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STAT DETAIL · DOMESTIC PRODUCTION

電子部品の国内生産|生産額の推移と海外生産シフト【2026年版】

電子部品・デバイスの国内生産額は、経済産業省の生産動態統計によると2024年に2兆8,777億円(暦年)でした。2018-2019年の約2兆3,000億円から、2021-2022年に約3兆円へ伸び、2023年の在庫調整による落ち込みを経て、2024年は回復に転じています。一方、日系メーカーの世界出荷は4兆6,198億円(年度)で、国内生産を大きく上回ります。これは集計範囲が異なるためで、日系メーカーは生産の相当部分を海外で担う構造です。国内生産額の推移・世界出荷との関係・電子情報産業全体の中での位置づけを順に整理します。

国内生産額(2024年)
2兆8,777億円
経済産業省 生産動態統計(暦年)。2023年の落ち込みから回復
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)
ピーク(2022年)
3兆134億円
巣ごもり需要・データセンター投資で約3兆円に達した直近ピーク
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)
コロナ前(2018年)
2兆3,517億円
本系列の起点。ここから2021-2022年にかけて伸びた
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)
在庫調整期(2023年)
2兆7,939億円
作りすぎた在庫を消化する動きで発注が絞られ、前年から落ち込んだ年
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)

電子部品の国内生産額の推移(2018-2024年、億円)

2018年の2兆3,517億円から2021-2022年に約3兆円へ伸び、2023年の在庫調整を経て2024年は2兆8,777億円に回復
単位: 億円
010,00020,00030,00040,00023,5171822,6601924,5732029,0562130,1342227,9392328,77724
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品、2018-2024年)
2018201920202021202220232024
国内生産額億円23,51722,66024,57329,05630,13427,93928,777
前年比-3.6%+8.4%+18.2%+3.7%-7.3%+3.0%
読み解き

電子部品・デバイスの国内生産額は、2018年の2兆3,517億円から2024年の2兆8,777億円まで、伸びと落ち込みを経て推移してきました。2018-2019年は約2兆3,000億円前後で、米中摩擦やスマートフォンの伸び鈍化を背景にやや低調でした。2020年以降は、巣ごもり需要やデータセンター投資、半導体不足下での部品の確保の動きを受けて生産が拡大し、2021年に2兆9,056億円、2022年に3兆134億円と約3兆円の水準まで伸びました。

2023年は、積み上がった在庫を消化する在庫調整局面で2兆7,939億円へ落ち込みましたが、2024年は2兆8,777億円と回復に転じました。ただし、コロナ前の2018年(2兆3,517億円)は上回るものの、2022年のピーク(3兆134億円)には届いていません。なお、この国内生産額は経済産業省が国内に立地する工場の生産額を暦年(1月-12月)で集計したもので、海外生産分は含みません。

国内生産と世界出荷の差は何を意味するのか

世界出荷は国内生産を上回る

日系メーカーの電子部品には、規模を示す数字が2つあります。経済産業省の国内生産額(2024年・約2兆8,777億円、暦年)と、JEITAの日系メーカー世界出荷(2025年度・4兆6,198億円)です。世界出荷が国内生産を大きく上回るのは、世界出荷が海外に立地する工場からの出荷分も含むのに対し、国内生産は国内立地の生産だけを集計しているためです。さらに、測る主体(日系メーカーか、国内に立地する工場か)も、集計時期(世界出荷は年度=4月-3月、国内生産は暦年=1月-12月)も異なります。

この2つを比べると、日系メーカーは生産の相当部分を海外で担う構造にあることがうかがえます。ただし、集計範囲も時期も異なるため、世界出荷から国内生産を差し引いた額をそのまま「海外生産額」と読み替えることはできません。出荷と生産、年度と暦年という前提の違いを踏まえる必要があります。

