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フードデリバリーの市場と収益化|市場の調整局面と各社の課題【2026年版】

スマートフォンのアプリで料理を注文し、自宅へ届けてもらうフードデリバリーは、新型コロナの時期に急速に広がりました。NPDジャパンの調査では、デリバリー(出前)市場はコロナ前(2019年)比で約2倍に拡大した後、2024年に一度減少し、2025年は8,240億円(前年比+2.0%)と再び増加する見込みです。急拡大は一服し、利用者数で大きい出前館とUber Eatsをはじめ各社は収益化が課題です。市場の仕組みとプレイヤー・拡大から一服への変化・なぜ収益化が難しいのかを順に整理します。

フードデリバリー(出前)市場規模の推移(2016-2025年、億円)

レストラン業態の宅配(宅配ピザ含む、弁当・総菜店など中食小売は対象外)。コロナ禍の2020年に6,271億円へ急増、2023年の8,603億円をピークに、2025年は8,240億円(見込み)
単位: 億円
02,5005,0007,50010,0003,770163,857174,084184,183196,271207,878217,740228,603238,078248,24025
出典: NPDジャパン (Circana)「2025年のデリバリー市場規模は8240億円の見込み」(2025年12月17日、CREST。2025年は見込み)
年度2016201720182019202020212022202320242025
デリバリー(出前)市場規模億円3,7703,8574,0844,1836,2717,8787,7408,6038,0788,240
前年比+5.8%+2.3%+5.9%+2.4%+50.0%+26.0%-1.8%+11.0%-6.1%+2.0%
読み解き

フードデリバリー(出前)市場は、新型コロナの時期に急拡大しました。NPDジャパンの調査では、2019年の4,183億円から2020年に6,271億円(前年比+50%)へ急増し、コロナ前(2019年)比で+97.0%と約2倍になりました。その後、2023年の8,603億円を系列のピークに、2024年は8,078億円(前年比-6.1%)へ減少し、2025年(1-12月計)は8,240億円(前年比+2.0%)と再び増加する見込みです。コロナ前の約2倍という水準を保ちつつ、急拡大は一服しています。なおこの市場規模は、レストラン業態の宅配(宅配ピザを含む)を対象とし、弁当・総菜店などの中食小売の宅配は含みません。

このグラフに関連するトピック

フードデリバリーとは、どんな市場なのか

注文者・飲食店・配達員を仲介するプラットフォーム

フードデリバリーの中心は、注文者・飲食店・配達員の三者を仲介するプラットフォームです。利用者はアプリで料理を注文し、プラットフォームが飲食店に発注を伝え、登録した配達員が料理を届けます。プラットフォームは、飲食店から受け取る手数料(注文額に応じた手数料=店が支払う仲介料)や、利用者が支払う配送料などを収益源とします。

出前館とUber Eatsの2強、続くmenu・Wolt

利用者数では、出前館とUber Eatsの2社が大きな存在です。株式会社ヴァリューズの調査(2023年6月-2024年5月)によると、アプリの月間利用者数は出前館が約1,660万人、Uber Eatsが約1,550万人で拮抗し、menu(約524万人)やWolt(約375万人)が続きます。直近の月間利用者数(2024年5月)ではUber Eatsと出前館がほぼ並ぶとされ、2社が市場の大半を占めています。

2社の成り立ちの違い

2社は成り立ちが異なります。Uber Eatsは配車サービスのUberが手がけ、都市部を中心に高い認知度を築きました。出前館は国内の出前サービスから出発し、LINEとの連携を背景に地方・郊外にも展開しています。出前館は飲食店の料理に加え、弁当・惣菜の宅配も扱う点が特徴です。menuはKDDIグループ、Woltはフィンランド発(現在は米DoorDash傘下)で、それぞれ独自の打ち出しで差別化を図っています。

主要なフードデリバリーサービスの利用者数と特徴

月間利用者数は株式会社ヴァリューズの調査(2023年6月-2024年5月のアプリ利用者数)に基づく
Uber Eats
月間利用者数
1,550万人
特徴・位置づけ
都市部を中心に高い認知度。飲食店の料理の配達が中心で、「デリバリーといえば」と想起されやすい。2023-2024年に黒字化したとされる
出前館
月間利用者数
1,660万人
特徴・位置づけ
LINEとの連携を背景に地方・郊外にも展開。飲食店に加え弁当・惣菜の宅配も扱う。連続赤字が続くが営業損益は改善傾向
menu
月間利用者数
524万人
特徴・位置づけ
KDDIグループ。利用者数では上位2社に水をあけられるが、特定の地域・場面で利用される
Wolt
月間利用者数
375万人
特徴・位置づけ
フィンランド発(現在は米DoorDash傘下)。地方都市での展開やサービスの質を打ち出す
読み解き

