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TOPIC · 循環経済

循環経済・循環型社会への転換|資源循環政策と静脈産業の役割【2026年版】

「捨てる」ことを前提とした線形経済から、資源を循環させる循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行が、国家戦略として進められています。2024年8月に第五次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定され、同年には再生材の量と質の確保を目指す「再資源化事業等高度化法」も成立しました。本ページでは、循環経済をめぐる政策の枠組み、容器包装・家電・自動車・建設・食品・小型家電の各リサイクル法の体系、そして循環経済が静脈産業のビジネスモデルをどう変えるかを整理します。

なぜ今、循環経済への転換が進むのか

国家戦略に位置づけられた循環経済

2024年8月に閣議決定された第五次循環型社会形成推進基本計画は、循環経済を国家戦略として明確に位置づけました。前回の第四次計画(2018年)から6年ぶりの改定で、2030年に向けた方向性を示しています。背景にあるのは、資源制約や脱炭素への対応、そして資源の海外依存を減らす経済安全保障の観点です。廃棄物を「処分する」だけでなく、国内で循環させる資源として捉え直す発想の転換が、政策の土台になっています。

再生材の量と質を確保する法整備

2024年には、「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(通称:再資源化事業等高度化法)が成立しました。これは、再資源化の効率化や生産性の向上を国が認定して後押しする仕組みで、再生材の量と質の確保を狙いとしています。製造業が再生材を安心して使えるよう、品質の安定した再生材を供給できる体制づくりが、政策の柱の一つになっています。

国際的な潮流と日本企業への影響

循環経済への動きは、国際的にも加速しています。EUはサーキュラーエコノミーを成長戦略の柱に据え、製品への再生材の使用義務化や、修理・再使用を促す規制を導入しています。これは、EU市場で事業を行う日本の製造業にとって、再生材の調達や製品設計の見直しを迫るものです。日本企業にとっては、再生材を安定して確保できるかどうかが競争力に直結し、再生材を供給する静脈産業との連携が重要になっています。

個別リサイクル法(通称)と対象品目・仕組み

品目ごとに循環の仕組みを定める6つのリサイクル法。多くは一般廃棄物・特定製品が対象で、産業廃棄物と重なる部分・重ならない部分がある(いずれも通称で表記)
容器包装リサイクル法
主な対象品目
びん・缶・ペットボトル・紙/プラスチック製容器包装
制度の仕組み
消費者が分別し市町村が収集、特定事業者が再商品化を担う
対象廃棄物の区分
主に一般廃棄物
家電リサイクル法
主な対象品目
エアコン・テレビ・冷蔵庫/冷凍庫・洗濯機/衣類乾燥機
制度の仕組み
小売業者が引取り、メーカーが再商品化、消費者が料金を負担
対象廃棄物の区分
特定家庭用機器
自動車リサイクル法
主な対象品目
使用済自動車(シュレッダーダスト・エアバッグ類・フロン類)
制度の仕組み
自動車メーカー等が引取り・再資源化、預託金制度(JARC)で費用を確保
対象廃棄物の区分
特定製品
建設リサイクル法
主な対象品目
コンクリート・アスファルト・木材などの建設資材
制度の仕組み
一定規模以上の工事で分別解体と再資源化を義務付け
対象廃棄物の区分
★産業廃棄物(がれき類等)と接続
食品リサイクル法
主な対象品目
食品の製造・流通・外食から出る食品廃棄物
制度の仕組み
発生抑制と再生利用(飼料・肥料化など)を促進
対象廃棄物の区分
事業系(一般・産業)
小型家電リサイクル法
主な対象品目
携帯電話・デジタルカメラなどの使用済小型電子機器
制度の仕組み
認定事業者が回収し金属を再資源化(都市鉱山)
対象廃棄物の区分
使用済小型電子機器
読み解き

