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印刷業界の分野別市場|一般印刷4分野と出版・商業の縮小【2026年版】

印刷の需要は分野によって明暗が分かれています。矢野経済研究所の一般印刷市場は2019年度に3兆4,391億円で、出版印刷と最大分野の商業印刷の縮小が全体を押し下げる一方、証券関連・カード印刷は増加しています。これに対し、別に調査されるパッケージ印刷市場は1兆5,204億円(2024年度)と底堅く、印刷通販も1,237億円(2021年)へ拡大しました。一般印刷の4分野の内訳と、分野別にみた印刷需要の二極化を整理します。

一般印刷市場(2019年度)
3.44兆円
3兆4,391億円。出版・商業・証券カード・ビジネスフォームの4分野計
出典: 矢野経済研究所 一般印刷市場
2013年度(系列の起点)
3.61兆円
3兆6,118億円。ここから2019年度まで約4.8%縮小
出典: 矢野経済研究所 一般印刷市場
一般印刷の最大分野
商業印刷
チラシ・カタログ等の販促物。印刷需要の縮小と販促のデジタル化で減少
出典: 矢野経済研究所 一般印刷市場

一般印刷市場の推移(2013-2019年度、億円)

出版・商業を中心とする一般印刷4分野の合計。2013年度3兆6,118億円から2019年度3兆4,391億円へ緩やかに縮小。最新実績は2019年度(矢野2020年調査が最新の一般印刷市場調査)
単位: 億円
010,00020,00030,00040,00036,1181335,7371435,7211535,3171634,9411734,5321834,39119
出典: 矢野経済研究所「2020年版 印刷企業の徹底分析」(一般印刷市場、事業者売上高ベース)
年度2013201420152016201720182019
一般印刷市場億円36,11835,73735,72135,31734,94134,53234,391
前年比-1.1%+0.0%-1.1%-1.1%-1.2%-0.4%
読み解き

一般印刷市場は、2013年度の3兆6,118億円から2019年度の3兆4,391億円まで、6年間で約4.8%縮小しました。書籍・雑誌の出版印刷や、チラシ・カタログなどの商業印刷の需要が、紙媒体の縮小と販促のデジタル化を背景に減り続けていることが主な要因です。

この系列は矢野経済研究所の2020年調査によるもので、最新の確定実績は2019年度です。同じ調査では、2020年度を3兆1,940億円(-7.1%)、2021年度を3兆740億円と見込んでおり、縮小が続く見通しが示されていました。なお、最新時点での業界全体の規模をみるなら、より新しい製造品出荷額等(2023年)が基本の指標となります。

一般印刷4分野の傾向(出版・商業・証券カード・ビジネスフォーム)

一般印刷市場を構成する4分野の近年の方向と内容。分野ごとに金額の内訳は公表されていないため、増減の方向で整理
商業印刷
近年の傾向
減少
分野の内容と背景
チラシ・カタログ・パンフレットなどの販促物の印刷。一般印刷の最大分野だが、印刷物需要の縮小と販促のデジタル化が逆風で、減少が続く。
出版印刷
近年の傾向
減少
分野の内容と背景
書籍・雑誌の印刷。出版市場の縮小と電子化を背景に、引き続き減少している。
証券関連・カード印刷
近年の傾向
増加
分野の内容と背景
株主向けのディスクロージャー資料や、ICカード・プレミアム商品券などの印刷。キャッシュレス決済やディスクロージャー需要の拡大で増加している。
ビジネスフォーム印刷
近年の傾向
横ばい
分野の内容と背景
帳票類の印刷に加え、請求書など可変情報を1件ずつ印刷するDPS(データ・プリント・サービス)や、業務委託のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を含む。BPOは減少、DPSは拡大と内部で方向が分かれ、全体では横ばい。
読み解き

