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GMS(総合スーパー)の収益構造|なぜ低収益か・SCとPBで補う構造【2026年版】

総合スーパー(GMS)は、規模の大きさのわりに利益が出にくい業態です。最大手イオンのGMS事業でも、営業収益3.69兆円に対して営業利益は214億円で、利益率は1%に届きません(2026年2月期)。粗利率の低い食料品に売上が偏り、かつて利益を支えた衣料品が縮小したことが背景です。各社はショッピングセンターのテナント賃料やプライベートブランドで、低い利益率を補おうとしています。GMSがなぜ低収益なのか、どう補っているのかを整理します。

イオンの事業別 営業収益・営業利益(2026年2月期)

最大手イオンの事業セグメント別(セグメント利益=事業ごとの営業利益)。GMS事業は営業収益が最大だが利益は小さく、規模が収益性に直結しないことを示す。総合金融は小さな営業収益で大きな利益
読み解き

イオンの事業別にみると、GMS事業は営業収益3.69兆円で社内最大ですが、セグメント利益は214億円と小さく、利益率はおよそ0.6%です。これに対し総合金融事業は、営業収益5,675億円とGMSの6分の1ほどの規模ながら、利益は609億円とGMSを上回り、利益率はおよそ10.7%に達します。同じ食品中心の食品スーパー(SM)事業(営業収益3.09兆円・セグメント利益299億円)でさえ、利益率はGMSよりやや高く、GMSの薄さが際立ちます。総合スーパーは、売上の規模が大きくても利益が薄いという、業態としての収益性の低さがはっきり表れています。

なぜ総合スーパーは儲かりにくいのか

売上が粗利率の低い食料品に偏る

総合スーパーの収益性が低い第1の理由は、売上が食料品に偏っていることです。総合スーパーの売上構成では食料品が約7割を占めますが、食料品は競争が激しく、粗利率(売上に対する売上総利益の割合)が低い商品群です。毎日の集客には欠かせない一方、利益は出しにくいという特性があります。

かつて利益を支えた衣料品の縮小

第2の理由は、高粗利だった衣料品の縮小です。かつて総合スーパーは、衣料品の高い粗利で食料品の薄い利益を補う収益構造でした。しかし衣料品が専門店やECに侵食されて売上構成で5%に満たない水準まで縮小したことで、利益の柱を失いました。売上の食品化が、そのまま収益力の低下につながっています。

大型店ゆえの高い固定費

第3の理由は、大型店ならではの高い固定費です。総合スーパーは広い売場と多くの従業員を抱え、人件費・賃料・設備の減価償却といった固定費が重くのしかかります。売場面積が大きいほど、売上が伸び悩んだときに利益が圧迫されやすく、近年の人件費・光熱費の上昇も収益を押し下げています。低粗利・衣料退潮・高コストの3つが重なり、総合スーパーは構造的に儲かりにくい業態になっています。

低い利益率をどう補っているのか

ショッピングセンター化(テナント賃料)

第1の方策は、ショッピングセンター(SC)化です。総合スーパーを核店舗(施設の中心となる店)として、専門店をテナント(区画を借りて出店する店)として誘致し、その賃料収入を得るモデルです。自社で売場を抱えて薄い粗利で稼ぐのではなく、集客力を生かして賃料で稼ぐ構造へ移行することで、低収益を補います。イオンモールに代表される手法で、開発・運営を担うディベロッパー事業が収益の柱になっています。

プライベートブランド(PB)

第2の方策は、プライベートブランド(PB、小売業が自ら企画する独自商品)です。イオンの「トップバリュ」に代表されるPBは、メーカー品より粗利率を高く設定でき、独自性で他店との差別化も図れます。調達規模の大きさを生かしてPBを広げることが、薄い粗利の改善につながります。

フード&ドラッグ・食品強化

第3の方策は、フード&ドラッグ化と食品の強化です。食料品に医薬・日用品(ドラッグ)を組み合わせ、来店頻度の高い食品で集客しつつ、相対的に粗利の高い医薬・日用品で利益を確保します。生鮮・惣菜の強化も、価格競争に巻き込まれにくい付加価値で粗利を底上げする狙いがあります。総合スーパーは、これらを組み合わせて低い利益率の業態を立て直そうとしています。

主要論点

なぜ規模が大きいのに総合スーパーは儲からないのか?

