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TOPIC DETAIL · DIGITAL & AI BPO

デジタルBPOと生成AIの活用|業務自動化とコールセンターAI【2026年版】

近年のBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング=社内業務を外部の専門事業者に委託して代行させる仕組み)は、人手による業務とデジタル技術を組み合わせたデジタルBPOへと姿を変えています。RPA(定型的なPC作業を自動化するソフト)や生成AIを業務に組み込むことで、効率化・省力化を進め、人材不足を補いながらサービス品質を高める動きです。コールセンター事業者が提供するAIサービス市場は2024年度に90億円(前年度比+150%)へ急拡大し、2029年度には313億円まで伸びると予測されています(2025年度以降は予測値)。デジタルBPOの中身、生成AIがコールセンター業務を変える動き、人手とデジタルの両立まで順に整理します。

コールセンターAIサービス市場
90億円
2024年度、コールセンター事業者が提供するAIサービス、前年度比+150%
出典: 矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」
同市場の2029年度予測
313億円
2023〜2029年度の年平均成長率31.7%で拡大の予測値
出典: 矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」
生成AIサービスの導入率
19%
コールセンター部門で「導入している」企業の割合(矢野経済研究所のアンケート)
出典: 矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」
生成AIサービスの導入予定
30%
コールセンター部門で「導入していないが予定はある」企業の割合
出典: 矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」

コールセンターAIサービス市場の推移・予測(2024・2029年度、億円)

2024年度90億円(実績)から2029年度313億円(予測)へ。年平均成長率31.7%。2025年度以降は予測値
単位: 億円
0100200300400902431329
出典: 矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」(事業者売上高ベース)
年度20242029
市場規模億円90313
読み解き

コールセンター事業者が提供するAIサービス市場は、2024年度の90億円(実績)から、2029年度の313億円(予測)へ拡大する見通しです。2023〜2029年度の年平均成長率は31.7%で、BPO市場全体(年率数%)を大きく上回る成長です。

この市場には、コールセンター事業者が顧客企業向けに提供するAIチャットボット等の売上に加え、導入後のチューニングなど運用業務の売上も含まれます。2025年度以降は予測値であり、生成AIのフロント業務での活用に伴うリスク管理の手法が確立すれば、導入はさらに増えると見込まれています。なお、この市場はBPO市場やコールセンター市場とは別の調査による数字です。

このグラフに関連するトピック

デジタルBPOとは、何か

人手とデジタル技術の融合

デジタルBPOとは、人手による業務とデジタル技術を組み合わせて提供するBPOを指します。従来は人が手作業で行っていた業務に、RPA(定型的なPC作業を自動化するソフト)や生成AIなどを組み込むことで、業務の効率化・省力化・迅速化を図ります。人材不足を補う役割を果たすとともに、BPO事業者が請け負える業務領域の拡大にもつながっています。

クラウド移行と運用見直しが追い風

デジタルBPOの広がりは、企業のITインフラの変化とも結びついています。リモートワークの普及を契機としたネットワーク環境の整備や、人手による作業を最小化するためのシステム運用の見直し、ファイルサーバーのクラウド移行などに紐づく業務の需要が高水準で推移しています。安価なクラウド基盤の普及は、BPOの利用が中堅・中小企業へ広がる後押しにもなっています。

業務領域の境界を変える

デジタルBPOは、IT系BPOと非IT系BPOという従来の区分の境界を変えつつあります。コールセンターのような非IT系の業務にも、AIチャットボットや自動化のシステム投資が深く入り込み、人手だけで担っていた業務がデジタルと一体化しています。元々の出自(コールセンター系・人材系・印刷系・IT系)にかかわらず、デジタルをどう取り込むかが、各事業者の共通の課題になっています。

生成AIはコールセンター業務を、どう変えているのか

急拡大するコールセンターAIサービス

コールセンター事業者が提供するAIサービス市場は、2024年度に90億円(前年度比+150%)へ急拡大しました。コロナ禍でオペレーターの稼働人数を絞る必要が生じた時期に業務の自動化ニーズが高まり、その後も人手不足とチャット・ソーシャルメディア対応の増加を背景に、AIサービスへの需要が拡大しています。ただし市場規模としてはまだ小さく、高い前年比には母数の小ささも影響しています。この市場は2023〜2029年度の年平均成長率31.7%で伸び、2029年度には313億円に達する予測です(予測値)。

