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電子部品の主要メーカー|総合・専業大手の業績と事業構成を比較【2026年版】

電子部品の主要な上場メーカーを比べると、電子部品事業の規模では村田製作所が最大手で、連結売上の大半を電子部品が占めます。連結売上高ではTDKやニデックの方が大きいものの、TDKは二次電池、ニデックは各種モーターを大きく含むため、連結の規模がそのまま電子部品事業の規模を表すわけではありません。本ページの数値は各社の連結業績で、多角化企業は電子部品関連の事業も併記します。各社の売上を足し合わせても市場規模にはならない点にも注意が必要です。

主要メーカーの連結業績と電子部品事業の位置づけ

各社の連結全社ベース(多角化企業は電子部品関連の売上を併記)。行は品目カテゴリ順で、連結売上の順位は全社規模を示し電子部品事業の規模ではない。「電子部品関連 売上」の「—」は電子部品が報告セグメントとして分離開示されていないことを示す(金額ゼロではない)。9社は2026年3月期、ニデックは決算手続の遅延により2025年3月期

電子部品事業の規模では村田製作所(電子部品関連 約1兆8,157億円・連結営業利益2,818億円)が最大手で、コンデンサ(MLCC=積層セラミックコンデンサ)を中心に高い収益性を保ちます。連結売上高ではTDK(2兆5,048億円)やニデック(2兆6,078億円)の方が大きいものの、TDKは売上の半分超を二次電池(エナジー応用製品)が占め、ニデックは各種モーターが主軸で、いずれも電子部品(受動部品・接続部品・変換部品)以外を大きく含みます。

そのため、連結売上の大きさを「電子部品メーカーの規模」と読むことはできません。電子部品関連の売上で見ると、村田に次いでTDK(受動・センサ・磁気で約1兆807億円)、アルプスアルパイン、京セラが続きます。専業メーカーは連結のほぼ全社が電子部品で、ヒロセ電機はコネクタで高い営業利益率を上げています。会計基準は各社で異なる(IFRSと日本基準が混在)ため、営業利益の範囲は完全には一致せず、規模感の比較として捉える必要があります。

村田製作所
総合:コンデンサ・通信モジュール等の最大手
連結売上高
1兆8,309億円
電子部品関連 売上
1兆8,157億円
連結営業利益
2,818億円
主な対象(電子部品の範囲)
コンデンサ等でほぼ全社
TDK
総合:受動部品・センサ・二次電池
連結売上高
2兆5,048億円
電子部品関連 売上
1兆807億円
連結営業利益
2,724億円
主な対象(電子部品の範囲)
受動・センサ・磁気(二次電池は除く)
京セラ
総合:多角化(電子部品・半導体パッケージ等)
連結売上高
2兆702億円
電子部品関連 売上
3,626億円
連結営業利益
1,181億円
主な対象(電子部品の範囲)
多角化、電子部品事業のみ(半導体パッケージ等は別区分)
太陽誘電
受動専業:MLCC・インダクタ
連結売上高
3,553億円
電子部品関連 売上
3,553億円
連結営業利益
200億円
主な対象(電子部品の範囲)
MLCC・インダクタ専業
日本ケミコン
受動専業:アルミ電解コンデンサ
連結売上高
1,368億円
電子部品関連 売上
1,368億円
連結営業利益
34億円
主な対象(電子部品の範囲)
アルミ電解コンデンサ専業
ヒロセ電機
接続専業:コネクタ
連結売上高
2,113億円
電子部品関連 売上
2,113億円
連結営業利益
430億円
主な対象(電子部品の範囲)
コネクタ専業
日本航空電子工業
接続専業:コネクタ(航機も)
連結売上高
2,279億円
電子部品関連 売上
1,992億円
連結営業利益
89億円
主な対象(電子部品の範囲)
コネクタ主(航機・宇宙は除く)
ニデック
モーター複合:精密・車載モーターが主軸(2025年3月期)
連結売上高
2兆6,078億円
電子部品関連 売上
連結営業利益
2,381億円
主な対象(電子部品の範囲)
精密・車載モーター主軸(電子部品は一部)
アルプスアルパイン
センサ複合:電子部品と車載モジュール
連結売上高
1兆195億円
電子部品関連 売上
4,436億円
連結営業利益
420億円
主な対象(電子部品の範囲)
電子部品事業(車載情報機器は除く)
ローム
半導体複合:半導体が主軸、受動も
連結売上高
4,811億円
電子部品関連 売上
連結営業利益
109億円
主な対象(電子部品の範囲)
半導体主軸(受動部品はごく一部)

