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産業廃棄物の最終処分場|残余年数と逼迫の構造【2026年版】

産業廃棄物の最終処分場は、再生利用も減量化もできない廃棄物を埋め立てる「最後の受け皿」ですが、新設が難しく逼迫が続いています。残余年数は2021年度時点で約19.7年(残余容量 約1.71億m³)です。一方で、最終処分に回る量は排出量の2.4%(約875万トン)にとどまり、再生利用と中間処理による減量化が最終処分量を抑えています。本ページでは、最終処分量の内訳、最終処分場の種類、逼迫の構造と対応を整理します。

最終処分場の残余年数
19.7
2021年度時点。新設難で逼迫が続く
出典: 環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」(最終処分場の残余容量・残余年数)
最終処分場の残余容量
1.71億m³
2021年度時点
出典: 環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」(最終処分場の残余容量・残余年数)
最終処分量(2023年度)
875万トン
直接470万トン+中間処理後405万トン
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況)
最終処分率(2023年度)
2.4%
排出量に占める最終処分の割合
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況)

産業廃棄物の最終処分量の経路(2023年度、万トン)

最終処分量 約875万トンの内訳。直接埋立と、中間処理を経てから埋立に回る分にほぼ二分される
単位: 万トン2 カテゴリ・合計 875
0125250375500470直接最終処分405中間処理を経た最終処分
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(処理状況)
カテゴリ直接最終処分中間処理を経た最終処分
最終処分量万トン470405
シェア53.7%46.3%
読み解き

2023年度に最終処分に回った産業廃棄物は約875万トンで、排出量の2.4%にあたります。内訳は、再生利用も中間処理もされずに直接埋め立てられる直接最終処分が約470万トン、焼却・脱水・破砕などの中間処理を経てなお残った分の最終処分が約405万トンで、両者はほぼ同程度です。

排出量(約3.67億トン)に比べて最終処分量が小さく抑えられているのは、再生利用(54.7%)と中間処理による減量化(42.9%)が進んでいるためです。逆に言えば、中間処理や再生利用ができない廃棄物が、最終的にこの875万トンとして処分場に行き着きます。最終処分量をさらに減らすには、再生利用の高度化と中間処理による減量化を一段と進める必要があります。

最終処分場の3つの種類

埋め立てる廃棄物の性質に応じて、構造基準が異なる3種類に分かれる(廃棄物処理法)
安定型最終処分場
対象となる主な廃棄物
がれき類・廃プラスチック類・金属くず・ガラスくず等(安定型品目)
構造・特徴
性質が安定し汚水のおそれが少ない廃棄物を埋立。構造基準は比較的簡易
管理型最終処分場
対象となる主な廃棄物
燃え殻・汚泥・ばいじん・木くず等
構造・特徴
汚水が生じうる廃棄物を埋立。遮水工と浸出水処理設備で地下水汚染を防ぐ
遮断型最終処分場
対象となる主な廃棄物
有害物質が判定基準を超える燃え殻・ばいじん・汚泥等
構造・特徴
周囲をコンクリート等で囲み、外部と完全に遮断して埋立
読み解き

最終処分場は、埋め立てる廃棄物の性質に応じて3種類に分かれます。安定型は、がれき類・廃プラスチック類・金属くず・ガラスくずなど、雨水にさらされても性質が変化しにくい「安定型品目」を埋め立てる処分場で、構造基準は比較的簡易です。管理型は、燃え殻・汚泥・ばいじんなど、汚水(浸出水)が生じうる廃棄物を埋め立てる処分場で、遮水工と浸出水処理設備によって地下水汚染を防ぎます。

遮断型は、有害物質が判定基準を超える廃棄物を埋め立てる処分場で、周囲をコンクリート等で囲んで外部と完全に遮断します。実際に新設・運営されるものの多くは管理型で、汚泥やばいじんといった量の多い廃棄物を受け入れます。処分場の確保が難しいなか、とくに管理型最終処分場の残余容量が、業界全体の逼迫感を左右します。

主要論点

なぜ最終処分場の逼迫が続くのか?

産業廃棄物の最終処分場の残余年数は2021年度時点で約19.7年で、長期的に逼迫した状態が続いています。背景には、新たな最終処分場の確保が難しいという事情があります。大都市圏を中心に、土地利用の高度化や周辺住民の理解を得る難しさから、新設のハードルが高くなっています。

最終処分場は「最後の受け皿」であり、いったん埋め立てると元に戻せません。残余容量(約1.71億m³)には限りがあり、新設が進まないなかで埋立が続けば、いずれ容量が尽きます。残余年数が約19.7年というのは、現在のペースで埋立を続けた場合の目安であり、地域によってはさらに逼迫しているところもあります。

この逼迫を緩和する道は、新設に頼るのではなく、最終処分量そのものを減らすことです。再生利用と中間処理による減量化で最終処分率を2.4%まで抑えている現状を、さらに進めることが現実的な対応になります。

最終処分量を減らすには何が必要か?

