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印刷機械と資材(川上)|インキ・機械・用紙の生産量と縮小【2026年版】

印刷物の生産を支える川上には、印刷機械・印刷インキ・印刷用紙のメーカーが連なります。これらの生産量は、印刷需要の縮小とともに減少しており、印刷用紙は2016年から2025年でおよそ4割減りました。一方、軟包装に使われるグラビアインキは最大の品種で、パッケージ印刷の底堅さを映しています。川上3資機材の生産動向と主要メーカー、そして連結と市場規模の違いを整理します。

印刷機械の生産台数の推移(2016-2025年)

経済産業省 生産動態統計による国内の印刷機械生産台数。2016年の25,052台から2025年の15,431台へ縮小(2016年比 約62%水準)
単位:
07,50015,00022,50030,00025,0521624,4301724,5871818,5761917,1862018,8212117,8172217,4822318,5362415,43125
出典: 日本印刷産業連合会「印刷産業Annually Report Vol.5」(原統計=経済産業省「生産動態統計」)
2016201720182019202020212022202320242025
生産台数25,05224,43024,58718,57617,18618,82117,81717,48218,53615,431
読み解き

国内の印刷機械の生産台数は、2016年の25,052台から2025年には15,431台へと縮小し、2016年比でおよそ62%の水準になりました。2025年は前年比でも約16.8%の減少です。印刷需要の縮小で、印刷会社の設備投資が抑えられていることが背景にあります。印刷機械は印刷インキ・用紙とともに、川上から印刷需要の縮小を映す指標となっています。

川上資機材の生産動向(印刷インキ・機械・用紙)

インキ・機械・用紙の生産量の推移(2016年と2025年の比較)。単位が異なる別々の指標で、足し合わせるものではない

印刷インキ・印刷機械・印刷用紙の生産量は、2016年から2025年にかけていずれも縮小しました。とくに印刷用紙は約4割の減少と、川上のなかでも縮小が大きくなっています。3つは単位が異なる別々の指標(トン・台・トン)で、足し合わせるものではありませんが、いずれも印刷需要の縮小を供給側から裏づけています。

印刷インキ
生産量
2016年
346,913トン
2025年
253,901トン
変化
△27%
印刷機械
生産台数
2016年
25,052台
2025年
15,431台
変化
△38%
印刷用紙
生産量
2016年
6,919,188トン
2025年
4,083,908トン
変化
△41%

印刷インキ — グラビアがパッケージ需要を映す

印刷インキの生産量は、2016年の346,913トンから2025年には253,901トン(△27%)へ縮小しました。ただし、品種別の濃淡は大きく、最大品種のグラビアインキは2025年に118,652トンと、インキ全体の約47%を占めます。

グラビアインキは、軟包装などのパッケージ印刷に主に使われます。出版・商業印刷向けの平版(オフセット)インキが紙媒体の縮小で減るのに対し、グラビアは食品・日用品の包装需要を背景に相対的に底堅く、川上の数字にもパッケージの堅調さが表れています。主要メーカーには、グローバルに展開する化学メーカーのDIC、印刷インキ専業のサカタインクス、色材・機能性材料も手がけるartience(旧東洋インキ)などがあります。

印刷機械 — 設備投資の抑制で台数が縮小

印刷機械の生産台数は、2016年の25,052台から2025年には15,431台(△38%、2016年比約62%水準)へ減少しました。印刷需要の縮小で、印刷会社が新しい印刷機への投資を抑えていることが背景にあります。

主要メーカーの小森コーポレーションは、オフセット印刷機の大手で、紙幣・証券などを刷る証券印刷機にも強みを持ちます。印刷機械メーカーは、印刷物を作る印刷会社とは異なり、印刷の生産設備を供給する立場です。国内の印刷需要が縮むなかで、各社は海外市場の開拓や、デジタル印刷機・パッケージ向け機械などへ事業を広げています。

印刷用紙 — 川上で最も大きい縮小

印刷用紙の生産量は、2016年の6,919,188トンから2025年には4,083,908トン(△41%)へと、川上のなかで最も大きく縮小しました。新聞用紙や包装用紙などを含む紙全体でみても、生産量は2016年の12,091,822トンから2025年の7,192,669トンへ減っています。

紙の需要縮小は、出版・商業印刷の縮小やデジタル化を直接映すもので、製紙各社は印刷用紙の生産設備の停止・転換を進めています。一方で、ECの拡大を背景に板紙(段ボール原紙)など包装系の紙は底堅く、製紙業界でも印刷用紙から包装系へと比重が移っています。

連結売上高と市場規模は別物

川上の主要メーカーの規模をみるとき、注意したいのが連結売上高と市場規模の違いです。たとえば印刷インキのDICは、印刷インキ以外の機能性材料や海外事業を幅広く手がけるグローバル化学メーカーで、その連結売上高は印刷インキ市場の規模ではありません。印刷機械の小森コーポレーションも、海外売上やデジタル機などを含みます。

国内の印刷インキ・機械・用紙の量的な市場規模は、ここで示した生産動態統計の生産量でとらえるのが基本です。各社の連結売上高(企業ベース、多角化込み)と、生産量でみた市場規模(物量ベース)は別の見方であり、混同しないことが重要です。

主要論点

なぜ川上の資機材はそろって縮小しているのか?

