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出版業界の市場規模|紙の縮小と電子書籍・電子コミックの拡大【2026年版】

日本の出版市場は、紙と電子を合わせて2024年に1兆5,716億円(前年比-1.5%)となり、3年連続のマイナスでした。内訳は紙が1兆56億円(64.0%)、電子が5,660億円(36.0%)です。紙の出版市場は1996年のピーク2兆6,564億円(紙のみ)から長期的に縮小する一方、電子は拡大を続けており、市場は紙の縮小と電子の拡大が同時に進む二極化局面にあります。

出版市場(2024年、紙+電子)
15,716億円
前年比-1.5%、3年連続のマイナス
出典: 全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』
紙(2024年)
10,056億円
市場全体の64.0%、前年比-5.2%
出典: 全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』
電子(2024年)
5,660億円
市場全体の36.0%、前年比+5.8%
出典: 全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』
電子の占有率(2024年)
36.0%
2015年の約9.0%から上昇
出典: 全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』

出版市場(紙+電子)の推移(2015-2025年、億円)

紙と電子の積み上げ。紙の縮小を電子の拡大が補い、市場全体は1兆6,722億円(2015年)から1兆5,462億円(2025年)へ緩やかに縮小
単位: 億円
電子
05,00010,00015,00020,00016,7221516,6181615,9161715,4001815,4321916,1682016,7422116,3052215,9632315,7162415,46225
出典: 全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』(紙+電子、2015-2025年。各年 紙+電子=合計)
年度20152016201720182019202020212022202320242025
億円15,22014,70913,70112,92112,36012,23712,08011,29210,61210,0569,647
電子億円1,5021,9092,2152,4793,0723,9314,6625,0135,3515,6605,815
合計(億円16,72216,61815,91615,40015,43216,16816,74216,30515,96315,71615,462
前年比-0.6%-4.2%-3.2%+0.2%+4.8%+3.6%-2.6%-2.1%-1.5%-1.6%
読み解き

紙と電子を合わせた出版市場は、2015年の1兆6,722億円から2025年の1兆5,462億円まで、緩やかな縮小基調にあります。積み上げの内訳は紙と電子で、合計が市場全体です。市場全体の金額が大きく動いていないように見えるのは、紙の縮小を電子の拡大が打ち消しているためで、内訳の構成は大きく変化しています。

紙は2015年の1兆5,220億円から2024年の1兆56億円へと一貫して縮小しました。一方、電子は同じ期間に1,502億円から5,660億円へと約3.8倍に拡大しています。市場全体は2020-2021年に新型コロナ下の巣ごもり需要で一時的に持ち直し、2021年の1兆6,742億円を当面のピークに、その後は再び微減に転じています。

なお、この系列は電子を計上し始めた2015年以降の紙+電子の合算です。1996年の紙のピーク2兆6,564億円は紙のみの数字で、電子を含むこの系列とは基準が異なるため、同じ推移には含めていません。

2024年の出版市場の内訳と前年比(紙・電子の5区分、億円)

規模・構成比・前年比を1表に。紙(書籍・雑誌)はすべてマイナス、電子(コミック・書籍・雑誌)はすべてプラスの二極化
項目市場規模(億円)構成比前年比シェア
紙・書籍5,93737.8%-4.2%
紙・雑誌4,11926.2%-6.8%
電子コミック5,12232.6%+6.0%
電子書籍(文字もの)4522.9%+2.7%
電子雑誌860.5%+6.2%
紙+電子 計15,716100.0%
読み解き

2024年の出版市場1兆5,716億円のうち、最も大きいのは紙・書籍の5,937億円で、次いで電子コミック5,122億円、紙・雑誌4,119億円が続きます。電子コミックは紙・雑誌を上回り、いまや出版市場の主要カテゴリの一つです。電子のうち電子コミックが電子全体(5,660億円)の大半を占め、電子書籍(文字もの)452億円・電子雑誌86億円にとどまることからも、電子化の中心がマンガであることがわかります。

前年比を見ると、紙のすべての区分がマイナス、電子のすべての区分がプラスという二極化が一目でわかります。紙は書籍-4.2%・雑誌-6.8%で紙計-5.2%、雑誌の落ち込みが書籍より大きいのが特徴です。電子は電子コミック+6.0%・電子書籍+2.7%・電子雑誌+6.2%で電子計+5.8%でした。規模の大きい電子コミックがプラスを保つことで、電子全体の伸びが紙の縮小を一部相殺しています。ここで示した前年比は、各区分について出版科学研究所が公表している数値です。コミック市場全体の構造は、電子書籍・コミックとIP戦略のページで詳しく扱います。

主要論点

出版市場の縮小はどこまで続くのか?

紙と電子を合わせた出版市場は、2021年の1兆6,742億円を当面のピークに、2024年は1兆5,716億円(前年比-1.5%)と3年連続のマイナスでした。市場全体の金額が大きく崩れていないのは、紙の縮小を電子の拡大が補ってきたためです。

ただし、その構図には変化の兆しもあります。紙は2024年に-5.2%と縮小が続く一方、電子の伸びは+5.8%と、かつての二桁成長から鈍化しています。電子コミックの市場が成熟に向かうなかで、電子の伸びだけで紙の縮小を補い続けられるかが、市場全体の行方を左右します。

中長期では、紙の書店・取次の流通網の縮小、読者の高齢化、若年層のスマートフォン移行といった構造要因が、紙の縮小ペースを決めます。電子の成長が鈍化し紙の縮小が続けば、市場全体は緩やかな縮小を続ける見通しです。

電子の拡大は紙の縮小をどこまで補えるのか?

