ELECTRONIC COMPONENTS & DEVICES機械・電気

電子部品・デバイス業界の市場規模・主要企業・動向

日系電子部品メーカーの世界出荷は2025年度に4.6兆円と2014年度以降で最高となり、受動部品を軸に日本勢が世界シェア上位を占める産業です

電子部品・デバイス業界とは、コンデンサ・抵抗器・インダクタなどの受動部品、コネクタ・スイッチなどの接続部品、センサ・水晶デバイスなどの変換部品、回路基板や電源部品を、電子機器メーカー向けに供給する産業を指します。日系メーカーの世界出荷は2025年度に4兆6,198億円と2014年度以降で最高に達し、国内生産額も約2兆8,777億円規模です。スマートフォンの成熟が一巡する一方、AIサーバーや車載の電動化・SDV(ソフトウェア定義車)が新たな需要を生み、受動部品を中心に日本勢が世界シェア上位を保っています。本ページでは、電子部品・デバイス業界を、世界出荷額、日本勢の世界シェア、部品カテゴリ、国内生産、主要企業、産業構造、需要ドライバの7軸で整理します。

最終更新

業界サマリ

業界概要

電子部品・デバイス業界とは、受動部品・接続部品・変換部品・回路基板などを電子機器メーカーに供給する産業です。半導体(能動部品)とは統計上の分類が異なり、日本勢は受動部品を中心に世界シェア上位を占めます。

  • 受動部品を軸に日本勢が世界で強い産業です。コンデンサ・抵抗器・インダクタといった受動部品が、日系メーカーの世界出荷4兆6,198億円のうち半分超を占めます
  • 国内生産と世界出荷で規模の見え方が異なります。国内生産は約2兆8,777億円、日系メーカーの世界出荷は約4兆6,198億円で、海外生産分を含めて世界に供給しています
  • AIサーバー・車載が需要を牽引しています。スマートフォンの成熟が一巡する一方、電動化・SDV・生成AIが新たな成長源となっています
基礎データ: 経済産業省 生産動態統計 / JEITA電子部品グローバル出荷統計 / JEITA電子情報産業の世界生産見通し / 各社IR

市場動向

日系メーカーの世界出荷は2025年度に4兆6,198億円で2014年度以降の最高、国内生産も約2兆8,777億円です。電子部品・デバイスは電子情報産業の国内生産約11.5兆円の中核を成し、半導体・ディスプレイと並ぶ柱です。

  • 世界出荷は2025年度に4兆6,198億円と過去最高でした。コンデンサなどの受動部品がAIサーバー需要で牽引し、長期では2014年度以降の最高水準にあります
  • 国内生産は2024年に約2兆8,777億円です。2021-22年の約3兆円から2023年に在庫調整で落ち込み、2024年は回復に転じました
  • 電子情報産業全体の国内生産 約11.5兆円の中核分野です。電子部品・デバイスは半導体・ディスプレイと並ぶ柱を成しています
基礎データ: JEITA電子部品グローバル出荷統計 (2014-2025年度) / 経済産業省 生産動態統計 (2018-2024年) / JEITA電子情報産業の世界生産見通し (2025年12月)

競争環境

電子部品・デバイス業界では、総合電子部品メーカー(村田製作所・TDK・京セラ)、専業メーカー(太陽誘電・日本ケミコンなど)、モーター大手(ニデック)、コネクタ専業(ヒロセ電機・日本航空電子)など多様なプレイヤーが活動します。受動部品やコネクタなど領域ごとに日本勢が世界シェア上位を占め、各社は車載・AIサーバー向けの高付加価値品で競っています。

  • 総合メーカーが受動部品で世界上位にあります。村田製作所・TDKはMLCCやインダクタで世界の主要な供給者です
  • 専業・領域特化が並存しています。コンデンサ専業、コネクタ専業、モーター大手など、領域ごとに強みを持つ企業が存在します
  • 車載・AIサーバー向けの高付加価値品で競争しています。各社は小型高容量・高信頼の部品で差別化を進めています
基礎データ: 各社IR / JEITA

市場規模推移

2014-2025 · 日系メーカー世界出荷 / 国内生産額

日系メーカー電子部品 世界出荷額の推移 (2014-2025年度、兆円、JEITA)

