ランサムウェア被害が中小企業に偏重しているのはなぜか
警察庁の令和7年上半期データではランサムウェア被害報告116件のうち、中小企業が77件と約3分の2を占めて過去最多を更新しています。被害組織のうち調査・復旧費用に1,000万円以上を要した割合は前年の50%から59%へ増加しており、被害組織の経営に与える影響は決して小さくありません。
中小企業偏重の背景には3つの要因があります。第1はRaaS (Ransomware as a Service) による攻撃実行者の裾野拡大で、開発・運営を行う者が攻撃の実行者にランサムウェア等を提供し、見返りとして身代金の一部を受け取る態様が広がっています。第2は中小企業の対策が比較的手薄であることで、大企業ほどセキュリティ予算・人材の確保が難しい構造があります。第3はサプライチェーン経由の攻撃で、大企業を直接狙うより取引先の中小企業を経由する手口が増加しています。
対策需要は中小企業向けのWebアプリ脆弱性検査内製化やセキュリティ教育・トレーニングサービスの拡大に直結しており、富士キメラ総研の2030年度予測では関連市場の拡大が見込まれています。経済産業省のサプライチェーン強化向けセキュリティ対策評価制度 (2026年度開始予定) も、中小企業を含めた認証取得対応の需要を後押しする見通しです。