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ラーメンの倒産と原価高|倒産件数の推移と「1000円の壁」【2026年版】

ラーメン店の倒産は2024年に79件と過去最多になり、2025年は59件へ4年ぶりに減りました(帝国データバンク、暦年)。背景にあるのが原材料費の高騰で、ラーメンの原価指数は2020年を100として2025年に141まで上がっています。値上げで原価を転嫁しようにも、ラーメンには「1000円の壁」と呼ばれる値ごろ感の上限があり、店は難しい判断を迫られています。倒産の動向、原価高の構造、「1000円の壁」、生き残る店の変化まで順に整理します。

ラーメン店の倒産(2024年)
79
暦年、過去最多を更新
出典: 帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年)」
ラーメン店の倒産(2025年)
59
暦年、4年ぶりに減少
出典: 帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年)」
ラーメン原価指数(2025年)
141
2020年を100とした指数、5年で約1.4倍
出典: 帝国データバンク(豚骨・小麦などの原材料コスト)
小規模店の倒産割合(2025年)
42.3%
資本金100万円未満の小規模店が占める割合
出典: 帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年)」

ラーメン店の倒産件数の推移(2010-2025年、件)

2010年代はおおむね年30〜50件台で推移し、2024年に79件と過去最多に。2025年は59件へ4年ぶりに減少
読み解き

ラーメン店の倒産は、2010年代を通じておおむね年30〜50件台で推移していました。新型コロナ下では、資金繰りを支える実質無利子・無担保の融資(いわゆるゼロゼロ融資)などの支援策により、いったん落ち着きました。

その後、支援策の縮小と返済の本格化に、原材料費の高騰が重なり、2023年以降に倒産が急増しました。2024年には79件と過去最多を記録し、2025年は59件へ4年ぶりに減少したものの、なお高い水準にあります。件数の増減だけでなく、後述する倒産の「中規模化」など中身の変化にも注意が必要です。

このグラフに関連するトピック

ラーメンの原材料コスト指数の推移(2019-2025年、2020年=100)

2020年を100として2025年に141まで上昇し、5年で約1.4倍に。豚骨・小麦などの値上がりが続く
読み解き

この指数は、ラーメンの主な原材料である豚骨や小麦などのコストを、2020年の平均を100として示したものです。2019年の92から2025年には141へと上がり、5年で約1.4倍の水準になりました。人件費や光熱費は含まれていないため、店の実際の負担はこれよりさらに重くなります。

原材料コストの上昇は、スープや麺といったラーメンの根幹に直接効きます。価格に転嫁できなければ利益が削られ、転嫁すれば「1000円の壁」を越える値上げで客離れのリスクが生じます。この板挟みが、原価高のなかでの倒産の増加につながっています。

なぜラーメン店の倒産が過去最多になったのか

原材料費の高騰に値上げが追いつかない

最大の要因は、原材料費の高騰です。原価指数は2020年の100から2025年に141まで上がり、スープや麺の原価が大きく膨らみました。これに人件費や光熱費の上昇も加わります。値上げで転嫁できればよいものの、後述する「1000円の壁」もあって価格を上げきれず、利益を削られた店が事業の継続を断念する例が相次ぎました。

小規模な個人店ほど追い込まれる

倒産は、体力の乏しい小規模な店に集中しがちです。帝国データバンクによると、2025年の倒産のうち資本金100万円未満の小規模店が42.3%を占めました(前年より割合は低下)。仕入れの交渉力や資金の余力が小さい個人店は、原価高や人手不足の影響を受けやすく、淘汰の波の最前線に立たされています。

倒産の「中規模化」と人手不足

近年は、倒産の中身も変わってきました。東京商工リサーチの年度集計では、負債1億円を超える倒産が10件と2年連続で最多を更新し、ある程度の規模の店の倒産が増える「中規模化」がみられます。また、人手不足を一因とする倒産が8件と過去最多(前年の約2.6倍)になりました。原因別では販売不振が46件で全体の80.7%を占めます(いずれも東京商工リサーチ、年度ベース)。