海外生産が大きい背景

日系電子部品メーカーが海外生産を広げてきた背景には、いくつかの要因があります。第1に、スマートフォンやパソコンなどの最終製品の組み立てが中国・東南アジアに集中しており、部品を需要地の近くで生産・供給する利点があります。第2に、汎用品ではコスト競争力が重視され、人件費の低い地域での生産が選ばれてきました。第3に、為替変動の影響を抑えるための現地生産の側面もあります。

一方で、車載・産業向けの高信頼品や、材料技術が要となる高付加価値品では、品質管理や技術蓄積の観点から国内生産が引き続き重要な役割を担っています。国内生産額の推移は、こうした高付加価値品の需要動向を一定程度反映しています。

電子情報産業の中での電子部品の位置づけ

電子部品・デバイスは、より大きな電子情報産業を構成する分野の一つです。JEITAの集計では、日系企業の電子情報産業の国内生産は2025年に約11.5兆円規模とされます。電子情報産業には、電子部品・デバイスのほか、半導体(能動部品)、ディスプレイデバイス、通信機器、コンピュータ、産業用エレクトロニクスなどが含まれます。

電子部品・デバイスは、この電子情報産業の中で、半導体やディスプレイと並ぶ中核分野に位置づけられます。なお、この約11.5兆円(JEITA、電子情報産業全体・日系企業の国内生産)と、本ページで扱う電子部品の国内生産(約2兆8,777億円、経済産業省、電子部品のみ)は、集計の主体も範囲も異なる別々の統計です。電子部品の額が電子情報産業全体に占める割合を計算したり、両者を足し合わせたりはできません。電子部品が電子情報産業の重要な一分野である、という定性的な位置づけとして捉える必要があります。

主要論点

国内生産はなぜこの推移をたどったのか?

電子部品の国内生産額は、2018年の2兆3,517億円から2022年の3兆134億円へ伸びた後、2023年に2兆7,939億円へ落ち込み、2024年に2兆8,777億円へ回復しました。この推移は、最終製品の需要と在庫の循環を反映しています。

2020-2022年の伸びは、巣ごもり需要によるパソコン・家電の販売増、データセンター投資の拡大、そして半導体不足を背景とした部品の確保の動きが重なったものです。需要が旺盛で、各社が増産に動きました。2023年の落ち込みは、それまでに積み上がった在庫を消化する在庫調整局面によるもので、需要そのものが消えたというよりは、発注の一時的な抑制が主因です。

2024年の回復は、在庫調整が一巡し、AIサーバーや車載向けの需要が下支えしたことによります。電子部品の生産は最終製品の需要と在庫サイクルに左右されるため、年ごとの変動が比較的大きいのが特徴です。

生産の多くを海外で担う構造は何を意味するのか?

日系メーカーの世界出荷(4兆6,198億円、年度)が国内生産額(約2兆8,777億円、暦年)を大きく上回ることは、日系メーカーが生産の相当部分を海外で担っていることを示しています。ただし、集計範囲(世界向け出荷か国内立地生産か)も時期(年度か暦年か)も異なるため、両者の差額を「海外生産額」と断定することはできません。

海外生産が大きいのは、最終製品の組み立てが中国・東南アジアに集中していることや、汎用品のコスト競争を背景としたものです。これは日系メーカーが需要地の近くで効率的に供給する戦略の表れでもあります。

一方で、海外生産の比重が高いことは、海外の生産・需要動向や、地政学リスク、為替変動の影響を受けやすいことも意味します。車載・産業向けの高信頼品や材料技術が要となる高付加価値品では国内生産が引き続き重要で、国内と海外の役割分担をどう最適化するかが各社の課題となっています。

電子部品と半導体は何が違い、どう関係するのか?