一般印刷の縮小は、最大分野である商業印刷と、出版印刷の減少が中心です。いずれも紙媒体の需要縮小と、広告・出版のデジタルシフトの影響を強く受けています。

一方で、すべての分野が縮小しているわけではありません。証券関連・カード印刷は増加しており、ディスクロージャー資料やキャッシュレス関連のカードなど、紙やカードの形で残る需要に支えられています。ビジネスフォーム印刷は、BPOの減少とDPSの拡大が相殺して横ばいで推移しています。

印刷需要の分野別市場(一般印刷・パッケージ・印刷通販)

一般印刷・パッケージ・印刷通販は別々の調査で市場の定義が異なる別々の指標で、足し合わせるものではない。分野によって縮小・底堅さ・成長と方向が分かれている
一般印刷市場
市場規模
3兆4,391億円(2019年度)
近年の方向と対象範囲
縮小。出版・商業・証券カード・ビジネスフォームの4分野(事業者売上高)。本ページの主指標
パッケージ印刷市場
市場規模
1兆5,204億円(2024年度)
近年の方向と対象範囲
底堅い。食品・日用品などの軟包装と紙器のコンバーティング市場(別調査・別定義)
国内印刷通販市場
市場規模
1,237億円(2021年)
近年の方向と対象範囲
成長。インターネットで受注する小ロット印刷の市場(別調査・別定義)
読み解き

印刷の需要を分野別にみると、方向が大きく分かれています。出版・商業を中心とする一般印刷市場(3兆4,391億円、2019年度)が縮小する一方、食品や日用品の包装を担うパッケージ印刷市場(1兆5,204億円、2024年度)は底堅く、インターネットで小ロット印刷を受注する印刷通販(1,237億円、2021年)は成長しています。

この3つは矢野経済研究所の別々の調査で、市場の定義や対象範囲が異なり、一般印刷市場にパッケージ印刷は含まれません。紙媒体の縮小をパッケージや小ロット印刷などの底堅い分野でどこまで補えるかが、印刷業界全体の規模を左右します。

主要論点

なぜ一般印刷市場は縮小しているのか?

一般印刷市場は、2013年度の3兆6,118億円から2019年度の3兆4,391億円まで縮小してきました。縮小の中心にあるのは、最大分野である商業印刷と、出版印刷の減少です。

商業印刷は、チラシ・カタログ・パンフレットなどの販促物を扱う分野です。広告のオンラインシフトや、紙のチラシから電子クーポン・アプリへの置き換えが進み、需要が縮小しています。出版印刷も、書籍・雑誌の販売減少と電子化を背景に減り続けています。

この2分野は一般印刷のなかでも規模が大きいため、両者の減少が市場全体を押し下げています。証券関連・カード印刷の増加やビジネスフォームの横ばいでは、商業・出版の縮小を補いきれていません。

縮小のなかでも伸びている分野はあるのか?

一般印刷の4分野のなかでは、証券関連・カード印刷が増加しています。株主向けのディスクロージャー資料の需要や、キャッシュレス決済に使われるICカード、プレミアム商品券などが、紙やカードの形で残る需要を支えています。ビジネスフォーム印刷でも、請求書などを1件ずつ印刷するDPS(データ・プリント・サービス)は拡大しています。

一般印刷の枠の外に目を向けると、底堅い分野や成長分野があります。食品や日用品の包装を担うパッケージ印刷市場は1兆5,204億円(2024年度)と底堅く推移し、インターネットで小ロット印刷を受注する印刷通販は1,237億円(2021年)へ拡大しました。

これらは出版・商業の縮小とは対照的で、印刷需要の二極化を示しています。各社は、縮小する分野から、底堅い包装や小ロット・可変印刷などへ事業の重心を移そうとしています。

一般印刷市場の数字はどう読めばよいか?

