ファストフード業界の市場規模・主要企業・動向
ファストフード市場は2024年に4兆765億円となる見込みで、物価高のなかでも堅調に推移し、値上げによる客単価の上昇と客数の動きが各社の業績を分ける業態です。
ファストフードとは、ハンバーガー・牛丼・チキン・回転寿司などを短時間かつ低価格で提供する外食業態を指し、店内での飲食に加えてテイクアウトやデリバリーを柱とします。民間調査によるファストフード市場は2024年に4兆765億円となる見込みで、これが属する外食産業全体もコロナ前の水準へ回復しつつあります。外食最大手のゼンショーホールディングスは連結売上1兆1,367億円、日本マクドナルドは4,166億円で、領域ごとに主要チェーンが競っています。月次の既存店売上に表れる客数と客単価の動き、度重なる価格改定と原材料・人件費の上昇への対応が、業界に共通する論点です。本ページでは、日本のファストフード業界を、市場規模と業態構成、主要チェーンの競争、月次既存店、価格戦略とコスト構造、出店・海外展開の5つの軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
ファストフードとは、ハンバーガー・牛丼・チキン・回転寿司などを短時間かつ低価格で提供する外食業態です。物価高が続くなかでも相対的な値ごろ感から底堅く推移し、民間調査による市場規模は2024年に4兆765億円となる見込みで、領域ごとに主要チェーンが競い合っています。
- ファストフード市場は堅調に推移しています。民間調査による市場規模は2024年に4兆765億円となる見込みで、ハンバーガーが1兆418億円、回転寿司が8,261億円、牛丼が5,530億円と、領域ごとに大きな市場を形成しています(いずれも2024年見込)。
- 領域ごとに主要チェーンが競っています。ハンバーガーの日本マクドナルド、牛丼のすき家を展開するゼンショーなどが規模を競い、各社は牛丼以外の業態や海外事業を含む外食グループでもあります。
- 月次の既存店売上と価格戦略が業績を左右します。客数と客単価の動きに各社の戦略が表れ、原材料や人件費の上昇に対する価格転嫁と低価格訴求の両立が、業界に共通する課題となっています。
市場動向
ファストフード市場は、民間調査で2024年に4兆765億円となる見込みで、2023年の3兆8,308億円から拡大が続いています。これが属する外食産業全体も2023年に24兆1,512億円まで回復し、業態別では日本フードサービス協会の調査で2025年の売上が前年比107.5%となりました。
- ファストフード市場は2024年に4兆765億円となる見込みです(民間推計)。業態別ではハンバーガーが1兆418億円で1兆円を超え、回転寿司8,261億円・牛丼5,530億円・ラーメン4,870億円が続いており、いずれも2024年見込の数字です。
- 外食産業全体の市場規模は2023年に24兆1,512億円まで回復しています。コロナ前2019年の26兆2,687億円に対し、2020年に18兆2,122億円まで落ち込んだ後の回復が続き、外食率も2023年に30.3%まで高まっています。
- 業態別の伸びは日本フードサービス協会の調査で把握できます。2025年のファストフード業態の売上は前年比107.5%で、洋風107.6%・和風109.8%・麺類108.9%と、主要な区分がそろって前年を上回りました。
競争環境
日本のファストフード業界では、ハンバーガーの日本マクドナルドやモスフード、牛丼のすき家(ゼンショー)・吉野家・松屋、回転寿司のスシローやくら寿司、チキンのケンタッキーフライドチキンなど、領域ごとに主要チェーンが事業を展開しています。各社はうどんや回転寿司などを含む外食グループでもあり、連結売上や店舗数の規模差、月次既存店に表れる業績の動き、価格戦略の違いが主要な競争の論点となっています。
- 領域ごとに主要チェーンが規模を競っています。ハンバーガーは日本マクドナルド(国内店舗約3,000)とモスフード、牛丼はすき家・吉野家・松屋、回転寿司はスシローやくら寿司が中心で、それぞれの領域で上位チェーンへの集約が進んでいます。
