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印刷業界の市場規模|製造品出荷額の長期縮小と統計の見方【2026年版】

日本の印刷業界の市場規模は、製造品出荷額等(事業所が出荷した製品の金額)でみて2023年に5兆934億円です。1991年をピークに長期的な縮小が続いており、2004年の7兆2,127億円からも約29%減少しました。工程別では印刷業が約91%を占めます。なお、業界規模は統計によって捉え方が異なり、企業全体の売上を捉える法人企業統計では8兆8,730億円(2024年度)となります。製造品出荷額等の推移・工程別の内訳・統計による規模の違いを順に整理します。

製造品出荷額等(2023年)
5.09兆円
5兆934億円。印刷・同関連業の事業所ベース
出典: 日本印刷産業連合会(原統計=経済構造実態調査)
2004年からの縮小
約29%減
2004年7兆2,127億円から2023年5兆934億円へ
出典: 日本印刷産業連合会(原統計=工業統計調査・経済構造実態調査)
印刷業(2023年、工程別最大)
4.64兆円
4兆6,395億円。印刷産業計の約91%
出典: 日本印刷産業連合会(原統計=経済構造実態調査)
印刷業の構成比(2023年)
91.1%
工程別5区分のうち印刷業が大半を占める
出典: 日本印刷産業連合会(原統計=経済構造実態調査)

印刷産業の製造品出荷額等の推移(2004-2023年、億円)

2004年7兆2,127億円から2023年5兆934億円へ長期縮小。1991年がピーク。2020年までと2021年以降は調査が異なり接続して比較できないため前年比は表示しない
単位: 億円
020,00040,00060,00080,00072,1270471,2020561,7611054,5821546,6302050,93423
出典: 日本印刷産業連合会「印刷産業Annually Report」(原統計=工業統計調査・経済センサス‐活動調査・経済構造実態調査)
20042005200620072008200920102011201220132014201520162017201820192020202120222023
製造品出荷額等億円72,12771,20270,10871,41769,03763,20561,76157,08756,17055,45055,36554,58252,75352,37849,82949,98146,63048,56150,46850,934
読み解き

印刷産業の製造品出荷額等は、1991年をピークに長期的な縮小が続いています。2004年の7兆2,127億円から2023年の5兆934億円まで、約20年でおよそ29%が失われました。出版印刷や商業印刷を中心とした紙媒体の需要縮小が、その背景にあります。

この系列は、2020年までが工業統計調査・経済センサス、2021年以降が経済構造実態調査によるもので、調査の母集団が異なるため接続して前年比を計算できません。そのうえで、同じ経済構造実態調査でみた直近では、2021年から2022年が+3.9%、2022年から2023年が+0.9%と、足元の金額はいったん下げ止まってみえます。ただしこれは紙価格の上昇や包装需要などの名目要因が大きく、数量ベースの縮小傾向は続いているとみられます。

印刷産業の工程別内訳(2023年、億円)

製造品出荷額等を構成する工程別4区分。印刷業・製版業・製本業/印刷物加工業・印刷関連サービス業
項目製造品出荷額等(億円)構成比シェア
印刷業46,39591.1%
製版業2,8115.5%
製本業・印刷物加工業1,6183.2%
印刷関連サービス業1110.2%
印刷産業計50,935100.0%
読み解き

印刷産業計5兆934億円のうち、最も大きいのは印刷を担う印刷業で4兆6,395億円(構成比約91%)です。印刷業が出荷額の大半を占め、製版業(2,811億円)、製本業・印刷物加工業(1,618億円)、印刷関連サービス業(111億円)が続きます。

製版や製本・加工は、元請の印刷会社から工程を請け負う専門の事業者が担うことが多く、印刷業を中心とした重層的な分業構造になっています。なお、四捨五入のため工程別の内訳の合計(5兆935億円)は、印刷産業計(5兆934億円)と1億円の差が生じます。

統計でみた印刷業界の規模(集計範囲の違い)

製造品出荷額等・法人企業統計・矢野一般印刷は集計の対象や基準が異なる別々の指標で、足し合わせるものではない。業界の生産規模を時系列でみる基本指標は製造品出荷額等
製造品出荷額等
規模
5兆934億円(2023年)
集計の対象範囲
印刷・同関連業の事業所が出荷した製造品の金額(事業所ベース)。本ページの主指標
法人企業統計 売上高
規模
8兆8,730億円(2024年度)
集計の対象範囲
印刷業の企業の売上高(企業ベース、印刷以外の事業も含む全社の売上)
矢野 一般印刷市場
規模
3兆4,391億円(2019年度)
集計の対象範囲
出版・商業・証券カード・ビジネスフォーム印刷の事業者売上高(用途別、最新調査は2020年)
読み解き

印刷業界の規模としてよく使われる数字には、いくつかの種類があります。事業所が出荷した製造品の金額をとらえる製造品出荷額等は5兆934億円(2023年)で、業界の生産規模を示す主指標です。一方、企業全体の売上高をとらえる法人企業統計では8兆8,730億円(2024年度)と大きくなります。これは、印刷会社が印刷以外の事業も手がけており、企業ベースではその売上も含まれるためです。

用途別に集計した矢野経済研究所の一般印刷市場は3兆4,391億円(2019年度)で、出版・商業・証券カード・ビジネスフォームの4分野を事業者売上高ベースで集計したものです。これらは集計の対象や基準が異なるため、規模を引用するときはどの統計かを確認する必要があり、互いに足し合わせることはできません。

主要論点

なぜ印刷の出荷額は長期的に縮小しているのか?

