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電子部品の世界出荷額|日系メーカー出荷額の推移と地域別構成【2026年版】

日系電子部品メーカーの世界出荷額は、JEITA電子部品グローバル出荷統計によると2025年度に4兆6,198億円となり、集計を開始した2014年度以降で最高を更新しました。長期では2014-2018年度の約4兆円から2019-2020年度に約3兆7,000億円へ低下し、2021年度に前年比約17.0%増へ急回復、AIサーバー需要を背景に最高水準に達しています。最大の出荷先は中国の1兆5,927億円で、海外向けが大半を占めます。世界出荷は海外生産分を含む日系メーカーの世界向け出荷(年度)で、経済産業省が集計する国内生産額(暦年)とは集計範囲が異なります。世界出荷額の推移・地域別の構成・国内生産との違いまで順に整理します。

世界出荷額(2025年度)
4兆6,198億円
日系メーカーの世界向け出荷額、2014年度以降で最高を更新
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計
集計開始(2014年度)
3兆9,372億円
JEITAが統計を公表する最初の年度。ここから2025年度に最高を更新(時系列の起点)
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計
中国向け(2025年度)
1兆5,927億円
最大の出荷先。電子機器の生産が集中する地域への供給
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計
日本向け(2025年度)
1兆210億円
日本国内への出荷。国内生産額(約2兆8,777億円)とは集計範囲が異なる
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計

日系メーカーの電子部品 世界出荷額の推移(2014-2025年度、億円)

2014年度の3兆9,372億円から横ばい・低下を経て、2025年度に4兆6,198億円と2014年度以降で最高
単位: 億円
012,50025,00037,50050,00039,3721439,7391538,59941,01540,26137,07937,4602043,82043,69343,81445,32346,19825
出典: JEITA電子部品グローバル出荷統計(2014-2025年度)
年度201420152016201720182019202020212022202320242025
世界出荷額億円39,37239,73938,59941,01540,26137,07937,46043,82043,69343,81445,32346,198
前年比+0.9%-2.9%+6.3%-1.8%-7.9%+1.0%+17.0%-0.3%+0.3%+3.4%+1.9%
読み解き

日系電子部品メーカーの世界出荷額は、2014年度の3兆9,372億円から2025年度の4兆6,198億円まで、横ばいと低下を経て最高水準に達しました。2014-2018年度は約4兆円前後で大きな伸びがなく、2019-2020年度は米中摩擦やスマートフォンの伸び鈍化で約3兆7,000億円へ低下しました。電子部品の需要は最終製品の生産動向に左右されるため、世界の景気やスマートフォン市場の動きを反映して推移しています。

転機は2021年度で、巣ごもり需要やデータセンター投資に加え、コロナ後の世界的な部品の逼迫を背景に、前年比約17.0%増の4兆3,820億円へ急回復しました。2022-2023年度は需要の一巡による在庫調整(顧客が積み増した在庫を消化する局面)で横ばいとなりましたが、2024-2025年度はAIサーバー向けのコンデンサ・インダクタ需要が牽引し、最高水準を更新しています。なお、この出荷額は海外生産分を含む日系メーカーの世界向け出荷で、円安局面では円換算額が押し上げられる面もあります。

このグラフに関連するトピック

世界出荷の仕向地別内訳(2025年度、億円)

出荷先(仕向地)別の構成。生産地別ではなく、日系メーカーがどの地域へ出荷したかを示す
項目世界出荷額(億円)構成比シェア
中国15,92734.6%
アジア他10,25022.2%
日本10,21022.1%
米州5,04110.9%
欧州4,66710.1%
地域計46,095100.0%
読み解き

2025年度の世界出荷を出荷先(仕向地)別に見ると、最大は中国の1兆5,927億円で地域計の34.6%を占めます。次いでアジア他が1兆250億円、日本が1兆210億円と続き、米州(5,041億円)・欧州(4,667億円)がこれに続きます。日本向けは地域計の22.1%で、海外向けが77.9%を占めます。スマートフォンやサーバー、家電などの電子機器の生産が中国・アジアに集中していることが、出荷先の地域構成に表れています。

ここで注意したいのは、「日本向け」(1兆210億円)が日本の電子部品の生産量や市場規模を表す数字ではないことです。これは日系メーカーが日本国内へ出荷した分(仕向地別)であり、国内に立地する工場の生産額(国内生産額)とも、日本の市場規模とも別の概念です。

