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総合デベロッパーのオフィス賃貸事業|丸の内・日本橋など大手の保有ビルと賃料動向【2026年版】

総合デベロッパーは、都心の一等地にオフィスビルを長期保有し、賃料収益を得ています。三菱地所の丸の内、三井不動産の日本橋、住友不動産の新宿など、各社が保有するエリアと代表的なビルには、それぞれの歴史に根ざした個性があります。

主要総合デベロッパーのオフィス賃貸事業と保有エリア

主要保有エリア・代表ビルは各社の開示情報にもとづく。対象セグメントの区分は各社で異なり、賃貸事業はオフィスのほか商業・物流を含む。とくに野村不動産HD・東急不動産HDなどは都市開発に分譲・開発も含むため、賃貸中心の各社と売上を直接は比較できない

各社のオフィス賃貸を含む事業の規模を、報告セグメントの売上高でみます。三井不動産の賃貸事業は売上高9,366億円(オフィス・商業・物流を含む)、三菱地所はコマーシャル不動産6,090億円と丸の内3,774億円住友不動産の不動産賃貸は4,581億円で、いずれもオフィス賃貸を中心とする賃貸事業です。これらの売上高は各社の賃貸セグメントのもので、連結全社の売上高や、保有・回転の営業利益とは別の角度の数字です。

なお、野村不動産HD(都市開発3,187億円)や東急不動産HD(都市開発3,974億円)などは、オフィス賃貸を都市開発事業に含めて開示しており、分譲・開発も含む混合のため、上記の賃貸中心の各社とは同じ並びで比べられません。ヒューリック・東京建物は12月期決算で、賃貸事業の売上を独立しては開示していません。区分の違いは下の表の「対象セグメント」で示しています。

三菱地所
対象セグメント
コマーシャル不動産・丸の内
主要な保有エリア
丸の内・大手町
代表的なオフィスビル・複合施設
丸ビル・新丸ビルなど丸の内のビル群
三井不動産
対象セグメント
賃貸(オフィス・商業・物流)
主要な保有エリア
日本橋・六本木・八重洲
代表的なオフィスビル・複合施設
東京ミッドタウン・日本橋室町の再開発ビル
住友不動産
対象セグメント
不動産賃貸
主要な保有エリア
新宿・都心各所
代表的なオフィスビル・複合施設
新宿三井ビルなどの超高層オフィスビル
東京建物(12月期)
対象セグメント
ビル
主要な保有エリア
大手町・八重洲
代表的なオフィスビル・複合施設
東京駅前の大型オフィスビル
ヒューリック(12月期)
対象セグメント
不動産
主要な保有エリア
銀座・東京23区の駅近
代表的なオフィスビル・複合施設
駅に近い中規模の商業・オフィスビル
野村不動産HDなど
対象セグメント
都市開発(分譲・開発を含む)
主要な保有エリア
横浜・芝浦など
代表的なオフィスビル・複合施設
都市開発による複合ビル
東急不動産HD
対象セグメント
都市開発(分譲・開発を含む)
主要な保有エリア
渋谷・竹芝
代表的なオフィスビル・複合施設
東京ポートシティ竹芝などの複合施設

三菱地所 — 丸の内のオフィス群を保有

東京・丸の内に丸ビル・新丸ビルなど約30棟のオフィスビルを保有する「丸の内の地権者」として知られます。オフィス賃貸を中心とするコマーシャル不動産の売上高は6,090億円、丸の内事業は3,774億円で、丸の内・大手町の大規模なオフィス群からの賃料が安定した収益基盤です。

丸の内は東京駅前の一等地で、長期にわたって街区全体を再開発しながら保有を続けてきました。地権者として街づくりを主導できる立場が、他社にはない強みです。オフィス賃料が上昇する局面では、丸の内の賃料収益が会社全体の利益を下支えします。

三井不動産 — 日本橋・六本木の再開発ビル

日本橋の再開発を長年手がけ、東京ミッドタウン(六本木・日比谷・八重洲)などの大型複合ビルを保有・運営します。オフィス・商業・物流を含む賃貸事業の売上高は9,366億円で、賃貸を中心とする各社の中では最大の規模です(オフィス以外も含む点に注意)。

日本橋では「室町」エリアを中心に街区の再開発を進め、オフィスと商業を組み合わせた複合的な街づくりを展開しています。1968年の霞が関ビルから東京ミッドタウンまで、時代を象徴する大型ビルを開発してきた実績があり、オフィス賃貸を軸に商業・物流まで幅広く保有する総合性が特徴です。

