最終更新
PLAYER DETAIL · MAJOR CHAINS

主要カフェチェーンの業績比較|上場各社の売上・ROEと業態別の特徴【2026年版】

カフェ・喫茶業界の主要な上場チェーンを、連結業績で比較します。連結売上はドトール・日レスHD(1,488億円、ドトールと星乃珈琲などの統合)が最大で、サンマルクHD(709億円)、コメダHD(471億円)が続きます。ただし数値は全社連結ベースで、カフェ以外の飲食も含む会社があり、店舗数では非上場のスターバックスが国内最多です。各社の売上規模・収益性(ROE)・業態とモデルの違いを整理します。

主要カフェチェーンの業績と業態別プレイヤー

カフェ事業を含む上場4社の連結通期業績(FY2025、全社連結ベース)と、業態別の主要プレイヤー

この一覧表は、カフェ事業を含む上場社の全社連結業績(FY2025)で、連結にはカフェ以外の業態も含みます。各社で事業範囲が大きく異なり、ドトール・日レスHDはドトール(セルフ式)に加え星乃珈琲やレストラン事業を、サンマルクHDはベーカリーレストラン(サンマルク・鎌倉パスタなど)を主体としてカフェ(サンマルクカフェ)はその一部、コメダHDはほぼカフェ(コメダ珈琲店)、銀座ルノアールは都市型の喫茶です。そのため、この連結売上を「カフェ単体の売上ランキング」として読むことはできません。

数値は各社の有価証券報告書(連結通期、FY2025)に基づき、連結売上・営業利益・純利益は億円単位、ROEと自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合で、高いほど財務が安定)は公表値です。規模では最大のドトール・日レスHDに対し、コメダHDはROE13.1%と収益性が高く、これは後述のフランチャイズ卸モデルによる特徴です。なお銀座ルノアールは規模が小さく(億円単位での四捨五入のため営業利益などは概数)、FY2025は純損失でROEは非開示(「—」)です。

郊外フルサービス・フランチャイズ卸モデル — コメダ珈琲店

コメダHDは、郊外のロードサイドを中心にコメダ珈琲店を展開する企業です。店舗の大半をフランチャイズ(加盟店)が運営し、本部は加盟店に食材や資材を卸す卸売(フランチャイズ卸)モデルをとります。自社で多数の直営店を抱えないため設備や人件費の負担が軽い「軽資産(アセットライト)」型で、連結売上471億円に対して営業利益は88億円と、売上規模のわりに利益が大きいのが特徴です。

この高い収益性は、店頭での飲食売上そのものではなく、加盟店への卸売が本部の収入源であることに由来します。直営中心のチェーンとは売上の性質が異なるため、利益率の高さは「コメダのコーヒーが特別に儲かる」というより、フランチャイズ卸という事業モデルの特性と理解するのが実態に近いといえます。ROEは13.1%と上場各社の中で高く、店舗数は公式情報で約1,000店規模です。

モデルの強みは、加盟店の出店で店舗網を広げつつ本部の投資を抑えられる点にあり、フルサービス(席に着いて注文する従来型の喫茶)の居心地の良さと、モーニングなどの集客力を武器に郊外で支持を集めています。一方で、原材料高を加盟店向けの卸価格や店頭価格にどう反映するか、価格転嫁のタイミングが収益の課題となります。

セルフ式+フルサービス統合 — ドトール・星乃珈琲

ドトール・日レスHDは、セルフ式のドトールコーヒーショップと、フルサービスの星乃珈琲店(日本レストランシステムが運営)などを統合した連結グループで、連結売上は1,488億円と上場各社で最大です。セルフ式(カウンターで注文・受け取り、低単価・高回転)とフルサービス(着席でゆっくり過ごす、高単価)の両方を持つことで、価格帯と利用シーンを幅広くカバーしています。

連結にはカフェ以外のレストラン事業も含まれるため、連結売上をそのままカフェ規模と読むことはできません。財務は自己資本比率77.5%と安定性が高い一方、ROEは6.8%で、規模のわりに資本効率は控えめです。ドトールコーヒーショップは全国に約1,000店規模を展開し、駅前・オフィス立地での日常使いを強みとしています。

多角化(ベーカリーレストラン主体)— サンマルク

サンマルクHDは、ベーカリーレストラン「サンマルク」や「鎌倉パスタ」を主体に、ステーキ・とんかつなど多様な業態を展開する多角化グループです。カフェ業態のサンマルクカフェ(焼きたてチョコクロで知られるセルフ式)はそのうちの一部で、連結売上709億円の多くはカフェ以外の飲食が占めます。

