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産業廃棄物の種類別・業種別・地域別排出量|排出の内訳【2026年版】

産業廃棄物が「何が・どこから・どの地域で」出ているのかを、種類別・業種別・地域別の3つの軸で整理します。2023年度(令和5年度)の総排出量約3.67億トン(36,725万トン)のうち、種類別では汚泥が42.1%と最も多く、動物のふん尿・がれき類が続きます。業種別では電気・ガス・熱供給・水道業(26.5%)・農業林業・建設業が上位を占め、地域別では関東が26.0%で最大です。ここで示すのはいずれも排出される廃棄物の「量(物量)」で、処理業の市場規模(金額)とは別の指標です。

総排出量(2023年度)
36,725万トン
約3.67億トン。種類・業種・地域の内訳の母数
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(別添資料、種類別・業種別・地域別排出量)
最大の種類:汚泥
42.1%
15,454万トン。種類別で最大
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(別添資料、種類別・業種別・地域別排出量)
最大の業種:電気・ガス・水道業
26.5%
9,732万トン。業種別で最大
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(別添資料、種類別・業種別・地域別排出量)
最大の地域:関東
26.0%
9,531万トン。地域別で最大
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(別添資料、種類別・業種別・地域別排出量)

産業廃棄物の種類別排出量(2023年度、万トン)

法律上の20種類のうち、排出量の統計で示される19区分。汚泥・動物のふん尿・がれき類の上位3種類で約8割を占める(四捨五入のため内訳の合算は総排出量と僅かに異なる場合がある)
項目排出量構成比シェア
汚泥15,45442.1%
動物のふん尿8,03621.9%
がれき類6,06816.5%
ばいじん1,4634.0%
鉱さい1,1133.0%
ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず8352.3%
木くず8232.2%
廃プラスチック類7862.1%
金属くず6941.9%
廃油3290.9%
廃酸2890.8%
廃アルカリ2600.7%
燃え殻2390.6%
動植物性残さ2220.6%
紙くず820.2%
動物の死体140.0%
繊維くず90.0%
動物系固形不要物80.0%
ゴムくず30.0%
合計(19区分)36,727100.0%
読み解き

産業廃棄物は法律で20種類に分類され、排出量の統計ではこのうち19区分が示されます(合計が総排出量にあたります)。2023年度の排出量を種類別に見ると、最も多いのが汚泥(42.1%、15,454万トン)で、工場や下水処理などから出る泥状の廃棄物です。次いで動物のふん尿(21.9%)がれき類(16.5%)が続き、この上位3種類で全体の約8割を占めます。

種類ごとに、再生利用のしやすさや最終処分への回りやすさは大きく異なります。がれき類は路盤材などに再生利用しやすい一方、排出量が最大の汚泥は再生利用が難しく、最終処分量を押し上げる要因になっています。

産業廃棄物の業種別排出量(2023年度、上位5業種)

出典が示す上位5業種。この5業種で総排出量の8割以上を占める(「その他」を補わず、上位5業種のみを示す)
電気・ガス・熱供給・水道業
排出量
9,732万トン
構成比
26.5%
主に出る廃棄物の例
ばいじん・燃え殻・汚泥
農業、林業
排出量
8,070万トン
構成比
22.0%
主に出る廃棄物の例
動物のふん尿
建設業
排出量
7,991万トン
構成比
21.8%
主に出る廃棄物の例
がれき類
パルプ・紙・紙加工品製造業
排出量
2,730万トン
構成比
7.4%
主に出る廃棄物の例
汚泥
鉄鋼業
排出量
2,196万トン
構成比
6.0%
主に出る廃棄物の例
鉱さい・ばいじん
読み解き

産業廃棄物を業種別に見ると、電気・ガス・熱供給・水道業26.5%で最大です。火力発電などから出るばいじん・燃え殻・汚泥が中心で、エネルギー供給に伴って大量の廃棄物が発生します。次いで農業・林業(22.0%)が動物のふん尿を、建設業(21.8%)ががれき類を主に排出します。

この上位5業種で、総排出量の8割以上を占めます。なお出典は、製造業をパルプ・紙(7.4%)・鉄鋼(6.0%)などに分解して示しています。残りは多数の業種に分かれるため、ここでは上位5業種のみを示し、「その他」としてまとめた数値は用いていません。

産業廃棄物の地域別排出量(2023年度、万トン)

8地域別の排出量。関東が26.0%で最大、地域の産業構成を反映する
単位: 万トン8 カテゴリ・合計 36,725
02,5005,0007,50010,0009,531関東5,901中部5,183九州5,071近畿3,622北海道3,553東北2,426中国1,438四国
出典: 環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」(別添資料、地域別排出量)
カテゴリ北海道東北関東中部近畿中国四国九州
排出量万トン3,6223,5539,5315,9015,0712,4261,4385,183
シェア9.9%9.7%26.0%16.1%13.8%6.6%3.9%14.1%
読み解き

地域別では、関東26.0%(9,531万トン)で最も多く、人口と産業の集積を反映しています。次いで中部、九州、近畿が続きます。一方で四国(3.9%)のように排出量が少ない地域もあり、地域差は各地の製造業・建設・畜産などの産業構成によって生じます。

地域別の排出量は、最終処分場の確保や広域処理を考えるうえで重要です。排出が多い地域で処分場が逼迫すると、地域を越えた処理が必要になります。なお8地域の合算は、四捨五入のため総排出量と僅かに異なります。

主要論点

なぜ汚泥が産業廃棄物の最大の種類なのか?