単位: 兆円
0.001.252.503.755.003.94143.97153.864.104.033.713.75204.384.374.384.534.6225
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計 (2014-2025年度)
年度201420152016201720182019202020212022202320242025
日系メーカー世界出荷兆円3.943.973.864.104.033.713.754.384.374.384.534.62
前年比+0.9%-2.9%+6.3%-1.8%-7.9%+1.0%+17.0%-0.3%+0.3%+3.4%+1.9%

電子部品の国内生産額の推移 (2018-2024年、兆円、経済産業省 生産動態統計)

単位: 兆円
0.001.002.003.004.002.35182.27192.46202.91213.01222.79232.8824
出典: 経済産業省 生産動態統計 機械統計 (電子部品、2018-2024年)
2018201920202021202220232024
国内生産額兆円2.352.272.462.913.012.792.88
前年比-3.6%+8.4%+18.2%+3.7%-7.3%+3.0%
市場規模の読み解き
日系メーカー世界出荷額の長期推移

日系電子部品メーカーの世界出荷額は2025年度に4兆6,198億円と、集計を開始した2014年度以降で最高を更新しました。長期で見ると、2014-2018年度は約4兆円前後で横ばいに推移し、2019-2020年度は約3兆7,000億円へ低下しました(米中摩擦やスマートフォンの伸び鈍化)。その後2021年度に前年比17%増の約4兆4,000億円へ急回復し、2024-2025年度はAIサーバー向けの需要で過去最高を更新しています。

世界出荷は海外生産分を含む日系メーカーの世界向け出荷(年度)です。これとは別に、経済産業省が集計する国内生産額は2024年に約2兆8,777億円(暦年)で、日系メーカーは生産の相当部分を海外で担う構造です。両者は集計範囲が異なり、単純に足し引きすることはできません。

⇒世界出荷額を詳しく見る

⇒国内生産を詳しく見る

受動部品を軸とした日本勢の世界シェア

2025年度の世界出荷の品目構成は受動部品が半分超(2兆4,376億円)を占め、接続部品が約2割、変換部品が約2割弱、その他が約1割と続きます。受動部品の最大品目はコンデンサで、1兆7,277億円(世界出荷全体の3分の1超)に達し、AIサーバー需要を背景に前年から伸びました。インダクタ・抵抗器がこれに続きます。

とりわけ積層セラミックコンデンサ(MLCC)やインダクタでは、村田製作所・TDK・太陽誘電などの日本勢が世界シェア上位を占めます。スマートフォン1台に数百個、自動車1台に数千個が搭載される部品で、AIサーバーでは高性能MLCCの使用個数が従来サーバーの数倍に増え、日本勢への需要が高まっています。

⇒部品カテゴリと日本勢の世界ポジションを詳しく見る

需要ドライバと技術トレンド

電子部品・デバイスの需要は最終製品の動向に左右されます。スマートフォンの市場成熟が一巡する一方、車載(電動化・ADAS・SDV)とAIサーバー・データセンターが新たな需要を牽引しています。自動車1台あたりの電子部品搭載額は電動化で増え、ソフトウェアで機能を更新するSDV化が高機能部品の需要を押し上げています。

技術面では小型・高容量化、高信頼化、高周波対応が共通テーマです。各社は車載・産業向けの高い信頼性が求められる高付加価値品にシフトし、用途ごとに性能を最適化した部品で競っています。

⇒需要先・技術動向を詳しく見る

主要トピック

業界構造

主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要
電子部品・デバイス業界の構造
主要プレイヤー (2026年6月時点)
01
部品カテゴリ (4分類、半導体は含まない)
Categories — 受動 / 接続 / 変換 / その他。世界出荷では受動部品が最大
受動部品
接続部品
変換部品
その他の電子部品
03
需要先 (最終製品メーカー)
Demand — 車載・AIサーバーが成長の中心、スマホは成熟
自動車 (車載)
AIサーバー・データセンター
スマートフォン
産業機器・通信インフラ
JEITA 電子部品グローバル出荷統計 (2025年度) / 経済産業省 生産動態統計 機械統計 (電子部品、2024年) / 各社 IR。会社別の世界シェアは品目ごとに異なり、固定した少数寡占ではない。具体的なシェア値は global-share ページで一次資料に基づき整理する。
業界構造の読み解き
部品カテゴリの全体像