一般印刷市場の数字を読むときは、調査の時点と範囲に注意が必要です。矢野経済研究所の一般印刷市場は2020年調査が最新で、確定実績は2019年度の3兆4,391億円です。分野別の動きを長くみるには有用ですが、最新時点での業界規模そのものを示すものではありません。

最新の業界全体の規模をみるなら、より新しい製造品出荷額等(2023年)が基本の指標です。一般印刷市場は事業者売上高ベース、製造品出荷額等は事業所ベースで、集計の対象範囲が異なります。

また、パッケージ印刷や印刷通販は一般印刷とは別の調査で、市場の定義が異なります。分野ごとの規模を引用するときは、どの調査の、いつ時点の数字かを確認することが大切です。

中期見通し

近未来1-2年

近未来は、出版・商業印刷の縮小と、証券カード・パッケージなどの底堅さという二極化が続くとみられます。商業印刷は販促のデジタル化、出版印刷は電子化の影響を受け続ける一方、ディスクロージャーやキャッシュレス関連のカード、食品・日用品の包装は底堅く推移する見通しです。

中期3-5年

中期では、一般印刷市場の縮小基調は変わらず、各社が事業の重心を底堅い分野へ移す動きが続く見通しです。縮小する商業・出版印刷から、パッケージ印刷や小ロット・可変印刷、デジタルサービスへの転換をどこまで進められるかが、分野別の明暗をさらに分けることになります。

長期

長期では、紙媒体の需要が構造的に縮小するなかで、印刷需要は「残る分野」と「置き換えられる分野」に分かれていきます。包装のように物理的に必要とされる印刷物が底堅く残る一方、情報伝達としての印刷物はデジタルへの置き換えが進み、分野別の構成が大きく変わっていくとみられます。

よくある質問

一般印刷市場の規模はどのくらいですか?
矢野経済研究所の一般印刷市場は、2019年度に3兆4,391億円です。出版印刷・商業印刷・証券関連カード印刷・ビジネスフォーム印刷の4分野を事業者売上高ベースで集計したもので、2013年度の3兆6,118億円から約4.8%縮小しました。2020年調査が最新の一般印刷市場調査で、確定実績は2019年度です。
一般印刷の4分野とは何ですか?
一般印刷市場は、出版印刷(書籍・雑誌)、商業印刷(チラシ・カタログなどの販促物)、証券関連・カード印刷(ディスクロージャー資料・ICカード・商品券など)、ビジネスフォーム印刷(帳票・DPS・BPOを含む)の4分野で構成されます。このうち商業印刷が最大の分野です。
どの分野が縮小し、どの分野が伸びていますか?
出版印刷と最大分野の商業印刷は、紙媒体の需要縮小と販促・出版のデジタル化を背景に減少しています。一方、証券関連・カード印刷はディスクロージャーやキャッシュレス関連の需要で増加し、ビジネスフォーム印刷はBPOの減少とDPSの拡大が相殺して横ばいで推移しています。
パッケージ印刷は一般印刷市場に含まれますか?
含まれません。パッケージ印刷は矢野経済研究所の別の調査で、市場の定義が異なります。食品・日用品などの軟包装と紙器のコンバーティング市場で、2024年度は1兆5,204億円と底堅く推移しています。一般印刷市場(3兆4,391億円、2019年度)とは集計範囲が異なるため、足し合わせることはできません。
なぜ一般印刷市場の最新データが2019年度なのですか?
矢野経済研究所の一般印刷市場は、2020年調査が最新で、確定実績が2019年度のためです。分野別の動きを長期でみるには有用ですが、最新時点の業界規模そのものをみるなら、より新しい製造品出荷額等(2023年に5兆934億円)が基本の指標となります。両者は事業者売上高ベースと事業所ベースで集計範囲が異なります。

参考資料 / 一次ソース

  1. 1.
    矢野経済研究所「2020年版 印刷企業の徹底分析」(一般印刷市場)
  2. 2.
    矢野経済研究所 パッケージ印刷市場・国内印刷通販市場
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