- 主要各社は複数の業態を抱える外食グループです。ゼンショーはすき家に加えてはま寿司やなか卯などを展開し、海外事業も拡大して連結売上は1兆円を超えています。各社の規模や収益力には差があります。
- ケンタッキーフライドチキンは2024年に非上場化しました。チキン業態で全国に展開する同社は、2024年に投資ファンドによる買収で上場を廃止し、現在は非上場で事業を続けています。
市場規模推移
2023-2024 · ファストフード市場ファストフード市場規模の推移(2023-2024年、兆円、民間推計)
| 年度 | 2023 | 2024 |
|---|---|---|
| ファストフード市場(兆円) | 3.83 | 4.08 |
| 前年比 | — | +6.4% |
ファストフードの市場規模は、民間調査で2024年に4兆765億円(前年比6.4%増)となる見込みで、2023年の3兆8,308億円から堅調に拡大しています。業態別ではハンバーガーが1兆418億円と1兆円を超え、回転寿司8,261億円、牛丼5,530億円、ラーメン4,870億円が続きます(いずれも2024年見込)。これらは注目される主要業態で、ファストフード全体にはこのほかチキンやドーナツなどの業態も含まれます。
ファストフードが属する外食産業全体の市場規模は2023年に24兆1,512億円で、コロナ前2019年の26兆2,687億円に向けた回復が続いています。市場規模の捉え方は調査によって異なり、ファストフード業態の絶対額は民間調査、外食全体の絶対額は財団の推計、業態別の伸びは日本フードサービス協会の調査(2025年のファストフード業態は前年比107.5%)が把握しやすく、それぞれ調査の対象が異なる点に留意が必要です。
ファストフードは、物価高が続くなかでも相対的な値ごろ感から底堅い需要を保っています。提供形態の構成比は2023年にイートインが61%、テイクアウトが33%、デリバリーが6%で、店内飲食を中心にテイクアウトが需要を支える構造です。時間帯ではランチが47%と最も大きく、ディナー32%、午後などのアイドルタイム15%、朝食6%が続きます。
背景には、食の外部化の進展があります。外食産業市場規模推計によると、外食率は2023年に30.3%、家庭内で調理しない食事の割合を示す食の外部化率は39.9%まで高まっています。度重なる価格改定で客単価が上昇する一方、低価格メニューの訴求も続いており、値上げと値ごろ感をどう両立させるかが各社の需要を左右しています。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要ファストフードは、ハンバーガー・牛丼・チキン・回転寿司などの領域に分かれ、それぞれに主要チェーンが事業を展開しています。短時間かつ低価格での提供を共通の特徴とし、店内での飲食に加えてテイクアウトやデリバリーが需要を支えています。
業界全体を少数の企業が占めているわけではなく、領域ごとに上位チェーンへの集約が進む構造です。牛丼ではすき家・吉野家・松屋の3チェーンが中心となり、チキンでは全国に展開するケンタッキーフライドチキンが軸となるなど、領域によって主要なプレイヤーが異なります。
ハンバーガーでは日本マクドナルドが国内店舗約3,000で最大手、モスフードが続きます。牛丼ではすき家を展開するゼンショーホールディングスが連結売上1兆円超の外食最大手で、吉野家・松屋フーズが競い合っています。回転寿司ではスシローやくら寿司が中心です。
主要各社は、牛丼や回転寿司、うどんなど複数の業態を抱える外食グループでもあり、連結売上には牛丼以外の事業も含まれます。各社の規模や収益力には差があり、月次の既存店売上に表れる客数と客単価の動きや、価格戦略の違いが競争の軸となっています。
ファストフードは、輸入される原材料と人件費に収益を左右される業態です。ハンバーガーや牛丼は輸入牛肉、チキンは鶏肉、バンズや麺は小麦に依存し、為替や国際市況の影響を受けます。店舗運営には多くの人手が必要なため、最低賃金の引き上げも人件費を押し上げます。
