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出版社の業績比較|大手出版社の事業構造と収益力の違い【2026年版】

出版業界の主要な総合出版社は、上場するKADOKAWAと、マンガに強い集英社・講談社・小学館、文芸・総合誌の文藝春秋・新潮社です。マンガIPと版権・電子の収入が各社の成長を支える一方、非上場の大手が多く財務開示は限られます。各社の売上規模と事業の軸、上場・非上場による開示の違いを順に整理します。

主要出版社の3類型

上場の総合出版社・マンガ大手3社・文芸/総合誌系の、性格の異なる主要プレイヤー

3類型は上下関係のある序列ではなく、事業の軸と開示のかたちで分けた整理です。上場のKADOKAWAは出版・映像・ゲームへ多角化し連結決算を開示、マンガ大手3社は少年誌などのIPと雑誌を主軸に版権・電子で伸び、文芸・総合誌系は週刊誌や文芸書、Webメディアを展開しています。マンガ大手3社と文芸・総合誌系はいずれも非上場で、財務開示は限られます。

上場の総合出版社
代表プレイヤー
KADOKAWA
事業の軸
出版・IP創出を軸にアニメ・実写映像・ゲームへ多角化
上場・財務開示
東証プライム上場、連結決算を開示
マンガ大手3社
代表プレイヤー
集英社・講談社・小学館
事業の軸
少年誌などのマンガIPと雑誌を主軸、版権・電子が伸長
上場・財務開示
非上場、業績は業界紙経由の推定を含む
文芸・総合誌系
代表プレイヤー
文藝春秋・新潮社
事業の軸
週刊誌・文芸書・Webメディアを展開
上場・財務開示
非上場、財務開示は限定的

上場の総合出版社 — KADOKAWA

出版・映像・ゲームの複合企業

KADOKAWAは、主要な出版社のなかで唯一、出版に加えてアニメ・実写映像やゲームを本格的に手がける複合企業です。FY2025/3の連結売上は2,779億円(前年比+7.7%)で、出版・IP創出を軸に、自社で生んだ作品を映像やゲームへ広げるメディアミックスを進めています。

アニメ・映像が過去最高

セグメント別では、アニメ・実写映像が国内外の配信向けライセンス収入を背景に過去最高の業績となりました。一方で当期の最終利益はサイバー攻撃に伴う復旧費用や補償の影響で減益となっており、IP展開の伸びと一時的なコストが混在した決算でした。

マンガ大手3社 — 集英社・講談社・小学館

マンガIPで世界へ

集英社・講談社・小学館は、少年誌などで育てた人気作品を単行本・電子コミック・アニメ・映像へ広げるマンガ大手3社です。集英社はONE PIECEや【推しの子】、SPY×FAMILY、講談社や小学館もアニメ化されたヒット作を多く抱え、紙のマンガ誌そのものは縮小しても、作品を生み出す場として機能しています。

版権・電子で売上を支える

売上は集英社が2,044億円、講談社が1,720億円、小学館が1,096億円で、いずれも紙の販売が減るなかで版権(IPライセンス)とデジタルの収入を伸ばしています。講談社はデジタルと版権を合わせた事業収入が売上の6割を超え、小学館も版権収入が前年比で大きく伸びるなど、収益の軸が紙から版権・電子へ移りつつあります。3社はいずれも非上場で、数値は業界紙などをもとにした推定を含みます。

文芸・総合誌系 — 文藝春秋・新潮社

週刊誌・文芸書とWebメディア

文藝春秋と新潮社は、週刊誌や文芸書、総合月刊誌を軸に、Webメディアへも事業を広げる出版社です。文藝春秋は週刊文春のスクープ報道で知られ、売上は190億円規模です。文春オンラインやNumber Webなどのデジタルメディアで読者と収益源を広げています。

マンガ大手より小規模

新潮社は文芸書・新書・週刊新潮やBookBang・デイリー新潮などを展開しています。両社ともマンガ大手3社やKADOKAWAより事業規模は小さく、文芸・報道・専門分野で独自の位置を占めています。いずれも非上場で財務開示は限られ、新潮社は売上の公表値が乏しいため本ページでは規模を示していません。