電子部品と半導体は、統計上も別のカテゴリで集計される異なる分野ですが、互いに補完的な関係にあります。

半導体は、自分で電気信号を増幅・制御する「能動部品」です。これに対し電子部品は、電気を蓄える・流す・整える受動部品(コンデンサ・抵抗器・インダクタなど)を中心に、機器をつなぐ接続部品(コネクタなど)や、物理量を電気信号に変える変換部品(センサなど)も含む分野です。

両者は役割が異なり、電子機器の中では半導体と電子部品が組み合わさって機能します。スマートフォンやサーバー、自動車などが高機能化するほど、半導体と電子部品の双方の需要が増える構造です。なお、ここで触れた電子情報産業(約11.5兆円、JEITA)は、半導体・電子部品・ディスプレイなどを合わせた、より大きな産業の枠を指します。

中期見通し

近未来1-2年

国内生産は、AIサーバー・車載向けの高付加価値品が下支えする構図が続くとみられます。在庫調整が一巡し、生成AI向けデータセンターや自動車の電動化に関連する部品の需要が国内生産を支えます。一方、汎用品の海外生産シフトは続き、国内は高付加価値品に重心を置く流れが続く見通しです。

中期3-5年

中期では、国内と海外の役割分担がさらに進む見通しです。コスト競争の激しい汎用品は海外で、高信頼・高機能が求められる車載・産業・AIサーバー向けは国内で、という棲み分けが強まる可能性があります。経済安全保障の観点から、重要部品の国内生産能力をどう維持するかも論点となります。

長期

長期では、最終製品の電子化が進むほど電子部品の需要は底堅く推移する見通しです。国内生産額は最終需要と在庫サイクル、為替に左右されるため、数字を読む際は、国内生産(暦年・国内立地)と世界出荷(年度・海外含む)の集計範囲の違いを踏まえることが前提となります。

よくある質問

電子部品の国内生産額はどのくらいですか?
経済産業省の生産動態統計によると、電子部品・デバイスの国内生産額は2024年に2兆8,777億円(暦年)です。2018年の2兆3,517億円から2022年の3兆134億円へ伸びた後、2023年の在庫調整による落ち込みを経て、2024年は回復に転じました。これは国内に立地する工場の生産額で、海外生産分は含みません。
国内生産額と世界出荷額はなぜ違うのですか?
国内生産額(経済産業省、約2兆8,777億円)は国内に立地する工場の生産額(暦年)で、海外生産分を含みません。一方、日系メーカーの世界出荷(JEITA、4兆6,198億円)は海外工場からの出荷分も含む世界向け出荷(年度)です。集計範囲と時期が異なるため、両者は大きく異なり、差額をそのまま海外生産額と読み替えることもできません。
なぜ日系メーカーは海外生産が多いのですか?
スマートフォンやパソコンなどの最終製品の組み立てが中国・東南アジアに集中しており、部品を需要地の近くで生産・供給する利点があるためです。汎用品ではコスト競争力も重視されます。一方、車載・産業向けの高信頼品や材料技術が要となる高付加価値品では、国内生産が引き続き重要な役割を担っています。
電子情報産業の11.5兆円と電子部品の2.9兆円はどんな関係ですか?
電子情報産業(約11.5兆円、JEITA、日系企業の国内生産)は、電子部品のほか半導体・ディスプレイ・通信機器などを含む、より大きな分類です。電子部品・デバイスはその中核分野の一つですが、この約11.5兆円(JEITA)と電子部品の国内生産(約2兆8,777億円、経済産業省)は集計の主体も範囲も異なる別々の統計で、割合を計算したり足し合わせたりはできません。
電子部品の国内生産は今後どうなる見通しですか?
AIサーバーや車載の電動化に関連する高付加価値品の需要が、国内生産を下支えする見通しです。一方、汎用品の海外生産シフトは続くとみられ、国内は高信頼・高機能品に重心を置く流れが続きます。経済安全保障の観点から、重要部品の国内生産能力の維持も論点となっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)
  2. 2.
    JEITA電子部品グローバル出荷統計
  3. 3.
    JEITA電子情報産業の世界生産見通し
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