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ファストフードの価格戦略|客単価の上昇と値上げの行方【2026年版】

物価高が続くなか、ファストフードの主要チェーンは相次いで価格改定(値上げ)を実施しています。日本フードサービス協会の会員社調査では、ファストフード業態の客単価は長期にわたって上昇傾向にあり、2025年も前年を上回りました。総務省の消費者物価指数でも、外食のハンバーガーや牛丼の価格は2020年から2割以上上がり、とくに2022年以降の上昇が目立ちます。客単価は、価格改定だけでなく、より高い商品が選ばれることでも動きます。かつて「デフレの象徴」とされたファストフードは、いまやコスト上昇を価格に転嫁する局面に入っており、外食のなかでの値ごろ感を強みに、値上げをどこまで客数を保ったまま続けられるかが各チェーンの業績を左右します。客単価はどう動いてきたのか、メニュー価格はどれだけ上がったのか、値上げを客離れなく続けられるのかを順に整理します。

ファストフード業態の客単価前年比(2025年)
+4.4%
日本フードサービス協会の会員社全店ベース。前年を上回って推移
出典: 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」
ハンバーガー(外食)の価格指数(2025年)
128.6
2020年平均=100。2020年比+28.6%の上昇
出典: 総務省「2020年基準消費者物価指数」
牛丼(外食)の価格指数(2025年)
126.5
2020年平均=100。2020年比+26.5%の上昇
出典: 総務省「2020年基準消費者物価指数」

ファストフード業態の客単価前年比の推移(1994-2025年、%)

日本フードサービス協会の会員社全店ベース(前年=100)。客1人あたりの平均支払額の前年比
単位: %
0.037.575.0112.5150.09495000510152025
出典: 日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」(会員社全店、年間結果)
年度19941995199619971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016201720182019202020212022202320242025
客単価前年比%99.50101.4099.10101.409797.8098.3092.8096101102.4097101.2099.40101.3099.9098.4099.8098.10100.20102.20103.20103.60101.50101.50102.10109.20103.60104.70106.40104.10104.40
読み解き

日本フードサービス協会の会員社データでみると、ファストフード業態の客単価は長期にわたって前年比100%前後で推移しつつ、緩やかに上昇する局面が続いてきました。2025年は前年比104.4%(+4.4%)と前年を上回り、価格改定による単価の押し上げが表れています。

客単価の動きは、客数の動きと合わせて読むことが大切です。たとえば新型コロナの2020年は、客数が前年比88.2%まで減る一方で、客単価は109.2%へ上昇しました。テイクアウトやまとめ買いで1回あたりの支払額が増えたためで、売上は96.4%と底堅さを保ちました。客単価は、価格改定だけでなく、こうした利用のされ方によっても動きます。

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ハンバーガー(外食)の価格指数の推移(2015-2025年、2020年平均=100)

総務省 消費者物価指数の品目別価格指数。店頭で実際に支払うメニュー価格の動き(客単価とは別の指標)
単位: 指数
037.57511315090.51594.41694.81794.81896191002099.82110922125231232412925
出典: 総務省「2020年基準消費者物価指数」品目別価格指数(全国・年平均、2020年平均=100)
年度20152016201720182019202020212022202320242025
ハンバーガー(外食)価格指数指数90.5094.4094.8094.809610099.80108.70124.60122.70128.60
読み解き

総務省の消費者物価指数で、外食のハンバーガーの価格をみると、2020年を100として2021年は99.8とほぼ横ばいでしたが、2022年に108.7、2023年に124.6と急上昇し、2025年は128.6(前年比+4.8%)まで上がりました。2022年以降の原材料高と人件費上昇を受けた価格改定が、数字にはっきり表れています。

この指数は、客単価(前節)とは別の指標です。客単価が各チェーンの「売上÷客数」の動きであるのに対し、こちらは店頭で実際に支払うメニュー価格そのものの全国的な動きを示します。牛丼(外食)も同じ傾向で、2020年の100から2025年は126.5(2020年比+26.5%)へ上昇しており、ハンバーガーと牛丼という代表的なファストフードのメニューが、そろって2割以上値上がりしたことがわかります。

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主要論点

なぜファストフードの値上げが続いているのか?

原材料高と人件費の上昇が、値上げの最大の理由です。ファストフードは輸入の牛肉・鶏肉・小麦などを多く使うため、円安や国際的な穀物価格の上昇がコストを押し上げます。これに、人手不足を背景とした最低賃金の継続的な引き上げが加わり、人件費も上がり続けています。

こうしたコスト上昇を吸収しきれず、各チェーンは価格改定に踏み切ってきました。総務省の消費者物価指数でも、外食のハンバーガーは2020年の100から2025年に128.6、牛丼は126.5まで上がり、とくに2022年以降の上昇が目立ちます。

かつてのファストフードは「デフレの象徴」として価格競争を続けてきましたが、足元ではコスト上昇を価格に転嫁する局面に変わっています。値上げは一時的な対応ではなく、コスト構造の変化を映した動きだといえます。

値上げで客離れは起きないのか?

