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コーヒー豆の価格と値上げ|相場・円安・価格転嫁の構造【2026年版】

コーヒー豆の価格は、2024年終盤にニューヨーク市場で約47年ぶりの高値水準まで上昇し、2025年も高止まりしました。日本はコーヒー豆をほぼ全量輸入に頼っており、ドル建ての国際相場の上昇に円安が重なって、円換算の輸入コストが大きく膨らんでいます。日本銀行の輸入物価指数(円ベース)でみると、コーヒー豆の輸入価格は2020年からの5年で約4.6倍に上がりました。この高騰がメーカーやカフェチェーンの値上げにどう波及するのか、相場・円安・輸入依存・価格転嫁の順に整理します。

なぜコーヒー豆の価格は歴史的な高値になったのか

産地の不作と世界的な需給の逼迫に、円安が重なった
2024年終盤に約47年ぶりの高値

コーヒー豆の国際相場は、2024年の終盤に大きく上昇しました。代表的な指標であるニューヨーク市場のアラビカ種の先物相場は、約47年ぶりの高値水準を記録し、2025年に入っても高止まりが続いています。先物相場とは、将来の受け渡しを約束して売買される価格で、世界のコーヒー取引の値段の目安になります。この相場の急騰が、日本の調達コスト上昇の出発点です。

主産地の不作と世界的な需給の逼迫

相場が上がった最大の理由は、主産地の不作と世界的な需給の逼迫です。世界最大の産地であるブラジルでは干ばつや霜の被害が、ベトナムでは天候不順による不作が、それぞれ供給への不安を強めました。コーヒーの需要が新興国を中心に世界で伸びるなかで供給が細り、需給が締まったところに、相場の上昇を見込んだ投機的な資金の流入も重なったとみられます。

円安が輸入コストをさらに押し上げる

日本にとっては、これに円安が加わります。コーヒー豆の国際相場はドル建てで決まるため、ドルに対して円の価値が下がる円安が進むと、同じ量の豆を買うのに必要な円が増えます。つまり日本のコーヒー豆の輸入コストは、ドル建ての相場高と円安の二重で押し上げられているのが実態です。次のグラフは、この二つを合わせた円ベースの輸入価格の動きを示しています。

輸入コーヒー豆の価格指数の推移(2020-2025年、2020年=100)

品目「コーヒー豆・カカオ豆」(コーヒー豆とカカオ豆が同一品目に区分される)の輸入物価指数(円ベース)。円ベースのため、国際相場の上昇と円安の両方を映す。2025年は458(約4.6倍)
読み解き

コーヒー豆の輸入価格は、2020年を100とすると、2025年には458(約4.6倍)まで上昇しました。2022年にいったん上がった後、2023年は216とやや落ち着きましたが、2024年(315)から2025年にかけて再び大きく上昇しています。月次でみると、価格は2026年1月に520まで上がり、その後は2026年5月に406とやや低下したものの、依然として高い水準にあります。

この指数は円ベース、つまりドル建ての国際相場に為替(円安)の影響を合わせたものです。為替の影響を除いた契約通貨ベースでみると2025年は327で、円ベース(458)との差が、おおむね円安による上乗せ分にあたります。相場高と円安が二重にかかっていることが、円ベースの上昇幅の大きさに表れています。

なお、この指数は統計上「コーヒー豆・カカオ豆」を一つの品目として集計したもので、2024年以降はカカオの国際相場がコーヒー以上に急騰した影響も含みます。そのため、コーヒー豆単独の輸入価格は、この指数よりやや低い可能性があります。それでも、コーヒー豆の相場と円安が大きく上昇したことに変わりはありません。

日本のコーヒーは、どこから来ているのか

ほぼ全量を輸入に頼るため、相場と為替の変動が直接効く
ほぼ全量を輸入に依存

日本はコーヒー豆をほとんど国内で生産できず、ほぼ全量を輸入に頼っています。2025年の生豆(焙煎前のコーヒー豆)の輸入量は約36.0万トンにのぼります。国産でまかなえないため、国際相場の上昇や円安、産地の天候不順といった海外の事情が、価格にほぼそのまま反映される構造です。

