最終更新
STAT DETAIL · RECYCLING RATE

産業廃棄物の再生利用率|全体54.7%と種類別の大きな差【2026年版】

産業廃棄物のリサイクルは、「リサイクル率」と一口に言っても分母の取り方で意味が変わります。2023年度(令和5年度)の産業廃棄物全体の再生利用率は54.7%(再生利用量÷排出量)ですが、種類別に見ると、がれき類の95.9%から汚泥の7.6%まで大きく異なります。さらに経済全体の資源循環を測る「循環利用率」は、これらとは別の分母の指標です。本ページでは、全体の再生利用率、種類別の差、循環利用率の3つを、分母の違いに注意しながら整理します。

再生利用率(2023年度)
54.7%
再生利用量÷排出量(排出量ベースの全国統計)
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況・種類別処理状況)
中間処理率(2023年度)
78.2%
排出量のうちいったん中間処理を経る割合
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況・種類別処理状況)
減量化率(2023年度)
42.9%
中間処理による減量化の割合(排出量ベース)
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況・種類別処理状況)
最終処分率(2023年度)
2.4%
排出量に占める最終処分の割合
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況・種類別処理状況)

種類別の再生利用率(2023年度、%)

がれき類の95.9%から汚泥の7.6%まで、種類によって再生利用率は大きく異なる
単位: %上位 8
0.025.050.075.0100.095.9がれき類95.4金属くず94.9動物のふん尿91.2鉱さい46.1廃油33.0廃酸22.4廃アルカリ7.6汚泥
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(種類別処理状況)
カテゴリがれき類金属くず動物のふん尿鉱さい廃油廃酸廃アルカリ汚泥
再生利用率%95.9095.4094.9091.2046.103322.407.60
読み解き

種類別の再生利用率を見ると、がれき類(95.9%)・金属くず(95.4%)・動物のふん尿(94.9%)・鉱さい(91.2%)は90%を超えます。がれき類は破砕して再生砕石・路盤材に、金属くずは金属として、動物のふん尿は堆肥やエネルギーに、それぞれ再生利用しやすい性質があります。

一方、排出量が最大の汚泥は7.6%と最も低く、廃アルカリ(22.4%)・廃酸(33%)も低水準です。これらは水分や化学的な性質のために再生利用が難しく、脱水・中和・焼却などで減量化してから処理されます。なお、ゴムくず(最終処分比率25.5%)・燃え殻(同18.7%)のように、最終処分に回りやすい種類もあります。

ここでの率は出典の種類別処理状況による値で、全体の再生利用率54.7%(排出量ベース)とは集計の考え方が異なります。種類別の率どうしを足したり平均したりするのではなく、種類ごとの再生利用のしやすさの傾向として見るのが適切です。

種類別の処理状況の特徴(2023年度)

再生利用のしやすさで種類を3つに整理(率は出典公表値の範囲)
再生利用されやすい種類
がれき類・金属くず・動物のふん尿・鉱さい
主な行き先・処理
再生砕石・路盤材、金属回収、堆肥化など
再生利用率などの目安
再生利用率 約91.2〜95.9%
再生利用が難しい種類
汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ
主な行き先・処理
脱水・中和・焼却などで減量化してから処理
再生利用率などの目安
再生利用率 約7.6〜46.1%
最終処分に回りやすい種類
ゴムくず・燃え殻
主な行き先・処理
再生利用・減量化が難しく埋立に回りやすい
再生利用率などの目安
最終処分比率 約18.7〜25.5%
読み解き

種類別の処理状況は、再生利用のしやすさで大きく3つに分かれます。再生利用されやすい種類(がれき類・金属くず・動物のふん尿・鉱さい)は再生利用率が約91.2〜95.9%で、再生砕石・金属回収・堆肥化などに回ります。再生利用が難しい種類(汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ)は約7.6〜46.1%で、脱水・中和・焼却などで減量化してから処理されます。

最終処分に回りやすい種類として、ゴムくず・燃え殻があり、最終処分比率は約18.7〜25.5%です。排出量が最大の汚泥が再生利用しにくいこととあわせて、これらの種類が最終処分量を支える構造になっています。種類ごとの再生利用の高度化が、産業廃棄物全体の最終処分量を減らす鍵になります。

循環利用率(物質フロー指標、2021年度)

★これは経済全体の資源循環を測る別の指標で、産業廃棄物の再生利用率(排出量ベース)とは分母が異なる
入口側の循環利用率
経済に投入する資源に占める循環利用量の割合
2021年度実績
16.5%
2025年度目標
18%
出口側の循環利用率
廃棄物等の発生量に占める循環利用量の割合
2021年度実績
44.1%
2025年度目標
47%
読み解き

循環利用率は、循環型社会形成推進基本計画が掲げる物質フロー指標で、経済全体でどれだけ資源が循環利用されているかを測ります。入口側は、経済に投入する資源に占める循環利用量の割合で、2021年度に16.5%でした。出口側は、廃棄物等の発生量に占める循環利用量の割合で、44.1%です。2025年度の目標は入口側18%・出口側47%とされています。

この循環利用率は、産業廃棄物の再生利用率(54.7%、排出量ベース)とは分母が異なる別の指標です。循環利用率は一般廃棄物を含む経済全体の物質フローを対象とし、産業廃棄物の再生利用率は産業廃棄物の排出量を分母とします。両者を混同したり、直接比較したりすることはできません。なお循環利用率は2021年度の値で、産業廃棄物の排出・処理状況(2023年度)より公表時期が古い点にも注意が必要です。

主要論点

「リサイクル率」と言うとき、何を分母にしているのか?

