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農業機械業界の市場規模・主要企業・動向

日本の農業機械市場は約3,791億円 (2024年、前年比▲9.6%)。クボタ・ヤンマー・イセキ3社が寡占し、輸出比率は42%。スマート農業が成長軸。

日本の農業機械業界は、クボタ・ヤンマー・イセキを中心とする寡占市場。国内は3,791億円 (2024年) で前年比▲9.6%、輸出は2,850億円で全生産額の約42%を占めます。トラクター・田植機・コンバインが主力機種で、北米・アジア向け輸出が成長を牽引。2024年は農家の投資抑制で国内出荷が減少した一方、スマート農業 (GPS自動運転・ロボット農機) の普及が加速。2030年にスマート農業市場は788億円へ拡大見込み。本ページでは最新の出荷統計・主要企業ランキング・輸出入データ・論点を体系的にまとめています。

最終更新 データ出典 日本農業機械工業会 / 経産省 / 財務省 / EDINET

業界サマリ

業界概要・市場動向・競争環境の 3 軸で整理

業界概要

  • 農業機械とは、耕うん・播種・田植・収穫・乾燥などの農作業を機械化する設備群。代表的機種はトラクター、コンバイン、田植機、防除機、乾燥機。
  • 日本市場は国内3社 (クボタ・ヤンマーHD・井関農機) が製造・販売の大半を占める寡占構造。海外はジョンディア (米)、CNH (欧) が主要プレイヤー。
  • 主要顧客は農家・農業法人・JA (農業協同組合)。JA 経由の販売が流通の大きな比重を占める。
  • 関連領域として、スマート農業 (自動運転・IoT)、営農管理 SaaS、中古・リース市場が成長領域として注目されている。
基礎データ: 日農工 (日本農業機械工業会)、各社有価証券報告書

市場動向

  • 国内出荷額は 2024 年に 3,791 億円 (前年比▲9.6%)。2022 年から 3 年連続の前年割れ。
  • 減少の背景は、①農業経営体数の減少 (2025 年センサス速報で 82.8 万経営体、2020 年比 ▲23%)、②金利上昇で買い替え需要が先送り、③買い替えサイクルの長期化 (実稼働 15-20 年が一般的)。
  • 輸出額は 1,476 億円 (日農工会員出荷統計ベース、売上全体の約 28%)。主要仕向先は米国・タイ・中国・ASEANが中心。円安基調が海外販売を下支え。
  • 自動運転・スマート農業は Lv2 (遠隔監視下) が制度化済みで各社が製品投入。2024 年 3 月のガイドライン改正で遠隔監視 (Lv3 相当) への対応も始まった。
基礎データ: 日農工 2024 年出荷実績 / MAFF 2025 年農林業センサス速報 / 農水省「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」(2024/3 改正)

競争環境

  • クボタ (7203): 国内首位、連結売上 3 兆 163 億円 (FY2024 ▲0.1%)、海外売上比率 79%。北米で芝刈機・ユーティリティトラクタ、アジアで中小型機を幅広く展開。
  • ヤンマーHD:非上場 (創業家所有)、連結売上約 1.08 兆円 (FY2023)。総合農機+エンジン (マリン・産業) の複合事業、アジア展開に強み。
  • 井関農機 (6310): 上場、連結売上 1,684 億円 (FY2024)。国内 JA 流通との結びつきが強く、国内依存度が高い。
  • 海外勢:ジョンディア (米) と CNH (欧、New Holland 等) が大型機・自動化で先行。欧州大型機市場では日本勢より優位。
  • 日本市場は3 社で約 9 割の寡占構造 (矢野経済研究所推計、一次統計なし)。中国系メーカーはアジア新興国で価格競争を仕掛けているが、日本本土への影響は限定的。
基礎データ: 各社決算短信 (EDINET) / 矢野経済研究所