村田製作所 — コンデンサで世界をリードする総合最大手

コンデンサ(MLCC)を中核に、インダクタ、通信モジュール、センサまで幅広く手がける総合電子部品メーカーです。報告セグメントは「コンポーネント」(外部売上1兆1,597億円)と「デバイス・モジュール」(6,560億円)が中心で、連結売上1兆8,309億円のほぼ全てが電子部品関連です。MLCCはスマートフォンやデータセンター、車載で需要が伸びる分野で、村田は小型・大容量品で世界の上位を占めます。

連結営業利益2,818億円は主要メーカーで最も高く、コンデンサの収益力が全社を支える構造です。第90期(2026年3月期)からは会計基準をIFRSに移行しました。デバイス・モジュールには高周波部品やリチウムイオン二次電池、センサが含まれ、車載・AIサーバー向けの高付加価値品に重心を移しています。

TDK — 受動部品と二次電池の二本柱

受動部品(コンデンサ・インダクタ等、外部売上5,932億円)、センサ応用製品、磁気応用製品(HDDヘッド等)に加え、エナジー応用製品(二次電池)を抱える総合メーカーです。連結売上2兆5,048億円は主要メーカーで最大級ですが、その半分超の1兆3,703億円は二次電池(スマートフォン向けが中心)で、これは一般に電子部品(受動・接続・変換)には含めない分野です。

電子部品(受動部品・センサ・磁気)に絞ると約1兆807億円で、連結との差の大半を二次電池が占めます(残りはその他事業)。二次電池は特定の大口顧客向けの比重が高く、受動部品は車載・産業向けの高信頼品が収益を支えます。電子部品メーカーとしての規模を見る際は、二次電池を含む連結と、受動部品中心の電子部品事業を分けて捉える必要があります。

京セラ — 多角化のなかの電子部品事業

ファインセラミック部品、電子部品、機械工具や複合機などのソリューション事業まで幅広く手がける多角化企業です。連結売上2兆702億円のうち、コンデンサ・コネクタ・水晶デバイスなどの電子部品事業は外部売上3,626億円で、半導体パッケージ向けのファインセラミックは別区分(コアコンポーネント)に分類されます。

電子部品単体で見ると村田・TDKより小さく、京セラ全体としては電子部品以外の事業の比重が大きいのが特徴です。電子部品事業は買収した米AVX系の受動部品を含み、コンデンサ流通で強みを持ちます。連結の規模を電子部品事業の規模と取り違えないことが、京セラを読むうえで重要です。

太陽誘電 — MLCC・インダクタの受動部品専業

MLCC(積層セラミックコンデンサ)インダクタを中核とする受動部品の専業メーカーです。報告セグメントは電子部品事業の単一で、連結売上3,553億円のほぼ全てが電子部品です。製品別ではコンデンサが売上の約7割を占め、スマートフォンや車載、産業機器向けに供給します。

村田と並ぶMLCCの主要メーカーで、小型・大容量品や高信頼の車載向けに強みを持ちます。専業ゆえに業績は電子部品需要の波を直接受けやすく、連結営業利益200億円は市況に応じて変動します。

日本ケミコン — アルミ電解コンデンサの専業

アルミ電解コンデンサを主力とする受動部品の専業メーカーで、報告セグメントは「コンデンサ」中心です。連結売上1,368億円のほぼ全てが電子部品で、車載・産業機器・再生可能エネルギー関連など、大容量・高耐圧が求められる用途に強みを持ちます。

MLCC(セラミック)とは異なるアルミ電解の分野で世界の上位に位置し、電動車やパワーエレクトロニクスの拡大が追い風です。専業ゆえに規模は総合メーカーより小さいものの、特定分野での競争力が事業の柱になっています。

ヒロセ電機 — 高収益のコネクタ専業

コネクタ(接続部品)の専業メーカーで、報告セグメントは多極コネクタ(外部売上1,858億円)と同軸コネクタが中心です。連結売上2,113億円に対し連結営業利益は430億円で、主要メーカーのなかでも高い営業利益率が際立ちます。

