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STRUCTURAL DETAIL · INDUSTRY STRUCTURE

BPO業界の構造とプレイヤー類型|IT系・コールセンター系・事務系・印刷系【2026年版】

BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング=社内業務を外部の専門事業者に継続的に委託して代行させる仕組み)の業界は、委託元(発注企業・官公庁)から委託を受けたBPO事業者が業務を代行し、その担い手をさらに配置するという構造で成り立っています。受託する業務は、システム運用管理を担うIT系BPOと、コールセンター・人事・経理などを担う非IT系BPOの二つに大きく分かれます。事業者の側は、コールセンター系・事務系・IT系・印刷系の各事業者に加え、人材サービス大手も参入し、特定企業による寡占ではなく多数の事業者が競う分散構造です。業務領域の区分、事業者の類型、委託の流れの順に整理します。

BPO業界の構造 — 受託する業務領域

IT系BPOと、非IT系BPO(コールセンター系・間接部門系・直接部門系)の区分

BPOが受託する業務は、システム運用管理を担うIT系BPOと、それ以外を担う非IT系BPOに大きく分かれます。非IT系はさらに、コールセンター系・間接部門系・直接部門系の3区分に整理されます。2024年度はIT系が3兆1,220億円、非IT系が1兆9,566.5億円で、IT系が市場の約6割を占めます。

IT系BPO
主な業務
システム運用管理(サーバ・ネットワーク・クラウドの運用、ヘルプデスク)
特徴
クラウド移行や運用見直しに紐づく需要が伸び、市場の約6割を占める
非IT系:コールセンター系
主な業務
コンタクトセンター、ヘルプデスク、フルフィルメント(受注・出荷等の事務処理)
特徴
非IT系の中核業態。電話に加えチャット・メール等の多チャネル化が進む
非IT系:間接部門系
主な業務
人事・福利厚生・総務・経理の代行(給与計算・労務手続き等)
特徴
グループ内の間接業務を集約するシェアードサービスを含む
非IT系:直接部門系
主な業務
購買・調達、営業(代行)、コア部門の単純業務、業界固有業務の代行
特徴
事業に近い領域まで委託範囲が広がってきている

業務領域の全体像 — IT系と非IT系の二層

BPOが代行する業務は、まずIT系BPO非IT系BPOに大別されます。IT系BPOは、企業のサーバ・ネットワーク・クラウドの運用管理やヘルプデスクなど、システムを動かし続けるための業務を指します。クラウド移行やリモートワークの普及でネットワーク環境の整備需要が高まり、システム運用を外部に委託する動きが続いて、IT系は市場の約6割を占めるまでに伸びています。

一方の非IT系BPOは、システム運用以外のあらゆる業務代行を指す広い区分です。コールセンターのような顧客対応から、人事・経理などの社内事務、購買や営業の支援まで含みます。なお、税務・物流・情報システム開発・ビルメンテナンスなど、従来から外部に委託することが一般的な専門サービスは、このBPOの区分には含まれません。

非IT系BPOの3区分 — コールセンター系・間接部門系・直接部門系

非IT系BPOは、業務の性質によって3つに分けられます。第1はコールセンター系で、コンタクトセンター(顧客対応)、ヘルプデスク(問い合わせ対応)、フルフィルメント(受注・出荷などの事務処理)が含まれます。非IT系の中核業態で、電話だけでなくチャットやメールなど複数チャネルへの対応が広がっています。

第2は間接部門系で、人事・福利厚生・総務・経理といった社内の管理業務の代行です。給与計算や労務手続きなどが典型で、グループ内の間接業務を集約する「シェアードサービス(グループ各社の間接業務を1か所にまとめて効率化する仕組み)」もここに含まれます。第3は直接部門系で、購買・調達や営業の代行、コア部門の単純業務、業界に固有の業務まで、より事業に近い領域へと委託範囲が広がっています。

委託の流れ — 委託元から担い手まで

BPOの構造は、業務を出す側と受ける側の関係で捉えられます。委託元は、コア業務への集中のためにノンコア業務を外部に出す発注企業や、コロナ禍を契機に外部委託を進めた官公庁・自治体です。これを受けるBPO事業者が、自社の体制で業務を設計・運営し、コミュニケーターやオペレーターといった担い手を配置して業務を遂行します。