主要出版社の連結売上の比較(2024年度、億円)

各社の決算期は異なり、年度はそれぞれの直近通期。新潮社は公表値が乏しく非掲載
KADOKAWA
上場・出版/映像/ゲームの複合
連結売上(億円)
2,779
前年比
+7.7%
事業の軸・決算期
出版・IP・映像・ゲーム(3月期)
集英社
非上場・マンガ大手3社
連結売上(億円)
2,044
前年比
-2.5%
事業の軸・決算期
マンガ・雑誌・版権(5月期)
講談社
非上場・マンガ大手3社
連結売上(億円)
1,720
前年比
+1.5%
事業の軸・決算期
マンガ・雑誌・版権(11月期)
小学館
非上場・マンガ大手3社
連結売上(億円)
1,096
前年比
+0.8%
事業の軸・決算期
マンガ・雑誌・版権(2月期)
文藝春秋
非上場・文芸/総合誌系
連結売上(億円)
190
前年比
事業の軸・決算期
週刊誌・文芸・Webメディア(5月期)
読み解き

売上規模ではKADOKAWAが連結2,779億円で最も大きく、出版に映像・ゲームを加えた複合企業であることが規模に表れています。続く集英社2,044億円、講談社1,720億円、小学館1,096億円のマンガ大手3社は、いずれも紙が縮むなかで版権・電子の収入を伸ばし、小学館は3期連続で1,000億円を超えました。文藝春秋は190億円規模で、週刊誌とWebメディアを軸とする分、マンガ大手より事業規模は小さくなっています。

この表で注意したいのは、各社の決算期が異なることです。KADOKAWAは3月期、集英社と文藝春秋は5月期、講談社は11月期、小学館は2月期で、同じ「2024年度」でも対象期間がずれます。また、上場するKADOKAWAは連結決算を開示しますが、非上場の集英社・講談社・小学館・文藝春秋の数値は業界紙や各社プレスをもとにした推定を含み、上場企業のIRほど検証されたものではありません。新潮社は公表値が乏しいため本表には含めていません。

主要論点

マンガIPを持つ出版社の業績が伸びているのはなぜか?

集英社・講談社・小学館のマンガ大手3社は、紙のマンガ誌そのものが縮小しても業績を保ち、版権・電子の収入を伸ばしています。少年誌などで育てた人気作品が、単行本や電子コミック、アニメ・映像・ゲーム・グッズへと広がり、作品1つから何度も収益が生まれるためです。

講談社はデジタルと版権を合わせた事業収入が売上の6割を超え、小学館も版権収入が前年比で大きく伸びました。集英社はONE PIECEや【推しの子】、SPY×FAMILYなどの作品をアニメや配信へ展開し、純利益を伸ばしています。マンガ誌は赤字でも、ヒット作を生み出す投資の場として機能しているのが特徴です。

中長期的には、国内の紙市場が縮むなかで、海外向けの版権収入と電子コミックの伸びが各社の成長を左右します。人気作品をどれだけ生み出し、映像・ゲームなどへ広げられるかが、出版社の業績を分ける軸になっています。

非上場の大手が多いことは、業績の読み方にどう影響するか?

出版業界では、売上の大きい集英社・講談社・小学館・文藝春秋・新潮社がいずれも非上場です。非上場の企業は上場企業のような連結決算の開示義務がなく、詳細な財務データが公表されないため、これらの売上は業界紙(新文化・文化通信など)や各社のプレス、日本経済新聞の報道をもとにした推定を含みます。

そのため、本ページの非上場各社の数値は、上場企業のIRほど検証されたものではありません。さらに各社の決算期が異なり、セグメントの区分も社によって違うため、単純な横並び比較には限界があります。一方で、上場するKADOKAWAは連結決算を開示しており、出版社のなかでは数値の確からしさが高い存在です。

業績を読むときは、上場のKADOKAWAと非上場の各社で開示の粒度が違うこと、決算期がそろっていないことを踏まえる必要があります。出版社の規模感をつかむ目安としては有効ですが、厳密な順位づけには向かない点に注意が必要です。

紙の縮小のなかで各社の成長の軸はどこにあるか?

