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主要印刷会社の比較|大手2社の連結と印刷セグメント【2026年版】

印刷業界は、大日本印刷とTOPPANホールディングスの大手2社が中核を担っています。連結売上高はTOPPANが1兆7,180億円で首位、大日本印刷は1兆4,576億円ながら利益は2社で首位です。ただし連結は事業多角化を含む全社の規模で、印刷市場の規模そのものではありません。印刷中核のセグメント、中堅の上場各社、地域の中小零細まで、印刷会社の顔ぶれを整理します。

主要印刷会社の連結業績と印刷中核セグメント(FY2025)

連結は事業多角化を含む全社ベースで、印刷市場の規模ではない。印刷を中核とするセグメントを別列で示す。中堅は印刷を主軸とするが報告セグメントとして印刷を分離開示していない

連結売上高では、TOPPANが1兆7,180億円で大手2社の首位、DNPが1兆4,576億円で続きます。一方、利益はDNPが営業利益936億円・純利益1,107億円と、TOPPAN(営業利益841億円・純利益893億円)を上回ります。

印刷を中核とするセグメントは、TOPPANの情報コミュニケーションが9,294億円、DNPのスマートコミュニケーションが7,156億円で、いずれも連結の半分前後です。連結の残りや利益の多くは、エレクトロニクス(半導体関連)など印刷以外の事業が生み出しています。中堅の共同印刷(連結1,000億円)・光村印刷とは、規模の桁が大きく異なります。

大日本印刷
大手2社 — 印刷+エレクトロニクス・生活産業
連結売上高
14,576億円
連結営業利益
936億円
連結純利益
1,107億円
印刷中核セグメント売上
7,156億円
TOPPANホールディングス
大手2社 — 印刷+生活産業・エレクトロニクス
連結売上高
17,180億円
連結営業利益
841億円
連結純利益
893億円
印刷中核セグメント売上
9,294億円
共同印刷
中堅 — 出版印刷・情報セキュリティ
連結売上高
1,000億円
連結営業利益
23億円
連結純利益
33億円
印刷中核セグメント売上
光村印刷
中堅 — 商業印刷
連結売上高
148億円
連結営業利益
△1.6億円
連結純利益
0.7億円
印刷中核セグメント売上

大日本印刷 — 利益首位、エレクトロニクスへ多角化

印刷を出自に、エレクトロニクスと生活産業へ多角化した総合メーカーです。印刷中核のスマートコミュニケーション(出版・商業印刷、情報セキュリティ、BPOなど)が7,156億円で、連結1兆4,576億円のおよそ半分を占めます。残りは、半導体回路の原版となるフォトマスクなどの半導体関連部材を手がけるエレクトロニクス、包装や産業用高機能材料を手がけるライフ&ヘルスケアです。

特徴は、印刷以外の事業が利益の柱になっている点です。エレクトロニクスは売上規模こそ中核セグメントより小さいものの、営業利益は574億円と高く、連結営業利益936億円を下支えしています。海外売上高も3,525億円に達し、純利益1,107億円・営業利益936億円はいずれも大手2社で首位です。印刷で培った微細加工やコーティングの技術を、半導体や電池材料といった成長分野へ転用する戦略が、縮小する印刷の影響を和らげています。

TOPPANホールディングス — 売上首位、情報コミュニケーションが中核

旧・凸版印刷で、2023年に持株会社制へ移行しました。連結売上高1兆7,180億円は大手2社の首位です。印刷中核の情報コミュニケーション(セキュア印刷、BPO、ICカードなど)が9,294億円と最大のセグメントで、生活・産業(パッケージ、機能性フィルム)、エレクトロニクスがこれに続きます。

DNPと同様に、エレクトロニクスが高い収益性を持ちます。半導体チップを載せる半導体パッケージ基板を手がけるエレクトロニクスは、営業利益521億円と、売上規模に比べて利益貢献が大きい事業です。連結営業利益は841億円・純利益は893億円で、売上では首位ながら利益額ではDNPをやや下回ります。半導体パッケージ基板やディスプレイ関連など、印刷で培った技術を電子部品分野へ広げる多角化を進めています。