電子部品は大きく4つに分類されます。電気を蓄える・流す・整える受動部品(コンデンサ・抵抗器・インダクタ)、機器をつなぐ接続部品(コネクタ・スイッチ)、物理量を電気信号に変える変換部品(センサ・水晶デバイス・音響部品・アクチュエータ)、そして回路基板・電源部品などのその他の電子部品です。

日系メーカーの世界出荷ではこの順に、受動部品が半分超、接続部品と変換部品がそれぞれ約2割、その他が約1割を占めます。受動部品が最大のカテゴリで、なかでもコンデンサが世界出荷の3分の1超に達します。半導体(能動部品)はこの分類には含まれず、別の分野として整理されます。

⇒部品カテゴリ別を詳しく見る

プレイヤーの多層構造

業界は総合電子部品メーカー(村田製作所・TDK・京セラ)を中心に、コンデンサ・インダクタの専業(太陽誘電・日本ケミコン)、コネクタ専業(ヒロセ電機・日本航空電子工業)、精密モーター大手(ニデック)など、領域ごとに強みを持つ企業が多層に存在します。

総合メーカーは受動部品から通信モジュールまで幅広い製品を抱え、専業メーカーは特定品目で世界シェア上位を狙う戦略です。固定した少数の企業が全体を独占しているのではなく、品目ごとに上位企業が異なる構造で、MLCCやインダクタなどでは日本勢が世界上位を占めます。

⇒主要企業を詳しく見る

サプライチェーンと需要先

電子部品は素材(セラミック・金属・樹脂)から完成部品までを担い、スマートフォン・自動車・産業機器・データセンターのメーカーへ供給されます。近年は車載とAIサーバーが需要の中心に移り、各社は高信頼・高耐熱・高容量といった要求に応える高付加価値品にシフトしています。

電子部品は半導体を実装する回路基板や、その周辺で機器全体を支える役割を担います。半導体や半導体製造装置とは隣接しつつ役割が異なり、電子部品はあらゆる電子機器の土台を成す位置づけです。

⇒需要先・技術動向を詳しく見る

業界の3大論点

01

なぜ日本勢は受動部品で世界シェア上位を保てているのか?

電子部品の世界出荷で日本勢が強いのは、コンデンサ・インダクタ・抵抗器などの受動部品です。受動部品は日系メーカーの世界出荷4兆6,198億円のうち半分超を占め、なかでも積層セラミックコンデンサ(MLCC)では村田製作所・太陽誘電・TDKが世界シェア上位に位置します。

優位の背景には3つの要素があります。第1は材料と微細積層の技術蓄積で、MLCCは誘電体セラミックを数百層に積層する微細加工が要で、長年の材料開発と量産技術が参入障壁になっています。第2は車載・産業向けの高信頼要求への対応で、自動車や産業機器は高温・長寿命の厳しい条件を求めるため、信頼性で実績のある日本勢が選ばれやすい構図です。第3は継続的な設備投資で、需要拡大に合わせて各社が増産投資を続け、小型高容量化で先行してきました。

この優位は固定的なものではなく、韓国・台湾・中国勢が汎用品で追い上げており、日本勢は車載・AIサーバー向けの高付加価値品で差別化を続ける構図にあります。

02

AIサーバーと車載は電子部品の需要をどう変えるのか?

スマートフォンの市場成熟が一巡するなか、電子部品の新たな需要を牽引しているのがAIサーバーと車載です。両者はいずれも、1台あたりに搭載される電子部品の量と金額を押し上げる方向に働きます。

AIサーバーでは、GPUを多数搭載する高性能サーバーが電力を安定供給するためにMLCCの使用個数が従来サーバーの数倍に増えます。生成AI向けデータセンターの拡張が、高性能・大容量のコンデンサやインダクタへの需要を生んでいます。車載では、電気自動車やハイブリッド車の普及で1台あたりの電子部品搭載額が増加し、さらにソフトウェアで機能を更新するSDV化や先進運転支援(ADAS)が、高機能・高信頼の部品需要を押し上げています。

これらの用途は、スマートフォン向けの汎用品とは異なり、高温・長寿命・大容量といった要求が厳しく、価格競争に陥りにくい高付加価値領域です。日本勢が強みを発揮しやすい分野であり、各社は車載・AIサーバー向けの製品比率を高めています。

03

世界出荷4.6兆円と国内生産2.9兆円の差は何を意味するのか?