産業廃棄物の「リサイクル率」は、分母の取り方によって複数の意味があり、混同すると誤った理解につながります。第1に、全体の再生利用率54.7%は、再生利用量を排出量で割った全国統計の値(排出量ベース)です。第2に、種類別の再生利用率(がれき類95.9%〜汚泥7.6%)は、種類ごとの処理状況による比率で、全体の値とは集計の考え方が異なります。

第3に、循環利用率(入口側16.5%・出口側44.1%)は、経済全体の物質フローを測る指標で、産業廃棄物に限らず一般廃棄物なども含む別の分母の指標です。さらに、個別企業が公表する「リサイクル率」は、自社が処理した量を分母とすることが多く、全国統計とは比較できません。

リサイクル率を引用するときは、それが「何を分母にした、どの範囲の率か」を確認することが欠かせません。分母の異なる率を足したり、序列をつけたり、直接比較したりしないことが、業界理解の前提になります。

なぜ種類によって再生利用率が大きく違うのか?

再生利用率は、種類によって7.6%から95.9%まで大きく異なります。この差は、廃棄物の物理的・化学的な性質と、再生利用先の市場があるかどうかによって生じます。

再生利用率が高い種類は、再生利用の用途が確立しています。がれき類は破砕して再生砕石・路盤材として道路や建設に使われ、金属くずは金属として回収・再利用され、動物のふん尿は堆肥やバイオガス発電に利用されます。需要のある再生利用先があるため、再生利用が進みます。

一方、排出量が最大の汚泥(7.6%)は、水分を多く含み、性質も多様なため、そのままでは再生利用が難しいのが実情です。脱水・乾燥・焼却で減量化してから、建設資材化や燃料化が図られますが、コストや品質の制約があります。汚泥の再資源化の高度化が、産業廃棄物全体の再生利用率を引き上げる最大の課題です。

再生利用率を上げると、業界にとって何が変わるのか?

再生利用率の向上は、産業廃棄物処理業の構造を「処分する産業」から「資源を生み出す産業」へと変えていきます。再生利用が進めば、最終処分量が減り、逼迫する最終処分場の延命につながります。2023年度に最終処分が排出量の2.4%にとどまっているのは、再生利用(54.7%)と中間処理による減量化(42.9%)が進んでいるためです。

再生利用の高度化は、処理業の収益構造にも影響します。物量(排出量)が横ばいでも、再生材としての販売や、選別・再資源化の付加価値によって、金額ベースの事業価値を高める余地があります。再生材の質と量の確保は、循環経済への移行を背景に政策的にも後押しされています。

中期的には、汚泥をはじめとする再生利用率の低い種類の再資源化技術、選別の精緻化、再生材の用途開発が、業界の成長の方向性になります。再生利用率は、環境面の指標であると同時に、産業としての競争力の指標でもあります。

中期見通し

近未来1-2年

全体の再生利用率は約54.7%前後で推移するとみられます。再生利用率の高いがれき類・金属くずは引き続き再資源化が進む一方、排出量が最大の汚泥の再生利用率の改善が、全体を押し上げるうえでの鍵になります。循環利用率は2025年度目標(入口18%・出口47%)に向けた進捗が問われます。

中期3-5年

中期では、汚泥の燃料化・建設資材化、選別技術の高度化、再生材の用途開発が進む見通しです。循環経済への政策的な後押し(第五次循環型社会形成推進基本計画・再資源化事業等高度化法)を背景に、再生材の質と量の確保が重視され、種類別の再生利用率の底上げが図られます。

長期

長期では、排出の段階から再資源化を見据えた設計(動脈産業との連携)が広がり、再生利用率のさらなる向上が見込まれます。再生利用率は環境面の指標であると同時に、静脈産業の付加価値と競争力を示す指標として、その重要性が増していきます。

よくある質問

産業廃棄物の再生利用率はどれくらいですか?
2023年度(令和5年度)の産業廃棄物全体の再生利用率は54.7%(再生利用量÷排出量)です。排出量の78.2%がいったん中間処理を経て減量化・再資源化され、最終処分は2.4%にとどまります(環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」)。
種類によって再生利用率はどれくらい違いますか?
種類によって大きく異なります。がれき類(95.9%)・金属くず(95.4%)・動物のふん尿(94.9%)・鉱さい(91.2%)は90%を超える一方、排出量が最大の汚泥は7.6%と低く、廃アルカリ(22.4%)・廃酸(33%)も低水準です。
循環利用率と再生利用率は何が違いますか?
分母が異なる別の指標です。再生利用率(54.7%)は産業廃棄物の排出量を分母とした率です。循環利用率は経済全体の物質フローを測る指標で、入口側(投入資源に占める循環利用量)が2021年度に16.5%、出口側(廃棄物等の発生量に占める循環利用量)が44.1%です。循環利用率は一般廃棄物なども含む経済全体を対象とし、産業廃棄物の再生利用率とは直接比較できません。
企業が公表する「リサイクル率」と全国統計は同じですか?
同じではありません。全国統計の再生利用率(54.7%)は産業廃棄物の排出量を分母とした値です。一方、個別企業が公表する「リサイクル率」は、自社が処理・受け入れた量を分母とすることが多く、分母が異なります。このため、企業のリサイクル率と全国統計を単純に比較することはできません。
なぜ汚泥の再生利用率は低いのですか?
汚泥は産業廃棄物のなかで排出量が最大(全体の約4割)ですが、水分を多く含み、性質も多様なため、そのままでは再生利用が難しいためです。脱水・乾燥・焼却で減量化したうえで、建設資材化や燃料化が図られますが、コストや品質の制約があります。汚泥の再資源化の高度化が、産業廃棄物全体の再生利用率を引き上げる最大の課題です。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」
  2. 2.
    環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」
📄 資料DL💬 無料相談