紙と電子を合算した市場全体に占める電子の比率は、2015年の約9.0%から2024年の36.0%まで高まりました。電子は2015年の1,502億円から2024年の5,660億円へと約3.8倍に拡大し、紙の縮小分を相当程度埋めてきました。

ただし、電子の中身はマンガに偏っています。電子5,660億円のうち電子コミックが5,122億円を占め、電子書籍(文字もの)は452億円、電子雑誌は86億円にとどまります。つまり電子の成長は、マンガの電子化がどこまで進むかにほぼ依存しています。

電子コミックの市場が成熟し伸びが鈍れば、電子全体で紙の縮小を補い切れなくなる可能性があります。文字ものの電子書籍やオーディオブックなど、マンガ以外の電子分野をどう育てるかが、紙の縮小を補い続けるうえでの論点です。

書籍と雑誌で、縮小の度合いはどう違うのか?

紙の出版物は書籍と雑誌に分かれ、縮小のペースは雑誌の方が速いのが特徴です。2024年は紙・書籍が前年比-4.2%だったのに対し、紙・雑誌は-6.8%と、雑誌の落ち込みがより大きくなっています。

雑誌の縮小は、情報がWebやSNSへ移行したことで定期購読や立ち読み需要が失われた影響が大きく、休刊も相次いでいます。書籍は雑誌ほど急速ではないものの、書店数の減少や読者の高齢化を背景に縮小が続いています。雑誌業界の構造変化は、関連ページで詳しく扱います。

一方、コミックは紙でも底堅く、電子コミックの拡大が市場全体を押し上げています。出版市場の縮小は「紙の雑誌の急速な縮小」と「コミック・電子の拡大」が同時に進む、カテゴリごとの濃淡を伴った変化として捉える必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、紙の縮小と電子の伸び鈍化が同時に進む局面が続くとみられます。市場全体は緩やかな縮小が見込まれ、紙の書籍・雑誌の落ち込みを電子コミックがどこまで補えるかが、各年の増減を左右します。価格改定による紙の単価上昇が、部数減を一部相殺する可能性もあります。

中期3-5年

中期では、電子コミックの市場が成熟に向かうなかで、マンガ以外の電子分野(文字ものの電子書籍・オーディオブック)をどう育てるかが焦点です。紙の流通網(取次・書店)の縮小が続けば、紙の供給体制そのものが市場規模の制約になります。IP・版権収入を含めた出版社の収益構造の変化は、市場規模の金額だけでは捉えきれません。

長期

長期では、人口減少と読者の高齢化が国内の出版需要の基調を決めます。紙の縮小は続く見通しで、電子と海外・版権をどこまで伸ばせるかが市場全体を左右します。市場規模の数字を読む際は、紙のみ(1996年ピーク2兆6,564億円)と紙+電子(2015年以降)で基準が異なる点を踏まえる必要があります。

よくある質問

日本の出版市場の規模はどれくらいですか?
紙と電子を合わせた2024年の出版市場は1兆5,716億円(前年比-1.5%)で、3年連続のマイナスです。内訳は紙が1兆56億円(64.0%)、電子が5,660億円(36.0%)です。紙の出版市場は1996年のピーク2兆6,564億円(紙のみ)から長期的に縮小しています。
出版市場における紙と電子の比率はどうなっていますか?
2024年は紙が64.0%、電子が36.0%です。紙と電子を合算した市場に占める電子の比率は、2015年の約9.0%から2024年の36.0%まで高まりました。電子は同じ期間に約3.8倍に拡大し、紙の縮小を部分的に補っています。
電子出版の市場規模はどれくらいですか?
2024年の電子出版市場は5,660億円(前年比+5.8%)です。内訳は電子コミックが5,122億円と大半を占め、電子書籍(文字もの)が452億円、電子雑誌が86億円です。電子化の中心はマンガとなっています。
なぜ出版市場の金額は大きく減っていないのに「縮小」と言われるのですか?
紙と電子を合わせた市場全体の金額は2015年の1兆6,722億円から2025年の1兆5,462億円まで緩やかな縮小ですが、これは紙の縮小を電子の拡大が打ち消しているためです。紙だけで見ると、1996年のピーク2兆6,564億円から2024年の1兆56億円へと大きく縮小しており、構成は紙から電子へ大きく変化しています。
出版市場のデータの出典は何ですか?
紙・電子・紙+電子合計の出版市場規模は、いずれも全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』が出典です。同研究所は毎年、紙と電子を合算した推定販売金額を公表しています。本ページの推移系列(2015-2025年)は、電子を計上し始めた2015年以降の紙+電子の合算で、各年について紙+電子=合計の整合を確認しています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    全国出版協会・出版科学研究所『出版指標』(紙+電子 出版市場 推定販売金額)
  2. 2.
    全国出版協会・出版科学研究所『出版指標年報』(紙の長期推移)
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