主要トピック

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主要企業・競争
競争構造準備中
国内 3 社で約 9 割の寡占構造 (矢野経済推計)
売上ランキング準備中
クボタが世界 2 位、日本勢が Top10 に複数
上場企業一覧準備中
上場 5 社の売上・利益率・海外比率を横並び比較
業界トピック
担い手・経営規模準備中
農業経営体 82.8 万、平均経営規模 3.7ha (2025 年センサス速報)
電動化・カーボンニュートラル準備中
各社が 2030 年目標で EV・水素農機を開発
中古農機・リユース準備中
中古流通の実態と海外への中古輸出動向

市場規模推移 (10年)

2015-2024 · 国内出荷額 + 輸出額
単位: 億円
国内出荷額輸出額
02,0004,0006,0008,00015161718192021222324
出典: 日本農業機械工業会 会員出荷統計 (国内・輸出) / 2024 年実績
CREX Editorial · 市場規模の読み解き
市場規模の傾向

2024年の農業機械出荷額は前年比9.6%減の約3,791億円 (日本農業機械工業会)。内訳はトラクターが同15.2%減の約2,046億円、コンバインが1.4%増の724億円、田植機が11.8%減の約297億円。生産額は3,486億円 (前年比▲14.6%) で、国内向けが2,010億円 (同▲17.1%)、輸出が1,477億円 (同▲11.0%)。農家の投資意欲低下と円高が影響し、長期トレンドでは横ばいから微減傾向が続いている。

背景要因

国内需要の減少要因は農業就業人口の減少 (2024年基幹的農業従事者は約116万人、20年で4分の1に減少見込み)、高齢化 (平均年齢68.7歳)、農地の集約化による新規購入の抑制。一方、担い手への農地集約が進み1経営体あたりの面積は拡大傾向で、大型機・高機能機への買い替え需要は底堅い。政府のスマート農業推進施策 (補助金・実証プロジェクト) も市場を下支えしている。

海外・中長期

輸出額は2,850億円 (2024年、財務省貿易統計) で生産額の42%を占める。主要仕向先は米国・タイ・中国で、トラクターが輸出額の68% (1,930億円) を占める。クボタは海外売上比率78%、世界120カ国以上で事業展開し、北米・アジアでシェア拡大中。ヤンマーはインド・ベトナム市場を強化、イセキは北米・欧州・中国・ASEANを4大市場と位置付ける。2025-2033年の世界農業機械市場はCAGR 5-6%で成長予測され、日本勢の海外展開が業界成長の鍵を握る。

成長ドライバー

スマート農業の普及加速が最大の成長軸。GPS自動運転トラクター (クボタ・ヤンマー・イセキ3社が市販化) は有人・無人協調作業で作業時間を半減、ロボット田植機・自動収穫コンバインも実用化段階。矢野経済研究所は2030年度のスマート農業国内市場を788億円 (2024年比2倍超) と予測。AI施肥・ドローン防除・衛星データ活用など周辺技術も拡大中。価格は1,000-1,700万円台と高額だが、政府補助金や労働力不足を背景に大規模農家・法人での導入が進む。

業界構造

主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要
農業機械業界の構造
Players & Stakeholders · 2026
01
部材サプライヤー
Upstream
主要部材
鉄鋼材
日本製鉄・JFEスチール 等
エンジン・駆動系
クボタ・ヤンマー自社製造 + 外部調達
油圧機器
カヤバ・ナブテスコ 等
電装品・センサー
デンソー・村田製作所・京セラ 等
GPS・測位システム
三菱電機・NEC・トプコン 等
03
流通・販売
Distribution
販売チャネル
メーカー系ディーラー
約60%
クボタ約2,000拠点 / ヤンマー約1,500拠点
地域販売会社・JA系
約30%
地域農協・農機販売会社
ホームセンター・EC
約10%
小型機・家庭用向け
メンテナンス・サービス
正規サービス拠点
メーカー直営・認定整備工場
中古農機販売・買取
買取専門店・オークション市場
04
需要家
Demand
国内 (生産額の58%)
担い手農家・認定農業者
約24万経営体
大規模化・法人化 — スマート農業導入層
中小規模農家
兼業農家・高齢農業者 — 既存機の更新需要
農業法人・企業参入組
植物工場・施設園芸 — 高機能機需要
海外 (輸出額 2,850億円、生産額の42%)
🇺🇸米国
約35%
大型トラクター・芝刈機 — クボタ最大市場
🇹🇭タイ
約15%
水田用機械 — 田植機・コンバイン需要
🇨🇳中国
約12%
中型トラクター
🇮🇳インド
拡大中
ヤンマー・イセキ現地生産
🇪🇺欧州
約10%
トラクター・コンバイン
出典: 日本農業機械工業会 / 経産省 / 財務省 / EDINET / CREX 推計
CREX Editorial · 業界構造の読み解き

