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パッケージ印刷の市場規模|市場の推移と底堅さの背景【2026年版】

パッケージ印刷は、縮小が続く印刷業界のなかで数少ない底堅い領域です。矢野経済研究所のパッケージ印刷市場は2024年度に1兆5,204億円で、前年度を+2.2%上回りました。食品や日用品、医薬品、化粧品などの包装は景気変動に左右されにくく、ECの拡大も需要を支えています。軟包装と紙器を中心とするパッケージ印刷市場の推移と、底堅さの背景を整理します。

パッケージ印刷市場(2024年度)
1.52兆円
1兆5,204億円。軟包装と紙器のコンバーティング市場
出典: 矢野経済研究所 パッケージ印刷市場
2024年度の前年度比
+2.2%
2023年度1兆4,883億円から増加
出典: 矢野経済研究所 パッケージ印刷市場
2025年度見込
1.54兆円
1兆5,440億円。最新の見込
出典: 矢野経済研究所 パッケージ印刷市場
2019年度(系列の起点)
1.38兆円
1兆3,798億円。2019年度比で約10.2%増加
出典: 矢野経済研究所 パッケージ印刷市場

パッケージ印刷市場の推移(2019-2024年度、億円)

軟包装と紙器のコンバーティング市場。2020年度に一時減少した後は回復し、2024年度は1兆5,204億円と系列で最も高い水準
単位: 億円
05,00010,00015,00020,00013,7981913,4392013,6212114,4222214,8832315,20424
出典: 矢野経済研究所 パッケージ印刷市場(軟包装と紙器のコンバーティング市場、事業者売上高ベース)
年度201920202021202220232024
パッケージ印刷市場億円13,79813,43913,62114,42214,88315,204
前年比-2.6%+1.4%+5.9%+3.2%+2.2%
読み解き

パッケージ印刷市場は、2020年度に新型コロナの影響で一時減少したものの、その後は回復し、2024年度は1兆5,204億円と系列のなかで最も高い水準となりました。系列の起点である2019年度の1兆3,798億円と比べても約10.2%増加しており、印刷業界全体が縮小するなかで底堅く推移しています。

2024年度の前年度比は+2.2%で、緩やかな成長が続いています。矢野経済研究所の2025年調査では、2025年度を1兆5,440億円と見込んでおり、食品・日用品・医薬品などの安定した包装需要を背景に、底堅い推移が続く見通しが示されています。

パッケージ印刷の製品分野(軟包装・紙器)

パッケージ印刷市場は軟包装と紙器のコンバーティング(印刷・加工)からなる。紙コップ・液体容器・段ボール・無地の簡易箱などは調査の対象外
軟包装(フレキシブルパッケージ)
内容
プラスチックフィルムやアルミ箔をラミネートした基材など、柔らかい包装材への印刷・加工。中身を保護するバリア性や密封性が求められる。
主な需要分野
食品(主力)、日用品、医薬品、化粧品など
紙器(カートン)
内容
紙を成形した箱・容器への印刷・加工。商品の個装箱として、見栄えや成形のしやすさが求められる。
主な需要分野
化粧品、医薬品、食品の個装箱など
読み解き

パッケージ印刷市場は、フィルムなどへの印刷・加工を指すコンバーティングの市場で、軟包装と紙器が中心です。紙コップや液体容器、段ボール、無地の簡易箱などはこの調査の対象には含まれません。

需要を支えているのは、生活必需品の包装です。矢野経済研究所によると、食品が主力で、OTC医薬品(処方箋なしで購入できる一般用医薬品)や指定医薬部外品、化粧品の包装が続きます。後発薬の普及を背景に、ジェネリック医薬品の包装需要も復調しています。これらは景気変動に左右されにくく、パッケージ印刷の底堅さを支えています。

主要論点

なぜパッケージ印刷は底堅いのか?

出版・商業印刷が縮小するなかで、パッケージ印刷は数少ない底堅い領域です。矢野経済研究所のパッケージ印刷市場は2024年度に1兆5,204億円で、前年度を+2.2%上回りました。

底堅さの背景には、生活必需品の包装需要があります。食品や日用品、医薬品、化粧品の包装は、景気が変動しても大きくは減りません。チラシやカタログのようにデジタルへ置き換えられる印刷物と異なり、包装は中身を保護し商品の一部として機能するため、モノが動く限り需要が残ります。

ECの拡大も追い風です。通信販売で商品が送られる際の包装や、店頭で手に取られる商品の外装など、流通の現場で包装は欠かせません。包装は中身を入れ替えても繰り返し必要とされ、出版や商業印刷のように一度きりで役目を終える印刷物とは需要の性質が異なります。

パッケージ印刷の成長は今後も続くのか?