小型・高速・高密度のコネクタに強みを持ち、スマートフォンや車載、産業機器向けにファブレスに近い高付加価値モデルで稼ぎます。特定品目に集中することで高い収益性を実現している、専業メーカーの代表例です。

日本航空電子工業 — コネクタと航機の複合

コネクタを主力とし、車載・スマートフォン・産業機器向けに供給する接続部品メーカーです。コネクタ事業の外部売上は1,992億円で、これに加えて防衛・宇宙向けの航機事業(205億円)やタッチパネル等のインターフェース事業を持ちます。

電子部品(コネクタ)に該当するのはコネクタ事業が中心で、航機事業は電子機器・装置の分野です。連結売上2,279億円のうち、電子部品の本丸はコネクタで、車載のADASや電装化に伴う需要が事業を支えます。

ニデック — 主軸はモーター、電子部品は一部

精密小型モーターと車載用モーターを主軸とする企業で、連結売上2兆6,078億円は主要メーカーで最大級ですが、その大半は各種モーター事業です。電子部品(受動・接続・変換)は報告セグメントとして分離されておらず、製品区分別の参考開示では電子・光学部品が約844億円(連結の約3%)にとどまります。

したがって、ニデックの連結売上を電子部品メーカーの規模として読むことはできません。同社はHDD用モーターから車載駆動モーターへと事業を広げてきた精密モーターの大手で、電子部品は事業の一部という位置づけです。なお、決算手続の遅延により、最新の確定値は2025年3月期です。

アルプスアルパイン — 電子部品と車載モジュール

スイッチ・センサなどの電子部品(コンポーネント事業3,584億円・センサー事業853億円)と、カーナビなどの車載情報機器(モビリティ事業5,551億円)を併せ持つ企業です。連結売上1兆195億円のうち、電子部品に該当するのはコンポーネントとセンサーの約4,436億円です。

モビリティ事業はカーナビやディスプレイなどの完成機器・モジュールで、電子部品単体とは性格が異なります。電子部品事業はスマートフォン向けの比重が高く、特定顧客の動向に業績が左右されやすい構造です。

ローム — 半導体が主軸、受動部品も手がける

半導体(LSI・ダイオード・トランジスタ・パワーデバイス等)を主軸とする企業で、連結売上4,811億円の約9割を半導体が占めます。電子部品としての受動部品(抵抗器など)は「その他」に含まれ分離開示されておらず、ロームの事業の中ではごく一部です。

ロームは半導体が中心の企業であり、電子部品(受動)の専業・総合メーカーとは位置づけが異なります。2026年3月期は半導体関連の減損損失を計上し、連結では純損失となりました。電子部品の文脈では、抵抗器などの受動部品も手がける企業として捉えるのが実態に近いといえます。

主要論点

総合電子部品メーカーと専業メーカーは何が違うのか?

総合電子部品メーカー(村田・TDK・京セラ)は、コンデンサ・インダクタ・コネクタ・センサ・モジュールなど幅広い製品を手がけ、需要先や品目の分散で業績の波を和らげられるのが強みです。村田は電子部品関連で約1兆8,157億円と最大の規模を持ち、コンデンサを軸に総合力で稼ぎます。

一方、専業メーカーは特定品目に集中します。太陽誘電・日本ケミコンは受動部品(コンデンサ・インダクタ)、ヒロセ電機・日本航空電子工業はコネクタに特化し、その分野で世界の上位を狙う戦略です。とくにヒロセ電機は連結営業利益430億円と高い収益性を上げており、特定品目への集中が高付加価値につながっています。

総合は規模と分散、専業は集中と収益性という違いがあり、どちらも品目ごとの世界シェア争いのなかで強みを発揮しています。

なぜ各社の売上を足しても市場規模にならないのか?

主要メーカーの連結売上を単純に足し合わせても、電子部品の市場規模にはなりません。理由は3つあります。第1に、各社の数値は連結全社で、TDKの二次電池、ニデックのモーター、ロームの半導体、京セラのソリューション事業など、電子部品以外を大きく含むためです。

第2に、各社は世界で販売しており、同じ最終製品に複数社の部品が使われるなど、集計の範囲が重なります。第3に、出荷統計(JEITAの日系メーカー世界出荷、2025年度・約4兆6,198億円)と各社の連結決算は、集計の主体も範囲も異なる別々の数字で、足し引きできません。

市場全体の規模を知りたい場合は世界出荷の統計を、各社の事業規模を知りたい場合は連結決算と電子部品関連の売上を、それぞれ別の指標として見る必要があります。

日本勢は世界のどこで・どう稼いでいるのか?