月間利用者数では、出前館とUber Eatsの2社がmenu・Woltに大きく差をつけています。ただし、これは特定の2社が市場を支配しているというより、認知度と配達網の広さで先行した2社に利用が集まっている状況です。直近(2024年5月)の月間利用者数ではUber Eatsと出前館がほぼ並び、menu・Woltは特定の地域や場面で利用される構図です。なお収益性は利用者数の順位とは別で、Uber Eatsが黒字化したとされる一方、出前館は赤字が続いています。

なぜ市場の急拡大は一服したのか

コロナ禍での急拡大

フードデリバリーは、新型コロナの時期に急速に広がりました。外出自粛や飲食店の店内営業の制限を背景に、自宅で飲食店の料理を楽しむ手段として利用が一気に増えました。NPDジャパン(Circana)の調査では、デリバリー(出前)市場はコロナ前(2019年)比で+97.0%と約2倍に拡大しました。この時期、各社は加盟店の開拓や配達員の確保、販促を積極的に進めました。

外出回復で需要が落ち着く

しかし、外出機会が回復すると、こうした特需は落ち着きました。NPDジャパンの調査では、デリバリー(出前)市場は2024年に一度減少し、2025年(1-12月計)は8,240億円(前年比+2.0%)と再び増加する見込みです。コロナ前の約2倍という水準は保ちつつも、かつてのような急拡大は一服しています。店内飲食やテイクアウト、店頭での惣菜購入といった選択肢が戻り、デリバリーの利用頻度が見直されたためです。

手数料・送料への利用者の反応

さらに、配達には手数料や送料という追加の負担が伴います。物価高で生活費への意識が高まるなか、店頭で買うより割高になるデリバリーの利用を控える動きもみられます。市場の拡大が落ち着いた背景には、こうした価格への反応もあります。各社は送料の見直しや、定額制(一定額で配送料が無料になるしくみ)などで利用の定着を図っています。

なぜフードデリバリーは収益化が難しいのか

配達員と販促にコストがかかる構造

フードデリバリーは、収益化が難しい事業構造を抱えています。注文ごとに配達員への報酬が発生するうえ、利用者を増やすための販促費(クーポンや広告)もかさみます。一方で、飲食店から受け取る手数料や利用者の配送料には、利用者の負担感という上限があります。注文が増えても、配達コストと販促費が重く、利益が残りにくいのが特徴です。

出前館は連結赤字が続く

この構造は、出前館の業績にも表れています。出前館の連結業績は、売上高が2023年8月期の514億円をピークに、2025年8月期は397億円となりました。営業損益は、2022年8月期の▲364億円から2025年8月期は▲49億円と赤字が続いています。コロナ期の拡大局面で販促や配達網に積極投資した結果、大きな赤字を計上し、その後は赤字幅の縮小に取り組んでいる段階です。

黒字化に向けた各社の対応

出前館は、販促費の見直しや配達の効率化を進め、営業損益の赤字幅は縮小傾向にあります。ただし、売上高自体は減少しており、黒字化の時期は見通しにくい状況です。一方でUber Eatsは黒字化したとされ、収益性では差がみられます。各社とも、注文単価の引き上げや配達効率の改善、加盟店からの手数料の最適化など、利益の出る事業構造への転換が共通の課題となっています。

主要論点

フードデリバリー市場は今後も伸びるのか?

フードデリバリー市場は、新型コロナの時期に急速に拡大しました。NPDジャパン(Circana)の調査では、デリバリー(出前)市場はコロナ前(2019年)比で+97.0%と約2倍に伸びた後、2024年に一度減少し、2025年(1-12月計)は8,240億円(前年比+2.0%)と再び増加する見込みです。急拡大は一服したものの、コロナ前の約2倍という水準は保っています。

これは、フードデリバリーが一時の特需で終わらず、生活のインフラとして一定の利用が定着したことを示します。共働き・単身世帯の増加や、外出せずに食事を済ませたいという需要が、底堅い利用を支えています。

今後は、コロナ期のような急拡大ではなく、定着した需要のうえでの緩やかな推移が見込まれます。配送料や手数料に見合う価値を利用者が感じられるか、対応エリアやサービスの質をどう高めるかが、市場が再び伸びるか、横ばいにとどまるかを左右します。

なぜ出前館は赤字が続いているのか?