こうしたコスト上昇に対し、各社は価格への転嫁と、調達やオペレーションの効率化を組み合わせています。値ごろ感を強みとしてきた業態だけに、値上げと低価格メニューの維持をどう両立させるかが、各社の収益力と客数を左右しています。
業界の3大論点
ファストフードは、原材料や人件費の上昇を受けて、近年たびたび価格改定を行ってきました。民間調査によると、2023年から2024年にかけての市場拡大は価格改定による客単価の上昇が主因とされ、各社の月次の既存店売上でも、客単価が前年を上回る場面が目立ちます。値ごろ感を強みとしてきた業態だけに、値上げをどこまで需要を保ったまま続けられるかが問われています。
月次の既存店売上を客数と客単価に分けると、各社の状況の違いが見えてきます。客数を増やして売上を伸ばすチェーンと、客単価の上昇で売上を伸ばすチェーンがあり、後者は値上げや高付加価値メニューが客足を大きく損なっていないことを示します。一方で、低価格を重視する利用者は、より安い惣菜パンなどへ需要が流れる懸念も指摘されており、価格帯ごとに利用者の反応は分かれています。
各社が取りうる方向性は分かれています。価格改定で単価を高める道、つけ合わせや新メニューで一人あたりの注文を増やす道、「並盛」などの低価格メニューを維持して客数を確保する道などがあり、多くのチェーンはこれらを組み合わせています。値上げと値ごろ感をどう両立させるかは、各社の戦略によって今後も大きく分かれる見通しです。
ファストフードのコストは、輸入される原材料と人件費に大きく左右されます。ハンバーガーや牛丼は輸入牛肉、チキンは鶏肉、バンズや麺は小麦に依存しており、為替や国際市況の影響を受けやすい構造です。加えて、店舗運営は多くの人手を必要とするため、最低賃金の引き上げが人件費を押し上げます。
こうしたコスト上昇に対し、各社はいくつかの手立てを組み合わせています。価格への転嫁を進める一方、調達先の分散やメニュー構成の見直し、店舗オペレーションの効率化を図り、モバイルオーダーやセルフレジなどの省人化も広がっています。値上げだけに頼ると客離れの懸念があるため、原価率や人件費率をどう抑えるかが各社の収益力を左右します。
上場各社の収益力には差があります。日本マクドナルドは売上に対する営業利益の比率が高い水準にある一方、薄い利益率で規模を追うチェーンもあります。原材料高と人件費高が当面続くと見込まれるなかで、コスト上昇を価格転嫁と効率化のどちらでどこまで吸収するかが、中期的な競争力を分ける論点となっています。
国内のファストフード市場は底堅いものの、人口減少を背景に大きく伸び続ける市場ではありません。そのため各社は、国内での出店や業態の多角化と、海外展開の双方に成長の機会を求めています。国内では、郊外のロードサイドへの出店や、フランチャイズによる店舗網の拡大、複数業態の併営などが進められています。
海外展開では、外食最大手のゼンショーホールディングスが目立ちます。すき家やはま寿司などを海外で展開するとともに、海外企業の買収を通じて連結売上を拡大してきました。国内の牛丼やハンバーガーで培った低価格・高回転のオペレーションを、海外市場へ持ち出す動きが各社で見られます。
もう一つの軸が、デジタルを活用した顧客接点の強化です。モバイルオーダーやアプリのクーポンは、来店頻度や客単価を高める手段として広がっています。成熟した国内市場で来店客とのつながりをどう深め、海外でどこまで規模を広げられるかが、各社の成長を左右する見通しです。
よくある質問 (FAQ)
ファストフードの市場規模はどれくらいですか?
牛丼チェーン3社(すき家・吉野家・松屋)の違いは何ですか?
既存店売上とは何ですか?
なぜファストフードの値上げが続いているのですか?
日本マクドナルドの収益性が高いのはなぜですか?
フランチャイズ(FC)とはどういう仕組みですか?
すき家を展開するゼンショーの海外展開はどうなっていますか?
ケンタッキーフライドチキン(KFC)は今どうなっているのですか?
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