日本の農業機械業界はクボタ・ヤンマー・イセキ3社が国内の約8割を占める寡占構造。上流の部材サプライヤーは鉄鋼・電装品・油圧機器などの専門メーカーで、メーカーは垂直統合型の生産体制を構築。中流は総合農機メーカー3社と小型機専業のやまびこ・丸山製作所、下流は全国のディーラー網 (クボタ約2,000拠点、ヤンマー約1,500拠点) が販売・メンテナンスを担う。

需要側は担い手農家への集約が顕著で、認定農業者 (約24万経営体) が国内需要の過半を占める。輸出は生産額の42%に達し、北米 (大型トラクター)・アジア (中小型トラクター・田植機) が主要市場。世界市場ではディア・アンド・カンパニー (米) が首位、クボタは世界2位 (シェア10.2%)、ヤンマー5位 (同4.2%) で日本勢の存在感は大きい。

スマート農業の台頭で農機とICT・AIの融合が加速。クボタはマイクロソフトと提携し生成AI搭載機を開発、ヤンマーはNTTと5G遠隔監視実証、イセキは北大と共同研究を推進。部品メーカーも自動操舵システム・センサー・GPS基地局などスマート農業向け供給を強化している。

業界の3大論点

01
スマート農業の普及は中小農家まで広がるか
GPS自動運転トラクターやロボット田植機など先端農機は価格が1,000万円超と高額で、導入メリットを享受できるのは現状50ha以上の大規模農家に限られる。農林水産省の2023年調査では、データを活用した農業を行う経営体は全体の26.1% (個人24.5%、法人60.7%) にとどまり、個人農家への浸透は道半ば。政府はスマート農業実証プロジェクトで149地区を支援 (2019-2023年) し、導入コスト低減や効果検証を進めるが、**初期投資の高さ**と**メンテナンス体制の地域格差**が普及の壁となっている。一方、クボタは2024年に後付け可能なGPS端末を発売、ヤンマーは他社製農機との協調作業に対応するなど、既存設備を活用できるアップグレード型ソリューションも登場。中古市場での価格形成や、シェアリング・リース普及が鍵となる。
02
国内市場縮小と海外依存のリスク
日本の農業就業人口は1995年の414万人から2024年には約116万人へと7割減少し、国内需要は構造的に縮小傾向。基幹的農業従事者は今後20年で現在の4分の1まで減る見込みで (農林水産省)、国内専業では事業継続が困難な構造になっている。クボタは海外売上比率78%、ヤンマーも約7割が海外で、3社とも北米・アジア市場への依存度が高い。米中貿易摩擦や地政学リスク、為替変動が業績に直結するリスクを抱える。2024年は円高が逆風となり輸出額は前年比▲2.0%。一方、インド・アフリカなど新興国の農業機械化率は依然低く、中長期的な成長余地は大きい。各社は現地生産化 (クボタは中国・米国、ヤンマーはインド・ベトナム、イセキはインド) を進め、為替リスク分散と現地ニーズへの対応を図る。
03
電動化・カーボンニュートラルへの対応
自動車業界のEVシフトと同様、農業機械にも電動化の波が押し寄せている。クボタは2024年CESで電動・自律走行の「New Agri Concept」を発表、ヤンマーは2025年3月に電動パワートレイン専門ユニットを拡大し、2030年カーボンニュートラル目標に向けた開発を加速。従来のディーゼルエンジンに比べ**バッテリー容量・充電インフラ・稼働時間**が課題で、大型トラクターの電動化は技術的ハードルが高い。一方、小型機 (耕運機・草刈機) では既に電動モデルが普及し始めており、騒音・振動低減や燃料費削減のメリットが評価されている。欧州ではCO2排出規制が強化される見通しで、日本勢も輸出市場維持のため電動化対応が不可避。2025年以降、バッテリー技術の進化と充電インフラ整備の進捗が、農機電動化の普及スピードを左右する。