住友不動産 — 新宿の超高層オフィス

新宿の新宿三井ビルをはじめ、都心に賃貸オフィスの超高層ビルを厚く保有する保有型です。不動産賃貸事業の売上高は4,581億円で、賃貸保有に集中することで効率的に賃料収益を上げています。

都心の賃貸オフィスビルを数多く保有し、立地を厳選した賃貸保有で安定した収益を確保しています。オフィスビルの建て替えや大規模改修を進めながら、保有資産の価値を高める経営が特徴です。賃料上昇局面では、都心に集中した賃貸保有の収益性が際立ちます。

東京建物・ヒューリック — 東京駅前と駅近の保有 (12月期)

東京建物は大手町・八重洲など東京駅前の大型オフィスビルを保有する準大手で、1896年創業の歴史ある不動産会社です。八重洲一丁目の再開発などに参画し、都心の保有資産を軸にオフィス賃貸を展開しています。

ヒューリックは銀座や東京23区の駅に近い中規模の商業・オフィスビルを厳選して保有する保有型です。立地を絞った賃貸保有と物件の入れ替えで効率的に収益を上げています。両社とも12月期決算で、オフィス賃貸を含む事業の収益を安定の土台としています。

野村不動産HD・東急不動産HDなど — 都市開発に賃貸を含む

野村不動産HD・東急不動産HDなどは、オフィス賃貸を都市開発事業に含めて手がけています。野村不動産HDの都市開発の売上高は3,187億円、東急不動産HDは3,974億円ですが、これらは分譲・開発も含む混合の数字で、賃貸中心の各社とは同じ並びで比べられません。

東急不動産HDは渋谷の再開発や竹芝(東京ポートシティ竹芝)など、東急グループの鉄道沿線を含めた都市開発を進めます。野村不動産HDは横浜・芝浦などで、オフィスと商業・住宅を組み合わせた複合開発を手がけます。これらの会社では、オフィス賃貸は都市開発という大きな事業の一部として展開されています。

主要論点

大規模なオフィスビルの長期保有は、なぜ収益の強みになるのか?

都心の一等地に大規模なオフィスビルを保有することは、総合デベロッパーの大きな強みです。オフィスビルは一度建てると長期にわたってテナントから賃料を得られるため、景気変動に強い安定した収益を生みます。三菱地所の丸の内のように、街区全体を長期保有して再開発を重ねることで、賃料収益を高めながら資産価値も維持できます。

一等地のオフィスビルは、立地そのものが希少で代替が難しいという特徴があります。丸の内・大手町・日本橋・新宿などの都心の一等地は、新たに大規模な用地を確保することが難しく、長年保有してきた各社が優位に立ちます。長期保有による立地の優位が、安定した賃料収益の源泉です。

オフィス賃料が上昇する局面では、保有するビルの賃料収益がそのまま利益の増加につながります。長期保有する一等地のビルは、取得時から地価が上昇し、時価が帳簿上の価格を上回る含み益を持つこともあります。一等地の大規模ビルを長期保有することが、安定収益と簿外の価値の両面で各社の土台になっています。

保有エリアの違いは、各社に何をもたらすのか?

各社が保有するオフィスのエリアには、歴史に根ざした違いがあります。三菱地所は丸の内三井不動産は日本橋を長年の本拠地とし、それぞれの街区で地権者・再開発の主導者として街づくりを進めてきました。これにより、単にビルを保有するだけでなく、エリア全体の価値を高める立場を持っています。

保有エリアの違いは、テナントの層や賃料の水準の違いにもつながります。丸の内・大手町は大企業の本社が集まるビジネスの中心地、新宿は交通の結節点、渋谷は若い企業やIT企業が集まるエリアなど、街の性格によって入居するテナントが異なります。各社は得意とするエリアの特性に合わせて、ビルの開発や運営を進めています。

エリアを集中して保有することには、街づくりを一体で進められる利点があります。三菱地所の丸の内のように、複数のビルを面でとらえて再開発することで、エリア全体の魅力を高め、賃料の上昇につなげられます。保有エリアの個性が、各社の賃貸事業の競争力を形づくっています。

賃料の上昇局面で、オフィス賃貸事業はどう効くのか?