委託にあたっては、BPO事業者が自社の指揮命令で業務を遂行する請負・準委任が原則で、委託元が直接指示を出す労働者派遣とは区別されます。

BPO事業者の主な類型と代表的な事業者

事業者の出自による類型。「誰がどの業態か」を定性的に整理(売上・財務は含めない)
コールセンター系
代表的な事業者
トランス・コスモス、ベルシステム24、ビーウィズ など
特徴
コンタクトセンターの運営を本業とし、連結売上がBPO本業に近い
人材サービス系
代表的な事業者
パソナ、パーソル など
特徴
人材派遣を本業とし、人事・経理・総務などの間接部門のBPOで参入
印刷系
代表的な事業者
TOPPAN、大日本印刷 など
特徴
帳票・データプリントに紐づく業務代行(BPO)を手がける
IT系
代表的な事業者
富士通、NEC、野村総合研究所 など
特徴
システム運用のIT系BPOを、SI・ITサービスとして兼業することが多い
非上場の大手
代表的な事業者
アルティウスリンク、TMJ、コンセントリクス・ジャパン など
特徴
非上場。アルティウスリンクは国内最大級のBPO事業規模とされる(報道)
読み解き

BPO事業者を出自で見ると、コンタクトセンター運営を本業とするコールセンター系(トランス・コスモス、ベルシステム24、ビーウィズなど)、人材派遣を本業とする人材サービス系(パソナ、パーソルなど)、帳票・データプリントを基盤とする印刷系(TOPPAN、大日本印刷など)、システム運用を担うIT系(富士通、NEC、野村総合研究所などのSI・ITサービス大手が兼業)に整理できます。このほか事務処理に特化した事務系の事業者もあります。

業界は特定企業による寡占ではなく、出自の異なる多数の事業者がそれぞれの強みで競う分散構造です。

主要論点

BPO事業者にはどんな類型があるのか?(誰が担っているか)

ここまでは「何の業務か」(業務領域)で見てきましたが、「誰が担うか」(事業者の出自)で見ると、BPO事業者はいくつかの類型に整理できます。注意したいのは、IT系BPO(業務領域)とIT系の事業者(出自)は別の軸だという点です。たとえばシステム運用という「IT系の業務」は、IT系の事業者だけでなくコールセンター系や人材系の事業者が請け負うこともあり、逆に富士通のような「IT系の事業者」がコールセンターなど非IT系の業務を手がけることもあります。

第1はコールセンター系の事業者で、コンタクトセンターの運営を軸にBPOへ広げてきたトランス・コスモス、ベルシステム24、ビーウィズなどが活動しています。第2は人材サービス系で、人材派遣・紹介を本業とするパソナやパーソルが、人事・経理・総務などの間接部門の業務代行で参入しています。第3は印刷系で、TOPPANや大日本印刷が、帳票やデータプリントに紐づく業務代行(BPO)を手がけています。第4はIT系の事業者で、システム運用を担うIT系BPOは、富士通・NEC・野村総合研究所などのSI・ITサービス大手が兼業することが多い領域です。このほか事務処理に特化した事務系の事業者も存在します。

業界全体としては、特定企業による寡占ではなく、出自の異なる多数の事業者がそれぞれの強みで競う分散構造です。コールセンター運営のノウハウ、人材の確保力、システム構築力、帳票・印刷の基盤など、各社が元々持っていた強みを起点にBPOの領域を広げている点が、この業界の競争の特徴です。

BPOの委託はどのような流れで成り立っているのか?

BPOは、業務を出す委託元と、受けて代行する事業者の関係で成り立っています。委託元は、コア業務に経営資源を集中するために、コールセンター・人事・経理・システム運用などのノンコア業務を外部に出す企業や、コロナ禍を契機に外部委託を進めた官公庁・自治体です。

受託したBPO事業者は、単に人手を提供するのではなく、自社の責任で業務プロセスを設計・運営し、品質や生産性に対して成果を出すことが求められます。近年は、単発の業務委託にとどまらず、戦略立案やコンサルティングまで一気通貫で引き受ける動きも広がっています。担い手の面では、コールセンターのコミュニケーターやオペレーターを自社で雇用・育成し、スーパーバイザーが品質を管理する体制が一般的です。

ここで重要なのが契約形態です。BPOは、事業者が自社の指揮命令で業務を遂行する請負・準委任が原則で、委託元が事業者の従業員へ直接指示を出す労働者派遣とは区別されます。形式が請負でも実態が直接指揮命令であれば「偽装請負」となり、法令に抵触します。

デジタルBPOは業界の構造をどう変えているのか?