印刷産業の製造品出荷額等は、1991年のピークから2023年の5兆934億円まで、長期的に縮小してきました。2004年の7兆2,127億円と比べても約29%減少しています。

縮小の中心にあるのは、紙媒体の需要の構造的な減少です。インターネットやスマートフォンの普及で、書籍・雑誌の出版印刷や、チラシ・カタログなどの商業印刷の需要が減り続けています。企業のペーパーレス化や、広告のオンラインシフトも、印刷需要を押し下げる要因です。

一方で、食品や日用品の包装に使われるパッケージ印刷は底堅く推移しており、分野によって明暗が分かれています。印刷業界全体としては、紙媒体の縮小をパッケージや事業の多角化でどう補うかが、長期的な課題となっています。

統計によって規模が違うのはなぜか、どれを見ればよいのか?

印刷業界の規模は、どの統計で捉えるかによって数字が変わります。事業所の製造品出荷に着目する製造品出荷額等は5兆934億円(2023年)、企業全体の売上高を捉える法人企業統計は8兆8,730億円(2024年度)、用途別に集計する矢野の一般印刷市場は3兆4,391億円(2019年度)です。

これらは、集計の単位(事業所か企業か)や対象範囲(製造品の出荷か、印刷以外を含む全社売上か、用途別の事業者売上か)が異なります。法人企業統計が大きいのは、印刷会社が印刷以外の事業も手がけており、その売上も企業ベースでは含まれるためです。

業界の生産規模を時系列でみるなら、事業所ベースで長期系列のある製造品出荷額等が基本の指標です。企業の経営動向をみるなら法人企業統計、用途別の動きをみるなら矢野の調査というように、目的に応じて使い分け、複数を足し合わせないことが大切です。

直近の出荷額の下げ止まりは、回復といえるのか?

製造品出荷額等は、同じ経済構造実態調査でみた2021年から2023年にかけて、2022年が+3.9%、2023年が+0.9%と、足元の金額はいったん下げ止まってみえます。

ただし、この下げ止まりは名目の金額の動きです。背景には、用紙やインキの価格上昇による印刷料金への転嫁や、底堅いパッケージ需要があり、数量ベースの印刷需要が増えているわけではありません。むしろ出版印刷や商業印刷の数量は縮小が続いているとみられます。

また、2020年までと2021年以降は調査の母集団が異なり、長期の前年比を単純に計算できない点にも注意が必要です。直近の金額が横ばいにみえても、紙媒体の需要が構造的に縮小している基調は変わっておらず、名目と実質、金額と数量を切り分けて捉える必要があります。

中期見通し

近未来1-2年

近未来は、名目の出荷額は下げ止まりつつも、実質的な縮小が続くとみられます。用紙・インキの価格上昇の転嫁や、底堅いパッケージ需要が金額を支える一方、出版印刷・商業印刷の数量縮小は続く見通しです。価格転嫁が一巡すると、名目でも縮小が再び表面化する可能性があります。

中期3-5年

中期では、紙媒体の需要縮小という基調は変わらず、製造品出荷額等は緩やかな縮小傾向が続く見通しです。そのなかで、成長領域のパッケージ印刷や、大手2社が進める事業の多角化が、業界全体の規模をどこまで下支えできるかが焦点となります。

長期

長期では、出版・商業印刷の構造的な縮小と、パッケージや非印刷分野への事業転換が、印刷業界の規模と姿を決めていきます。市場規模の数字を読む際は、製造品出荷額等・法人企業統計・矢野一般印刷といった統計の集計範囲の違いと、調査の切り替わり(2020年までと2021年以降で母集団が異なる点)を踏まえることが前提となります。

よくある質問

日本の印刷業界の市場規模はどのくらいですか?
製造品出荷額等でみて、2023年に5兆934億円です(日本印刷産業連合会、原統計=経済構造実態調査)。1991年のピークから長期的に縮小しており、2004年の7兆2,127億円からも約29%減少しています。企業全体の売上を捉える法人企業統計では2024年度に8兆8,730億円と、集計範囲の違いから数字が大きくなります。
印刷市場のピークはいつで、どのくらい縮小しましたか?
製造品出荷額等は1991年がピークで、そこから長期的に縮小してきました。集計範囲が確認できる2004年の7兆2,127億円と比べても、2023年は5兆934億円と約29%減少しています。1991年の正確な金額は、現在の統計データベースでさかのぼれないため、ピークの水準としての参照にとどめています。
なぜ統計によって印刷業界の規模が違うのですか?
事業所の製造品出荷に着目する製造品出荷額等は5兆934億円(2023年)、企業全体の売上を捉える法人企業統計は8兆8,730億円(2024年度)、用途別に集計する矢野の一般印刷市場は3兆4,391億円(2019年度)です。集計の単位や対象範囲が異なるため数字が変わり、互いに足し合わせることはできません。業界の生産規模を時系列でみるなら、製造品出荷額等が基本の指標です。
印刷産業の工程別の内訳はどうなっていますか?
2023年の製造品出荷額等5兆934億円のうち、印刷を担う印刷業が4兆6,395億円で約91%を占めます。残りは製版業(2,811億円)、製本業・印刷物加工業(1,618億円)、印刷関連サービス業(111億円)で、製版や製本などの工程を専門に担う事業者が分業しています。
直近の出荷額が下げ止まっているのは回復ですか?
同じ経済構造実態調査でみた2021年から2023年は、2022年が+3.9%、2023年が+0.9%と金額はいったん下げ止まってみえます。ただし背景は用紙・インキの価格上昇の転嫁や底堅い包装需要といった名目要因で、数量ベースの紙媒体需要は縮小が続いているとみられます。名目と実質、金額と数量を切り分けて捉える必要があります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    日本印刷産業連合会「印刷産業Annually Report Vol.5」(2026年4月)
  2. 2.
    財務省 法人企業統計調査(印刷業)
  3. 3.
    矢野経済研究所 一般印刷市場
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