そのため、サンマルクHDの連結業績を「カフェチェーンの業績」として読むと、実際のカフェ事業より大きく捉えてしまいます。カフェ単体の規模はセグメント開示で把握する必要があります。ROEは8.3%で、複数業態でリスクを分散しつつ、ベーカリーレストランを収益の柱としています。

都市型フルサービス喫茶 — 銀座ルノアール

銀座ルノアールは、東京都心を中心に喫茶室ルノアールなどを展開する都市型のフルサービス喫茶です。広めの席でゆったり過ごせる空間を提供し、商談や打ち合わせの利用が多いのが特徴で、連結売上は78億円と上場各社の中では小規模です。

都心の高い家賃と人件費が収益を圧迫しやすく、FY2025は純損失となりました(ROEは非開示)。コーヒー豆の高騰や人件費上昇のなかで、立地の価値を生かした価格設定と、サブスクリプションなどの会員施策で客数・客単価をどう確保するかが課題です。

非上場の最大手 — スターバックス

スターバックス コーヒー ジャパンは、店舗数で国内最多のカフェチェーンです。公式の店舗情報では2024年時点で約2,000店規模に達し、上場各社を上回ります。セルフ式ながら、ゆったりとくつろげる空間(サードプレイス)を前面に出した直営中心の展開を強みとしています。

ただし同社は非上場で財務を公表していないため、売上や利益を本ページの財務比較には含めていません(推計値はグラフ化しません)。店舗数で首位に立つ一方、業績の実態は外部から確認できないのが現状です。家庭用のコーヒー商品は市販されており、相場高を背景に2025年に値上げを行っています。

飲料メーカー系 — 伊藤園・タリーズ

伊藤園は「お〜いお茶」などで知られる飲料が主軸の会社で、連結売上は4,727億円とカフェ各社より一桁大きい規模です。これは飲料事業が中心であり、カフェの数字ではありません。そのため、伊藤園の連結を「カフェ事業」として財務比較に並べると実態を誤って捉えるため、本ページの一覧表には含めていません。

タリーズコーヒー(タリーズコーヒージャパン)は、その伊藤園の100%子会社として展開するカフェチェーンです。店舗数は公式情報で約800店規模(2025年初時点)で、今後の出店拡大を計画しています。ただしタリーズ単独の業績は非開示で、伊藤園の連結に含まれて切り分けられないため、本ページでは店舗数を中心に扱い、財務の一覧表には掲載していません。

主要論点

なぜコメダ珈琲店は売上規模のわりに利益が大きいのか?

コメダHDのROE13.1%、営業利益88億円(連結売上471億円)という高い収益性は、フランチャイズ卸モデルによるものです。コメダ珈琲店の大半は加盟店が運営し、本部は加盟店に食材や資材を卸すことで収益を得ます。

このモデルでは、本部が多数の直営店を抱えないため、店舗の設備投資や人件費の負担が軽くなります(軽資産=アセットライト)。本部の収入の中心は店頭での飲食売上ではなく加盟店への卸売であり、直営中心のチェーンとは売上の性質が異なります。

したがって、コメダの利益率の高さは「コーヒーが特別に儲かる」からではなく、フランチャイズ卸という事業モデルの特性と理解するのが適切です。売上規模の大小と収益性は必ずしも一致せず、各社のモデルの違いを踏まえて読む必要があります。

スターバックスは非上場なのに、なぜ店舗数で首位を保てるのか?

スターバックスは店舗数で国内最多で、公式の店舗情報では2024年時点で約2,000店規模に達しています。直営を中心に、コーヒーだけでなく「サードプレイス」(自宅・職場に次ぐ第3の居場所)としての空間価値を前面に出した展開が、幅広い客層の支持を集めています。

一方で、同社は非上場で財務を公表していないため、売上や利益は外部から確認できません。本ページの財務比較に含めていないのはこのためで、非開示の数値を推計してグラフ化することもしていません。

つまり、店舗数では首位でも、業績の実態は上場各社のように開示されていない、という非対称があります。カフェ業界を「店舗数」で見るか「開示された財務」で見るかで、見える主役が変わる点に注意が必要です。

「カフェチェーンの売上ランキング」をどう読めばよいか?