値上げと客数の維持をどう両立するかが、各チェーン共通の課題です。価格を上げれば客単価は上がりますが、上げすぎれば来店頻度が落ち、客数が減ります。客単価の上昇が客数の減少で相殺されれば、売上は伸びません。

ファストフードの強みは、外食のなかでの相対的な値ごろ感です。物価高で消費者の節約志向が強まるなかでは、レストランより手ごろなファストフードへ需要が移りやすく、これが値上げの受け入れられやすさにつながっています。日本フードサービス協会の調査でも、客単価が前年比+4.4%上昇した2025年に、ファストフード業態の売上は前年を上回りました。

ただし、値ごろ感は相対的なものです。値上げが続けば、いずれ割安感が薄れ、客数の反応も変わりえます。各チェーンは、一律の値上げだけでなく、低価格メニューの維持や高付加価値商品の投入を組み合わせ、値ごろ感を保ちながら単価を上げる工夫を求められます。

客単価と客数の、どちらで売上を伸ばすのか?

ファストフードの売上は、客単価(1人あたりの支払額)と客数(来店した人数)の掛け算で決まります。どちらを成長の軸にするかは、チェーンや局面によって異なります。

物価高で値上げが進む局面では、客単価の上昇が売上を押し上げる構図が強まります。一方、人口減少が進む国内では客数を大きく増やすのは難しく、客単価の上昇に頼る場面が増えています。実際、新型コロナの2020年は客数が前年比88.2%まで減るなかで、客単価が109.2%へ上がって売上を支えました。

もっとも、客単価だけに頼る成長には限界があります。値上げが続けば客足が遠のくおそれがあるため、新規出店やモバイルオーダーによる利便性向上、朝・夜などの時間帯需要の取り込みで客数を確保する努力も欠かせません。客単価と客数のバランスをどう取るかが、価格戦略の本質です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、価格改定による客単価の上昇が続くとみられます。原材料高と最低賃金の引き上げが続くため、コストを価格に転嫁する動きは当面続く見通しです。焦点は、値上げに対して客数がどこまで耐えられるかで、値ごろ感を保てるチェーンとそうでないチェーンとで、売上の伸びに差が出やすくなります。

中期3-5年

中期では、一律の値上げから、価格の使い分けへと戦略が深まる可能性があります。低価格メニューで来店動機を保ちつつ、高付加価値商品で単価を上げる二段構えや、時間帯・チャネルごとの価格設定など、きめ細かな価格戦略が広がるとみられます。客単価の上昇に客数の維持が伴うかが、引き続き各社の分かれ目になります。

長期

長期では、ファストフードの「安さ」の位置づけが変わる可能性があります。コスト構造の変化が定着すれば、かつてのような大幅な低価格は難しくなり、手ごろさと品質・利便性の組み合わせで選ばれる業態へと性格が変わっていくと考えられます。価格は、単なる安さではなく、提供価値全体のなかで評価されるようになります。

よくある質問

ファストフードの客単価は上がっていますか?
上がっています。日本フードサービス協会の会員社調査では、ファストフード業態の客単価は長期的に上昇傾向にあり、2025年は前年比+4.4%でした。客単価とは客1人あたりの平均支払額のことで、価格改定(値上げ)や、より高い商品の販売によって上がります。
なぜファストフードの値上げが続いているのですか?
輸入される牛肉・鶏肉・小麦などの原材料価格の上昇と、人手不足を背景とした最低賃金の継続的な引き上げが主な理由です。コスト上昇を吸収しきれず、各チェーンが価格改定に踏み切っています。総務省の消費者物価指数でも、外食のハンバーガー・牛丼の価格は2022年以降に大きく上がっています。
ハンバーガーや牛丼はどのくらい値上がりしましたか?
総務省の消費者物価指数(2020年の価格を100とした指数)でみると、外食のハンバーガーは2025年に128.6、牛丼は126.5となり、いずれも2020年から2割以上値上がりしました。とくに2022年から2023年にかけての上昇が大きくなっています。
値上げでお客さんは減らないのですか?
値上げと客数の維持の両立が各チェーンの課題です。ファストフードは外食のなかで相対的に値ごろ感が強く、物価高で節約志向が高まる局面ではむしろ需要が集まりやすいため、値上げが受け入れられやすい面があります。実際、客単価が上昇した2025年もファストフード業態の売上は前年を上回りました。ただし値上げが続けば割安感が薄れ、客数の反応が変わる可能性もあります。
売上は客単価と客数のどちらで伸びているのですか?
ファストフードの売上は客単価(1人あたりの支払額)と客数(来店人数)の掛け算で決まります。物価高で値上げが進む近年は、客単価の上昇が売上を押し上げる構図が強まっています。一方、人口減少で客数を大きく増やすのは難しいため、客単価の上昇に頼る場面が増えていますが、客足を保つための出店や利便性向上も欠かせません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本フードサービス協会「外食産業市場動向調査」(会員社全店、年間結果)
  2. 2.
    総務省「2020年基準消費者物価指数」品目別価格指数(全国・年平均)
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