーが存在します。やまびこ(東証プライム6250)は刈払機・チェーンソー(KIORITZブランド)で国内首位、丸山製作所(同6316)は防除機(噴霧器)専業で果樹園向けの専門メーカー、ホンダ(同7267)はパワープロダクツ事業として耕運機・刈払機を展開しています。これらは小型機・特化機の領域で固有の地位を築いており、総合農機メーカー3社とは事業領域が一部重なるものの直接競合は限定的です。

世界市場ではジョンディア(ディア・アンド・カンパニー、米)が首位、CNH(伊・英、ケースIH・ニューホランド・ステアー・FPTインダストリアル等12主要ブランド展開、世界170カ国超で事業展開、ディーラー網は6,000-11,500拠点規模)が2位という構造で、両社とも大型機・自動化技術で先行しています。日本勢は中小型トラクターと水田用機械で差別化しており、欧州大型機市場での直接競合は限定的。北米では小型トラクター(クボタ)と中大型トラクター(ジョンディア)でセグメントが棲み分けされ、井関・ヤンマーは新興国(インド・ASEAN)でマヒンドラ(インド最大手)等と価格競争を展開しています。

中国系メーカーはアジア新興国で価格競争を仕掛けていますが、品質・サービス面の壁から日本本土への影響は限定的。日本市場の正確なシェア値は公的統計に存在しないため、上場2社(クボタ・井関)の決算開示と未上場ヤンマーの規模感から、3社で大半を占める寡占構造であることは決算データから整理可能です。

サプライヤー側の独立検証: 日本陸用内燃機関協会(LEMA)の令和6年度(2024年度)出荷統計では、国内向けエンジン出荷2,275千台のうち 農林・漁業機械向けが1,458千台(64.1%)と圧倒的シェア。ガソリンエンジンに限れば77.2% が農林・漁業向けで、家庭用・小型機(耕運機・刈払機)の需要構造を反映しています。LEMA統計は会員18社の申告ベースで、日農工出荷統計(メーカー側)と独立した検証ソースとして機能します。国内向け陸用内燃機関全体は対前年度比94.7%(-5.3%)と縮小しており、日農工出荷統計のFY2024 -9.2%と方向感が整合的です。

中期見通し

近未来1-2年

クボタFY2026通期予想は連結売上3兆1,500億円(前年比 +4.3%)、営業利益3,000億円(同 +13.0%)、純利益2,100億円(同 +12.5%)と増収増益見通し。為替・コスト影響の一巡で本業の収益力が改めて反映される局面と整理できる。井関農機FY2026は売上1,800億円(同 -3.1%)と売上減少見込みだが営業利益は60億円(同 +42.0%)と質的改善を継続。ヤンマーHDは未上場のため数値見通しは非開示だが、アジア新興国(特にインド)でのシェア拡大が中長期戦略の中核と推定される。

中長期3-5年

業界共通の方向性は「機械 + データサービス」「電動化対応」「自動運転対応」へのシフト。クボタは中計2030で次世代農機・スマート農業を中核戦略に据え、KSAS(営農管理SaaS)の展開とLv2-3自動運転機の量産を進める。井関は中計「プロジェクトZ」で収益性改善を最優先課題に据えつつ、欧州・北米・中国・ASEANの4大市場で展開を続ける。ヤンマーは未上場の利点を活かした長期投資(電動化・新興国M&A)が想定される。

関連業界への波及

農機メーカーの戦略は建設機械・エンジン事業との相互補完が大きい。クボタは小型建機(ミニショベル)で世界首位を持ち、北米で農機・建機・水関連インフラの3事業を統合展開している。ヤンマーは産業用エンジン・マリン事業でグローバル展開しており、農機との技術シナジーが大きい。井関は農機専業色が強い分、IT・通信業界との連携(NTT・KDDI等との実証)が今後のキーテーマとなる。

よくある質問

クボタの2025年12月期の業績はどうなっていますか?
クボタのFY2025連結業績は売上3兆189億円(前年比 +0.1%)、営業利益2,655億円(同 -15.9%)、純利益2,168億円でした。海外売上比率は70% 超で、為替・コスト影響により利益面は減益となりました。中期経営計画2030で次世代農機・スマート農業を中核戦略に据えています。
井関農機は黒字回復したのですか?
井関農機FY2025は売上1,858億円(+10.3%)、営業利益42億円(+120%)、純利益28億円と、前期赤字(-30億円)から黒字回復しました。営業利益率は1.1% → 2.3% に改善、中計「プロジェクトZ」での収益性改善が効いた形です。
ヤンマーHDはなぜ未上場なのですか?
ヤンマーHDは持株会社制(2013年移行)で、創業家中心の所有構造を維持しています。未上場のため敵対的買収リスクが低く、長期的な技術投資・海外M&Aを進めやすい資本構造が特徴です。グループ売上はクボタに次ぐ規模と推定されますが、詳細業績は非開示です。
日本市場の3社のシェアはどれくらいですか?
日本市場の正確なシェア値は公的統計に存在しません。業界団体・政府が会社別シェアを公表していないため、上場2社(クボタ・井関)の決算開示と未上場ヤンマーの規模感から、3社で大半を占める寡占構造と整理されます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    クボタFY2025決算短信
  2. 2.
    井関農機FY2025決算短信
  3. 3.
    クボタ・井関 中期経営計画
  4. 4.
    ヤンマー会社概要
  5. 5.
    三菱マヒンドラ農機 解散プレスリリース
  6. 6.
    日本陸用内燃機関協会 (LEMA) 令和6年度出荷統計
  7. 7.
    EDINET有価証券報告書
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