GMS業界の市場規模・主要企業・動向
総合スーパー(GMS)は衣・食・住を揃える大型店ですが、衣料品・住関品が専門店やECに押され食品中心の業態へ変質し、イオンを筆頭に再編が続く成熟業態です
総合スーパー(GMS)とは、衣・食・住の商品をセルフサービス方式でワンストップに揃える大型の小売業態です。日本チェーンストア協会の会員ベースの総販売額は2025年度に約12兆8,528億円(会員45社・9,531店)ですが、10年以上ほぼ横ばいで、売場面積も縮小しています。衣料品・住関品(住居関連品)が専門店やECに押され、売上の約7割を食料品が占める食品スーパーに近い業態へと変質しました。イオン(中核はイオンリテール)を筆頭に、イズミ・平和堂・ユニーが残る一方、セブン&アイのイトーヨーカ堂売却など再編が続きます。本ページでは、総合スーパーを、市場規模、食品スーパー化、主要企業、業界再編、収益構造の5つの軸で整理します。
業界サマリ
業界概要
総合スーパー(GMS)とは、セルフサービス方式で衣・食・住を扱う大型店です(売場面積は特別区・政令市で3,000平方メートル以上、その他で1,500平方メートル以上)。対面販売の百貨店、食料品中心の食品スーパーとは区分されます。衣料品・住関品の専門店化とECの拡大により、食品中心の業態へと変質し、業態として成熟・縮小の局面にあります。
- 規模は横ばいで業態としては縮小局面にあります。チェーンストアの総販売額は10年以上ほぼ横ばいで、売場面積は縮小しています。出店の余地は乏しく、既存店の収益力の維持が課題です。
- イオン(イオンリテール)が筆頭で、イズミ・平和堂・ユニーなどの地域チェーンが併存します。かつての二大勢力だったイトーヨーカ堂はセブン&アイから分離され、食品スーパーへ転換中です。
- 食品スーパー化とショッピングセンター化が活路となっています。食料品の強化、テナント賃料、プライベートブランドで、低い利益率の業態を立て直そうとしています。
市場動向
チェーンストアの総販売額は2025年度に約12兆8,528億円(会員45社・9,531店)ですが、10年以上ほぼ横ばいで推移しています。売場面積も縮小傾向にあり、業態としての成熟・縮小がうかがえます。経済センサスでは「百貨店,総合スーパー」の年間販売額が7兆5,265億円(2021年、百貨店を含む)です。
- 総販売額は2025年度に約12兆8,528億円(既存店ベースで前年比+2.1%)です。会員企業数の増減の影響があるため、規模の変化は店舗を調整した前年比で見る必要があります。
- 売場面積は2,250万平方メートル(2025年度)まで縮小しました(2016年度は2,510万平方メートル)。出店から既存店の収益力強化へと軸足が移っています。
- 統計によって規模の水準は異なります。チェーンストア協会の会員ベース、経済産業省の大型スーパー販売額、経済センサスの業態別は、対象とする範囲が異なるため、単純には比較・合算できません。
競争環境
総合スーパーは、全国チェーンのイオン(中核事業会社はイオンリテール)を筆頭に、「ゆめタウン」のイズミ、滋賀地盤の平和堂、PPIH傘下のユニーといった地域チェーンが併存します。かつての二大勢力だったイトーヨーカ堂はセブン&アイから分離して食品スーパーへ転換中で、業態の主役はイオンに集約しつつあります。
- イオンが業態の筆頭です。GMS事業の営業収益は3兆6,918億円(2026年2月期)で、中核事業会社のイオンリテールが全国に大型店を展開しています。
- 地域上場チェーンが続きます。イズミは中国・四国・九州で営業収益5,693億円、平和堂は近畿・北陸・東海で4,560億円(いずれも2026年2月期、ともに過去最高)です。
- 業態の境界が揺らいでいます。衣料品・住関品では専門店・EC・ディスカウントに顧客を奪われ、ユニーのMEGAドン・キホーテUNYへの転換のように、業態そのものの転換が進んでいます。
市場規模推移
2016-2025 · チェーンストア総販売額チェーンストア総販売額の推移 (2016-2025年度、兆円)
日本チェーンストア協会によると、会員企業の総販売額は2025年度に約12兆8,528億円(会員45社・9,531店、既存店ベースで前年比+2.1%)です。ただしこの規模は10年以上ほぼ横ばいで、売場面積も2,510万平方メートル(2016年度)から2,250万平方メートル(2025年度)へ縮小しています。総合スーパーは、百貨店ほど縮小していないものの、成長業態ではありません。
