最終更新
PLAYER DETAIL · CHAIN COMPARISON

ファストフード主要チェーンの業績比較|上場大手の規模と収益性【2026年版】

ファストフードの主要な上場チェーンを、領域別に連結業績で比較します。最大手のゼンショーホールディングスは連結売上が1兆1,367億円で、日本マクドナルドHD・コロワイド・吉野家HDが続きます。数値は全社連結ベースで、ダスキンの清掃事業やコロワイドの多角化外食のようにファストフード以外を含む会社もあるため、事業範囲の違いに注意が必要です。売上規模・収益性(ROE)・領域別のプレイヤーの違いを整理します。

主要上場チェーンの業績と領域別プレイヤー

上場8社の連結通期業績(FY2025、全社連結ベース)と、領域別の主要プレイヤー

数値は各社の有価証券報告書(連結通期、FY2025)に基づきます。連結売上・営業利益・純利益は億円単位、ROEと自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合で、高いほど財務の安定性が高い)は各社の公表値です。最大手ゼンショーHDの連結売上1兆1,367億円は2位の日本マクドナルドHD(4,166億円)の約2.7倍にあたり、規模で突出しています。一方、営業利益では日本マクドナルドHDが533億円と上場8社で最大で、売上規模と利益の大きさ、ROEや自己資本比率には各社の収益構造や財務方針の違いが表れます。

ゼンショーHD
牛丼(すき家)・多業態
連結売上
11,367
営業利益
751
純利益
393
ROE
17.3
自己資本比率
29.5
日本マクドナルドHD
ハンバーガー
連結売上
4,166
営業利益
533
純利益
339
ROE
12.7
自己資本比率
77.0
コロワイド
多角化外食
連結売上
2,692
営業利益
77
純利益
12
ROE
2.0
自己資本比率
24.8
連結売上
2,050
営業利益
73
純利益
38
ROE
6.1
自己資本比率
53.9
ダスキン
ドーナツ(ミスド)・清掃
連結売上
1,888
営業利益
73
純利益
88
ROE
5.8
自己資本比率
74.4
連結売上
1,542
営業利益
44
純利益
22
ROE
4.9
自己資本比率
43.8
モスフードサービス
ハンバーガー
連結売上
962
営業利益
52
純利益
32
ROE
6.0
自己資本比率
67.1
壱番屋
カレー(CoCo壱番屋)
連結売上
610
営業利益
49
純利益
32
ROE
10.1
自己資本比率
68.8

ハンバーガー — 日本マクドナルド・モスフード

日本マクドナルドHDはハンバーガー最大手で、連結売上4,166億円、営業利益は533億円と上場8社の中で最大です。国内に約3,000店を構え、直営とフランチャイズを組み合わせたフランチャイズ中心の運営により、自社で抱える店舗投資・人件費を抑えつつ加盟店からのロイヤルティで安定した収益を得る構造です。

収益性も高く、売上に対する営業利益の比率は約12.8%と上場各社のなかでも高い水準にあり、自己資本比率は77.0%、ROEは12.7%です。ブランド力を生かした価格設定と、モバイルオーダーやデリバリーなどのデジタル施策、既存店売上の伸びが収益を支えています。

モスフードサービスはハンバーガーの2番手で、連結売上962億円、ROE6.0%、自己資本比率67.1%です。国産食材を打ち出した商品力とフランチャイズ中心の店舗網を強みとし、台湾やアジアを中心とした海外展開も進めています。規模ではマクドナルドに及ばないものの、差別化された商品で独自の客層を確保しています。

牛丼 — ゼンショー(すき家)・吉野家・松屋

ゼンショーHDは牛丼のすき家を中核に、回転寿司のはま寿司、和食のなか卯、2023年に取得したロッテリアなど多数のブランドを傘下に置き、連結売上は1兆1,367億円と外食で突出した規模です。グループには食材の調達・加工を担う小売(グローサリー)事業も含み、原材料を自前で押さえる垂直統合と、北米・アジアでの海外出店を成長軸としています。ROEは17.3%と高い一方、M&Aを重ねてきたため自己資本比率は29.5%とやや低めです。

牛丼の主要プレイヤーは、すき家を擁するゼンショーHDに、吉野家HD(吉野家・はなまるうどん、連結2,050億円、ROE6.1%)と松屋フーズHD(牛めし・とんかつ松のや、連結1,542億円、ROE4.9%)を加えた構図で、牛丼は大手数社の競争が中心の領域です。各社とも牛丼以外にうどん・とんかつなどの業態を併営し、単一商品への依存を抑えています。