電子部品・デバイス業界の規模を見るとき、日系メーカーの世界出荷(2025年度 約4兆6,198億円)と国内生産額(2024年 約2兆8,777億円)という2つの数字が登場します。両者は規模が異なりますが、これは集計の対象範囲が違うためです。

世界出荷は、JEITAが日系電子部品メーカーの世界向け出荷額を集計したもので、海外に立地する工場からの出荷分も含みます。一方、国内生産額は経済産業省が国内に立地する工場の生産額を集計したもので、海外生産分は含みません。さらに、前者は年度(4月-3月)、後者は暦年(1月-12月)で集計時期も異なります。

この2つの数字を比べると、日系メーカーは生産の相当部分を海外で担う構造にあることがうかがえます。ただし、集計範囲と時期が異なるため、両者の差額をそのまま「海外生産額」と読み替えることはできません。市場規模を語るときは、どの統計のどの範囲を見ているかを区別することが重要です。

よくある質問 (FAQ)

電子部品・デバイス業界の市場規模はどれくらいですか?
日系メーカーの電子部品 世界出荷額は、JEITA電子部品グローバル出荷統計によると2025年度に4兆6,198億円で、集計を開始した2014年度以降で最高でした。一方、経済産業省 生産動態統計による国内生産額は2024年に約2兆8,777億円です。世界出荷は海外生産分を含む日系メーカーの世界向け出荷、国内生産は国内工場の生産額で、集計範囲が異なります。
電子部品と半導体は何が違うのですか?
電子部品は、電気を蓄える・流す・整えるコンデンサや抵抗器、インダクタといった受動部品や、コネクタ・スイッチ、センサ・水晶デバイスなどを指します。これに対し半導体は、電気信号を増幅・スイッチングする能動部品で、集積回路やメモリ、パワー半導体などが該当します。統計上も両者は別カテゴリで集計されており、半導体は別の業界分野として整理されます。
日本の電子部品メーカーはなぜ世界で強いのですか?
日本勢が強いのは主に受動部品の分野です。積層セラミックコンデンサ(MLCC)やインダクタでは、村田製作所・TDK・太陽誘電などが世界シェア上位を占めます。誘電体セラミックを微細に積層する材料・量産技術の蓄積、自動車や産業機器が求める高信頼性への対応、継続的な設備投資が背景にあります。日系メーカーの世界出荷4兆6,198億円のうち、受動部品が半分超を占めています。
主要な電子部品メーカーはどこですか?
総合電子部品メーカーとして村田製作所・TDK・京セラ、コンデンサ・インダクタの専業として太陽誘電・日本ケミコン、コネクタ専業としてヒロセ電機・日本航空電子工業、精密モーター大手としてニデック、受動部品と半導体の両方を手がけるロームなどが活動しています。固定した少数の企業が独占しているのではなく、品目ごとに強みを持つ企業が異なる多層構造です。
電子部品の需要を牽引しているのは何ですか?
近年の需要を牽引しているのは、AIサーバー・車載・スマートフォンです。生成AI向けのデータセンター拡張により、高性能サーバーで使うコンデンサ・インダクタの需要が高まっています。自動車では電動化やソフトウェア定義車(SDV)化で1台あたりの電子部品搭載額が増えています。スマートフォンは市場が成熟しつつあり、成長の中心はAIサーバーと車載に移りつつあります。
受動部品・接続部品・変換部品とは何ですか?
電子部品は大きく4つに分類されます。受動部品は電気を蓄える・流す・整える部品で、コンデンサ・抵抗器・インダクタ・トランスが該当します。接続部品は機器をつなぐ部品で、コネクタ・スイッチが含まれます。変換部品は物理量を電気信号に変える部品で、センサ・水晶デバイス・音響部品・アクチュエータが該当します。このほか、回路基板や電源部品などのその他の電子部品があります。
電子部品市場は今後どうなる見通しですか?
スマートフォンの市場成熟が一巡する一方、AIサーバーと車載が新たな成長源となる見通しです。生成AI向けデータセンターの拡張、自動車の電動化・SDV化が、高性能・高信頼の電子部品需要を押し上げています。技術面では小型・高容量化、高信頼化、高周波対応が共通テーマで、各社は価格競争に陥りにくい車載・産業向けの高付加価値品にシフトしています。

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参考資料 / 一次ソース

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