個別のリサイクル法は、品目ごとに「誰が・どう循環させるか」を定めています。多くは家庭から出る一般廃棄物や特定の製品が対象で、産業廃棄物処理業が主に扱う産業廃棄物とは、対象範囲が重なる部分と重ならない部分があります。たとえば建設リサイクル法は、コンクリートやアスファルトなど、産業廃棄物の「がれき類」と接続する廃棄物を対象としており、建設業から出る産業廃棄物の再資源化に直結します。

一方、容器包装リサイクル法や家電リサイクル法は主に家庭からの一般廃棄物を対象とし、産業廃棄物とは区分が異なります。各法は対象とする廃棄物の区分が法ごとに異なるため、産業廃棄物と一般廃棄物を一律に合算して捉えることはできません。小型家電リサイクル法は、使用済みの電子機器から金属を回収する「都市鉱山」を制度として後押しするもので、金属リサイクル系のプレイヤーとも関わります。

循環経済は静脈産業のビジネスモデルをどう変えるか

「処分」から「資源を生み出す」産業へ

循環経済への移行は、静脈産業のビジネスモデルそのものを変えていきます。これまで廃棄物を適正に「処分する」ことが中心だった事業は、廃棄物から資源とエネルギーを生み出す事業へと比重を移します。再生材としての販売や、選別・再資源化によって付加価値を高めることが、新たな収益源になります。物量(排出量)が横ばいでも、再資源化の比率と単価が上がれば、金額ベースの事業価値を高める余地があります。

動脈産業との連携と再生材の供給

循環経済では、製造業(動脈産業)と静脈産業の連携が進みます。製造業にとって、再生材を安定して調達できるかどうかは、規制対応とコストの両面で重要な課題です。静脈産業にとっては、質の高い再生材を安定して供給できることが事業機会になります。動脈と静脈が一体となって資源を循環させる仕組みづくりが、循環経済の実現の鍵を握ります。

エネルギー回収と再資源化の高度化

静脈産業の側では、廃棄物の焼却時に熱をエネルギーとして回収するサーマルリサイクル(熱回収)や、廃棄物発電、金属・プラスチックの再資源化が広がっています。社会全体でどれだけ資源が循環利用されているかを示す循環利用率は、2021年度に投入資源に占める割合(入口側)が約16.5%、廃棄物等の発生量に占める割合(出口側)が約44.1%です。入口側と出口側は分母が異なるため値も異なりますが、いずれもさらなる向上が課題です。再資源化の高度化が、循環経済の前進を支えます。

主要論点

循環経済への転換は、静脈産業をどう変えるのか?

循環経済への転換は、静脈産業を「廃棄物を適正に処分する」産業から、「資源とエネルギーを生み出す」産業へと変えていきます。2024年8月に閣議決定された第五次循環型社会形成推進基本計画は、循環経済を国家戦略に位置づけ、線形経済からの脱却を打ち出しました。

この転換は、静脈産業の収益構造に影響します。これまで処理の対価(処理費)が中心だった収益に、再生材の販売や再資源化の付加価値が加わります。再生材の質と量を確保できる事業者は、製造業からの需要を取り込み、循環経済のなかで重要な位置を占めることになります。再資源化事業等高度化法は、こうした高度な再資源化を国が後押しする仕組みです。

物量(排出量)が横ばいで推移するなか、静脈産業の成長は、処理の高付加価値化と再資源化の高度化によって図られます。循環経済への転換は、業界にとって構造変化であると同時に、新たな成長機会でもあります。

個別リサイクル法はどんな体系で、産業廃棄物とどう関わるのか?