牛丼は低価格帯ゆえに価格転嫁の余地が限られ、輸入牛肉の価格や人件費の上昇が利益を圧迫しやすい領域です。各社は券売機やモバイルオーダーによる省人化に加え、サイドメニューや定食での客単価向上、朝食・深夜の時間帯需要の取り込みで、コスト上昇に対応しています。月次の既存店売上に各社の客数・客単価の戦略の違いが表れます。

ドーナツ・カレー・多角化 — ダスキン・壱番屋・コロワイド

ダスキンは連結売上1,888億円ですが、その主力は清掃(ダストコントロール)事業で、ファストフードに当たるミスタードーナツはフード事業の中核という位置づけです。純利益が営業利益を上回るのは、フランチャイズ網に関わる持分法投資などグループ構造を反映したものです。ROE5.8%、自己資本比率74.4%と財務は安定しており、ドーナツ業態の中心的なブランドを抱えています。

壱番屋は、カレーのCoCo壱番屋を国内外に展開する企業で、ハウス食品グループに属します。連結売上610億円と規模は8社で最小ながら、ROEは10.1%、自己資本比率68.8%と、堅実な収益性と財務を両立しています。カレーハウスはファストフードとファミリーレストランの境界に位置する業態で、フランチャイズを軸に店舗網を広げてきました。

コロワイドは、自力出店よりもM&Aで業態を取り込むことで多角化してきた多角化外食で、連結売上2,692億円です。居酒屋・ステーキ・回転寿司(かっぱ寿司)などを傘下に持ち、ファストフードに当たるフレッシュネスバーガーはグループのなかでは小規模です。当期のROEは2.0%と低く、買収に伴うのれんや資本負担、自己資本比率24.8%の低さに、M&A主導の成長の代償もうかがえます。

チキン・回転寿司(上場財務に表れない領域)

チキンの全国チェーンであるケンタッキーフライドチキン(日本KFC)は、2024年に投資ファンドによる買収で上場を廃止し、現在は非上場です。上場各社のような連結財務の開示はありませんが、チキンを主力とする事実上唯一の全国チェーンとして、引き続きファストフード市場で存在感を持っています。

回転寿司は、民間調査ではファストフードの注目業態に含まれ、市場規模では牛丼を上回ります。主要プレイヤーのスシロー(FOOD & LIFE COMPANIES)やくら寿司、ゼンショー傘下のはま寿司などが競い合っていますが、回転寿司業態の企業業績や構造の詳細は寿司の業界ページで扱います。本ページでは、ファストフードの上場各社の業績を中心に整理しています。

主要論点

なぜゼンショーHDが突出して大きいのか?

ゼンショーHDの連結売上1兆1,367億円は、2位の日本マクドナルドHD(4,166億円)の約2.7倍にあたり、外食では突出した規模です。背景には、すき家・はま寿司・なか卯・ロッテリアなど多くの業態を1社で抱える多業態経営があります。

さらに、M&Aによる規模拡大と海外展開を積極的に進めてきたこと、連結に食材の調達・加工を担う小売(グローサリー)事業を含むことも規模を押し上げています。単一業態の専業チェーンとは事業の幅が異なるため、規模の比較では事業範囲の違いを踏まえる必要があります。

つまり、ゼンショーの突出した規模は、多業態とM&A、海外、そして小売を含む全社連結の合算によるものです。ファストフード単体での比較では、領域ごとの最大手(ハンバーガーのマクドナルド、牛丼のすき家、チキンのケンタッキー)を並べて見ると実態を捉えやすくなります。

売上規模と収益性(ROE)は一致するのか?

売上規模と収益性は必ずしも一致しません。ROEで見ると、ゼンショーHDが17.3%、日本マクドナルドHDが12.7%、壱番屋が10.1%と高い一方、コロワイドは2.0%、松屋フーズHDは4.9%と当期は低めでした。

収益性の違いには、業態の利益構造や出店・M&Aの局面が影響します。たとえば日本マクドナルドHDはフランチャイズ中心の運営で、売上に対する営業利益の比率が約12.8%・自己資本比率77.0%と高い収益性と財務安定性を両立しています。一方、コロワイドのようにM&Aを重ねる企業では、買収に伴う負担が一時的に収益性を押し下げることもあります。

規模のランキングと収益性のランキングは別物であり、売上の大きさだけでなくROEや自己資本比率を併せて見ることで、各社の稼ぐ力と財務の安定性を立体的に把握できます。営業利益率を比べる際も、各社で開示の基準が異なるため、売上と営業利益の実額から読み取るのが確実です。

「連結売上」をどう読めばよいか?