共同印刷 — 出版印刷の中堅大手

出版印刷を軸とする中堅大手で、連結売上高は1,000億円です。書籍・雑誌などの出版印刷に加え、ICカードなどの情報セキュリティ、軟包装などの生活資材を組み合わせ、印刷需要の縮小を多角化で補おうとしています。

大手2社とは規模の桁が異なり、連結営業利益は23億円と利益率は高くありませんが、出版印刷という縮小分野に依存しすぎないよう、セキュリティや包装といった底堅い領域へ事業を広げている点が特徴です。

光村印刷 — 商業印刷の中堅

商業印刷を主軸とする中堅で、連結売上高は148億円です。チラシ・カタログなどの販促物の印刷を中心とし、紙媒体・販促のデジタル化による商業印刷の縮小を、最も直接的に受ける立ち位置にあります。

FY2025の連結営業損益は△1.6億円と小幅な赤字で、純利益も0.7億円とわずかでした。商業印刷の単価下落と需要縮小が続くなかで、印刷物の高付加価値化や周辺サービスへの展開が、中堅・専業の印刷会社に共通する課題となっています。

中堅・関連のプレイヤー

このほか、図書印刷はTOPPANホールディングスの系列で、出版印刷を主力とする中堅です。広済堂ホールディングスは、印刷を出自としながら葬祭・人材サービスなどへ多角化した中堅の持株会社で、連結業績は印刷以外の事業の比重が大きい点に注意が必要です。

なお、小森コーポレーションなどの印刷機械メーカーは、印刷物を作る印刷会社とは異なり、印刷の生産設備を供給する川上のプレイヤーです。インキ・用紙メーカーとあわせて、印刷会社の事業を支える供給側に位置します。

主要論点

大手2社はなぜ連結規模を保てているのか?

印刷市場が長期的に縮小するなかで、大日本印刷とTOPPANホールディングスは連結売上高で1兆4,576億円・1兆7,180億円という規模を保っています。その理由は、印刷以外の事業への多角化にあります。

両社とも、印刷を中核とするセグメントは連結の半分前後で、残りはエレクトロニクスや生活産業です。とくにエレクトロニクスは、DNPのフォトマスクやTOPPANの半導体パッケージ基板など、印刷で培った微細加工の技術を半導体分野へ転用した事業で、営業利益でそれぞれ574億円・521億円と高い収益性を持ちます。

つまり、両社の連結業績は「印刷会社」というより「印刷を出自とする総合メーカー」のものに近く、印刷の縮小を非印刷の成長で相殺する構造になっています。この点が、多角化の余力が小さい中堅・専業の印刷会社との大きな違いです。

連結売上高と印刷中核セグメントは、どう読み分けるべきか?

大手2社の連結売上高(DNP1兆4,576億円・TOPPAN1兆7,180億円)を、そのまま「印刷市場の規模」と捉えるのは誤りです。連結はエレクトロニクスや生活産業を含む全社の数値で、印刷の規模を示すものではありません。

印刷の規模に近いのは、印刷を中核とするセグメントです。DNPのスマートコミュニケーション7,156億円、TOPPANの情報コミュニケーション9,294億円がこれにあたります。ただし、これらにも情報セキュリティやBPOなど印刷以外の要素が含まれ、純粋な「印刷」だけを取り出した数値ではありません。

さらに、これらの企業ベースのセグメント数値は、事業所ベースで業界全体を捉える製造品出荷額等(2023年5兆934億円)とも集計の基準が異なります。各社の規模を引用するときは、連結なのか印刷中核セグメントなのか、企業ベースか事業所ベースかを区別し、安易に足し合わせないことが重要です。

中堅・専業の印刷会社はどう生き残るのか?