汚泥は、2023年度の産業廃棄物の42.1%(15,454万トン)を占める最大の種類です。汚泥とは、工場の排水処理や下水処理、建設工事などから生じる泥状の廃棄物で、水分を多く含むのが特徴です。製造業の生産工程や下水道の普及に伴って広く発生するため、量が大きくなります。

汚泥の多さは、産業廃棄物全体の処理を考えるうえで重要な意味を持ちます。汚泥は水分が多く、そのままでは再生利用が難しいため、脱水・乾燥・焼却などの中間処理を経て減量化されます。排出量が最大であるにもかかわらず再生利用が進みにくいことが、最終処分量を押し上げる構造的な要因になっています。

このため、汚泥の減量化と再資源化(建設資材化・燃料化など)の高度化が、産業廃棄物全体の最終処分量を減らすうえで大きな鍵になります。

業種によって出る廃棄物の種類はどう違うのか?

産業廃棄物は、業種ごとに主に出る種類が異なります。最大の排出業種である電気・ガス・熱供給・水道業(26.5%)は、火力発電の燃焼などからばいじん・燃え殻・汚泥を排出します。農業・林業(22.0%)は畜産から動物のふん尿を、建設業(21.8%)は解体・土木工事からがれき類を主に排出します。

このように、種類別の排出構造と業種別の排出構造は対応しています。汚泥は製造業や水道業から、動物のふん尿は農業から、がれき類は建設業から、というように、それぞれの産業活動の内容が排出される廃棄物の種類を決めます。

業種別の排出構造を理解することは、排出を抑制する取り組みや、業種に応じたリサイクルの仕組みを考えるうえで重要です。排出量の上位5業種で全体の8割以上を占めるため、これらの業種での発生抑制と再資源化が、産業廃棄物全体に大きく影響します。

地域別の排出量にはどんな特徴があるのか?

地域別では、関東が総排出量の26.0%(9,531万トン)で最大です。次いで中部(16.1%)、九州(14.1%)、近畿(13.8%)と続きます。地域別の排出量は、人口の集積に加えて、その地域の製造業・建設・畜産などの産業構成を反映しています。

地域差は、廃棄物処理の地理的な課題と結びついています。排出量の多い大都市圏では、最終処分場の新設が難しく、処分場が逼迫しやすい傾向があります。一方、排出量に対して処分場の容量に余裕のある地域もあり、地域を越えた広域処理が行われることもあります。

排出の地域分布は、収集運搬の効率や処理施設の配置にも影響します。地域に根ざした中小の収集運搬業者が多数存在するのも、廃棄物が各地域で発生し、近隣で処理する必要があることが背景にあります。

中期見通し

近未来1-2年

種類別・業種別・地域別の排出構造は、産業活動の規模に連動するため、当面は大きく変わらないとみられます。汚泥・動物のふん尿・がれき類が排出の中心であり続け、電気・ガス・水道業や建設業が主要な排出源である構図が続きます。

中期3-5年

中期では、排出量の多い汚泥やがれき類で、再資源化の高度化が進む見通しです。汚泥の燃料化・建設資材化、がれき類の再生砕石としての利用など、種類ごとの特性に応じたリサイクルが、最終処分量の削減につながります。業種別では、排出事業者による発生抑制(リデュース)の取り組みも広がります。

長期

長期では、循環経済への移行を背景に、排出の段階から再資源化を見据えた取り組みが重視されます。排出される廃棄物の種類・業種・地域の構造を踏まえ、種類ごとの再生利用の高度化と、地域を越えた広域処理・資源循環の仕組みづくりが、業界全体の方向性となります。

よくある質問

産業廃棄物で最も多い種類は何ですか?
2023年度(令和5年度)に最も多いのは汚泥で、産業廃棄物全体の42.1%(15,454万トン)を占めます。次いで動物のふん尿(21.9%)、がれき類(16.5%)が多く、この上位3種類で全体の約8割を占めます(環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等」)。
どの業種から産業廃棄物が多く出ますか?
業種別では、電気・ガス・熱供給・水道業が最大で、総排出量の26.5%を占めます。次いで農業・林業(22.0%)、建設業(21.8%)が続き、上位5業種で総排出量の8割以上を占めます。業種ごとに主に出る廃棄物の種類は異なり、電気・ガス・水道業はばいじんや汚泥、農業は動物のふん尿、建設業はがれき類が中心です。
産業廃棄物の排出量が多い地域はどこですか?
地域別では関東が最も多く、総排出量の26.0%(9,531万トン)を占めます。次いで中部、九州、近畿が続きます。地域別の排出量は、人口の集積とその地域の産業構成(製造業・建設・畜産など)を反映しています。
産業廃棄物の種類は法律で決まっているのですか?
はい。産業廃棄物は、廃棄物処理法によって事業活動に伴って生じる廃棄物のうち20種類(汚泥・がれき類・廃プラスチック類・燃え殻・ばいじん・鉱さいなど)と定められています。排出量の統計では、このうち19区分が示され、その合計が総排出量にあたります。種類ごとに、処理の方法や許可の品目、再生利用のしやすさが異なります。
排出量と再生利用率はどう関係しますか?
排出量が多い種類が、必ずしも再生利用されやすいわけではありません。たとえば排出量が最大の汚泥は再生利用が難しく、最終処分量を押し上げる要因になっています。一方、がれき類や金属くずは排出量も多く再生利用も進んでいます。種類別の再生利用率の違いは大きく、これが種類ごとの最終処分への回りやすさを左右します。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    環境省「産業廃棄物の排出及び処理状況等(令和5年度実績)」
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