AIの用途は効率化から品質向上へ

生成AIの用途は、当初のAIチャットボットによる一次対応の自動化から、対話内容の自動要約・記録、感情分析による顧客満足度のリアルタイム把握など、オペレーターの負担軽減とサービス品質の向上の両面へ広がっています。コールセンター部門への調査では、生成AI活用サービスを「導入している」企業が${adoption.implementedPct}%、「導入していないが予定はある」企業が${adoption.plannedPct}%で、導入と検討を合わせると半数に迫ります。

残る課題 — ハルシネーションのリスク管理

一方で、生成AIをコールセンターのフロント業務(顧客と直接やり取りする場面)で使う際には、ハルシネーション(AIが事実でない内容をもっともらしく出力すること)のリスクが課題となります。誤った案内が顧客に伝わると信頼を損なうため、AIの出力を検証・管理する仕組みが必要です。このリスク管理の手法が確立してくれば、AIサービスの導入はさらに増えると見込まれています。

生成AIソリューションを提供する主なプレイヤーは誰か

ビーウィズ — Omnia LINKの会話要約

ビーウィズは、自社開発のクラウド型コールセンターシステム「Omnia LINK」を外部のセンターにも提供しており、2024年4月に生成AIによる会話要約機能を追加しました。通話内容をテキスト化したうえで生成AIが要約し、通話終了後およそ30秒でCRM(顧客情報管理システム)に自動反映されます。同社は要約精度を約9割以上、1通話あたりの生産性改善を約3割と説明しています。その後、生成AIによる応対品質の自動評価などへ機能を拡充しています。

トランス・コスモス — CXスクエアとT-GPT

トランス・コスモスは、コンタクトセンター運用プラットフォーム「CXスクエア」で、2024年8月に生成AIによる運用支援機能を強化しました。管理者向けの分析・管理者支援AIと、オペレーター向けの応対アシストAIを開発し、会話要約・品質チェック・FAQの自動作成・VOC(顧客の声)分析などに生成AIを適用しています。あわせて、生成AIチャットボット「T-GPT」を独自開発し、顧客対応のDXプラットフォームに搭載しています。

ベルシステム24 — BellCloud+CX

ベルシステム24は、コンタクトセンター向けソフトウェアを手がけるNICE社と協業し、生成AIを搭載したCXプラットフォーム「BellCloud+CX」を2025年4月から提供しています。電話やオムニチャネルの応対に加え、リアルタイムの音声認識・会話要約・翻訳などの生成AI機能を同一基盤で利用できます。さらに、通話データからナレッジを自動生成するなど、コンタクトセンターの自動化を支援するソリューションの開発も進めています。

主要論点

なぜデジタルBPOがBPO市場の拡大を牽引しているのか?

BPO市場が拡大を続ける最大の推進力が、デジタルBPOの広がりです。人手による業務とデジタル技術を組み合わせることで、業務の効率化・省力化が進み、BPO事業者が請け負える業務の範囲が広がっています。これにより、人材不足を補いながら、より多くの業務を受託できるようになっています。

背景には、企業のITインフラの変化があります。リモートワークの普及でネットワーク環境の整備需要が高まり、システム運用の見直しやクラウド移行に紐づく周辺業務も増えています。とりわけ、システム運用管理を担うIT系BPOは、こうした流れを受けて市場の約6割を占めるまでに伸びています。

安価なクラウド基盤の普及は、これまで大手企業が中心だったBPOの利用を中堅・中小企業へ広げる効果も持ちます。人手とデジタルを組み合わせるデジタルBPOは、人材確保が難しくなる環境のなかで、市場の継続的な拡大を支える中核になっています。

生成AIはコールセンターのオペレーターを置き換えるのか?

生成AIの活用は、コールセンターのオペレーター業務を「置き換える」というより、「補い、高度化する」方向で進んでいます。コールセンター事業者が提供するAIサービス市場は2024年度に90億円(前年度比+150%)へ急拡大し、2029年度には313億円まで伸びると予測されています(予測値)。

AIの用途は、定型的な問い合わせへの一次対応の自動化に加え、対話の自動要約や感情分析による品質向上へと広がっています。これは、労働人口の減少でオペレーターの確保が難しくなるなかで、限られた人手をより付加価値の高い対応に振り向けるための動きです。

ただし、生成AIをフロント業務で使う際にはハルシネーション(事実でない内容の出力)のリスクが残るため、人による確認や検証の仕組みが欠かせません。当面は、AIが定型業務を担い、人が複雑な対応や最終確認を担うという、人とAIの役割分担が進むとみられます。

デジタルBPOで事業者の競争はどう変わるのか?