「1000円の壁」とは何か

ラーメンの値ごろ感の上限

「1000円の壁」とは、ラーメン1杯の価格が1,000円を超えると客が割高に感じやすくなる、という値ごろ感の上限を指す言葉です。ラーメンは長く手頃な外食の代表とされてきたため、原材料費が上がっても1,000円を超える値上げには踏み切りにくい、という心理的な壁があります。

壁を越える値上げと、厳しくなる消費者の目

原価高が続くなかで、この壁を越えて値上げするラーメン店は増えています。一方で東京商工リサーチは、値上げが進むほど消費者の目は厳しさを増す、と指摘します。価格に見合う価値を示せなければ客足が遠のくため、値上げは原価を転嫁する手段であると同時に、客離れのリスクと隣り合わせです。

プレミアムと低価格への二極化

価格帯は二極化しています。1杯3,000円を超えるプレミアムなラーメンや、汁なし・まぜそばといった付加価値の高い業態が広がる一方、日常使いの低価格帯も根強く残ります。値上げをどう設計し、どの価格帯で勝負するか——消費者物価や客単価、プレミアム業態の動向が、原価高のなかでの価格戦略を左右します。

淘汰のなかで、生き残る店はどう変わるのか

効率経営への転換

原価高と人手不足を乗り切るため、生き残る店は効率的な経営へ軸足を移しています。味を安定させ調理の人手を抑えるセントラルキッチン(味づくりや仕込みを集約する自社工場)や、注文・会計を省人化するキャッシュレスの券売機の導入が進んでいます。原価と人件費を管理できる仕組みを持つ店が、コスト上昇に耐えやすくなっています。

大手・ファンドによる再編

事業の継続が難しくなった中小のラーメン店を、大手の外食企業や投資ファンドが取り込む再編もみられます。倒産として表に出る件数のほかに、店主の高齢化や後継者不在による静かな閉業も少なくなく、これらは倒産統計には現れません。退出する店と、引き継ぎ・再編される店の両方が、業界の新陳代謝を進めています。

職人の一杯とチェーンの効率が併存する

淘汰が進んでも、ラーメンが個人店中心の多様な市場である点は変わりません。職人がこだわる一杯を出す個人店と、規模と仕組みで効率を追うチェーンが併存しながら、原価高という共通の圧力のなかで業界の形が組み替わっています。

倒産件数の2つの統計(集計の基準が異なる)

調査機関によって集計の期間(暦年か年度か)や対象が異なり、件数も異なる
読み解き

ラーメン店の倒産件数は、調査機関によって数字が異なります。帝国データバンクは暦年(1〜12月)で負債1000万円以上の法的整理を集計し、2024年=79件・2025年=59件です。東京商工リサーチは年度(4〜3月)で2009年度から集計し、2025年度=57件(前年度比21.2%減)・過去最多は2023年度の63件です。

集計の期間(暦年か年度か)や対象の取り方が異なるため、両者の件数を単純に比べたり足し合わせたりはできません。倒産件数を引用するときは、どちらの統計の、いつの数字かを確認することが前提になります。

主要論点

原材料費の高騰のなかで、ラーメン店の淘汰はどこまで進むのか?

ラーメンの原価指数は2020年の100から2025年に141まで上がり、原材料費の高騰が倒産の主因になっています。倒産は2024年に79件と過去最多になり、2025年は59件へ減ったものの高い水準が続きます。資本金100万円未満の小規模店が倒産の42.3%を占めるなど、体力の乏しい個人店ほど追い込まれています。

一方で、淘汰は退出だけではありません。セントラルキッチンや券売機で効率を高めた店、原価を管理できるチェーンは出店を続け、事業継続が難しくなった店を大手やファンドが引き継ぐ再編も進んでいます。退出と引き継ぎの両方が、業界の新陳代謝を進めています。

原材料費の高騰が続くかぎり、価格に転嫁できない店の退出は当面続くとみられます。淘汰の波のなかで、効率経営の仕組みを持てるかどうかが、店の存続を分ける軸になります。

「1000円の壁」を越える値上げは受け入れられるのか?