共同印刷(連結1,000億円)や光村印刷などの中堅は、大手2社とは規模の桁が異なり、多角化の余力も限られます。そのなかで、紙媒体の需要縮小に各社それぞれの方向で向き合っています。

共同印刷は、出版印刷を軸にICカードなどの情報セキュリティや軟包装などの生活資材へ広げ、縮小分野への依存を下げようとしています。一方、商業印刷を主軸とする光村印刷はFY2025に営業損益が小幅赤字となり、商業印刷の縮小の影響をより直接的に受けています。

中堅・専業に共通する課題は、価格競争に陥りやすい印刷の請負から、企画・データ活用・周辺サービスを含む付加価値型の事業への転換です。全日本印刷工業組合連合会が呼びかけてきた業態変革の流れのなかで、縮小する市場でどの領域に強みを築けるかが、生き残りを左右します。

中期見通し

近未来1-2年

大手2社の連結業績は、エレクトロニクスなど非印刷事業の動向に大きく左右される局面が続きます。半導体関連の需要が、印刷中核セグメントの緩やかな縮小を補えるかが焦点です。中堅・専業の印刷会社は、商業印刷の単価下落と需要縮小への対応が引き続き課題となります。

中期3-5年

大手2社は、印刷で培った技術を半導体・電池材料・機能性フィルムなどの成長分野へ転用する多角化をさらに進める見通しです。印刷中核セグメントの位置づけは相対的に下がり、連結業績に占める非印刷の比重が高まっていくとみられます。中堅は、セキュリティ・包装・デジタルサービスなど、強みを絞った領域での生き残りを図ります。

長期

長期では、大手2社が「印刷を出自とする総合メーカー」としての性格をさらに強め、印刷事業は技術や顧客基盤を支える源泉という位置づけになっていくとみられます。一方、中堅・専業の印刷会社や地域の中小零細は、需要縮小と事業承継の課題のなかで、再編・統合や業態転換が進む可能性があります。

よくある質問

印刷業界の主要企業はどこですか?
印刷業界は、大日本印刷(DNP)とTOPPANホールディングスの大手2社が中核を担っています。連結売上高はTOPPANが1兆7,180億円で首位、DNPが1兆4,576億円です。中堅では共同印刷(連結1,000億円)や光村印刷などが上場し、その下に地域の商業印刷を担う多数の中小零細が広がっています。
DNPとTOPPANはどちらが大きいですか?
連結売上高ではTOPPANが1兆7,180億円で首位、DNPは1兆4,576億円です。一方、利益はDNPが営業利益936億円・純利益1,107億円で、TOPPAN(営業利益841億円・純利益893億円)を上回ります。売上はTOPPAN、利益はDNPが首位という関係で、どちらか一方を「最大手」と断じるより、性格の異なる大手2社と捉えるのが実態に近いです。
大手2社の連結売上高は印刷市場の規模ですか?
いいえ。連結売上高(DNP1兆4,576億円・TOPPAN1兆7,180億円)は、エレクトロニクスや生活産業など印刷以外の事業を含む全社の規模です。印刷の規模に近いのは印刷中核セグメントで、DNPのスマートコミュニケーションが7,156億円、TOPPANの情報コミュニケーションが9,294億円と、いずれも連結の半分前後です。事業所ベースの製造品出荷額等(5兆934億円)とも基準が異なるため、足し合わせることはできません。
大日本印刷やTOPPANは印刷以外に何をしていますか?
両社とも、印刷で培った微細加工やコーティングの技術を半導体・電子部品分野へ転用しています。DNPはフォトマスク、TOPPANは半導体パッケージ基板などのエレクトロニクス事業を手がけ、これらは売上規模に比べて利益貢献が大きい高収益事業です。このほか、包装・機能性フィルムなどの生活産業も展開しています。
中堅の印刷会社にはどんな会社がありますか?
共同印刷(連結1,000億円、出版印刷・情報セキュリティ・生活資材)、光村印刷(商業印刷)などが上場する中堅です。図書印刷はTOPPANホールディングスの系列で出版印刷を主力とし、広済堂ホールディングスは印刷を出自に葬祭・人材サービスなどへ多角化しています。大手2社とは規模の桁が異なり、それぞれの強みを絞った領域で印刷需要の縮小に向き合っています。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    大日本印刷 統合報告書2025・2025年3月期決算短信
  2. 2.
    TOPPANホールディングス 有価証券報告書(第179期、EDINET)
  3. 3.
    EDINET(金融庁)共同印刷・光村印刷 有価証券報告書
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