各社の連結売上を単純に並べて「カフェの売上ランキング」と読むことはできません。数値は全社連結ベースで、会社ごとに事業範囲が大きく異なるためです。

たとえばサンマルクHDはベーカリーレストランが主体でカフェは一部、ドトール・日レスHDはカフェにレストラン事業を加えた統合連結、コメダHDはほぼカフェ(ただし卸売モデル)と、同じ「連結売上」でも中身が違います。さらに伊藤園は飲料が主軸でカフェ(タリーズ)は子会社の一部にすぎず、連結4,727億円をカフェ規模と読むのは誤りです。

規模を比べるときは、この事業範囲の差を踏まえる必要があります。店舗数で見るなら非上場のスターバックスが首位、開示された連結財務で見るならドトール・日レスHDが最大、収益性ではコメダHDが高い、というように、どの基準で見るかで主役が変わるのがカフェ業界の特徴です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、コーヒー豆の高騰と人件費上昇に対する価格転嫁の巧拙が各社の収益性を左右します。値上げで客単価を上げつつ客離れを抑えられるかが、業態・モデルごとの業績差となって表れます。フランチャイズ卸のコメダHDのように軽資産のモデルは、相対的に収益性を保ちやすい構図です。

中期3-5年

中期では、出店モデルの違いが成長を分けます。フランチャイズで店舗網を広げるコメダHD、セルフとフルサービスを併せ持つドトール・日レスHD、直営でサードプレイスを訴求するスターバックスが、それぞれの強みで競います。タリーズのように出店拡大を掲げるチェーンもあり、立地と業態の選択が問われます。

長期

長期では、人口減少で国内の出店余地が限られるなか、省人化(モバイルオーダー等)による収益性改善と、業態の差別化が鍵となります。低単価・高回転のセルフ式と、空間価値で高単価をとるフルサービスの二極で、それぞれの価値を磨ける企業が優位に立つと考えられます。

よくある質問

売上が最も大きいカフェの上場企業はどこですか?
連結売上で最大手はドトール・日レスHDで、FY2025の連結売上は約1,488億円です(ドトールコーヒーショップと星乃珈琲、レストラン事業などを含む統合連結)。続いてサンマルクHD(約709億円、ベーカリーレストラン主体)、コメダHD(約471億円、フランチャイズ卸)が並びます。いずれも全社連結ベースで、カフェ以外の飲食を含む点に注意が必要です。
店舗数が最も多いカフェチェーンはどこですか?
スターバックス コーヒー ジャパンが国内最多で、公式の店舗情報では2024年時点で約2,000店規模です。続いて、ドトールコーヒーショップ(約1,000店規模)、コメダ珈琲店(約1,000店規模)、タリーズコーヒー(約800店)などが展開しています。スターバックスは非上場で財務は非開示のため、店舗数では首位でも本ページの財務比較には含めていません。
コメダ珈琲店の利益率が高いのはなぜですか?
フランチャイズ卸モデルによるものです。コメダ珈琲店の大半は加盟店が運営し、本部は加盟店に食材や資材を卸して収益を得ます。多数の直営店を抱えない軽資産(アセットライト)型のため設備・人件費の負担が軽く、連結売上471億円に対して営業利益88億円、ROE13.1%と高い収益性になります。店頭売上そのものではなく卸売が収入源である点が、直営中心のチェーンとの違いです。
タリーズコーヒーの業績はどこで分かりますか?
タリーズコーヒー(タリーズコーヒージャパン)は飲料メーカーの伊藤園の100%子会社で、単独の業績は非開示です。伊藤園の連結(約4,727億円)に含まれますが、その連結は飲料事業が主軸でカフェの数字ではありません。そのため本ページでは、タリーズは店舗数(公式情報で約800店規模)を中心に扱い、財務の一覧表には掲載していません。
各社の業績データの出典は何ですか?
各社の有価証券報告書(連結通期、FY2025)に基づく値です。連結売上・営業利益・純利益は億円単位で、ROEと自己資本比率は各社の公表値を用いています。いずれも全社連結ベースの数字で、カフェ以外の事業を含む会社があります。店舗数は各社の公式サイト・IR(2024-2025年時点)によります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 有価証券報告書(カフェ関連上場各社、連結通期FY2025)
  2. 2.
    各社公式サイト・IR(店舗数、2024-2025年時点)
📄 資料DL💬 無料相談