なお、本表の構成比は地域計(46,095億円)を分母とした地域内シェアです。世界計46,198億円を分母にすると中国は34.5%となります。地域計と世界計には約103億円の差がありますが、これはJEITAが地域別を独立に四捨五入しているためで、当方は公表値をそのまま記載しています。

3つの統計の違い(世界出荷・国内生産・日本向け)

同じ「電子部品」でも、何を・どの範囲で・いつ集計したかが異なる別々の数字。足し引きはできない
世界出荷
集計範囲・基準
日系メーカーの世界向け出荷額。海外に立地する工場からの出荷分も含む
金額(対象年)
4兆6,198億円(2025年度)
出典
JEITA
国内生産
集計範囲・基準
国内に立地する工場の生産額。海外生産分は含まない(暦年集計)
金額(対象年)
2兆8,777億円(2024年)
出典
経済産業省
日本向け
集計範囲・基準
日系メーカーが日本国内へ出荷した分(仕向地別。生産地は問わない)
金額(対象年)
1兆210億円(2025年度)
出典
JEITA
読み解き

電子部品・デバイスの規模には、上の3つのよく似た数字が登場しますが、いずれも集計の起点・範囲・時期が異なる別々の統計です。世界出荷(4兆6,198億円)は海外工場からの出荷を含む日系メーカーの世界向け出荷(年度)、国内生産(約2兆8,777億円)は国内に立地する工場の生産額(暦年)、日本向け(1兆210億円)は出荷先が日本の分(仕向地別)を指します。

3つは足し引きできません。たとえば世界出荷から国内生産を引いた差額を「海外生産額」と読み替えることはできず、仕向地別の「日本向け」を日本の電子部品の市場規模と同一視することもできません。規模を語るときは、どの統計のどの範囲を見ているかを必ず区別する必要があります。

主要論点

なぜ世界出荷は2014年度以降で最高となったのか?

日系電子部品メーカーの世界出荷額は2025年度に4兆6,198億円となり、集計を開始した2014年度以降で最高を更新しました。2014-2020年度は約3兆7,000億〜4兆円のレンジで横ばい・低下が続いており、最高水準への到達は2021年度以降の回復局面によるものです。

最大の押し上げ要因はAIサーバー・データセンター向けの需要です。生成AI向けの高性能サーバーは、GPUへ安定的に電力を供給するために積層セラミックコンデンサ(MLCC)の使用個数が従来サーバーの数倍に増えるとされ、電気をためるコンデンサや電流を安定させるインダクタといった受動部品(電気を蓄える・流す・整える部品)の出荷を押し上げています。2025年度の世界出荷では、受動部品が半分超を占めました。

加えて、自動車の電動化やソフトウェア定義車(SDV)化で1台あたりの電子部品搭載額が増えていることも、中長期の需要を支えています。一方、円安局面では海外向け出荷の円換算額が膨らむ面もあり、最高水準の背景には実需の拡大と為替の両方が含まれます。「2014年度以降で最高」という表現は、JEITAがこの統計を2014年度から公表している範囲での最高という意味で、それ以前との比較ではない点に留意が必要です。

中国が最大の出荷先である構造は何を意味するのか?

2025年度の世界出荷の出荷先(仕向地)別で最大は中国の1兆5,927億円で、地域計の34.6%を占めます。アジア他(1兆250億円)を合わせると、中国・アジア向けで全体の半分超に達します。これは、スマートフォン・パソコン・家電・サーバーといった電子機器の組み立て生産が中国を中心とするアジアに集中しているためで、日系メーカーは最終製品が組み立てられる地域へ部品を供給しています。

ここでの「中国向け」は、あくまで部品の出荷先(仕向地)を指すもので、中国企業が出荷しているという意味ではありません。出荷しているのは日系電子部品メーカーで、その納入先である電子機器の工場が中国に多く立地している、という構造です。

出荷先が中国・アジアに集中していることは、これらの地域の生産動向や景気、貿易政策の変化が日系メーカーの出荷に影響しやすいことを意味します。電子機器の生産拠点が一部で東南アジアやインドへ分散する動きもあり、出荷先の地域構成が中長期にどう変化するかは、注視すべき論点です。

世界出荷4.6兆円と国内生産2.9兆円の差は何を意味するのか?