各社の数値は全社連結ベースで、ファストフード以外の事業を含む会社があります。代表例がダスキンで、連結売上の主力は清掃(ダストコントロール)事業であり、ファストフードに当たるミスタードーナツはその一部です。コロワイドも居酒屋や回転寿司を含む多角化外食で、ファストフードはグループの一部にすぎません。

そのため、連結売上をそのまま「ファストフードの売上」と読むと、事業範囲の広い企業を実際のファストフード規模より大きく捉えてしまう可能性があります。すき家を中核とするゼンショーや、ハンバーガー専業に近いマクドナルドと、清掃が主力のダスキンを同じ土俵で比べる際は、この事業範囲の差を踏まえる必要があります。

また、ファストフード市場の規模統計(民間調査の4兆円規模など)と、各社の連結売上は集計の基準が異なります。両者は単純な足し合わせや市場シェアの算出には向かず、それぞれ別の指標として読むのが適切です。

中期見通し

近未来1-2年

2026-2027年は、原材料高・人件費上昇に対する価格転嫁の巧拙が各社の収益性を左右する局面が続きます。値上げによる客単価上昇で売上を伸ばせるか、客離れを抑えられるかが、領域・企業ごとの業績差となって表れます。フランチャイズ比率の高い日本マクドナルドのような企業は、相対的に収益性を保ちやすい構図です。

中期3-5年

中期では、海外展開とM&Aによる規模拡大が大手の成長軸となります。ゼンショーのように海外出店とM&Aで規模を広げる動きが続く一方、国内では既存ブランドの収益性改善が問われます。牛丼やハンバーガーで培った低価格・高回転のオペレーションを海外市場へ持ち出せるかが、規模拡大の鍵となります。

長期

長期では、人口減少を背景に国内の出店余地が限られるなか、省人化(券売機・モバイルオーダー等)による収益性改善と、海外・新業態への展開が成長の鍵となります。規模の拡大だけでなく、ROEや自己資本比率に表れる稼ぐ力・財務の健全性を高められる企業が、中長期で優位に立つと考えられます。

よくある質問

売上が最も大きいファストフードのチェーンはどこですか?
連結売上で最大手はゼンショーホールディングスで、FY2025の連結売上は約1兆1,367億円です。すき家・はま寿司・なか卯など多くの業態を抱えています。続いて、日本マクドナルドHD(約4,166億円)、コロワイド(約2,692億円)、吉野家HD(約2,050億円)が上位に並びます(各社 有価証券報告書)。
牛丼チェーン3社(すき家・吉野家・松屋)の規模はどう違いますか?
すき家を展開するゼンショーHDは連結売上約1兆1,367億円(すき家以外の多業態を含む)、吉野家HDは約2,050億円、松屋フーズHDは約1,542億円です。ゼンショーは牛丼以外に回転寿司や和食など多くの業態を抱えるため連結規模が大きく、牛丼単体の比較にはなりません。3社とも牛丼以外にうどんやとんかつなどの業態を併営しています。
日本マクドナルドの収益性が高いのはなぜですか?
日本マクドナルドHDはFY2025の連結売上4,166億円に対し営業利益が533億円と上場8社で最大で、売上に対する営業利益の比率は約12.8%と高い水準です。背景には、約3,000店の店舗網による規模の効果、フランチャイズを中心とした出店、ブランド力を生かした価格設定、モバイルオーダーなどのデジタル施策があります。自己資本比率も77.0%と財務が安定しています。
「連結売上」とファストフード事業の売上は違うのですか?
はい、異なります。各社の数値は全社連結ベースで、ファストフード以外の事業を含む会社があります。たとえばダスキンは清掃事業が主力でミスタードーナツは一部、コロワイドは居酒屋や回転寿司を含む多角化外食です。事業範囲の広いホールディングスと、マクドナルドのような専業に近いチェーンを比べる際は、この事業範囲の差に注意が必要です。
各社の業績データの出典は何ですか?
各社の有価証券報告書(連結通期、FY2025)に基づく値です。連結売上・営業利益・純利益は億円単位で、ROEと自己資本比率は各社の公表値を用いています。いずれも全社連結ベースの数字で、ファストフード事業単体のセグメント値ではありません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    各社 有価証券報告書(ファストフード上場各社、連結通期FY2025)
📄 資料DL💬 無料相談