最終更新
STAT DETAIL · FOOD SHIFT

GMS(総合スーパー)の食品スーパー化|売上構成の変化と衣料品の縮小【2026年版】

総合スーパー(GMS)は、かつて衣・食・住をワンストップで揃える業態でしたが、とくに衣料品が専門店やECに顧客を奪われて大きく縮小し、食料品中心の業態へと変質しています。日本チェーンストア協会の2025年度の売上構成では、食料品が70.4%を占める一方、衣料品はわずか4.5%(前年比−2.9%と前年割れ)にとどまります。住関品は19.8%で、前年比は+0.5%とほぼ横ばいです。売上構成の内訳、各部門の伸び・縮み、個社(ユニー)の商品別まで整理します。

食料品の構成比(2025年度)
70.4%
日本チェーンストア協会(会員ベース)、約90,507億円。売上の柱
出典: 日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」
衣料品の構成比(2025年度)
4.5%
約5,843億円。前年比−2.9%と前年割れ
出典: 日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」
住関品の構成比(2025年度)
19.8%
約25,501億円。日用雑貨・医薬化粧品・家電等
出典: 日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」
食料品の前年比(2025年度)
+2.8%
店舗を調整した前年比。衣料品(前年割れ)と対照的に伸長
出典: 日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」

部門別の売上構成(2025年度、億円)

日本チェーンストア協会の会員ベース。食料品・衣料品・住関品・サービス・その他の合算が総販売額。各部門の前年比(店舗調整後)で伸び・縮みがわかる
読み解き

総合スーパーを中核とする大型チェーンの売上は、食料品が70.4%(約90,507億円)で突出しています。かつて主力の一角だった衣料品は4.5%(約5,843億円)まで縮小し、住関品(19.8%)と合わせても食料品に遠く及びません。

前年比(店舗を調整した=前年も今年も営業している同じ店で比べた前年比)でみると、食料品が+2.8%と伸びる一方、衣料品は−2.9%と前年を割り込みました。住関品は+0.5%とほぼ横ばいです。食料品が伸び衣料品が縮むという方向が続いており、総合スーパーの「食品スーパー化」を裏付けています。なお食料品は衣料品に比べて利益率(粗利率)が低いため、衣料品の縮小は収益面の課題にもつながります。

ユニーの商品別売上(2025年6月期)

PPIH傘下のユニー(総合スーパー事業)の商品別売上。個社でも食品が突出し、衣料品は前年割れ。会計年度(6月期)が協会統計(年度)と異なるため単純比較しない
読み解き

個社でも食品偏重は共通です。PPIH傘下のユニー(総合スーパー事業)の商品別売上(2025年6月期)は、食品が約3,138億円で突出し、住居関連品(約676億円)、衣料品(約438億円)が続きます。食品が商品別で突出する(住居関連品・衣料品を大きく上回る)一方、衣料品は前年比-1.5%と前年割れで、業界全体の傾向と一致します。ユニーは店舗の「MEGAドン・キホーテUNY」への転換を進めており、食品とディスカウントを軸とした業態へ移行しています。

主要論点

なぜ衣料品・住関品は総合スーパーから縮小したのか?

総合スーパーの衣料品は、2025年度の売上構成でわずか4.5%まで縮小しました。かつては食料品と並ぶ主力で、総合スーパーが「衣食住をワンストップで揃える」と言われた所以でしたが、その地位は大きく後退しています。

背景は、専門店チェーンとECの台頭です。衣料品では、ユニクロやしまむらといった低価格・高品質の専門店チェーンが全国に広がり、ZOZOをはじめとするECも普及しました。価格と品揃えの両面で専門店・ECに優位を奪われ、総合スーパーの画一的な衣料売場は競争力を失いました。住関品でも、ニトリや家電量販店、ホームセンター、ECに顧客が流れ、長期的に構成比を落としてきました(2025年度の前年比は+0.5%とほぼ横ばい)。

一方で食料品は、生鮮や日配品(牛乳・惣菜など日持ちしない食品)といった「毎日の買い物」として実店舗での需要が残り、ECにも置き換わりにくい領域です。この結果、総合スーパーの売場は食料品の比重が高まり、衣料・住関のフロアは縮小やテナント化が進みました。

「食品スーパー化」は総合スーパーに何をもたらすのか?

食料品が売上の70.4%を占めるようになった総合スーパーは、業態としては食品スーパーに近づいています。これは生き残りの方向であると同時に、新たな課題ももたらします。

プラス面は、食料品が景気に左右されにくい安定した需要を持ち、毎日の来店動機となることです。食品とドラッグ(医薬・日用品)を組み合わせた「フード&ドラッグ」型の売場づくりや、生鮮・惣菜の強化によって、食品スーパーや食品強化型の業態として競争力を高める余地があります。

マイナス面は、収益性です。食料品は衣料品に比べて利益率(粗利率)が低く、かつて利益を支えた高粗利の衣料品が縮小したことで、総合スーパー全体の収益力は低下しています。食品中心の業態でどう利益を確保するかが、各社共通の課題となっています。

中期見通し

近未来1-2年

食料品中心への移行が続く見通しです。物価上昇で食料品の販売額は伸びる一方、衣料品・住関品は専門店・ECとの競争で縮小が続きます。各社は生鮮・惣菜の強化やフード&ドラッグ型の売場づくりを進めます。

中期3-5年

中期では、衣料・住関のフロアを縮小し専門店をテナントとして誘致する動きや、食品スーパー・ディスカウントへの業態転換が進む見通しです。ユニーのMEGAドン・キホーテUNYへの転換、イトーヨーカ堂の食品スーパー化がその例です。

長期

長期では、総合スーパーという「衣食住の大型店」の形は薄れ、食品を軸とした生活拠点(食品スーパー、フード&ドラッグ、ショッピングセンター)へと再定義が進む見通しです。食料品の比重の高さは、業態の役割の変化を映しています。

よくある質問

総合スーパーの売上は何が中心ですか?
日本チェーンストア協会の2025年度の部門別売上構成では、食料品が70.4%(約90,507億円)と中心で、住関品が19.8%、衣料品は4.5%です。かつて主力だった衣料品が大きく縮小し、食料品中心の業態へと変質しています。
なぜ総合スーパーの衣料品は売れなくなったのですか?
ユニクロやしまむらなどの専門店チェーンと、ZOZOなどのECに顧客を奪われたためです。価格と品揃えの両面で専門店・ECに優位を奪われ、総合スーパーの画一的な衣料売場は競争力を失いました。2025年度の売上構成で衣料品はわずか4.5%、前年比−2.9%と前年割れです。
総合スーパーと食品スーパーの違いはなくなっているのですか?
売上構成のうえでは近づいています。総合スーパーは食料品が売上の7割を占めるようになり、業態としては食品スーパーに近づいています。ただし統計上は別の業態として区分され、総合スーパーは衣・食・住を扱う大型店、食品スーパーは食料品を中心とする小売店です。総合スーパーは食品スーパーやフード&ドラッグへの転換を進めています。
食品中心になると総合スーパーの利益はどうなりますか?
食料品は衣料品に比べて利益率(粗利率)が低いため、食品中心への移行は収益面の課題になります。かつて利益を支えた高粗利の衣料品が縮小したことで、総合スーパーの収益力は低下しています。各社は食品以外の収益源で利益を補う取り組みを進めています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本チェーンストア協会「チェーンストア販売統計」(部門別販売額)
  2. 2.
    PPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)IR(2025年6月期決算短信)
📄 資料DL💬 無料相談