主産地はブラジルとベトナム

輸入相手は中南米・アフリカ・東南アジアの産地に広がりますが、量でみるとブラジル・ベトナムの2か国に大きく偏っています。下の表は2025年の生豆輸入量の上位の国です。上位の産地に集中しているため、その国の天候不順や不作が、日本のコーヒー価格に直接効きやすくなっています。

生豆の主な輸入相手国(2025年、輸入量)

全日本コーヒー協会の国別生豆輸入量(2025年確々報)の上位6か国。上位24か国で輸入量の約99.7%を占める
読み解き

2025年の生豆輸入は、ブラジル(146,619トン)ベトナム(89,998トン)の2か国で大きな割合を占め、これにコロンビアが続きます。輸入の総量(全相手国の合計)は約359,382トンで、上位24か国でその約99.7%を占めます。特定の産地に集中しているため、ブラジルの干ばつ・霜害やベトナムの不作のような産地の事情が、日本全体のコーヒー調達コストを左右します。

価格高騰は、値上げにどう波及するのか

メーカーの家庭用、カフェの店頭の両方で価格改定が進む
メーカーの家庭用コーヒー値上げ

豆の高騰は、まず家庭用コーヒーの値上げに表れています。UCC上島珈琲は2025年に家庭用のレギュラーコーヒーや飲料の価格を改定し、小売店での実質的な店頭価格は15〜30%程度上昇する見込みとしました。味の素AGFも家庭用商品の価格を改定し、店頭価格の上昇幅を25〜55%程度と見込んでいます。各社はいずれも、コーヒー生豆相場の高騰と円安、エネルギーコストの上昇を理由に挙げています。価格転嫁とは、原材料費などのコスト上昇分を販売価格に上乗せすることです。

カフェチェーンの店頭価格改定

カフェチェーンの店頭でも値上げが続いています。スターバックスは2025年11月に家庭用のコーヒー・ティー商品の価格を改定し、定番のコーヒー豆の値上げは2022年4月以来およそ3年半ぶりとなりました。ドトールコーヒーショップはブレンドコーヒー(Sサイズ)を250円から280円に引き上げるなど原材料高を理由に値上げし、コメダ珈琲店も2025年に主力メニューを最大50円値上げしました。コメダは統合報告書で、原材料価格の上昇を店頭価格へ反映するには一定の時間差(ラグ)が生じることに触れており、転嫁が追いつくまで収益が圧迫されやすい局面があります。

豆だけではない — 人件費の上昇も重なる

カフェのコストを押し上げているのは、豆だけではありません。最低賃金も上昇が続いており、全国加重平均は2024年度の1,055円から2025年度には1,121円へと、過去最大の引き上げとなりました。人手を多く使う飲食業では人件費の比重が大きく、豆の高騰と賃金の上昇が重なって、各社の価格転嫁の動きを後押ししています。

主要論点

なぜコーヒー豆の価格はこれほど上がったのか?

理由は大きく分けて、産地の供給不安円安の二つです。世界最大の産地ブラジルの干ばつ・霜害や、ベトナムの天候不順による不作で供給への不安が強まり、需要が世界で伸びるなかで需給が締まりました。相場の上昇を見込んだ投機的な資金の流入も、値動きを大きくしたとみられます。

これにより、ニューヨーク市場のアラビカ種の先物相場は2024年終盤に約47年ぶりの高値水準まで上昇しました。日本にとってはさらに、ドル建ての相場をより多くの円で支払う必要が生じる円安が重なります。

結果として、円ベースの輸入価格は2020年を100として2025年に458(約4.6倍)まで上昇しました。短期的には天候という変動要因が大きい一方、新興国の需要拡大という構造的な要因もあり、価格の高止まりが続くかは産地の天候と為替の動き次第です。

コーヒー豆の高騰は、どこまで値上げに波及するのか?