印刷インキ・印刷機械・印刷用紙の生産量は、2016年から2025年にかけていずれも縮小しました。最大の理由は、印刷需要そのものの構造的な縮小です。出版印刷や商業印刷の紙需要が減れば、それを刷るためのインキ・機械・用紙の需要も連動して減ります。

とくに印刷用紙は約4割減と、川上で最も大きく縮小しました。紙媒体の電子化が直接効くためです。印刷機械は、需要縮小で印刷会社が設備投資を抑えるため、生産台数が減っています。川上3資機材の縮小は、印刷需要の縮小を供給側から裏づける指標といえます。

つまり、川上の縮小は印刷市場の縮小の「鏡」であり、印刷会社の動向と川上メーカーの動向は連動しています。

なぜグラビアインキは相対的に底堅いのか?

印刷インキ全体が縮小するなかで、最大品種のグラビアインキ(2025年118,652トン、インキ全体の約47%)は相対的に底堅く推移しています。その理由は、グラビアインキが主に軟包装などのパッケージ印刷に使われるためです。

出版・商業印刷向けの平版(オフセット)インキは、紙媒体の需要縮小をそのまま受けて減っています。一方、グラビアが使われる食品・日用品の包装は、景気変動の影響を受けにくく、ECの拡大も需要を支えています。パッケージ印刷市場が印刷分野のなかで底堅いことと、川上のグラビアインキの相対的な堅調さは整合しています。

このように、川上の数字を品種別にみると、印刷市場で起きている「出版・商業の縮小とパッケージの底堅さ」という二極化が、インキの品種の濃淡としても表れています。

川上メーカーの連結売上高を、市場規模とみてよいのか?

いいえ。川上メーカーの連結売上高を、そのまま「印刷インキ市場」や「印刷機械市場」の規模と捉えるのは誤りです。

印刷インキのDICは、印刷インキ以外の機能性材料や海外事業を幅広く手がけるグローバル化学メーカーで、連結売上高には印刷インキ以外が多く含まれます。印刷機械の小森コーポレーションも、海外売上やデジタル機などを含みます。各社の連結は、多角化を含む企業ベースの全社規模です。

国内の印刷インキ・機械・用紙の量的な市場規模は、生産動態統計の生産量(トン・台)でとらえるのが基本です。企業の連結売上高(金額・多角化込み)と、生産量でみた市場規模(物量ベース)は別の指標であり、規模を語るときはどちらの見方かを区別する必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

川上3資機材の生産量は、印刷需要の縮小を背景に、緩やかな減少が続くとみられます。なかでも印刷用紙の縮小は続く見通しです。一方、グラビアインキやパッケージ向けの資材は、包装需要を背景に相対的に底堅く推移するとみられ、川上でも分野ごとの濃淡が続きます。

中期3-5年

中期では、川上メーカーの事業の組み替えが進むとみられます。印刷機械メーカーは海外市場やデジタル印刷機・パッケージ向け機械へ、インキメーカーは機能性材料や軟包装向けへ、製紙各社は印刷用紙から板紙(包装系)へと、それぞれ縮小する印刷用から成長・底堅い領域へ比重を移します。

長期

長期では、国内の印刷需要の縮小を前提に、川上産業でも生産能力の集約・再編が進むとみられます。印刷用紙の生産設備の停止・転換、インキ・機械メーカーの海外展開や非印刷分野への多角化が、川上の構造を変えていきます。印刷会社と川上メーカーは、需要縮小という共通の課題のなかで、ともに事業の組み替えを迫られています。

よくある質問

印刷の川上にはどんな産業がありますか?
印刷物の生産を支える川上には、印刷機械・印刷インキ・印刷用紙のメーカーがあります。印刷機械では小森コーポレーション、印刷インキではDIC・サカタインクス・artience(旧東洋インキ)、印刷用紙では製紙各社などが代表的です。これらは印刷物を作る印刷会社とは異なり、印刷の生産設備や資材を供給する立場です。
印刷機械・インキ・用紙の生産量はどう変化していますか?
2016年から2025年にかけて、いずれも縮小しています。印刷インキは346,913トンから253,901トン(△27%)、印刷機械は25,052台から15,431台(△38%)、印刷用紙は6,919,188トンから4,083,908トン(△41%)へ減少しました(経済産業省 生産動態統計)。印刷需要の縮小を供給側から裏づけています。
グラビアインキはなぜ底堅いのですか?
グラビアインキ(2025年118,652トン、印刷インキ全体の約47%)は、主に軟包装などのパッケージ印刷に使われるためです。出版・商業印刷向けの平版インキが紙媒体の縮小で減るのに対し、食品・日用品の包装需要は底堅く、ECの拡大も支えています。印刷市場の「出版・商業の縮小とパッケージの底堅さ」が、インキの品種の濃淡にも表れています。
印刷用紙はなぜ大きく減っているのですか?
印刷用紙の生産量は2016年から2025年で約4割減と、川上で最も大きく縮小しました。出版・商業印刷の縮小と紙媒体の電子化が直接効くためです。製紙各社は印刷用紙の生産設備の停止・転換を進める一方、ECの拡大を背景に板紙(段ボール原紙)など包装系の紙は底堅く、製紙業界でも印刷用紙から包装系へ比重が移っています。
印刷機械メーカーの売上高は印刷機械市場の規模ですか?
いいえ。小森コーポレーションやDICなど川上メーカーの連結売上高は、海外事業や非印刷事業を含む企業ベースの全社規模で、国内の印刷機械・インキ市場そのものではありません。国内市場の量的な規模は、生産動態統計の生産量(台・トン)でとらえるのが基本です。連結売上高(金額・多角化込み)と生産量でみた市場規模(物量ベース)は別の見方になります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本印刷産業連合会「印刷産業Annually Report Vol.5」(原統計=経済産業省 生産動態統計)
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