矢野経済研究所の2025年調査では、パッケージ印刷市場は2025年度に1兆5,440億円と見込まれ、底堅い推移が続く見通しです。食品や日用品、医薬品の安定した包装需要に加え、後発薬の普及によるジェネリック医薬品の包装需要の復調が、市場を支えています。

環境対応も、紙系のパッケージには追い風となる面があります。脱プラスチックや紙化の流れのなかで、プラスチック容器から紙器・紙製パッケージへの置き換えが一部で進んでおり、紙器の需要を下支えしています。

一方で、課題もあります。原材料となるフィルムや紙、インキの価格上昇、印刷加工を担う人手の不足は、パッケージ印刷でも経営環境に影響します。安定した需要を背景にしつつ、価格転嫁や生産性の向上をどう進めるかが、成長を持続させる鍵となります。

一般印刷の縮小と、なぜ方向が分かれるのか?

印刷需要は分野によって二極化しています。出版・商業を中心とする一般印刷市場が2019年度に3兆4,391億円と縮小する一方、パッケージ印刷市場は2024年度に1兆5,204億円と底堅く推移しています。両者は別々の調査で、市場の定義が異なるため足し合わせることはできませんが、方向の違いは印刷需要の構造を映しています。

方向を分けているのは、印刷物が果たす役割の違いです。商業印刷のチラシ・カタログや、出版印刷の書籍・雑誌は、情報を伝える媒体であり、デジタルへ置き換えやすい性質があります。一方、パッケージ印刷の包装は、商品を保護し陳列・流通させるために物理的に必要で、簡単には置き換えられません。

この違いから、印刷各社は事業の重心を移しつつあります。縮小する出版・商業印刷から、底堅い包装や機能性の高い分野へと投資や人員を振り向ける動きが、業界全体で進んでいます。

中期見通し

近未来1-2年

近未来は、食品・日用品・医薬品の安定した包装需要を背景に、底堅い推移が続くとみられます。矢野経済研究所は2025年度を1兆5,440億円と見込んでおり、緩やかな成長が見込まれます。一方で、フィルム・紙・インキの価格上昇や人手不足が、収益面の課題として残ります。

中期3-5年

中期では、脱プラスチックや紙化の流れが紙器・紙系パッケージの需要を下支えする一方、軟包装でも環境配慮型の素材への切り替えが進む見通しです。印刷各社は、縮小する出版・商業印刷からパッケージ印刷へ事業の重心を移し、機能性の高い包装や環境対応型の包装で付加価値を高める動きを続けるとみられます。

長期

長期では、包装が物理的に必要とされる限り、パッケージ印刷は印刷業界のなかで底堅い分野であり続けるとみられます。ただし、環境規制への対応、素材の転換、リサイクル性の向上など、求められる要件は高度化していきます。安定した需要に応えつつ、環境と機能を両立する包装をどう実現するかが、長期的な競争力を左右します。

よくある質問

パッケージ印刷の市場規模はどのくらいですか?
矢野経済研究所のパッケージ印刷市場は、2024年度に1兆5,204億円です。前年度を+2.2%上回り、系列の起点である2019年度の1兆3,798億円と比べても約10.2%増加しています。軟包装と紙器のコンバーティング市場を事業者売上高ベースで集計したもので、2025年度は1兆5,440億円と見込まれています。
なぜパッケージ印刷は底堅いのですか?
食品や日用品、医薬品、化粧品などの包装は、景気変動の影響を受けにくいためです。チラシや書籍のような情報伝達の印刷物はデジタルへ置き換えられますが、包装は中身を保護し商品の一部として機能するため、モノが動く限り需要が残ります。ECの拡大も、流通の現場での包装需要を支えています。
パッケージ印刷の軟包装と紙器とは何ですか?
軟包装(フレキシブルパッケージ)は、プラスチックフィルムやアルミ箔をラミネートした基材など、柔らかい包装材への印刷・加工で、食品や日用品の包装に使われます。紙器(カートン)は、紙を成形した箱・容器への印刷・加工で、化粧品や医薬品、食品の個装箱に使われます。パッケージ印刷市場はこの2つのコンバーティング(印刷・加工)からなります。
パッケージ印刷は一般印刷市場に含まれますか?
含まれません。パッケージ印刷市場と一般印刷市場は、矢野経済研究所の別々の調査で、市場の定義が異なります。一般印刷市場は出版・商業・証券カード・ビジネスフォームの4分野で、2019年度に3兆4,391億円でした。パッケージ印刷市場(2024年度1兆5,204億円)とは集計範囲が異なるため、足し合わせることはできません。
パッケージ印刷の需要を支えているのは何ですか?
矢野経済研究所によると、食品が主力で、OTC医薬品(処方箋なしで購入できる一般用医薬品)や指定医薬部外品、化粧品の包装が続きます。後発薬の普及でジェネリック医薬品の包装需要も復調しています。また、脱プラスチックや紙化の流れが、紙器・紙系パッケージの需要を下支えしています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    矢野経済研究所 パッケージ印刷市場
  2. 2.
    矢野経済研究所 一般印刷市場
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