よくある質問 (FAQ)

Q.日本の農業機械業界の市場規模は?

A.

2024年の農業機械出荷額は約3,791億円 (前年比▲9.6%)、生産額は3,486億円 (前年比▲14.6%) です。内訳は国内向け2,010億円、輸出1,477億円。出所: 日本農業機械工業会、経済産業省生産動態統計 (2024年)。

Q.主要プレイヤーは?

A.

クボタ (売上高3兆162億円、世界シェア2位)、ヤンマーHD (同1兆814億円、世界5位)、イセキ (同1,684億円、世界9位) の3社が国内を寡占。クボタは国内シェア40-50%、ヤンマー20-30%、イセキ10-20%。出所: 2024年12月期決算短信、業界動向サーチ。

Q.主要輸出先は?

A.

2024年の農業機械輸出額は2,850億円 (前年比▲2.0%)。主要仕向先は**米国・タイ・中国**で、トラクター輸出が1,930億円 (全体の68%) を占めます。北米・アジア・欧州が3大輸出地域。出所: 日本農業機械工業会、財務省貿易統計 (2024年)。

Q.今後の成長見通しは?

A.

国内は人口減で微減傾向が続く一方、スマート農業市場は2030年度に788億円 (2024年比2倍超) へ拡大見込み (矢野経済研究所)。海外は2025-2033年にCAGR 5-6%成長予測 (IMARC Group)。クボタ・ヤンマーは海外比率7-8割で、新興国展開が成長の鍵。

Q.スマート農業の普及状況は?

A.

データを活用した農業を行う経営体は全体の26.1% (個人24.5%、法人60.7%)。GPS自動運転トラクターはクボタ・ヤンマー・イセキ3社が市販化、価格は1,000-1,700万円台。北海道鹿追町では町内8割の農家が自動操舵トラクターを導入。出所: 農林水産省 (2023年)、農研機構。

Q.中古市場の規模は?

A.

クボタ・ヤンマー製は耐久性が高く、20-40年前のモデルも取引される。国内中古市場は公式統計なしだが、海外 (特にアジア) 向け輸出が活発。中古トラクターは新車の30-50%程度で流通。出所: 農機具買取業者データ、業界関係者ヒアリング。

Q.データの出典は?

A.

日本農業機械工業会 (出荷統計)、経済産業省 (生産動態統計)、財務省 (貿易統計)、農林水産省 (農業構造動態調査)、矢野経済研究所 (スマート農業市場予測)、EDINET (上場企業有価証券報告書) を参照。最終更新: 2026年4月22日。

建設業
油圧機器・建機との顧客層・技術が一部重複
産業用ロボット準備中
自動化・AI — スマート農業の周辺技術
農業・農産物準備中
需要側 — 農業法人・担い手農家

機械・電気 業界の他のカテゴリ

23 業界

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    月次出荷統計・生産統計 (会員企業集計)
  2. 2.
    農業機械生産額・機種別内訳
  3. 3.
    農業機械輸出入額・国別データ
  4. 4.
    スマート農業普及率・経営体数
  5. 5.
    クボタ・ヤンマーHD・イセキ有価証券報告書
データ出典 (要約)
出典: 日本農業機械工業会 / 経済産業省 / 財務省 / EDINET · 最終更新 2026-04-22