総合スーパーには単一の市場統計がなく、集計範囲の異なる複数の統計(チェーンストア協会の会員ベース、経済産業省の大型スーパー販売額、経済センサスの業態別、各社の決算)を併せて見る必要があります。協会の総販売額は会員企業の加入・脱退で絶対額が大きく動くため(たとえば2024年度は会員数の減少で前年から見かけ上減少しています)、業態の実勢は店舗を調整した既存店ベースの前年比(2025年度は+2.1%)で見るのが適切です。なお協会の数値は年度(4〜3月)ベースで、暦年(1〜12月)ベースの集計とは対象期間が異なります。
かつて総合スーパーは「衣・食・住」をワンストップで揃える業態でしたが、衣料品と住関品が専門店やECに顧客を奪われ、食品への依存が強まっています。チェーンストア協会の部門別では、2025年度の売上構成は食料品が70.4%を占める一方、衣料品はわずか4.5%にとどまり、衣料品は前年を割り込みました。住関品は19.8%です。
個社でも同じ傾向がみられます。ユニーの総合スーパー事業では食品が売上の約7割を占め、衣料品は前年割れとなっています。総合スーパーは、もはや「衣食住の百貨店的な大型店」ではなく、食品スーパーに近い業態へと姿を変えました。各社は生鮮・惣菜の強化や、食品とドラッグを組み合わせた売場づくりに力を入れています。
総合スーパーの最大手はイオンで、GMS事業の営業収益は3兆6,918億円(2026年2月期、中核事業会社はイオンリテール)です。これに「ゆめタウン」のイズミ(5,693億円)、滋賀地盤の平和堂(4,560億円)、PPIH(ドン・キホーテ等を展開するパン・パシフィック・インターナショナルHD)傘下のユニーといった地域チェーンが続きます。ただしイオンの総合スーパー事業の営業利益は214億円と薄く、業態としての収益性の低さが共通の課題です。
再編も続いています。セブン&アイ・ホールディングスは2025年9月、イトーヨーカ堂などを束ねるヨーク・ホールディングスを投資ファンドのベインキャピタルに約8,147億円で売却しました。約35%を再出資して資本関係は一部残しますが、連結からは外れ、総合スーパー事業からは実質的に撤退しました。イトーヨーカ堂は食品スーパーへの転換を進め、2027〜28年の上場を目指しています。ユニーはディスカウント店への転換が進み、西友の九州事業はイズミが承継しました。
主要トピック
業界構造
主要プレイヤー / サプライヤー / 流通 / 需要総合スーパー(GMS)は、衣・食・住の商品をセルフサービス方式でワンストップに揃える大型店です。全国チェーンのイオン(中核事業会社はイオンリテール)を筆頭に、ゆめタウンのイズミ、滋賀を地盤とする平和堂、PPIH傘下のユニーといった地域チェーンが事業を展開しています。
かつて二大勢力だったイトーヨーカ堂は、2025年にセブン&アイ・ホールディングスから分離され、食品スーパーへの転換を進めています。売上構成では食料品が大半を占めるようになり、衣料品・住関品は専門店やECに顧客を奪われ、業態としての境界が食品スーパーに近づいています。
イオンはGMS事業の営業収益が3兆6,918億円(2026年2月期)と最大規模で、中核事業会社のイオンリテールが全国に大型店を展開します。イズミは中国・四国・九州で「ゆめタウン」を展開し営業収益5,693億円、平和堂は近畿・北陸・東海で4,560億円(いずれも2026年2月期)と、地域に密着した上場チェーンが続きます。
ユニーはディスカウントストア大手のPPIH(パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス)の傘下で、店舗の「MEGAドン・キホーテUNY」への転換が進んでいます。各社は食品の強化、ショッピングセンターとしてのテナント収益、プライベートブランドで収益力の維持を図っています。
総合スーパーは、衣料品・住関品の販売を専門店やECに奪われ、食料品中心の業態へと変質しています。チェーンストア全体の売上構成でも食料品が約7割を占め、衣料品は1割に満たない水準まで縮小しました。低い利益率を補うため、各社はショッピングセンターのテナント賃料やプライベートブランド、食品とドラッグを組み合わせた売場づくりに活路を求めています。
再編も続いています。セブン&アイは2025年にイトーヨーカ堂などを投資ファンドのベインキャピタルに売却し、総合スーパー事業から実質的に撤退しました。西友の九州事業はイズミが承継するなど、業態の枠を超えた資本の移動が進んでいます。
業界の3大論点
なぜ総合スーパーは「食品スーパー化」したのか?