近年、多くのBPO事業者が、人手による業務とデジタル技術を組み合わせたデジタルBPOを提供するようになっています。RPA(定型業務の自動化)や生成AIを業務に組み込むことで、効率化・省力化を進め、人材不足を補いながらサービス品質を高める動きです。

この流れは、業務領域の境界を変えつつあります。たとえばコールセンターのような非IT系の業務にも、AIチャットボットや対話の自動要約といったシステム投資が深く入り込み、人手だけで担っていた業務がデジタルと一体化しています。IT系と非IT系という区分は維持されつつも、デジタル化は業界全体を貫く流れとなっています。

また、安価なクラウド基盤の普及によって、これまで大手企業が中心だったBPOの利用が中堅・中小企業へと広がりました。事業者にとっては、人手の確保とデジタル投資の両立が競争力を左右する局面に入っており、元々の出自(コールセンター・人材・印刷・IT)にかかわらず、デジタルをどう取り込むかが共通の課題になっています。

中期見通し

近未来1-2年

当面は、デジタルBPOの広がりが業界の構造を変える動きが続きます。人手とデジタルを組み合わせるサービスが標準になり、コールセンター系・事務系・IT系・印刷系のいずれの事業者も、AI・自動化の取り込みを競います。人材サービス大手の参入もあり、業務領域をまたいだ提案が増えるとみられます。

中期3-5年

中期では、事業者の出自による垣根が下がる方向です。コールセンター運営の事業者がバックオフィス業務まで、システム運用の事業者が非IT系の業務まで、それぞれ領域を広げる動きが進みます。単発の業務委託から、複数業務をまとめて引き受ける一気通貫型へと、委託の単位が大きくなる傾向も続くとみられます。

長期

長期では、労働人口の減少が業務の外部委託と自動化への需要を構造的に押し上げます。一方で、委託にあたっての請負と労働者派遣の区別や、個人情報を扱う委託先の監督など、コンプライアンス面の対応が事業の前提となり続けます。業界の構造を読む際は、業務領域(何の業務か)と事業者の類型(誰が担うか)を分けて捉えることが重要です。

よくある質問

BPO業界はどのような構造になっていますか?
委託元(発注企業・官公庁)が社内のノンコア業務を外部に委託し、BPO事業者がそれを代行する構造です。受託する業務は、システム運用管理を担うIT系BPO(2024年度3兆1,220億円)と、コールセンター・人事・経理などを担う非IT系BPO(同1兆9,566.5億円)に大きく分かれ、IT系が市場の約6割を占めます。事業者は特定企業による寡占ではなく、多数の事業者が競う分散構造です。
IT系BPOと非IT系BPOはどう違いますか?
IT系BPOは、企業のシステム運用管理業務(サーバ・ネットワーク・クラウドの運用、ヘルプデスクなど)を代行するサービスです。非IT系BPOは、それ以外の業務を代行するもので、コールセンターなどのコールセンター系業務、人事・福利厚生・総務・経理などの間接部門系業務、購買・調達や営業などの直接部門系業務に分かれます。
BPO事業者にはどんな種類がありますか?
事業者を出自で見ると、コンタクトセンター運営を軸とするコールセンター系(トランス・コスモス、ベルシステム24、ビーウィズなど)、人材サービスを本業とする人材サービス系(パソナ、パーソルなど)、帳票・データプリントに紐づく印刷系(TOPPAN、大日本印刷など)、システム運用を担うIT系(富士通、NEC、野村総合研究所などのSI・ITサービス大手が兼業)、事務処理に特化した事務系などに整理できます。
シェアードサービスとBPOはどう違いますか?
シェアードサービスは、グループ各社の間接業務(人事・経理・総務など)を1か所にまとめて効率化する仕組みで、企業グループの内部で行われるのが基本です。BPOは、これらの業務を外部の専門事業者に委託して代行させるもので、間接部門系BPOはシェアードサービスと近い領域を扱います。グループ内で集約するか、外部に委託するかが主な違いです。
BPOと労働者派遣は何が違いますか?
BPO(業務委託)は、受託した事業者が自社の指揮命令のもとで業務を遂行し、成果やサービスを提供する仕組みで、契約形態は請負または準委任です。労働者派遣は、派遣先(委託元)が派遣労働者に直接指揮命令を行う点が異なります。契約が請負でも実態として委託元が直接指示を出していると「偽装請負」とみなされます。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場に関する調査(2025年)」
  2. 2.
    各社IR・EDINET(上場企業の事業区分)
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