豆の高騰は、家庭用コーヒーとカフェの両方の値上げに波及しています。家庭用ではUCCや味の素AGFなどのメーカーが相次いで価格を改定し、店頭価格は商品により15〜55%程度上昇する見込みとされています。カフェではスターバックスやドトール、コメダ珈琲店などが店頭価格を引き上げました。

ただし、値上げは一度に行われるわけではなく、段階的に進みます。コメダ珈琲店が統合報告書で触れているように、原材料の高騰を店頭価格へ反映するには時間差(ラグ)があり、その間は収益が圧迫されやすくなります。

さらに、コストを押し上げているのは豆だけではありません。最低賃金は2025年度に過去最大の引き上げ(全国加重平均で1,121円)となり、人件費の上昇も重なっています。値上げがどこまで続くかは、相場と為替に加えて、賃金などのコスト全体の動き次第です。

価格が上がっても、コーヒーの消費は減らないのか?

コーヒーは生活に定着した嗜好品で、値上げがあっても需要が急に落ち込みにくい商品です。実際、国内のコーヒー消費量は緩やかな減少にとどまっています。

ただし、値上げが続けば、量を減らす・割安な商品に乗り換えるといった消費者の行動も出やすくなります。家庭では割安なインスタントやプライベートブランドへ、外食では来店頻度の調整へと、需要の中身が変わる可能性があります。

カフェにとっては、値上げによる単価の上昇と、価格に敏感な客の離反とのバランスが課題です。コーヒー消費量の長期的な推移や、カフェ・喫茶市場の規模そのものの動きは、市場規模のページで詳しく扱います。

よくある質問

なぜコーヒーが値上げされているのですか?
コーヒー豆の国際相場の高騰と円安が主な理由です。主産地のブラジルやベトナムの天候不順による不作と世界的な需給の逼迫で相場が上がり、2024年終盤にはニューヨーク市場で約47年ぶりの高値水準となりました。日本はコーヒー豆をほぼ全量輸入に頼るうえ、円安でドル建ての相場をより多くの円で支払う必要があり、輸入コストが二重に膨らんでいます。
コーヒー豆の輸入価格はどのくらい上がりましたか?
日本銀行の輸入物価指数(円ベース、品目「コーヒー豆・カカオ豆」)でみると、2020年を100として2025年には458(約4.6倍)まで上昇しました。月次では2026年1月に520まで上がり、その後やや低下したものの依然として高い水準です。為替の影響を除いた契約通貨ベースの2025年は327で、円ベースとの差が円安による上乗せ分にあたります。
日本のコーヒー豆はどこから輸入していますか?
日本はコーヒー豆をほぼ全量輸入に頼っており、2025年の生豆輸入量は約36.0万トンです。輸入相手はブラジルとベトナムの2か国に大きく偏り、コロンビアがこれに続きます。上位の産地に集中しているため、その国の天候不順や不作が日本のコーヒー価格に直接影響します。
カフェチェーンも値上げしていますか?
はい。スターバックスは2025年11月に家庭用コーヒー商品を値上げし、定番のコーヒー豆の改定は2022年4月以来およそ3年半ぶりとなりました。ドトールコーヒーショップはブレンドコーヒー(Sサイズ)を250円から280円に引き上げ、コメダ珈琲店も主力メニューを最大50円値上げしました。豆の高騰に加え、人件費やエネルギーコストの上昇が背景にあります。
コーヒーの値上げはいつまで続きますか?
相場と為替の動き次第で、見通しは確定的ではありません。価格を左右する産地の天候は短期で変動する一方、新興国を中心とした需要拡大という構造的な要因もあり、当面は高止まりが続くとの見方があります。加えて、最低賃金の上昇(2025年度に全国加重平均で1,121円、過去最大の引き上げ)など、豆以外のコストも価格に影響します。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本銀行「企業物価指数」(2020年基準)輸入物価指数・国内企業物価指数
  2. 2.
    全日本コーヒー協会「コーヒー生豆 国別輸入量」「コーヒー需給表」
  3. 3.
    厚生労働省「地域別最低賃金改定状況」
  4. 4.
    各社プレスリリース・適時開示・報道(値上げ)
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