イオンのGMS事業は営業収益3.69兆円と社内最大の規模を持ちながら、営業利益は214億円(利益率およそ0.6%)にとどまります。一方、総合金融事業は営業収益5,675億円とはるかに小さい規模で、利益は609億円(利益率およそ10.7%)を上げています。規模と収益性が一致しないのが総合スーパーの特徴です。

理由は、総合スーパーの収益構造そのものにあります。売上の約7割を占める食料品は粗利率が低く、毎日の集客には不可欠でも利益は出しにくい商品群です。かつてこの薄い利益を補っていた高粗利の衣料品が、専門店やECに侵食されて縮小しました。さらに大型店ゆえの人件費・賃料・減価償却といった固定費が重く、売上が横ばいのなかで利益を圧迫しています。

つまり、低粗利の食品への偏り、高粗利の衣料の喪失、高い固定費という3つが重なり、売上規模を利益に変えにくい構造になっているのです。規模の大きさは集客や調達には有利ですが、それだけでは収益性に結びつきません。

総合スーパーは収益構造を立て直せるのか?

総合スーパーは、自社売場で薄い粗利を稼ぐモデルから、別の収益源で稼ぐモデルへの転換を進めています。第1はショッピングセンター化で、専門店をテナントとして誘致し賃料で稼ぐ構造です。イオンでは商業施設の開発・運営を担うディベロッパー事業が収益の柱の1つになっています。

第2はプライベートブランド(PB)で、メーカー品より高い粗利を確保し差別化も図ります。第3はフード&ドラッグ化で、来店頻度の高い食品と粗利の高い医薬・日用品を組み合わせ、集客と利益を両立させます。これらは、総合スーパーを「衣食住の総合大型店」から「集客力を収益化する装置」や「食品中心の生活拠点」へと再定義する動きです。

ただし、これらの方策で総合スーパー業態そのものの低収益が抜本的に解消するわけではありません。総合スーパーの収益構造の立て直しは、業態そのものの見直しと一体で進んでいます。

よくある質問

総合スーパーの利益率はどのくらいですか?
最大手イオンのGMS事業で、営業収益3.69兆円に対し営業利益214億円(2026年2月期)と、利益率は1%に届きません。同じイオンでも総合金融事業は利益率が1割を超えており、総合スーパーは規模のわりに利益が薄い業態であることがわかります。
なぜ総合スーパーは食品スーパーより儲からないのですか?
総合スーパーは売上の約7割を粗利率の低い食料品が占め、かつて利益を支えた高粗利の衣料品が縮小したうえ、大型店ゆえの人件費・賃料などの固定費が重いためです。イオンの事業別でも、SM(食品スーパー)事業のほうがGMS事業より高い利益を上げています。
総合スーパーは利益をどうやって確保しているのですか?
自社売場の薄い粗利だけでなく、別の収益源で補っています。専門店をテナントとして誘致するショッピングセンター化(テナント賃料)、粗利の高いプライベートブランド(イオンの「トップバリュ」など)、食品と医薬・日用品を組み合わせたフード&ドラッグ化が主な方策です。
プライベートブランド(PB)はなぜ収益に効くのですか?
プライベートブランドは小売業が自ら企画する独自商品で、メーカー品より粗利率を高く設定でき、他店との差別化も図れるためです。イオンの「トップバリュ」のように、調達規模の大きさを生かしてPBを広げることが、薄い粗利の改善につながります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    イオンIR(2026年2月期 決算短信)
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