かつて総合スーパーは、衣・食・住をワンストップで揃える業態として高度成長期に普及しました。しかし近年は、売上構成で食料品が約7割を占め、衣料品はわずか4.5%(2025年度、チェーンストア協会の部門別)まで縮小しています。総合スーパーは、もはや「衣食住の大型店」ではなく、食品スーパーに近い業態へと姿を変えました。
背景には、衣料品と住関品の販売チャネルの変化があります。衣料品はユニクロやしまむらなどの専門店チェーンと、ZOZOなどのECに顧客を奪われました。住関品もニトリや家電量販店、ホームセンター、ECに流れました。一方で食料品は、生鮮や日配品(牛乳・惣菜など日持ちしない食品)といった「毎日の買い物」として実店舗での需要が残り、相対的に総合スーパーの売上を支える柱となっています。
この結果、総合スーパーの売場は食品の比重が高まり、衣料・住関のフロアは縮小やテナント化が進みました。各社は生鮮・惣菜の強化や、食品とドラッグを組み合わせた売場づくりで、食品スーパーとしての競争力を高めようとしています。
セブン&アイはなぜ祖業のイトーヨーカ堂を手放したのか?
セブン&アイ・ホールディングスは2025年9月、イトーヨーカ堂などの非中核事業を束ねるヨーク・ホールディングスを、投資ファンドのベインキャピタルに約8,147億円で売却しました。セブン&アイは35%程度を再出資して関係を残しますが、総合スーパー事業からは実質的に撤退しました。イトーヨーカ堂はセブン-イレブンと並ぶ祖業であり、その売却は象徴的な決断でした。
理由は、総合スーパー事業の低い収益性と成長の鈍化です。イトーヨーカ堂は衣料品事業から撤退し、店舗の閉鎖を進めてきましたが、コンビニ事業に比べて利益率が低く、グループ全体の収益力を押し下げていました。投資家からはコンビニ事業への集中を求める声が強まっていました。
セブン&アイは、海外を含むコンビニ事業を中核に据える方針を明確にし、総合スーパーや百貨店などの非中核事業を切り離しました。イトーヨーカ堂は食品スーパーへの転換を進め、2027〜28年の上場を目指しています。この再編は、総合スーパーという業態が単独では成長を描きにくいことを示しています。
総合スーパーは今後どう生き残るのか?
総合スーパーは、規模が横ばいで利益率も低いという厳しい環境にあります。イオンの総合スーパー事業でも、営業収益3兆6,918億円に対して営業利益は214億円(2026年2月期)と、利益率は1%に届きません。各社は、いくつかの方向で活路を探っています。
第1の方向は、食品スーパー・フード&ドラッグへの転換です。食料品と医薬・日用品を組み合わせ、毎日の買い物の拠点としての強みを高めます。イトーヨーカ堂の食品スーパー化や、ダイエーの都市型食品スーパーへの転換がこの流れです。第2の方向は、ショッピングセンター(SC)化です。自社売場を絞り込み、専門店をテナントとして誘致し、賃料収入を得るモデルへ移行します。イオンモールに代表される手法です。第3の方向は、プライベートブランド(PB)の強化で、イオンの「トップバリュ」のように、独自商品で粗利と差別化を確保します。
いずれも、低い利益率の「総合スーパー」から、食品・テナント・PBで稼ぐ構造への転換を意味します。業態としての縮小は続く見通しですが、食品とSCを軸に再定義する動きが進んでいます。
よくある質問 (FAQ)
総合スーパー(GMS)とは何ですか?
総合スーパーの市場規模はどのくらいですか?
総合スーパーの主要企業はどこですか?
なぜ総合スーパーは食品中心になったのですか?
イトーヨーカ堂はなぜ売却されたのですか?
総合スーパーと食品スーパーはどう違いますか?
総合スーパーはなぜ利益が出にくいのですか?
総合スーパーは今後どうなりますか?
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