最終処分量を減らす鍵は、再生利用の高度化と中間処理による減量化です。2023年度の最終処分率が排出量の2.4%にとどまっているのは、再生利用(54.7%)と中間処理による減量化(42.9%)が機能しているためです。これらをさらに進めれば、最終処分量を一段と減らせます。

とくに重要なのが、再生利用率の低い種類への対応です。排出量が最大の汚泥は再生利用が難しく、最終処分に回りやすい廃棄物の一つです。汚泥の脱水・乾燥・焼却による減量化や、建設資材化・燃料化といった再資源化を進めることが、最終処分量の削減に直結します。

中間処理の段階での選別の精緻化や、焼却灰の再資源化(セメント原料化など)も有効です。最終処分量の削減は、逼迫する処分場の延命と、循環経済への移行の両面で、業界の構造的な課題になっています。

産業廃棄物と一般廃棄物の最終処分場はどう違うのか?

最終処分場には、産業廃棄物のものと一般廃棄物のものがあり、所管も統計も分かれています。産業廃棄物の最終処分場は、事業活動から出る廃棄物を対象とし、排出事業者の責任のもとで許可を受けた処理業者が運営します。残余年数は2021年度時点で約19.7年です。

一方、家庭ごみなどの一般廃棄物の最終処分場は、市町村が所管する別の集計で、残余年数は約23.4年(2022年度末)です。両者は対象とする廃棄物も、所管する主体も、統計も異なるため、残余年数や容量を合算したり、直接比較したりすることはできません。

このため、最終処分場の逼迫を論じるときは、産業廃棄物のものか一般廃棄物のものかを区別する必要があります。本ページの残余年数約19.7年は、産業廃棄物の最終処分場の値です。

中期見通し

近未来1-2年

最終処分場の新設が難しい状況は当面続き、残余年数は約19.7年前後で推移するとみられます。最終処分量を抑えるための再生利用・減量化の取り組みが継続的なテーマとなり、とくに管理型最終処分場の残余容量の確保が課題になります。

中期3-5年

中期では、再生利用の高度化(汚泥の再資源化、焼却灰のセメント原料化など)が進み、最終処分量の削減が図られる見通しです。地域を越えた広域処理によって、処分場の地域偏在を補う取り組みも広がります。最終処分場を自社で保有することは、総合処理大手にとって引き続き大きな強みになります。

長期

長期では、循環経済への移行を背景に、最終処分量そのものを構造的に減らす方向が強まります。埋立に依存しない処理体系(再資源化・エネルギー回収の徹底)への転換が進めば、最終処分場の逼迫は緩和に向かいます。最終処分量の削減は、環境面と業界の持続性の両面で、長期的な方向性となります。

よくある質問

産業廃棄物の最終処分場はあと何年もちますか?
環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」によると、産業廃棄物の最終処分場の残余年数は2021年度時点で約19.7年(残余容量 約1.71億m³)です。大都市圏では新たな処分場の確保が難しく、逼迫した状態が続いています。この値は2021年度のもので、排出・処理状況(2023年度)より公表時期が古い点に注意が必要です。
産業廃棄物の最終処分量はどれくらいですか?
2023年度(令和5年度)の最終処分量は約875万トンで、排出量の2.4%にあたります。内訳は、直接埋め立てられる直接最終処分が約470万トン、中間処理を経た最終処分が約405万トンです。再生利用(54.7%)と中間処理による減量化(42.9%)が進んでいるため、最終処分量は排出量に比べて小さく抑えられています。
最終処分場にはどんな種類がありますか?
埋め立てる廃棄物の性質に応じて3種類に分かれます。安定型は、がれき類・廃プラスチック類など性質が安定した廃棄物を、管理型は、燃え殻・汚泥・ばいじんなど汚水が生じうる廃棄物を遮水工と浸出水処理設備のもとで、遮断型は、有害物質が基準を超える廃棄物を外部と完全に遮断して埋め立てます。実際に運営される多くは管理型です。
一般廃棄物の最終処分場とは別ですか?
はい、別の集計です。産業廃棄物の最終処分場(残余年数 約19.7年、2021年度)は事業活動から出る廃棄物を対象とし、許可を受けた処理業者が運営します。一方、家庭ごみなどの一般廃棄物の最終処分場(残余年数 約23.4年、2022年度末)は市町村が所管します。両者は対象も所管も統計も異なり、合算や直接比較はできません。
なぜ最終処分場の新設は難しいのですか?
大都市圏を中心に、土地利用の高度化や周辺住民の理解を得る難しさから、新たな最終処分場の確保が難しくなっています。最終処分場はいったん埋め立てると元に戻せず、残余容量にも限りがあるため、新設が進まないなかで逼迫が続いています。このため、再生利用と中間処理による減量化で最終処分量そのものを減らすことが、現実的な対応になっています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    環境省「環境・循環型社会・生物多様性白書(令和6年版)」
  2. 2.
    環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」
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