電子部品・デバイスの規模を見るとき、日系メーカーの世界出荷(2025年度・約4兆6,198億円)と国内生産額(2024年・約2兆8,777億円)という2つの数字が登場します。両者は規模が異なりますが、これは集計の対象範囲が違うためです。

世界出荷は、JEITAが日系電子部品メーカーの世界向け出荷額を集計したもので、海外に立地する工場からの出荷分も含みます。一方、国内生産額は経済産業省が国内に立地する工場の生産額を集計したもので、海外生産分は含みません。さらに、前者は年度(4月-3月)、後者は暦年(1月-12月)で集計時期も異なります。

この2つを比べると、日系メーカーは生産の相当部分を海外で担う構造にあることがうかがえます。ただし、集計範囲と時期が異なるため、両者の差額をそのまま「海外生産額」と読み替えることはできません。また、仕向地別の「日本向け」(1兆210億円)も、日本国内への出荷を示すもので、国内生産額や日本の市場規模とは別の数字です。市場規模を語るときは、どの統計のどの範囲を見ているかを区別することが重要です。

中期見通し

近未来1-2年

世界出荷はAIサーバー向けの需要が牽引する構図が続くとみられます。生成AI向けデータセンターの拡張が高性能コンデンサ・インダクタの需要を支える一方、スマートフォンは市場が成熟しつつあり、出荷の伸びは最終製品ごとに差が出ます。出荷先の中国・アジアの生産動向や在庫の調整局面が、短期の出荷額を左右します。

中期3-5年

中期では、車載の電動化・SDV化とAIサーバーが二大ドライバとなる見通しです。自動車1台あたりの電子部品搭載額が増え、サーバーの高性能化が高付加価値部品の需要を押し上げます。出荷先では、電子機器の生産が東南アジアやインドへ一部分散する動きがあり、地域構成が緩やかに変化する可能性があります。

長期

長期では、最終製品の電子化・高機能化が電子部品の搭載量を増やす基調が続く見通しです。世界出荷の水準は最終需要と為替の両方に左右されるため、数字を読む際は、世界向け出荷(年度)と国内生産(暦年)の集計範囲の違いを踏まえることが前提となります。

よくある質問

電子部品の世界出荷額はどのくらいですか?
JEITA電子部品グローバル出荷統計によると、日系電子部品メーカーの世界出荷額は2025年度に4兆6,198億円で、集計を開始した2014年度以降で最高でした。これは海外に立地する工場からの出荷分も含む、日系メーカーの世界向け出荷額(年度)です。
なぜ2025年度に最高水準まで伸びたのですか?
最大の要因はAIサーバー・データセンター向けの需要です。生成AI向けの高性能サーバーでは積層セラミックコンデンサ(MLCC)の使用個数が従来サーバーの数倍に増えるとされ、コンデンサやインダクタなどの受動部品の出荷を押し上げました。自動車の電動化・SDV化による搭載額の増加や、円安による円換算額の押し上げも背景にあります。
電子部品の最大の出荷先はどこですか?
2025年度の出荷先(仕向地)別では中国が最大で1兆5,927億円、地域計の34.6%を占めます。次いでアジア他(1兆250億円)、日本(1兆210億円)の順です。スマートフォンやサーバーなどの電子機器の生産が中国・アジアに集中しているため、これらの地域への出荷が大きくなっています。
世界出荷額と国内生産額は何が違いますか?
世界出荷額(JEITA)は日系メーカーの世界向け出荷で、海外工場からの出荷分も含み年度で集計します。国内生産額(経済産業省、2024年・約2兆8,777億円)は国内に立地する工場の生産額で、海外分を含まず暦年で集計します。対象範囲と時期が異なるため、両者は単純に足し引きできず、差額をそのまま海外生産額と読み替えることもできません。
「日本向け」は日本の電子部品市場規模ですか?
いいえ、別の概念です。仕向地別の「日本向け」(2025年度・1兆210億円)は、日系メーカーが日本国内へ出荷した分を示すもので、国内に立地する工場の生産額(国内生産額・約2兆8,777億円)とも、日本国内で消費される電子部品の市場規模とも異なります。集計の起点が出荷先か生産地かで数字が変わるため、混同しないことが重要です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    JEITA電子部品グローバル出荷統計
  2. 2.
    経済産業省 生産動態統計 機械統計(電子部品)
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