日本の電子部品メーカーは、受動部品を中心に世界で高いポジションを占めます。コンデンサ(MLCC)では村田・太陽誘電、アルミ電解では日本ケミコン、コネクタではヒロセ電機・日本航空電子工業が、それぞれの品目で世界の上位に位置します。品目ごとに強い企業が異なる多層的な構造で、特定の少数企業がすべてを占めるわけではありません。

収益源は、スマートフォンから車載・AIサーバーへ移りつつあります。電動車(EV)やADAS、生成AI向けデータセンターでは、1台・1台あたりの電子部品の搭載額が増え、高耐熱・高容量・高信頼の高付加価値品が求められます。各社はこの分野へ重心を移し、汎用品は海外生産でコストを抑える戦略をとっています。

各社の強みは、どの品目で世界の上位にあるかという観点で捉えると分かりやすくなります。日本勢は受動部品やコネクタといった得意分野で世界の上位を保ちつつ、車載・AIサーバーという成長分野へ軸足を移しています。

中期見通し

近未来1-2年

各社の業績は、車載とAIサーバー向けの高付加価値品が下支えする構図が続くとみられます。電動車やデータセンター向けのコンデンサ・インダクタ・コネクタの需要が、村田・TDK・太陽誘電などの電子部品事業を支えます。一方、スマートフォン向けは成熟しており、最終需要と在庫の循環で年ごとの変動が生じやすい局面が続きます。

中期3-5年

中期では、高付加価値品への重心移動と再編が論点です。各社は高耐熱・高容量・高信頼が求められる車載・産業・AIサーバー向けに設備投資を進める一方、汎用品では海外勢との競争が激しく、品目ごとに選択と集中が進む見通しです。総合メーカーと専業メーカーの役割分担も続きます。

長期

長期では、最終製品の電子化が進むほど電子部品の需要は底堅く推移する見通しです。各社の業績を読む際は、連結売上の規模と電子部品事業の規模を分けて捉え、会計基準の違い(IFRSと日本基準)も踏まえて、品目別の世界シェアと収益性の両面から見ることが前提となります。

よくある質問

電子部品メーカーで最大手はどこですか?
電子部品事業の規模では村田製作所が最大手で、電子部品関連の売上は約1兆8,157億円、連結営業利益は2,818億円と収益性でも突出しています。連結売上高ではTDK(2兆5,048億円)やニデック(2兆6,078億円)の方が大きいものの、これらは二次電池やモーターを大きく含むため、電子部品事業の規模を直接表すものではありません。
連結売上高と電子部品事業の規模はなぜ違うのですか?
多くのメーカーが電子部品以外の事業も手がけているためです。TDKは二次電池(連結売上の半分超)、ニデックは各種モーター、ロームは半導体、京セラはセラミックやソリューション事業を大きく含みます。そのため連結売上の順位は全社規模を示すにとどまり、電子部品事業の規模は、電子部品関連のセグメント売上で見る必要があります。
主要メーカーの売上を合計すれば市場規模になりますか?
なりません。各社の数値は連結全社で電子部品以外を含み、各社は世界で販売し集計の範囲も重なるためです。市場全体の規模は、日系メーカーの世界出荷(2025年度・約4兆6,198億円、JEITA)として別に整理されます。出荷統計と各社の連結決算は別々の数字で、足し引きできません。
各社はどんな品目に強いのですか?
コンデンサ(MLCC)では村田製作所・太陽誘電、アルミ電解コンデンサでは日本ケミコン、コネクタではヒロセ電機・日本航空電子工業が、それぞれの品目で世界の上位に位置します。TDKは受動部品・センサ・磁気部品、アルプスアルパインはスイッチ・センサに強みを持ちます。品目ごとに強い企業が異なる多層的な構造です。
ニデックやロームは電子部品メーカーですか?
両社とも電子部品も手がけますが、主軸は別の分野です。ニデックは精密・車載モーターが主軸で、電子部品(電子・光学部品)は連結の数%にとどまります。ロームは半導体が主軸で、受動部品(抵抗器など)は事業の一部です。連結売上を電子部品メーカーの規模として読むことはできません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    EDINET (金融庁) 上場各社 有価証券報告書
  2. 2.
    JEITA電子部品グローバル出荷統計
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