オフィス賃料が上昇する局面では、賃貸保有を厚くする会社の収益が押し上げられます。保有するオフィスビルの賃料は、契約の更新時などに市況を反映して見直されるため、賃料相場の上昇が時間をかけて各社の収益に表れます。都心の優良なビルを多く保有する会社ほど、その恩恵を受けやすくなります。

各社の業績では、オフィス賃料の上昇が賃貸事業の増収につながっています。賃貸事業は売上に対する利益率が高くなりやすく、賃料上昇は利益を大きく押し上げる効果があります。賃貸保有を中心とする三菱地所・住友不動産などにとって、賃料上昇は収益の追い風です。

賃料の上昇は、契約更新のタイミングなどを通じて時間をかけて各社の収益に反映されます。優良なビルを多く保有する会社ほど、テナントを安定して確保しながら賃料の改定を進めやすく、賃料上昇局面での収益の伸びにつながります。一等地に集中して保有してきた各社にとって、オフィス賃貸事業は安定収益の柱であり続けています。

中期見通し

近未来1-2年

足元では、都心の優良なオフィスビルにテナントの需要が集まる動きが続いています。大企業がより立地や設備の良いビルへ移る傾向があり、丸の内・大手町・日本橋などに優良ビルを保有する各社は、テナントの確保で優位に立ち、保有ビルの稼働を高めています。一等地に集中して保有してきたことが、足元のオフィス需要の回復局面で追い風になっています。

中期3-5年

大型のオフィス再開発の竣工が進むと、各社の保有する賃貸オフィスが積み上がり、賃料収益の基盤が厚くなります。東京駅前や渋谷・竹芝などで進む再開発が完成し、新たな賃貸床が加わることで、各社の賃貸事業の規模が拡大する見通しです。完成したビルをどう運営し、テナントを集めるかが収益を左右します。

長期5-10年

働き方の変化により、オフィスに求められる機能は変わっていきます。立地の良い優良なビルへの需要が集まる一方、競争力の低いビルは選別される動きが続く見通しです。各社は保有するビルの建て替えや機能の高度化を進め、一等地の優位を生かして賃貸事業の競争力を保つことが課題になります。

よくある質問

総合デベロッパーのオフィス賃貸事業とは何ですか?
都心の一等地にオフィスビルを長期保有し、テナントから賃料を得る事業です。オフィスビルは一度建てると長期にわたって賃料を生むため、景気変動に強い安定した収益の土台になります。三菱地所の丸の内、三井不動産の日本橋、住友不動産の新宿など、各社が保有するエリアと代表的なビルに個性があります。
丸の内のオフィスビルは、どの会社が保有していますか?
東京・丸の内のオフィスビルは、主に三菱地所が保有しています。丸ビル・新丸ビルなど約30棟のオフィスビルを保有し、「丸の内の地権者」として知られます。長年にわたって街区全体を再開発しながら保有を続けており、地権者として街づくりを主導できる立場が強みです。
各社はどのエリアにオフィスを保有していますか?
三菱地所は丸の内・大手町、三井不動産は日本橋・六本木・八重洲(東京ミッドタウン)、住友不動産は新宿などの都心、東京建物は大手町・八重洲、ヒューリックは銀座や東京23区の駅近を主な保有エリアとしています。野村不動産HD・東急不動産HDなどは、渋谷・竹芝・横浜などで都市開発の一部としてオフィスを手がけています。
オフィス賃貸事業の売上はどのくらいですか?
報告セグメントの売上高では、三井不動産の賃貸事業が9,366億円(オフィス・商業・物流を含む)、三菱地所のコマーシャル不動産が6,090億円と丸の内が3,774億円、住友不動産の不動産賃貸が4,581億円です(いずれも2026年3月期)。これらは各社の賃貸セグメントの売上で、連結全社の売上や保有・回転の営業利益とは別の角度の数字です。野村不動産HD・東急不動産HDなどはオフィス賃貸を都市開発に含めて開示しており、賃貸中心の各社とは同じ並びで比較できません。
大型のオフィス再開発は、各社の賃貸事業にどう関わりますか?
大型の再開発でオフィスビルが竣工すると、各社が保有する賃貸床が増え、新たな賃料収益が生まれます。東京駅前や渋谷・竹芝などで進む再開発が完成すると、賃貸事業の規模が拡大します。三菱地所の丸の内のように、街区全体を長期にわたって再開発しながら保有を続けることで、賃料収益を高めながら資産価値も維持できる点が、総合デベロッパーの強みです。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社2026年3月期 決算短信 (三井不動産・三菱地所・住友不動産・野村不動産HD・東急不動産HD)
  2. 2.
    各社IR・有価証券報告書・コーポレートサイト
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