個別のリサイクル法は、品目ごとに循環の仕組みを定めています。容器包装・家電・自動車・建設・食品・小型家電の6つの分野で、それぞれ「誰が・どう循環させるか」が決められています。たとえば家電リサイクル法では小売業者が引き取りメーカーが再商品化し、自動車リサイクル法では預託金制度(JARC)で費用をあらかじめ確保する、といった仕組みです。

これらの多くは、家庭から出る一般廃棄物や特定の製品を対象としており、産業廃棄物処理業が主に扱う産業廃棄物とは対象範囲が異なります。ただし、建設リサイクル法はコンクリートやアスファルトなど、産業廃棄物の「がれき類」と接続する廃棄物を対象としており、建設業から出る産業廃棄物の再資源化に直結します。

各法は対象とする廃棄物の区分が異なるため、産業廃棄物と一般廃棄物を一律に合算して捉えることはできません。リサイクル法の体系を理解するには、それぞれの法が対象とする品目と廃棄物の区分を区別することが重要です。

再生材の確保が、なぜ競争軸になるのか?

循環経済への移行に伴い、再生材の確保が産業の競争軸になりつつあります。背景にあるのは、EUを中心とした国際的な規制です。EUは製品への再生材の使用義務化を進めており、EU市場で事業を行う日本の製造業は、再生材を一定割合使うことを求められるようになっています。

このため、製造業(動脈産業)にとって、質の高い再生材を安定して調達できるかどうかが、規制対応とコストの両面で重要な課題になります。再生材を供給する静脈産業にとっては、これが大きな事業機会です。質の安定した再生材を量的に確保できる事業者が、製造業からの需要を取り込むことになります。

再資源化事業等高度化法は、こうした再生材の量と質の確保を国が後押しする仕組みです。動脈産業と静脈産業が連携して再生材を循環させる体制づくりが、日本企業の国際競争力にも関わる課題になっています。

よくある質問

循環経済(サーキュラーエコノミー)とは何ですか?
大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした線形経済に対し、資源を循環させて廃棄を最小化する経済モデルを循環経済(サーキュラーエコノミー)といいます。廃棄物を「処分するもの」ではなく「循環させる資源」として捉え直すのが特徴です。日本では2024年8月に閣議決定された第五次循環型社会形成推進基本計画で、循環経済が国家戦略に位置づけられました。
第五次循環型社会形成推進基本計画の要点は何ですか?
2024年8月に閣議決定された政府の基本計画で、循環経済を国家戦略に位置づけ、2030年に向けた方向性を示しました。前回の第四次計画(2018年)から6年ぶりの改定です。資源制約・脱炭素・経済安全保障を背景に、廃棄物を国内で循環させる資源として捉え直す方針が示されています。
再資源化事業等高度化法とは何ですか?
2024年に成立した「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」の通称です。再資源化の効率化や生産性の向上を国が認定して後押しする仕組みで、再生材の量と質の確保を狙いとしています。製造業が品質の安定した再生材を使えるよう、再資源化を高度化することを目的としています。
個別リサイクル法にはどんな種類がありますか?
容器包装・家電・自動車・建設・食品・小型家電の6つの分野に、それぞれリサイクル法(通称)があります。品目ごとに、排出者・事業者・行政の役割や費用負担の仕組みが定められています。多くは一般廃棄物や特定製品が対象ですが、建設リサイクル法はがれき類など産業廃棄物と接続します。
各リサイクル法は産業廃棄物と関係がありますか?
法によって異なります。容器包装・家電・小型家電リサイクル法は主に家庭からの一般廃棄物や特定製品が対象で、産業廃棄物とは区分が異なります。一方、建設リサイクル法はコンクリート・アスファルトなど産業廃棄物の「がれき類」と接続し、食品リサイクル法は事業系の食品廃棄物を対象とします。産業廃棄物と一般廃棄物は区分が異なるため、一律に合算しては捉えません。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    環境省「第五次循環型社会形成推進基本計画」(2024年8月閣議決定)
  2. 2.
    環境省「資源循環の促進のための再資源化事業等の高度化に関する法律」(再資源化事業等高度化法、2024年)
  3. 3.
    環境省「各種リサイクル法(容器包装・家電・自動車・建設・食品・小型家電)」
  4. 4.
    環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」
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