ラーメンには、1杯1,000円を超えると割高に感じられやすいという「1000円の壁」があります。原価高のなかでこの壁を越えて値上げする店は増えていますが、東京商工リサーチは値上げが進むほど消費者の目は厳しくなると指摘します。

受け入れられるかどうかは、価格に見合う価値を示せるかにかかっています。1杯3,000円を超えるプレミアムなラーメンや、付加価値の高い汁なし・まぜそばのように、価格帯を引き上げて成立させる動きがある一方、日常使いの低価格帯も根強く残り、価格帯は二極化しています。

つまり、値上げは「できるかどうか」ではなく「どう設計するか」の問題になりつつあります。消費者物価や客単価の動き、プレミアム業態の広がりも、値上げが受け入れられるかを左右する要素です。

倒産件数が減れば、ラーメン業界は安心できるのか?

2025年の倒産は59件と、過去最多だった2024年の79件から減りました。ただし、件数の減少をそのまま改善と読むのは早計です。

第一に、倒産の中身が変わっています。東京商工リサーチの年度集計では、負債1億円を超える倒産が10件と2年連続で最多を更新し、ある程度の規模の店まで倒産が及ぶ「中規模化」がみられます。人手不足を一因とする倒産も8件と過去最多になりました。第二に、店主の高齢化や後継者不在による静かな閉業は倒産統計に現れません

件数の増減だけでなく、倒産の規模・原因の変化と、統計に出ない閉業まで含めて見る必要があります。原材料費の高騰と人手不足という構造的な圧力が解消したわけではなく、業界の淘汰・再編は続いています。

よくある質問

なぜラーメン店の倒産が増えているのですか?
主な原因は原材料費の高騰です。豚骨や小麦などのコストを示す原価指数は2020年を100として2025年に141まで上がり、値上げが追いつかない店の倒産が増えました。ラーメン店の倒産は2024年に79件と過去最多になり、2025年は59件へ4年ぶりに減ったものの、なお高い水準です(帝国データバンク、暦年)。資本金100万円未満の小規模店が倒産の42.3%を占めます。
ラーメンの原価指数とは何ですか?
ラーメンの主な原材料である豚骨や小麦などのコストを、2020年の平均を100として示した指数です(帝国データバンク)。2025年は141で、5年で約1.4倍になりました。人件費や光熱費、調味料は含まれていないため、店の実際の負担はこれよりさらに重くなります。
「1000円の壁」とは何ですか?
ラーメン1杯の価格が1,000円を超えると客が割高に感じやすくなる、という値ごろ感の上限を指す言葉です。ラーメンは手頃な外食の代表とされてきたため、原材料費が上がっても1,000円超への値上げに踏み切りにくい心理的な壁があります。近年はこの壁を越えて値上げする店が増える一方、消費者の目は厳しさを増していると指摘されています(東京商工リサーチ)。
倒産件数が帝国データバンクと東京商工リサーチで違うのはなぜですか?
集計の基準が異なるためです。帝国データバンクは暦年(1〜12月)で負債1000万円以上の法的整理を集計し、2025年は59件です。東京商工リサーチは年度(4〜3月)で集計し、2025年度は57件、過去最多は2023年度の63件です。期間や対象の取り方が違うため、両者の数字を単純に比較・合算することはできません。
ラーメン店の倒産は今後どうなりますか?
原材料費の高騰と人手不足という構造的な圧力が続くかぎり、価格に転嫁できない店の退出は当面続くとみられます。一方で、セントラルキッチンや券売機による効率経営、大手・ファンドによる再編も進んでおり、退出と引き継ぎの両方が業界の新陳代謝を進めます。負債1億円超の倒産の増加(中規模化)や人手不足倒産の増加など、件数だけでなく倒産の中身の変化にも注意が必要です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    帝国データバンク「『ラーメン店』の倒産動向(2025年)」(2026年1月)
  2. 2.
    東京商工リサーチ「2025年度『ラーメン店』倒産」
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