出前館は連結で赤字が続いており、2025年8月期も営業損益は▲49億円でした。背景には、フードデリバリーという事業の構造があります。注文ごとに配達員への報酬が発生し、利用者を増やすための販促費もかさむ一方、飲食店からの手数料や配送料には利用者の負担感という上限があります。

加えて、出前館はコロナ期の拡大局面で、加盟店の開拓・配達網・販促に積極的に投資しました。2022年8月期には営業損益が▲364億円と大きな赤字を計上しています。利用が広がる局面でシェアを取りに行った結果、先行投資が重くのしかかりました。

その後、出前館は販促費の見直しや配達の効率化を進め、赤字幅は縮小しています。ただし売上高自体も2023年8月期の514億円から減少しており、黒字化には注文単価や配達効率の改善が欠かせません。利用者数で並ぶUber Eatsが黒字化したとされるなか、収益構造の立て直しが課題です。

出前館とUber Eatsの2強体制は今後も続くのか?

利用者数では、出前館とUber Eatsの2社がmenu・Woltに大きく差をつけています。ヴァリューズの調査では、アプリの月間利用者数は出前館・Uber Eatsがいずれも1,500万人を超え、menu(約524万人)・Wolt(約375万人)を上回ります。認知度と配達網の広さで先行した2社に利用が集まる構図です。

ただし、これは2社が市場を固定的に支配しているという意味ではありません。menuはKDDIグループ、WoltはDoorDash傘下と、いずれも資本力のある事業者で、地域やサービスの質で差別化を図っています。配達員の確保や加盟店との関係も競争の要素で、構図が動く余地はあります。

当面は、認知度と利用者基盤で先行する2社を中心に推移するとみられますが、収益化という共通の課題のなかで、各社が採算のとれるエリアやサービスに重点を移す動きも考えられます。利用者数の多さと収益性は別であり、規模だけでなく採算性が今後の競争を左右します。

よくある質問

フードデリバリー市場の規模はどのくらいですか?
NPDジャパン(Circana)の調査によると、デリバリー(出前)市場は2025年(1-12月計)に8,240億円(前年比+2.0%)となる見込みです。コロナ前(2019年)比では+97.0%と約2倍に拡大した後、2024年に一度減少し、2025年は再び増加に転じる見通しです。急拡大は一服したものの、コロナ前の約2倍という水準は保っています。なおこの数値は、飲食店の喫食動態に基づくデリバリー(出前)全体の規模で、出前館やUber Eatsなどのプラットフォームはこの市場の中で利用されています。
フードデリバリーの主要なサービスは何ですか?
利用者数では出前館とUber Eatsの2社が大きく、menuやWoltが続きます。株式会社ヴァリューズの調査(2023年6月-2024年5月)によると、アプリの月間利用者数は出前館が約1,660万人、Uber Eatsが約1,550万人で、menu(約524万人)・Wolt(約375万人)を上回ります。
なぜフードデリバリーは収益化が難しいのですか?
注文ごとに配達員への報酬が発生し、利用者を増やすための販促費もかさむ一方、飲食店からの手数料や利用者の配送料には負担感という上限があるためです。注文が増えても配達コストと販促費が重く、利益が残りにくい構造です。各社は配達の効率化や注文単価の引き上げで採算の改善に取り組んでいます。
出前館は黒字になっていますか?
出前館は連結で赤字が続いています。2025年8月期は売上高397億円・営業損益▲49億円でした。コロナ期の拡大局面で販促や配達網に積極投資した結果、2022年8月期には▲364億円の営業赤字を計上しましたが、その後は赤字幅が縮小傾向にあります。一方でUber Eatsは黒字化したとされ、収益性では差がみられます。
フードデリバリーは中食(惣菜)とどう関係しますか?
フードデリバリーは、惣菜・弁当を自宅へ届ける販路の一つで、中食(家庭の外で調理された食品を持ち帰って食べる需要)を担っています。店頭で買う惣菜と異なり、外出せずに利用できる点が特徴です。中食の販路全体(コンビニ・スーパー・専門店など)のなかでの位置づけは、販路・業態構造のページで扱います。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    出前館 決算情報(連結、各期)
  2. 2.
    株式会社ヴァリューズ「フードデリバリーアプリ利用者数分析」(Dockpit、2023年6月-2024年5月)
  3. 3.
    NPDジャパン(Circana)「2025年のデリバリー市場規模は8240億円の見込み」(2025年12月17日)
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