紙の書籍・雑誌の販売が長期的に縮むなかで、主要出版社の成長の軸は電子と版権(IPライセンス)へ移っています。電子コミックは紙のマンガに代わって読者を取り込み、版権収入はアニメ・映像・ゲーム・グッズ・海外展開から得られます。

KADOKAWAは出版・映像・ゲームを一体で手がけ、自社のIPを多面的に収益化しています。マンガ大手3社は人気作品を映像化・グッズ化・海外展開し、講談社や小学館は版権・デジタルの比率を高めています。文藝春秋はWebメディアや電子版で読者を広げ、紙以外の収益源を育てています。

中長期的には、紙の販売収入の減少を、電子・版権・海外でどこまで補えるかが各社の分かれ目です。出版社は「紙の本や雑誌を売る事業」から「コンテンツとブランドを多面的に収益化する事業」へと位置づけが変わりつつあり、ヒットIPを生み出す力が業績を左右します。

中期見通し

近未来1-2年

主要出版社は、紙の縮小を電子と版権の伸びで補う構図が続きます。マンガ大手3社は人気作品の映像化・海外展開を進め、KADOKAWAはIPを軸に出版・映像・ゲームの連携を強めます。非上場各社の業績は引き続き業界紙経由の推定に頼る部分が残ります。

中期3-5年

中期では、海外向けの版権収入と電子コミックの伸びが各社の成長を左右します。ヒットIPを生み出し、アニメ・映像・ゲームへ広げる力の差が業績に表れます。紙の販売収入は減り続け、各社は版権・デジタル・海外をどこまで育てられるかが問われます。

長期

長期では、出版社の収益構造は「紙の本や雑誌を売る事業」から「コンテンツとブランドの多面的な収益化」へ移ります。マンガをはじめとするIPの価値が一段と重みを増し、出版社は作品を生み出し世界へ届ける役割を担います。非上場の大手が多い状態は当面続くとみられます。

よくある質問

出版社で売上が一番大きいのはどこですか?
主要な総合出版社のなかでは、KADOKAWAが連結2,779億円(FY2025/3)で最も大きく、出版に映像・ゲームを加えた複合企業です。続いて集英社2,044億円、講談社1,720億円、小学館1,096億円のマンガ大手3社が並びます。各社は決算期が異なり、非上場各社は業界紙経由の推定を含みます。
なぜ集英社・講談社・小学館がマンガで強いのですか?
3社は週刊少年ジャンプ・週刊少年マガジン・週刊少年サンデーなどの少年誌を長く発行し、多くの人気作品を生み出してきました。育てた作品を単行本・電子コミック・アニメ・映像・グッズへ広げる仕組みを持ち、版権収入を伸ばしています。紙のマンガ誌は縮小しても、ヒット作を生む場として機能しています。
KADOKAWAはなぜ出版社なのにアニメやゲームも手がけているのですか?
KADOKAWAは、自社で生んだ小説・マンガなどのIPをアニメ・実写映像・ゲームへ広げるメディアミックスを事業の軸にしているためです。出版・IP創出に加えてアニメ・実写映像、ゲームをグループで手がける複合企業で、FY2025/3はアニメ・実写映像セグメントが過去最高の業績となりました。
非上場の出版社の業績はどこまで正確ですか?
集英社・講談社・小学館・文藝春秋・新潮社は非上場で、上場企業のような連結決算の開示義務がありません。本ページの数値は業界紙(新文化・文化通信など)や各社プレス、日本経済新聞の報道をもとにした推定を含み、上場企業のIRほど検証されたものではありません。規模感の目安として読むのが適切です。
学研や文渓堂はこのページに含まれないのですか?
学研ホールディングスと文渓堂はいずれも上場する出版社ですが、教育出版を主軸とするため、教育出版のページで扱っています。本ページは、マンガ・雑誌・文芸を主軸とする総合出版社(KADOKAWA・集英社・講談社・小学館・文藝春秋・新潮社)を対象にしています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    KADOKAWA 2025年3月期 決算短信
  2. 2.
    業界紙(新文化・文化通信)+ 各社プレス + 日本経済新聞 + 東洋経済
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