デジタルBPOの広がりは、BPO事業者の競争の軸を変えています。従来は、人材の確保力や運営のノウハウが競争力の中心でしたが、今は人手とデジタル投資をどう両立させるかが問われています。

事業者の動きは二つに整理できます。第一は、AIや自動化を自社の業務運営に組み込み、効率化と品質向上を進める動きです。第二は、自社で開発したシステムを外部にも提供する動きで、コンタクトセンター向けのソリューションを外販する事業者も現れています。コンタクトセンターソリューション市場が拡大しているのは、この流れの表れです。

元々の出自(コールセンター系・人材系・印刷系・IT系)にかかわらず、デジタルをどう取り込むかが共通の課題となっており、人手の確保とデジタル投資の両立が、中期的な事業者の優劣を左右すると見られます。

中期見通し

近未来1-2年

当面は、生成AIの活用がコールセンターを中心に一段と進むとみられます。コールセンターAIサービス市場は年平均31.7%で拡大し、対話の自動要約・感情分析など、効率化から品質向上へAIの用途が広がります。RPAや自動化と組み合わせたデジタルBPOが、業務受託の標準になっていきます。

中期3-5年

中期では、AIサービス市場が313億円規模へ拡大する予測です(予測値)。ハルシネーションのリスク管理の手法が確立すれば、フロント業務でのAI活用がさらに進みます。IT系BPOと非IT系BPOの境界はデジタル化で溶け、人とAIの役割分担が定着していきます。

長期

長期では、労働人口の減少が続くなかで、デジタルBPOは人手不足への構造的な対応策として定着します。事業者にとっては、人手の確保とデジタル投資の両立が競争力の前提となります。AIサービス市場の数字を読む際は、実績(2024年度)と予測(2025年度以降)の区別、BPO市場・コールセンター市場とは別調査である点を踏まえることが重要です。

よくある質問

デジタルBPOとは何ですか?
デジタルBPOとは、人手による業務とデジタル技術を組み合わせて提供するBPOです。RPA(定型的なPC作業を自動化するソフト)や生成AIを業務に組み込むことで、効率化・省力化を進め、人材不足を補いながらサービス品質を高めます。BPO市場の拡大を牽引する中核となっており、IT系BPOと非IT系BPOの境界を変えつつあります。
コールセンターのAIサービス市場はどのくらい伸びていますか?
矢野経済研究所の調査では、コールセンター事業者が提供するAIサービス市場は2024年度に90億円(前年度比+150%)へ急拡大しました。2023〜2029年度の年平均成長率は31.7%で、2029年度には313億円に達すると予測されています(2025年度以降は予測値)。この市場はBPO市場やコールセンター市場とは別の調査による数字です。
コールセンターで生成AIはどのくらい使われていますか?
矢野経済研究所のアンケートでは、コールセンター部門で生成AI活用サービスを「導入している」企業が19%、「導入していないが予定はある」企業が30%でした。導入と検討を合わせると半数に迫ります。用途は、AIチャットボットによる一次対応のほか、対話の自動要約や感情分析へ広がっています。
生成AIはコールセンターのオペレーターを不要にしますか?
現状では、生成AIはオペレーターを置き換えるのではなく、補い、高度化する方向で活用が進んでいます。定型的な対応をAIが担い、複雑な対応や最終確認を人が担う役割分担が進んでいます。生成AIをフロント業務で使う際にはハルシネーション(事実でない内容の出力)のリスクがあるため、人による確認の仕組みが欠かせません。
デジタルBPOはなぜ広がっているのですか?
最大の背景は労働人口の減少による人手不足です。人手とデジタルを組み合わせることで、限られた人材でより多くの業務を受託できるようになります。加えて、リモートワークの普及によるネットワーク整備、システム運用の見直し、クラウド移行に紐づく業務需要の高まりも追い風です。安価なクラウド基盤の普及は、BPO利用が中堅・中小企業へ広がる後押しにもなっています。

参考資料 / 一次ソース

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    矢野経済研究所「コールセンターサービス事業者が提供するAIサービス市場に関する調査(2026年)」
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    矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2025年)」
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